米国政府は2027年末までにパスポート申請手続きを完全オンライン化し、初回から更新まで全てデジタルで完結させる方針です。
米国政府は、2027年末までにパスポート申請の手続きを完全オンライン化する新たな方針を打ち出しました。これにより、初回申請から更新までのすべてのプロセスがデジタル上で完結し、従来の対面窓口への訪問が不要となります。この動きに合わせて、旅行者の身分証明をスマートフォン上で管理する技術の導入も急速に進んでいます。
需要急増を背景としたデジタル化への転換
今回の完全オンライン化に向けた動きの背景には、記録的なパスポート需要の増加があります。米国務省のデータによると、2025年度には過去最多となる約2,730万冊のパスポートが発行され、米国において流通している有効なパスポートの総数は約1億8,300万冊に達しています。
これほどの膨大な申請を効率的に処理するため、政府はすでに2024年にパスポートのオンライン更新システムを一般公開していました。このシステムは導入後すでに730万件以上の更新手続きを処理し、米国におけるパスポート更新手続きの過半数を占めるまでに定着しています。このオンライン更新での成功が、今回の「初回申請を含む完全オンライン化」という大規模な方針の強力な土台となっています。
デジタルID連携で劇的に変わる空港での保安検査
パスポートの申請・管理がデジタル化されると同時に、空港における保安検査の体験も大きく変わりつつあります。現在、Apple WalletやGoogle Walletなどのスマートフォン機能を用いた、TSA(米運輸保安庁)承認のデジタルIDやデジタルパスポートの活用が進展しています。
すでに全米250以上の主要空港において、このデジタルIDに対応した保安検査ゲートが稼働しています。旅行者はカバンから物理的な身分証やパスポートを取り出す必要がなくなり、スマートフォンの生体認証を利用するだけでスムーズに本人確認を完了させることが可能です。手続きのボトルネックとなっていた身分証確認の時間が大幅に短縮されるため、空港内の混雑緩和に直結するアップデートとして旅行者からの注目を集めています。
予測される未来と旅行体験への影響
2027年末に向けた完全デジタル化の推進は、旅行業界全体にシームレスな移動体験をもたらすと期待されています。手続きのペーパーレス化によって行政側の審査業務がさらに効率化されれば、パスポート発行にかかる待機時間が短縮され、旅行計画をより柔軟に立てやすくなります。
今後はスマートデバイスを中心とした「タッチレス」な移動が標準化していくと予測されます。米国内の主要空港で普及しつつあるスマートフォンでの保安検査通過モデルが国際線や他国の入国管理プロセスにも波及すれば、国境を越えた移動のあり方が根本的に変わる可能性を秘めています。
一方で、スマートフォンに依存するシステムである以上、端末の紛失やバッテリー切れに備えたバックアップ手段は引き続き重要です。当面は物理的なパスポートや身分証の携行も併用されると見込まれますが、長期的な視点では、高度なデジタル認証技術が世界の国際旅行における新たなスタンダードとして定着していくことは間違いありません。

