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アゾレス諸島のおすすめホテル・宿泊施設:予算と目的に合わせた選び方

大西洋の真ん中に浮かぶ、九つの宝石のような島々、アゾレス諸島。ヨーロッパ最後の楽園とも、大西洋のハワイとも称されるこの場所は、一度訪れた者の心を掴んで離さない不思議な魅力に満ちています。燃えるような火山の記憶を宿す大地、どこまでも青いカルデラ湖、地球の息吹を感じる温泉郷、そして広大な海で優雅に泳ぐクジラたち。手つかずの自然が織りなす圧倒的な絶景は、僕のような極限環境を旅してきた人間でさえ、思わず息を呑むほどです。

旅の質は、どこに泊まるかで大きく変わります。それは、単に夜を過ごす場所を選ぶということではありません。その土地の空気を肌で感じ、文化に触れ、明日への冒険心をチャージするための「拠点」を決める行為に他なりません。アゾレス諸島には、その多様な自然と同じくらい、バラエティ豊かな宿泊施設が存在します。断崖絶壁に立つラグジュアリーホテルから、歴史を刻んだ農園の邸宅、そして旅人との出会いが待つゲストハウスまで。

この記事では、あなたのアゾレス諸島での旅が最高の体験となるよう、予算や目的に合わせた宿泊施設の選び方を徹底的に解説していきます。どこに泊まれば、あなただけの物語が始まるのか。さあ、一緒にその扉を開けてみましょう。

目次

なぜアゾレス諸島なのか?旅人を惹きつける絶海の孤島の魅力

ポルトガル本土から西へ約1,500km離れた場所に、アゾレス諸島は大西洋中央海嶺上に位置しています。ここはユーラシア、アフリカ、北米という三つの大陸プレートがせめぎ合うエリアです。9つの有人島は、それぞれが独自の個性を持つ小さな宇宙のような存在です。東側にはサン・ミゲル島とサンタ・マリア島があり、中央部にはテルセイラ島、グラシオーザ島、サン・ジョルジェ島、ピコ島、ファイアル島が広がっています。そして西端にはフローレス島とコルヴォ島があります。これらの島々は飛行機やフェリーで結ばれており、アイランドホッピングを楽しむのが旅の醍醐味となっています。

アマゾンのジャングルで感じたのは、生命の渦巻く力強いエネルギーでしたが、アゾレスで受ける印象はむしろ、地球そのものの静かで悠然とした鼓動です。最大の島サン・ミゲル島では、エメラルドのような緑とサファイアのような青に輝くセテ・シダデス湖の神秘的な美しさに心惹かれ、フルナスの谷では地面から湧き上がる蒸気と硫黄の匂いに、地球が息づいていることを強く感じます。

テルセイラ島に足を踏み入れると、ルネサンス期に築かれた世界遺産の街、アングラ・ド・エロイズモの色彩豊かな街並みが出迎えてくれます。ピコ島では、ポルトガル最高峰のピコ山がそびえ立ち、黒い火山岩の石垣に囲まれたブドウ畑が果てしなく続く独特の景観もまた世界遺産に登録されています。ハイキングを好む方には、無数の滝が流れるフローレス島の緑豊かなトレイルが魅力的です。

さらに、アゾレス旅行で欠かせないのが海の生き物たちとの出会いです。ここは世界屈指のホエール&ドルフィンウォッチングの聖地であり、年間を通して20種類以上のクジラやイルカが訪れます。遭遇率の高さは驚くべきもので、巨大なマッコウクジラが目の前で潮を吹く光景は、心に深く刻まれる思い出となるでしょう。

このようにアゾレス諸島は、単に美しい景色を楽しむだけの場所ではありません。ハイキング、カヤック、キャニオニング、ダイビング、サーフィン、温泉めぐり、ワインテイスティングなど、あらゆる好奇心を満たすアクティビティが広がっています。だからこそ、旅の目的をはっきりさせることが、自分にとって最高の拠点、つまり理想的な宿を見つけるための第一歩となるのです。

