日々の喧騒、鳴り止まない通知音、時間に追われる毎日。私たちは知らず知らずのうちに、心と体の声を聞くことを忘れがちです。もし、今あなたが「少しだけ立ち止まりたい」「深く息を吸い込みたい」と感じているのなら、スペイン・バレンシア地方の隠れた宝石、オリバ湿地公園(Parc Natural de la Marjal de Pego-Oliva)への旅をおすすめします。そこは、ただ美しいだけの自然公園ではありません。古代から続く生命の循環が、静かな水の流れと共に今も息づき、訪れる者の心を優しく洗い流してくれる、特別な場所なのです。広大な葦原を渡る風の音、水面を飛び交う鳥たちの歌声、そしてすべてを包み込む穏やかな静寂。ここでは、普段は聞こえない生命の輝きが、あなたの五感を通して心に直接語りかけてくることでしょう。さあ、思考を止めて、ただ感じる旅へ。オリバ湿地公園が織りなす、生命のシンフォニーに耳を澄ませてみませんか。
旅の感動は自然の中だけではなく、心と体が喜ぶ美食の旅でも深く味わうことができます。
オリバ湿地公園とは? – 地中海沿岸に広がる生命の宝庫

オリバ湿地公園は、スペイン東部に位置し、太陽の恵み豊かなバレンシア州とアリカンテ州の境界にまたがる、約1250ヘクタールの広大な湿地帯自然公園です。その名はスペイン語で「Marjal(マルハル)=湿地」を意味し、まさに水の王国と呼ぶにふさわしい場所です。公園の中心を流れるブルジェント川とサロム川、そして地下から湧き出る清らかな泉が、この恵みあふれる生態系の命綱となっています。
この湿地は、地中海と内陸の山脈という独特の地理的環境の間に位置しています。海風に乗って運ばれる湿度の高い風と、山々からもたらされる潤沢な地下水が交わり、スペイン屈指の豊かな生物多様性を育んでいます。この価値は国際的にも高く評価され、1994年にはラムサール条約(国際的に重要な水鳥生息地を保護する条約)に登録されると共に、EU自然保護区ネットワーク「Natura 2000」への指定も受けています。つまり、オリバ湿地公園は単なる景勝地ではなく、地球規模で守るべき貴重な自然遺産であることを示しているのです。
公園の歴史を紐解くと、人と自然が密接に結びついてきたことが見えてきます。この肥沃な土地は、かつて米作りが盛んであり、とりわけ世界的に有名なパエリア用の「ボンバ米」の栽培で知られていました。現在も一部では稲作が続けられており、その風景はどこか日本の田園風景を想起させ、懐かしさを覚えさせます。しかし、近代化の波とともに農地開発の危機に直面しました。これを憂慮した地域の人々や自然保護団体の尽力により、この地は自然公園として守られることとなりました。こうして現在の自然は、単に原始のまま残っているのではなく、一度は失われかけたものを人々の手で守り抜いた尊い宝なのです。
園内には、どこまでも続く葦原、青空を映す水面、そして背景にそびえるセガリア山脈の壮大な姿が、まるで一幅の絵画のように美しいコントラストを織りなしています。表面上は静かな水と緑の広がりに見えますが、一歩足を踏み入れ五感を研ぎ澄ませば、数多の命が織り成す壮大なドラマが息づいているのに気づくでしょう。オリバ湿地公園は、私たち人間もこの生命の大きな輪の一部であることを思い起こさせてくれる、まさに魂のふるさととも言える場所なのです。
五感を澄ませて歩く – 湿地公園のハイキングコース
オリバ湿地公園の魅力を存分に味わうには、自分の足で歩き、その空気を体全体で感じることが最も効果的です。園内には、初心者から熟練者まで楽しめるように複数の散策路やハイキングコースが整備されています。車を降りて一歩踏み出すと、そこはもう日常から切り離された、静けさと生き物たちの声が響く特別な空間です。ここでは、特におすすめしたい散策の体験をご紹介いたします。
