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    中国当局が大手OTAにメス、独立系ホテルの価格決定権に追い風か

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    中国最大のオンライン旅行会社Trip.com Groupが、独占禁止法違反で約1200億円の巨額行政処分を受けました。

    目次

    中国最大のオンライン旅行会社に対する歴史的な行政処分

    今年7月25日、中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は、国内最大手のオンライン旅行会社(OTA)であるTrip.com Groupに対し、独占禁止法違反に基づく総額51億7900万元(約1200億円)の制裁を科したと発表しました。この処分の内訳は、違法所得16億5800万元の没収と、2025年の国内売上高の7.5%に相当する35億2100万元の罰金からなります。さらに、同社がホテル側から強制的に差し引いていた予約保証金1億2200万元の全額返還も命じられました。

    SAMRは今年1月から調査を開始し、Trip.com Groupが2020年以降、中国のオンラインホテル予約市場において推定56%に達する支配的な地位を濫用していた事実を認定しました。今回の措置は、中国のOTA業界に対する初の本格的な独占禁止法違反事件であり、世界の旅行業界における巨大プラットフォームのあり方に一石を投じる決定として注目を集めています。

    問題視された「排他的取引」と「最安値保証」の強要

    SAMRの調査により、Trip.com Groupが自社のプラットフォーム規則やトラフィック配分のアルゴリズム、さらには技術的監視手段を駆使して、市場競争を不当に制限していた手口が浮き彫りになりました。問題とされた行為は主に以下の二点に集約されます。

    独占契約の強要

    特定カテゴリーのホテルに対し、優遇措置と引き換えに競合他社のプラットフォームでの協業を禁じ、自社プラットフォーム上でのみ客室在庫を販売させる排他的な契約を要求していました。

    ネット最安値の強制

    ゴールドランクや非ブランドのホテルに対しては、インターネット上のあらゆる販売チャネルの中で最も低い価格を設定するよう求めていました。

    同社はこれらの要求に従わないホテルに対し、検索結果における順位の意図的な引き下げやトラフィックの制限、カテゴリーラベルの剥奪、さらには予約保証金の没収といった制裁をシステム上で自動的に課していました。結果として、ホテル側は自社サイトや他社OTAを柔軟に活用した収益管理ができなくなり、利益率の著しい圧迫を余儀なくされていました。

    独立系ホテルにもたらされる恩恵

    今回の是正命令により、OTAからの送客に強く依存してきたホテル、とりわけ資金力やブランド力で大手チェーンに劣る独立系ホテルは大きな恩恵を受けることになります。

    これまではプラットフォーム側の厳格な最安値保証ルールによって、自社ウェブサイトでの直販価格を下げるなどの柔軟なプロモーションが封じられていました。しかし、不当な制約が解除されることで、独立系ホテルは需要に応じた独自の価格設定(ダイナミックプライシング)をより自由に行えるようになります。

    これにより、OTAに支払う高い手数料負担を回避して直接予約への誘導を強化し、収益性の改善を図ることが可能になります。また、他のOTAプラットフォームとの並行契約も容易になるため、多様な販売経路を通じた顧客獲得が実現し、ホテル経営の自立性が大きく高まることが期待されます。

    予測される未来と世界の旅行業界への影響

    この一件は、単なる一企業の不祥事にとどまらず、巨大化するグローバルOTAとホテル業界との力関係を見直す転換点となる可能性があります。

    デジタル技術の発展により、OTAは市場において強力なエコシステムを形成してきましたが、各国の規制当局はアルゴリズムを用いた不透明な価格操作や、市場の寡占に対する監視の目を強めています。Trip.com Groupは既に処分の受け入れとビジネスモデルの改善を表明していますが、今後のトラフィック配分や手数料構造の見直しは、他の競合プラットフォームにも波及していく公算が大きいと予測されます。

    今後は、ホテル側により多くの裁量が与えられる、透明性の高いフラットな競争環境への移行が進むとみられます。旅行者にとっても、ホテル独自のパッケージプランや自社サイト限定の割引など、多様な選択肢が提供されるようになるため、長期的には消費者利益にかなう市場の健全化へと繋がっていくでしょう。国際旅行市場を牽引するOTAのビジネスモデルがどのように進化していくのか、業界全体で注視していく必要があります。

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