予算別!アゾレス諸島の宿泊施設タイプと相場

アゾレス諸島の宿泊施設の価格帯は、ヨーロッパの主要観光地と比較すると比較的リーズナブルですが、その選択肢は非常に幅広いです。予算や旅のスタイルに応じて、あなたにぴったりの宿を見つけることができるでしょう。料金はシーズンや島ごとに変わりますが、おおよその目安として参考にしてください。

ラグジュアリーホテル(1泊300ユーロ〜)

特別な旅には、やはり特別な宿がふさわしいです。アゾレス諸島には、絶景を望む断崖の上に建つホテルや、歴史的な建物を改装した最高級の施設が点在しています。これらのホテルは、豪華な客室はもちろんのこと、洗練されたスパ施設や地元の食材を活かしたグルメレストラン、そして細やかでパーソナルなサービスが、滞在を一生の思い出にしてくれます。

特におすすめしたいのが、天然温泉を備えたホテルです。サン・ミゲル島のフルナスには、広大な植物園の中で温泉プールを独占できる宿があり、滞在自体が最高のアクティビティとなります。ハネムーンや記念日のお祝い、日常から完全に離れてリフレッシュする贅沢な時間に、この上ない選択肢といえるでしょう。価格は高めですが、それに見合った価値と体験が保証されています。

ブティックホテル&キンタ(Quinta)(1泊150〜300ユーロ)

「キンタ」はポルトガル語で農園やブドウ園を併設した邸宅を意味します。アゾレス諸島では、こうした歴史的なキンタを丁寧にリノベーションし、魅力的な宿泊施設として再生したものが多数あります。石造りの重厚な壁やアンティーク家具、手入れの行き届いた庭園があり、中世の貴族の邸宅に招かれたような非日常感を味わえます。

ブティックホテルも同様に、デザインやコンセプトにこだわり、画一的なホテルとは一線を画す個性的な体験を提供します。オーナーの趣味が反映されたインテリア、アットホームな雰囲気、そして地元情報に詳しいスタッフの温かいおもてなし。大規模なホテルにはない親密なコミュニケーションを望むカップルや、旅に独自性を求める方に最適です。朝食には、庭で採れた果物や自家製ジャムが並ぶことも珍しくありません。

アパートメント&貸別荘(Alojamento Local)(1泊80〜200ユーロ)

「Alojamento Local(アロジャメント・ローカル)」は、ポルトガルで公式に認可された民泊や短期賃貸の呼称です。キッチンやリビングスペースを備えたアパートメントタイプの宿泊施設は、特に家族連れやグループ、長期滞在者にとって非常に魅力的です。

最も大きな利点は、その自由度の高さです。地元のスーパーマーケットで新鮮な魚介やチーズ、ワインを購入し、自分たちのペースで自炊を楽しめます。外食ばかりになりがちな旅行で、胃にも財布にも優しい選択肢です。朝は好きな時間に起きてコーヒーを淹れ、夜はバルコニーでワイングラスを傾けながら満天の星空を満喫。まるでアゾレスに暮らしているかのようなゆったりとした時間を過ごせます。Booking.comやAirbnbなどのサイトから、多数の物件を選べます。

ゲストハウス&ホステル(1泊30〜80ユーロ)

旅の予算を抑えたい一人旅やバックパッカーにとって、ゲストハウスやホステルは頼もしい存在です。アゾレスの主要都市には、清潔で快適な施設が増えており、ドミトリー(相部屋)から手頃な個室まで、多様な選択肢がそろっています。

これらの宿の魅力は価格だけではありません。共用のキッチンやラウンジは世界中の旅人が集う交流の場です。私自身は内気な性格ですが、こうした場所での出会いが大好きです。サバイバルゲームの話で意気投合したドイツのハイカーや、アマゾンの話に目を輝かせたオーストラリアのサーファー。彼らと交わした情報が、翌日の旅程を何倍にも豊かなものにしてくれた経験は数え切れません。安全で温かく、新たな発見に満ちた場所。それがアゾレスのゲストハウスです。