木道を歩く体験
公園の見どころの一つが、水面や葦原の上を縫うように続く木製の遊歩道です。この木道を歩くと、まるで水の上を散歩しているかのような、不思議で心地よい浮遊感を味わえます。ギシギシと自分の体重でたわむ木板の音だけが、現実世界とのつながりをそっと伝えてくれます。左右を見渡せば、風に揺れる葦の葉が「サワサワ」と囁き合い、水面にはカモやオオバンの群れが静かに浮かんでいます。時折、彼らが水面を蹴って飛び立つ音や、水草をついばむ音が、静けさの中に心地よいアクセントを添えます。目を閉じれば、風の香り、水の清涼感、そして太陽の温もりが肌を優しく撫でていくのを感じられるでしょう。
季節ごとに、この木道から望む風景は大きく表情を変えます。春には足元に可憐な野花が咲き乱れ、湿地全体が生命の息吹に満ち溢れます。鳥たちの求愛のさえずりが最も賑やかになるのもこの時期です。夏は、濃い緑に覆われた葦原が力強く成長し、最も生命力にあふれます。強い日差しを避けて水辺で涼む生き物たちの姿を探すのもまた楽しい体験です。秋には、渡り鳥たちが越冬のために次々と飛来し、空は壮大なショーに包まれます。夕暮れ時には、黄金色に染まる湿原と鳥たちのシルエットが息をのむほど美しい光景を織りなします。そして冬。多くの植物が枯れ、一見寂しげに見えるこの季節こそ、オリバ湿地公園の「静寂」を最も深く味わえる時期です。澄み切った冷気のなか、遠くで響く水鳥の声がかえって静けさを際立たせ、瞑想的な散策にぴったりの季節と言えるでしょう。
Font Salada(塩の泉)周辺の散策
園内には地下からミネラル豊富な水が湧き出る泉が点在しており、その中でも「Font Salada(フォン・サラダ)」は特別な存在です。名前の通り「塩の泉」を意味し、年間を通じて約20度前後に保たれる不思議な泉です。この水は皮膚病に効能があるとされ、昔から地元の人々に湯治場として親しまれてきました。現在も夏の季節には天然プールとして多くの訪問者で賑わっています。
泉の周囲を歩くと、他のエリアとは異なる植生が見られることに気づくでしょう。塩分に強い特殊な植物が群生し、独特の生態系を形成しています。泉から流れ出る小川に沿って歩けば、透き通った水の中を小魚が素早く泳ぎ回る様子を観察できます。この泉の存在が湿地全体の生態系にどれほど大きな影響を与えているか、その水の流れを辿ることで実感できるはずです。泉のほとりに腰を下ろして湧き出る水の様子をただ眺めているだけで、心が洗われるような清らかな気持ちに包まれます。地球の内部から湧き出る生命のエネルギーを、ぜひ肌で感じてみてください。
展望台からの眺望
公園内には、湿地全体を見渡せる木製の展望台が数カ所設けられています。少し階段を上るだけで、視界が大きく開けます。目の前に広がるのは、果てしなく続くかのような葦原の大海原。その中を川が銀色のリボンのように走り、点在する潟(ラグーン)が空の色を映しながら輝いています。遠方には、この地域のシンボルであるセガリア山脈が堂々とそびえ、晴れた日には地中海の水平線まで望むことが可能です。
特におすすめしたいのが、朝と夕方のマジックアワーです。朝日が昇る頃、東の空が茜色に染まり、湿地が朝霧の中からゆっくりと姿を現す様子はまさに神秘的です。鳥たちの一斉のさえずりが、新しい一日の始まりを告げます。一方、夕暮れの時間帯には、空がオレンジやピンク、紫へと刻々と色を変え、その光が水面に映り幻想的な世界を作り出します。ねぐらに戻る鳥の群れが空を横切るシルエットは、まるで影絵のように美しい光景です。この展望台からの眺めは、地球という惑星の美しさと、その上で織りなされる生命の営みの尊さを、静かにしかし力強く私たちに教えてくれます。
