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    イタリア・カプリ島、オーバーツーリズム対策を本格化 – 2026年夏から団体ツアーは40人以下に制限

    紺碧の海に浮かぶ「青の洞窟」で世界的に知られるイタリアの楽園、カプリ島。しかし、その美しさは近年、「オーバーツーリズム(観光公害)」という深刻な問題に直面しています。この問題に対処するため、カプリ島はついに大きな一歩を踏み出しました。ロイター通信によると、2026年の夏シーズンから、島を訪れる団体ツアーの規模を1グループ40人以下に制限する新たな規制を導入することを決定しました。

    目次

    新規制の具体的な内容

    今回の決定は、カプリ島の持続可能な未来を見据えた重要な措置です。規制の柱は大きく二つあります。

    団体ツアーの人数制限

    最も大きな変更点は、団体ツアーの人数上限です。2026年の夏以降、カプリ島を訪れる観光ツアーは、1グループあたり40人以下に制限されます。これにより、狭い路地や公共交通機関、人気観光スポットでの極度な混雑を緩和し、島全体の快適性を向上させる狙いです。

    拡声器を使用したガイドの禁止

    同時に、観光ガイドによる拡声器の使用も禁止される見通しです。これは、島の静かで落ち着いた雰囲気を守り、住民の生活環境や他の観光客の体験を損なわないための配慮です。観光客は、より静かな環境で島の歴史や文化に耳を傾けることができるようになります。

    規制導入の背景にある深刻なオーバーツーリズム

    なぜカプリ島はこのような厳しい規制に踏み切ったのでしょうか。その背景には、島のキャパシティをはるかに超える観光客が押し寄せる「オーバーツーリズム」問題があります。

    小さな島に集中する観光客

    カプリ島の面積はわずか約10.4平方キロメートル。これは東京の山手線の内側の面積の約6分の1程度の広さです。この小さな島に、コロナ禍以前は年間約200万人の観光客が訪れていました。特に夏場のピークシーズンには、ナポリやソレントからのフェリーで1日に1万5000人以上の日帰り客が押し寄せ、港や中心部の広場、公共バスは常に飽和状態にありました。

    この結果、以下のような問題が深刻化していました。

    • インフラへの過剰な負担: 水道、電力、ごみ処理施設などが限界に達する。
    • 環境への影響: 繊細な自然環境、特に「青の洞窟」周辺の生態系へのダメージが懸念される。
    • 住民生活の悪化: 交通渋滞、物価の高騰、騒音などで住民の穏やかな生活が脅かされる。
    • 観光体験の質の低下: どこへ行っても人混みで、ゆっくりと島の魅力を味わうことができない。

    世界の観光地が直面する共通課題

    オーバーツーリズムはカプリ島だけの問題ではありません。イタリア国内では、ヴェネツィアが2024年から日帰り観光客への入場料制度を試験的に導入したほか、フィレンツェでは歴史地区での新たな短期宿泊施設の開設が禁止されました。世界に目を向ければ、バルセロナやアムステルダムなど多くの都市が、観光と市民生活のバランスを取るために様々な対策を講じています。今回のカプリ島の決定も、この世界的な潮流の一環と位置づけられます。

    今後の影響と私たちの旅の未来

    この新しい規制は、今後のカプリ島への旅行にどのような影響を与えるのでしょうか。

    旅行者と旅行業界への変化

    まず、旅行者にとっては、混雑が緩和されることで、より質の高い、快適な旅行体験が期待できます。「青の洞窟」へのボートの待ち時間が短縮されたり、静かな小道を散策したりと、カプリ島本来の魅力を深く味わうチャンスが増えるでしょう。

    一方で、大規模なパッケージツアーやクルーズ船からの寄港地ツアーは、内容の見直しを迫られます。ツアーの小規模化に伴い、一人あたりの料金が若干上昇する可能性も考えられます。旅行会社は、これまでの「マスツーリズム」から、より付加価値の高い「クオリティツーリズム」への転換が求められることになります。

    持続可能な観光地への第一歩

    この規制は、カプリ島が目指す「持続可能な観光地」への重要な第一歩です。目先の観光収入だけでなく、島の自然環境や文化、住民の生活を長期的に守っていくという強い意志の表れと言えるでしょう。この取り組みが成功すれば、島のブランド価値はさらに高まり、質の高い体験を求める旅行者を惹きつける好循環が生まれる可能性があります。

    私たち旅行者も、この変化を前向きに捉える必要があります。訪問する土地の環境や文化に敬意を払い、責任ある旅行を心がけることが、カプリ島のような美しい場所を未来の世代へと引き継いでいくために不可欠です。2026年以降のカプリ島は、少しだけ静かになるかもしれません。しかしそれは、本来の輝きを取り戻した、より魅力的な姿なのかもしれません。

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