宿泊費を賢く抑えるポイント

アゾレス諸島での宿泊費は、ちょっとした工夫で大きく節約できます。

  • オフシーズンを狙う: 観光のピークである7月と8月を避け、春(4月〜6月)や秋(9月〜10月)に訪れると、航空券だけでなく宿泊費もかなり安くなります。気候も穏やかで、混雑も少なく快適に過ごせるでしょう。
  • 早めの予約を心がける: 人気のホテルや離島の宿は、半年以上前から予約で埋まることが多いです。旅程が決まり次第、早めの予約をおすすめします。多くの予約サイトでは「早割」プランも利用できます。
  • 島をまたぐパッケージを検討する: 複数の島を巡る場合は、現地の旅行会社が提供する航空券と宿泊がセットになったパッケージが割安なことがあります。自分で個別手配する手間も省けて便利です。

目的別!あなたにぴったりの島とエリアの選び方

アゾレス諸島の9つの島々は、それぞれが独自の特徴と魅力を備えています。旅の目的が「壮大なハイキング」なのか、「歴史散策」なのか、それとも「ゆったりとした休息」なのかで、選ぶ島や滞在エリアも自然と決まってくるでしょう。

初めて訪れるならここ!サン・ミゲル島(São Miguel)

「緑の島(Ilha Verde)」と称されるサン・ミゲル島は、アゾレス最大の島であり、空の玄関口として多くの旅行者が最初に訪れる場所です。見どころがぎゅっと詰まっており、アゾレスの魅力を手軽に味わえるため、初めての方には特におすすめです。

  • ポンタ・デルガダ(Ponta Delgada): 島の南岸に位置する首府で、空港からのアクセスが非常に便利。レストランやカフェ、ショップ、ツアー会社が集まる便利な拠点です。石畳の街並みが魅力の旧市街は、散策するだけでも楽しく、夜も賑わいを見せます。レンタカーを利用せず、日帰りツアーで島内を巡りたい方に最適なエリアです。
  • フルナス(Furnas): 火山カルデラ内にあるこの谷は、地球の息吹を感じられる場所。あちこちから湯気が立ち上り、豊富な温泉が湧き出しています。名物の「コジード・ダス・フルナス」(地熱で調理した肉と野菜の煮込み料理)はぜひ味わってほしい一品です。有名な「Terra Nostra Garden Hotel」など温泉ホテルもあり、静かな自然の中で心身共にリフレッシュしたい人に理想的な滞在地です。都会の喧騒から離れてゆったり過ごせます。
  • リベイラ・グランデ(Ribeira Grande): 島の北岸に位置し、サーファーたちに人気の町。美しいサンタ・バーバラ・ビーチには良質な波を求めて多くの人が訪れます。北岸の壮大な海岸線や、ジャングルの中にある天然温泉プール「カルデイラ・ヴェーリャ」へのアクセスも良好。アクティブに過ごしたい方や、南岸とは異なる風景を楽しみたい人におすすめの拠点です。

歴史と文化を味わうならテルセイラ島(Terceira)

大航海時代にはヨーロッパと新大陸を結ぶ重要な中継地として栄えたテルセイラ島。中心都市アングラ・ド・エロイズモは、1983年にポルトガルで初めて街全体がユネスコ世界遺産に登録されました。地震からの復興を経て美しく保たれたルネサンス様式の街並みは、カラフルな建物が立ち並び、歩くだけで心が弾みます。

宿泊施設はこのアングラ・ド・エロイズモに集中しており、歴史的建造物を改装した国営ホテル「ポウザーダ」や魅力的なブティックホテルが豊富。街の雰囲気に浸りながらゆったり滞在できます。島の内陸には、巨大な溶岩洞窟「アルガル・ド・カルヴァオン」があり、火山の内部まで降りていく珍しい体験もできるのが魅力です。歴史散策や文化的な街歩きを楽しみたい方、落ち着いた滞在を好む方にピッタリの島です。

絶景の火山とワインを楽しむならピコ島(Pico)

どこからでもその雄大な姿が見えるピコ山は標高2,351mで、ポルトガル一の高峰です。この島のシンボルである火山と、その麓に広がる世界遺産のブドウ畑がピコ島の特別な魅力となっています。火山性の土壌と潮風からブドウを守るため、住民たちは無数の黒い火山岩を積み上げて「クワイス(currais)」と呼ばれる石垣を築きました。この独特な風景はまるで芸術作品のようです。