生命のシンフォニー – オリバ湿地公園で出会える生き物たち

オリバ湿地公園は、まさに生き物たちの理想郷といえます。穏やかな景色の背後では、多種多様な生命が複雑に絡み合い、壮大なシンフォニーを織り成しています。特に、ここはヨーロッパでもトップクラスのバードウォッチングの名所として名高く、世界中から多くの愛鳥家が訪れます。しかし、この場所の魅力は鳥類だけに留まりません。水中や草むら、足元の隅々まで注意深く観察すれば、驚くほどたくさんの小さな住人たちを見つけることができるのです。
空を彩る主役たち-多彩な野鳥との出会い
この湿地では、年間を通じて200種類以上の鳥が姿を見せます。留鳥や夏鳥、冬鳥、さらに渡りの途中に立ち寄る旅鳥など、季節ごとに主役が入れ替り、訪れるたびに新鮮な発見があります。
葦原の奥深くには、この公園のシンボルとも言えるムラサキサギが潜んでいます。名前の通り、光の加減で紫色に輝く美しい羽根を持つ大型のサギで、その姿を見つけられたら幸運でしょう。また、瑠璃色の羽と赤いくちばしが印象的なセイケイ(Purple Gallinule)は、かつてスペインでは絶滅したと考えられていましたが、再導入計画の成功によって現在はこの湿地で安定した繁殖を続けています。彼らが水草の上を器用に歩く様子は、一度見たら忘れがたい光景です。
バードウォッチングに最適な時間帯はやはり早朝と夕方。生き物たちの活動が最も活発になるこの時間帯は、静寂のなかで鳥たちの声にじっくり耳を傾けられます。公園内に設けられた観察小屋(ハイド)を利用すれば、鳥たちを驚かせることなく間近で自然な姿を観察可能です。双眼鏡は必携ですが、持っていなくても裸眼で十分楽しめます。大切なのは慌てず静かに待つこと。そうすれば、これまで気づかなかった姿や聞こえなかった音が、感覚の中に自然と飛び込んでくるでしょう。風の中に溶け込むさまざまな鳥の鳴き声は、時に柔らかく、時に鋭く、また時にはユーモラスに響き、まさに自然が奏でる音楽そのものです。どの声がどの鳥のものか、図鑑を片手に探るのもまた楽しみの一つです。
水辺に棲む小さな仲間たち
空ばかり見上げるのではなく、ぜひ水辺にも目を向けてください。オリバ湿地公園の水路は多くの貴重な生命を育んでいます。その代表が絶滅危惧種に指定されている固有の淡水魚「サマールク(Valencia hispanica)」です。体長わずか数センチの小さな魚ですが、水質の清浄度を示すバロメーターとなっており、彼らが元気に泳いでいることは、この湿地の水がいかに透明で清らかであるかを物語っています。
水辺では、ヨーロッパヌマガメが甲羅干しをしている和やかな風景に出会えることもあります。とても臆病な彼らは、人の気配を感じるとすぐに水中に身を隠してしまうので、そっと彼らの時間を邪魔しないように見守りましょう。また、春から夏にかけては、カエルの賑やかな合唱が湿地全域に響き渡ります。その声は、生命あふれる季節の訪れを告げる祝砲のようです。
さらに目を凝らせば、驚くほど豊かな昆虫の世界が広がっていることに気づきます。色鮮やかなトンボが水面を軽やかに飛び交い、時にはあなたの指先にとまって休むこともあります。水生昆虫たちは魚や鳥の貴重な食料であり、生態系のピラミッドを支える重要な基盤を形成しています。小さな命たちが互いに繋がり、支え合いながら、この壮大で繊細な生命の織物を紡いでいるのです。オリバ湿地公園を歩くことは、この生命の大きな輪の一部となり、すべての生き物に対する深い敬意を抱かせてくれる体験でもあります。
自然が育む恵み – 地域の食文化と湿地の関わり
