SkyscannerがAI活用新ツール「Explore with AI」を発表しました。自然言語で対話的に検索するだけで、ユーザーの好みに合わせた航空券や旅程を提案し、コスト削減のインサイトも提供。
2026年7月3日、大手旅行検索プラットフォームのSkyscannerは、旅行者のニーズの変化に応えるため、独自のAI技術を活用した新たな旅行計画ツール「Explore with AI」のベータ版を含む複数の新機能を発表しました。
毎月世界中で1億6000万人以上の旅行者に利用されている同社は、自然言語を用いた直感的な検索体験を導入することで、旅行の計画から予約に至るプロセスをよりパーソナライズし、シームレスな体験へと進化させることを目指しています。
自然言語で最適解を導く「Explore with AI」
新たにウェブ版で導入された「Explore with AI」は、目的地や日付を個別に入力する従来の手間を省き、対話型のプロンプトで旅行を検索できる画期的なツールです。
ユーザーが「12月に日本へ行く安い航空券を探して」といった自然な文章を入力すると、AIがユーザーの好みに合わせた推奨プランを提示します。検索結果には航空券の価格だけでなく、旅行期間、目的地の天候、さらに「9月は12月よりも通常24%安くなります」といったAIによるコスト削減のインサイトやハイライト情報が並べて比較表示されます。
英語圏の市場向けに先行公開された初期テストでは、利用者の60%がAIによって生成されたフライトオプションをクリックしており、非常に高いユーザーエンゲージメントを示していることが明らかになっています。
AIによるロードトリップ計画や付随機能の大幅拡充
Skyscannerは航空券検索にとどまらず、地上移動を好む旅行者向けに「ロードトリッププランナー(Road Trip Planner)」も同時に導入しました。レンタカーのピックアップ場所、旅行日程、そして「絶景ルート」「文化探訪」「アドベンチャー」といった好みの旅のスタイルを入力するだけで、AIが最適なドライブルートや立ち寄りスポットを組み込んだオリジナルの旅程を自動生成し、最適なレンタカーオプションを提案します。
さらに、既存機能のアップグレードも実施されています。過去7日間で20%以上の値下がりを検知する人気機能「DROPS」が拡張され、1日あたり最大822%も多くのディール情報を旅行者に提供できるようになりました。また、リブランディングされた宿泊施設予約プラットフォーム「Stays」では、ホステルから5つ星ホテル、カプセルホテルやファームステイまで、掲載施設数が500万件以上に拡大されています。
背景にある旅行環境の複雑化と高騰するコスト
SkyscannerのCEOであるブライアン・バティスタ氏は今回のリリースについて、旅行者がますます複雑化する旅行環境に直面している現状を指摘しています。2026年の現在、世界的な物価高や航空運賃の高止まりにより、予算内で理想の旅行を実現することが難しくなっているという背景があります。
同社は「AIを活用して旅のあらゆる段階をシンプルかつ直感的にする」というビジョンを掲げ、20年以上にわたる旅行データと最新のテクノロジーを融合させることで、旅行者が自信を持って賢い選択ができるよう支援を強化しています。
予測される未来と旅行業界への影響
今回のSkyscannerの動きは、旅行業界全体における「AIのコンシェルジュ化」がより実用的なフェーズに突入したことを示しています。
これまでの旅行検索は、ユーザー自身が目的地と日程をあらかじめ決定していることが前提でした。しかし生成AIの高度化により、漠然としたアイデアや予算、雰囲気の希望を伝えるだけで、AIがインスピレーションを与え、具体的な手配まで一貫してサポートする「インスピレーション主導型」の検索が今後のスタンダードになることが予測されます。
また、航空券の価格変動から旅程作成、現地でのアクティビティまでを一つのプラットフォームで完結できるエコシステムが構築されることで、ユーザーのサイト滞在時間は伸び、プラットフォーム側への依存度も高まると考えられます。他のOTA(オンライン旅行代理店)やメタサーチエンジンも顧客維持のために同様のAI投資を加速せざるを得ず、旅行プランニングにおけるAI技術の精度向上とパーソナライズ化を巡る業界内の競争は、今後さらに激化していく見込みです。