滞在中は「アデガ(Adega)」と呼ばれる伝統的なワインセラーや農家を改装した宿に泊まるのがおすすめ。石垣に囲まれた小さな家で、満天の星空の下、地元産ワインを味わう贅沢な時間が待っています。ピコ山の登山にチャレンジするアクティブな旅人や、静かな環境でワインと絶景を楽しみたいグルメな方にとって、忘れがたい思い出を作れる島です。

手つかずの自然と静けさを求めるならフローレス島(Flores)&コルヴォ島(Corvo)

アゾレスの西端に位置するフローレス島とコルヴォ島は、「ヨーロッパの果て」とも言える場所です。ユネスコの生物圏保護区に指定されており、名前の通り花々が咲き誇る緑豊かな渓谷、数多くの滝、そして神秘的なカルデラ湖が広がっています。

観光地化とは無縁の、自然そのままの姿を求める旅人にとっての聖地です。大規模ホテルはなく、小規模なゲストハウスや貸別荘が主な宿泊施設。特にアゾレス諸島で最も小さなコルヴォ島は、人口およそ400人の小さなコミュニティで宿泊施設も非常に限られています。訪れる際はできるだけ早く予約をしておくことが肝心です。フェリーや飛行機の便数も限られているため、余裕をもった旅程計画が必要です。日常をすべて忘れて、ただ自然と静寂に身をゆだねたい方には、フローレス島とコルヴォ島ほど理想的な場所はありません。

実際に予約しよう!アゾレス諸島のホテル予約完全ガイド

さて、宿泊したい島やエリアのイメージが固まったら、いよいよ具体的な予約手続きに移りましょう。ここでは、後悔のない快適な宿選びをサポートするために、準備段階から予約、さらに万が一のトラブル対応まで実践的なポイントを詳しくご紹介します。

予約の最適なタイミングと準備

旅の成功は、入念な準備にかかっています。特に持ち物は、アゾレス諸島特有の環境を踏まえて選ぶことが肝心です。

  • 予約のタイミング: 多くの旅行者が休暇を取るハイシーズン(6月下旬~9月上旬)に訪れる場合、半年以上前の予約でも早すぎることはありません。ピコ島のアデガやフローレス島の宿など、数が限られた特色ある宿泊施設は即座に満室になることも珍しくないためです。ショルダーシーズン(4~6月、9~10月)なら3ヶ月前、オフシーズン(11月~3月)は1~2ヶ月前の予約でも十分選択肢がありますが、いずれの場合も早めの行動が望ましいです。
  • 準備・持ち物リスト:
  • 必携品: パスポート、航空券、クレジットカード、海外旅行保険証。予約確認書はスマホのスクリーンショットやPDFで保管するだけでなく、念のため印刷して持参すると安心です。
  • 服装: アゾレスの天候は「一日のうちに四季が巡る」と表現されるほど変わりやすく、晴れていたかと思えば急に霧雨になることもあります。速乾性のTシャツ、フリース、防水・防風機能を備えたレインジャケットとパンツの重ね着で体温調節できるよう準備しましょう。
  • 履物: 日常の街歩き用スニーカーに加え、石畳やぬかるんだ道でも滑りにくく、防水性に優れたハイキングシューズやトレッキングシューズを用意すると行動範囲が大きく広がります。
  • 水着: 温泉に入る機会が多いので、フルナスの鉄分を多く含む温泉では水着が茶色く変色することがあるため、高価なものやお気に入りは控え、使い古したものか濃色の水着を用意するのがおすすめです。
  • 国際運転免許証: 島内の移動にはレンタカーが便利です。日本の運転免許証とともに、出発前に必ず国際運転免許証を取得しておきましょう。
  • その他: サングラス、日焼け止め、帽子、常備薬、モバイルバッテリー、変換プラグ(Cタイプ)も忘れずに準備してください。

予約サイトを使った具体的な手順

現在では多くの予約がオンラインで完結します。便利なツールを上手に活用しましょう。

  • ステップ1:主要な予約サイトで検索

Booking.comやExpedia、Airbnbといった大手サイトは掲載件数が豊富で、地図検索や条件絞り込み機能も充実しています。まずは希望の島、日程、人数を入力し、全体的な選択肢を把握しましょう。

