米LCCアレジアント・エアが、史上初めてオンライン旅行会社(OTA)エクスペディア・グループと12ヶ月間の独占提携を結んだ。これまで直販に注力してきたアレジアントは、エクスペディアの巨大なプラットフォームを通じて新規顧客を獲得し、ブランド認知を高める狙い。一方エクスペディアは、アレジアントの路線網追加で米国の全航空会社を網羅し、OTA市場での優位性を強化する。この提携は、直販モデルを維持してきた他のLCCがOTAとの連携に踏み切るきっかけとなり、消費者はより多くのフライトを比較検討できるようになるだろう。
アレジアント・エアが史上初のOTA販売を解禁
今年7月14日、米国のオンライン旅行大手エクスペディア・グループは、同国の格安航空会社(LCC)アレジアント・エアとの新たな流通パートナーシップ締結を発表しました。これにより、エクスペディアはアレジアント・エアにとって史上初の公式認定オンライン旅行会社(OTA)として機能することになります。
今回の合意は12ヶ月間の独占契約となっており、アレジアント・エアが運航する全米124都市、566のノンストップ路線のフライトおよび付帯サービスが、エクスペディア・グループの持つ米国内の各種ブランドを通じて即座に予約可能となりました。
提携の背景にある直販モデルからの転換
これまでアレジアント・エアは、自社ウェブサイトなどを通じた直接販売(直販)に注力することで中間コストを削減し、低価格な運賃を維持するビジネスモデルを展開してきました。同社は主に中小規模の都市から人気の休暇先を結ぶポイント・ツー・ポイントの路線に強みを持ち、レジャー層をターゲットとしています。
しかし、さらなる成長と新規市場でのブランド認知向上を目指す中で、同社は新たな顧客獲得チャネルを模索していました。エクスペディアの持つ巨大なプラットフォームとマーケティングの専門知識を活用することで、直接販売だけではリーチできなかった潜在的な旅行者層へアプローチし、他の航空会社と比較検討を行うユーザーを確実に取り込むことが今回の大きな狙いとされています。
エクスペディアの米国市場における優位性強化
一方、エクスペディア・グループにとってもこの提携は極めて重要なマイルストーンとなります。アレジアント・エアの広範なネットワークが追加されたことで、エクスペディアは米国のすべての民間旅客航空会社の在庫を100%網羅したことになります。
旅行者は価格の透明性や利便性を求めており、一度の検索でフルサービスキャリアからLCCまで幅広い選択肢を比較できるワンストップサービスへの需要が高まっています。アレジアント・エアの商品拡充は、価格に敏感な消費者を引き付ける強力な武器となり、競争の激しいOTA市場においてエクスペディアの米国トップクラスの地位をさらに盤石なものにします。
予測される未来と旅行業界への影響
今後、両社にとっての焦点は、流通コストと集客効果のバランスに移行していくと予測されます。
アレジアント・エアにとっては、OTAを通じた販売により販売手数料(コミッション)などの流通コストが新たに発生します。これがLCC特有の利益率を圧迫するリスクがある一方で、エクスペディアの強力な集客力によって座席稼働率(ロードファクター)が向上し、結果的にコスト増を上回る収益成長を達成できるかが最大の鍵となります。もしこの試みが成功すれば、同社の流通戦略における画期的な転換点となり、12ヶ月の独占契約満了後も両社のパートナーシップが継続・拡大される可能性が高いでしょう。
また旅行業界全体への影響として、直販を固持してきた他の独立系LCCが、需要喚起のためにOTAとの提携へ踏み切る契機となることも考えられます。消費者にとっては、単一のプラットフォームでより多くのLCCを含めたフライトの比較検討が容易になり、航空券の流通チャネルにおけるOTAの存在意義が再評価される流れが加速していくと見込まれます。

