旅行計画の第一歩はGoogle検索から、という常識が覆されようとしています。ホテル流通テクノロジーのリーディングカンパニーであるSiteMinderが発表した最新レポートによると、2026年、ホテルを探し始める際の最初のタッチポイントとして、オンライン旅行会社(OTA)が初めて検索エンジンを上回りました。これは、旅行者の行動とホテル業界のマーケティング戦略に大きな影響を与える地殻変動と言えるでしょう。
旅行計画の出発点が変化、OTAがトップに
レポートによれば、調査対象となった世界の旅行者のうち、実に26%がBooking.comやExpediaといったOTAで宿泊施設の調査を開始すると回答しました。これに対し、Googleなどの検索エンジンで調査を始めると答えたのは21%に留まり、OTAが5ポイントもの差をつけてトップに躍り出た形です。
この変化は、OTAが単なる「予約ツール」から、旅行全体の「発見と計画のプラットフォーム」へと進化したことを明確に示しています。豊富な写真、詳細な施設情報、そして何よりも信頼性の高い膨大な数のレビューが、旅行者に「まずはOTAで見てみよう」と思わせる強力な動機となっているのです。
なぜOTAは「旅行の検索エンジン」になったのか?
この逆転劇の背景には、いくつかの要因が考えられます。
総合的な情報プラットフォームへの進化
かつてのOTAは価格比較が主な役割でしたが、現在では宿泊施設の比較検討に必要なあらゆる情報が集約されています。ユーザーレビュー、高画質な写真、客室ごとの詳細なアメニティ情報、周辺の観光スポットまで、一つのアプリやサイトで完結できる利便性がユーザーを惹きつけています。
パーソナライズと利便性
多くのOTAは、過去の検索履歴や予約データを基に、ユーザーの好みに合わせた宿泊施設を提案するパーソナライズ機能を強化しています。また、モバイルアプリの使いやすさや、セール情報のプッシュ通知なども、ユーザーが日常的にOTAにアクセスする習慣を後押ししています。
OTAで探して公式サイトで予約する「賢い消費者」たち
一方で、このレポートはもう一つの興味深いトレンドを明らかにしています。OTAで調査を開始した旅行者のうち、18%は最終的にホテルの公式サイトで直接予約を完了しているのです。
これは「ビルボード効果」として知られる現象で、OTAでホテルを知り、興味を持った後、より良い条件を求めて公式サイトを訪れるという消費者の行動パターンです。旅行者は、公式サイトで予約することで以下のようなメリットを期待しています。
- よりお得な料金や限定プラン
- 会員プログラムによるポイントや特典
- 客室のアップグレードやレイトチェックアウトなどの柔軟な対応
- ホテルとの直接的なコミュニケーションによる安心感
ホテル側もこの動きを歓迎し、公式サイト限定の特典を用意するなど、直接予約(ダイレクトブッキング)を促進するための戦略を強化しています。
今後のホテル予約はどう変わる?未来への展望
今回の調査結果は、今後の旅行業界に大きな影響を与えることが予測されます。
ホテル業界への影響
ホテルは、OTAを単なる販売チャネルとしてだけでなく、自社の魅力を伝えるための重要な「広告塔」として捉え直す必要があります。OTAでの露出を最大化しつつ、いかにして旅行者を自社の公式サイトに誘導し、ロイヤルカスタマーへと育成していくか。この二刀流の戦略が、今後のホテル経営の鍵を握るでしょう。
旅行者への影響
旅行者にとっては、OTAという強力な情報収集ツールを手に入れたことで、宿泊施設選びの利便性は格段に向上します。しかし、最もお得で満足度の高い予約を実現するためには、OTAの情報とホテルの公式サイトを比較検討するひと手間が、これまで以上に重要になってくるかもしれません。
今回のSiteMinderのレポートは、デジタル時代における旅行計画の勢力図が大きく塗り変わりつつあることを示しています。OTAが検索エンジンの役割を担い始めた今、ホテルと旅行者の関係性は、より複雑でダイナミックな新しいステージへと移行していくことは間違いないでしょう。