  • ステップ2:フィルター機能で絞り込み

膨大な検索結果の中から自分に合う宿泊先を探すために、価格帯や施設タイプ(ホテル・アパートメントなど)、立地、評価スコア(8.0以上など)で絞り込みを行います。特に「無料Wi-Fi」「朝食付き」「無料駐車場」「無料キャンセル可能」といった条件は重要です。

  • ステップ3:口コミをじっくり読む

総合スコアだけでなく、実際に泊まった人の口コミ内容をよく確認しましょう。ポイントは以下です。

  • 清潔さ: 清掃の徹底度、水回りの状態は特に要チェック。
  • スタッフの対応: 親切さやトラブル時の対応の良さ。
  • ロケーション: 「中心部で便利」「夜は騒がしかった」など、評価には両面あります。自分の旅の好みに合っているか見極めましょう。
  • 低評価も確認: 低評価の理由を把握し、自分が許容可能なものかどうか判断します(例:朝食の種類が少ない→こだわらないなら問題なし、一方シャワーの不具合なら致命的)。
  • ステップ4:公式サイトも確認を

気になる宿があれば、その施設の公式ホームページも訪れてみましょう。予約サイトより安いプランや、公式限定の特典(ウェルカムドリンク、レイトチェックアウトなど)がある場合があります。また、直接のやり取りはコミュニケーションをスムーズにすることも期待できます。

予約時に注意すべきポイントと禁止事項

予約を確定する前に、細部まで最終確認を忘れずに。小さな見落としが後々のトラブルに繋がることがあります。

  • キャンセルポリシーの確認: 通常、「返金不可」と「無料キャンセル可能」のプランがあります。返金不可プランは料金が安いものの、キャンセルした場合は一切返金されません。旅程がまだ確定していなかったり、天候に左右されるアクティビティ(例:ホエールウォッチング)を計画しているなら、多少高くても無料キャンセル可能なプランを選ぶのが賢明です。キャンセルが可能な期限(例:チェックイン7日前まで)も必ず確認しましょう。
  • 追加料金の確認: 表示されている価格が最終支払い額でない場合があります。特に市町村が課す「観光税(ツーリストタックス)」は、チェックアウト時に別途請求されることが一般的です。また、アパートメントなどでは「清掃費」や「保証金(デポジット)」が別途必要なケースもあります。料金に何が含まれているかを詳細にチェックしてください。
  • チェックイン時間の確認: 多くのホテルは15時以降のチェックインが基本です。深夜の到着便など通常の時間外に到着する場合は、事前にホテルに連絡してレイトチェックインが可能かどうか、またその具体的な手続き(鍵の受取方法など)を確認しましょう。特に小規模のゲストハウスやB&Bでは24時間のフロント対応がないことが多いです。
  • 持ち込み制限: アゾレス諸島は貴重な自然環境を守るため厳しい検疫を行っています。泥の付いた靴や植物の種子、特定の食品の持ち込みに制限がある場合があります。迷ったらアゾレス諸島観光局公式サイトで最新情報を確認し、自然保護に配慮しましょう。

トラブルが発生した際の対処法

万全の準備をしても予想外のトラブルは起こり得ます。慌てずに対応するためのポイントを押さえておきましょう。

  • オーバーブッキングで部屋がない場合

これはホテル側の責任です。まずは予約確認書を提示してフロントに抗議し、同等またはそれ以上のクラスの代替ホテルを手配し、そこまでの交通費も負担してもらうよう求めましょう。ホテル側が対応に応じない場合は、早急に予約サイトのカスタマーサポートへ電話やチャットで連絡してください。24時間体制のサポートがホテルとの調整を代行してくれます。

  • 予約と異なる部屋が提供された場合

写真と比べて明らかに狭い、設備に不具合がある、景色が違うなどの問題があれば、泣き寝入りせず、まずスマホで証拠写真を撮影しフロントに相談しましょう。空室がない場合でも、部分返金などの補償交渉が可能です。この際も予約サイトのサポートに連絡すると力になってくれます。

  • フライトの遅延やキャンセルでホテルに到着できない場合

悪天候等でフライトが遅れたりキャンセルされたら、まず航空会社から遅延や欠航の証明書を受け取ります。その後、速やかにホテルや予約サイトへ連絡し事情を説明しましょう。返金不可プランでも、航空会社の都合による不可抗力であればホテル側が柔軟に対応してくれる可能性があります。こうしたトラブルに備え、航空機遅延費用補償が付帯した海外旅行保険への加入を強くおすすめします。

ライターMarkが選ぶ!一度は泊まりたいアゾレスのユニークな宿3選

これまで様々なタイプの宿をご紹介してきましたが、今回は私、Markが個人的に「いつか必ず泊まりたい」と心に決めている、あるいは実際に宿泊して感動した、アゾレス諸島ならではのユニークな宿を3つ厳選してお届けします。冒険的な旅も好きですが、文明と自然が美しく調和した空間には、また違った興奮と癒やしが存在します。

温泉と植物園に抱かれる至福のひととき「Terra Nostra Garden Hotel」

サン・ミゲル島のフルナス谷の中心に位置するこのホテルは、単なる宿泊施設の枠を超えています。滞在自体を目的とした、いわばデスティネーション・ホテルです。最大の魅力は、200年以上の歴史を誇る広大な植物園「テラ・ノストラ公園」の中に建っていること。そして宿泊者は、公園の象徴ともいえる巨大な天然温泉プールに24時間いつでも自由に浸かることができます。

鉄分を豊かに含んだ黄土色の温泉に身を委ねると、旅の疲れがじわじわとほどけていくのを実感します。夜、ライトアップされた植物園に囲まれながら入る温泉は幻想的で、言葉を失うほどの美しさを誇ります。アマゾンの過酷な自然環境で泥にまみれた後だからこそ、この極上の癒やしの価値が身に染みます。アールデコ調のクラシックな本館とモダンな新館があり、どちらも洗練されたデザイン。まさに、自然の恩恵と人間の叡智が融合したパラダイスです。 Terra Nostra Garden Hotelの公式サイトで、その特別な世界観をぜひ体感してみてください。

火山岩の家でワインと共に眠る「Pocinho Bay」

ピコ島の海岸線に、まるで景色の一部のように佇む黒い石造りの家々。これが、伝統的なアデガ(ワインセラー)を改装した宿泊施設「Pocinho Bay」です。世界遺産に登録されたブドウ畑の石垣と同じ火山岩で築かれているため、夏は涼しく冬は暖かいのが特徴です。ミニマルながらも洗練された室内から窓の外を望めば、青い海とその向こうにファイアル島のシルエットが浮かび上がります。

ここで主役となるのは、静けさとワイン、そして満天の星空です。日中はピコ山に登り、夕方はテラスで地元のワインを開ける。その間に聞こえるのは波の音と鳥のさえずりだけ。夜には人工の光がほぼないため、空には信じられないほどの星々がきらめきます。デジタル機器から離れ、地球のリズムに身を委ねる。そんな本質的な豊かさを教えてくれる場所です。グループで一棟を貸し切ることも可能で、大切な仲間との特別な時間を過ごすのにも最適でしょう。

断崖絶壁に佇む灯台ホテル「Farol da Ponta do Arnel」

究極の非日常を求める旅人にふさわしい隠れ家です。サン・ミゲル島の北東端にそびえるアルネル灯台。その灯台守がかつて住んでいたコテージが、現在は宿泊施設として貸し出されています。ここへ辿り着くには、心臓破りの急坂を下らなければならず、車でのアクセスは四輪駆動車が必須。しかし、その苦労の先には、誰にも邪魔されない壮大な絶景が待っています。

目の前に広がるのは、水平線の彼方まで続く大西洋の大パノラマ。夜には回転する灯台の光と満点の星空だけが友となります。朝には、ヨーロッパで最も早く昇る朝日を独り占めできるかもしれません。設備はシンプルながら、このロケーションこそ最高のおもてなし。予約は非常に困難で数ヶ月先まで満室のことが多いですが、挑戦する価値は十分にあります。ここは日常の軸から完全に切り離された、世界の果ての聖域といえるでしょう。

アゾレス諸島の旅をさらに深めるためのヒント

最高の宿を見つけたら、続いて旅全体をより快適で充実したものにするための情報を取り入れましょう。

移動手段はレンタカーが基本

アゾレス諸島の公共交通機関は、旅行者にはやや使いづらい部分があります。美しい海岸線や山の絶景スポット、そして小さな村々を自由に回るためには、レンタカーがほぼ必須と言えるでしょう。

  • 予約方法: ポンタ・デルガダなど主要な空港にはレンタカー会社のカウンターがありますが、ハイシーズンには長い行列ができたり、希望の車種が借りられなかったりすることもあります。事前にRentalcars.comのような比較サイトで予約するのがスムーズでおすすめです。Ilha Verde Rent a Carなど、アゾレスに特化した地元の会社も評判が良いです。
  • 注意点:
  • ヨーロッパではマニュアル車(MT)が主流です。オートマチック車(AT)を希望する場合は、台数が少ないためなるべく早めに予約してください。
  • 島の道路は、集落内の非常に狭い場所や急な坂道、曲がりくねったカーブが多いので、運転には十分気をつけましょう。
  • レンタル時には、国際運転免許証、日本の運転免許証、クレジットカード、そしてパスポートが必ず必要になります。

島々の間の移動について

アゾレス旅行の楽しみのひとつがアイランドホッピングです。島と島の移動手段は主に2つあります。

  • 航空機: SATA Air Açoresが各島を結ぶ便を運航しています。特に中央の島々から東西の島へ移動する際は、飛行機が唯一の選択肢になることがあります。運航スケジュールや料金は季節により大きく変わるため、公式サイトで常に最新情報をチェックしましょう。
  • フェリー: Atlanticolineが運航するフェリーは、ピコ島、ファイアル島、サン・ジョルジェ島といった中央部の島々をつなぐ移動に便利で、船上からの景色も楽しめます。ただし冬場は便数が減少したり、悪天候で欠航することも多いため、日程に余裕を持って計画することが重要です。

現地の文化とマナー

快適な旅のために、現地の文化を尊重することを心がけましょう。

  • 言語: 公用語はポルトガル語です。観光地のホテルやレストランでは英語が通じる場合が多いものの、「こんにちは(Bom dia/Olá)」や「ありがとう(Obrigado/Obrigada)」などの簡単な挨拶を覚えておくと、地元の人との距離がぐっと縮まります。
  • チップ: ポルトガルではアメリカのような厳しいチップ習慣はありません。レストランでサービスに満足した場合は、料金の5〜10%程度をテーブルに残すのがスマートです。タクシーでは、お釣りの小銭を渡す程度で十分です。
  • 自然保護: アゾレスの人々は、自分たちの島の豊かな自然を非常に大切にしています。ハイキングの際は決められたトレイルから外れない、ゴミは必ず持ち帰る、植物や岩を採取しないなど、基本的なマナーをしっかり守りましょう。あなたのささやかな配慮が、この美しい自然を未来へと守り続ける力になります。

大西洋の楽園で、あなただけの物語を紡ぐ旅へ

アゾレス諸島での宿選びは、単なるスペックや価格の比較にとどまりません。それは、あなたがこの島々でどのような時間を過ごしたいか、自身の旅のスタイルを見つめ直すプロセスでもあるのです。

フルナスの温泉で癒やされる穏やかな休日を望むのか。ピコ島のワインと満天の星空に酔いしれるロマンチックな夜を追い求めるのか。あるいは、世界中から訪れる旅人たちとの交流を楽しみ、ポンタ・デルガダの賑やかなゲストハウスの扉を叩くのか。

ラグジュアリーホテルが奏でる非日常の贅沢。歴史あるキンタが醸し出す、まるで時が止まったかのような安らぎ。そして、アパートメントで暮らすかのようにのびのびと過ごす自由な日々。それぞれの選択肢には独自の魅力があり、そこでしか紡がれない物語があります。

この記事があなたの羅針盤となり、最高の拠点を見つける手助けになればこれ以上の喜びはありません。さあ、地図を広げて無数の選択肢のなかから、あなただけの宝物のような一軒を見つけ出してください。大西洋の風が、あなたの冒険の幕開けを待っています。

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