旅の楽しみは、美しい風景や自然との触れ合いだけに留まりません。その土地独自の食文化に触れることで、旅の体験はさらに豊かで、記憶に深く刻まれるものとなります。食品商社に勤め、世界各地の食を巡る仕事に携わる私にとって、オリバ湿地公園周辺の食文化は、この地域の自然環境と人々の暮らしがいかに密接に結びついているかを教えてくれる、とても興味深いテーマでした。ここでは、湿地の恵みが育んだ絶品の郷土料理をご紹介します。
湿地が育んだお米
オリバ湿地公園の周辺は、スペインを代表する米どころとして広く知られています。特に、バレンシア地方の食文化の象徴とも言えるパエリアに欠かせない「ボンバ米(Arroz Bomba)」の産地として名高いのです。このボンバ米は、短粒種ながら炊いても煮崩れしにくく、旨味たっぷりのスープをしっかり吸収するという特徴を持っています。まさにパエリアに最適なお米と言えるでしょう。
なぜこの地で、これほど高品質なお米が育つのでしょうか?その秘密は、湿地の豊富な水資源にあります。公園を流れる川や泉から湧き出るミネラル豊富で清らかな水が、稲に十分な栄養をもたらします。さらに、湿地が生み出す独特の微気候(ミクロクリマ)も、米作りに最適な環境を提供しているのです。水田に張られた水は湿地の生態系の一部となり、多くの水鳥や昆虫、微生物たちの住処となります。彼らの活動が土壌を豊かにし、その結果として美味しいお米が育まれているのです。この見事な自然の循環を知ると、一粒のお米に込められた物語の奥深さにただただ感動します。公園近くの農協や市場では、収穫されたばかりの新鮮な米を購入することも可能です。旅の思い出に、本場のボンバ米を手に入れてみてはいかがでしょうか。
地元のレストランで味わう郷土料理
この地を訪れた際には、湿地の恵みをたっぷり使った郷土料理をぜひ味わってみてください。公園の周辺には、地元の食材にこだわった素敵なレストランが数多く点在しています。
まずお勧めしたいのが、ウナギを使った料理です。湿地の水路には天然のウナギが生息し、昔から貴重な食材として親しまれてきました。代表的な料理が「All i Pebre(アル・イ・ペブレ)」です。ニンニク(All)とパプリカ(Pebre)を効かせたソースでウナギを煮込む、濃厚で力強い味わいの一品です。ジャガイモと一緒に煮込まれることが多く、ソースをパンに浸して食べると、その至福の風味が口いっぱいに広がります。
そしてもちろん、外せないのがパエリアです。本場バレンシアのパエリアは、日本で一般に知られるシーフードパエリアとはひと味違います。伝統的な「パエリア・バレンシアーナ」は、鶏肉やウサギ肉、インゲン豆、さらにはカタツムリ(!)を使い、サフランとローズマリーで香り豊かに炊き上げます。地元のボンバ米が魚介や肉の旨味を余すことなく吸収し、鍋底にできるおこげ「ソカラット(socarrat)」の香ばしさは格別です。湿地の景色を眺めながら、本格的なパエリアを味わう体験は、きっと忘れられない思い出となるでしょう。
| スポット名 | 特徴 | おすすめメニュー |
|---|---|---|
| Restaurante El Cresol | Font Saladaの近くに位置し、伝統的なバレンシア料理を提供。テラス席からの眺めも魅力。 | パエリア・バレンシアーナ、All i Pebre |
| Restaurant Font Salada | 泉のすぐ隣にあり、カジュアルな雰囲気で気軽に食事が楽しめる。散策の合間の休憩に最適。 | 各種タパス、ボカディージョ(サンドイッチ) |
| Casa Pepa | ミシュラン星獲得の実績がある名店。伝統料理を洗練されたスタイルで提供し、特別な日にぴったり。 | 季節のコース料理 |
自然を五感で味わい、その恵みを舌で堪能する。この一連の体験こそが、オリバ湿地公園の旅を完成へと導いてくれます。一皿の料理の中に、湿地の水、太陽の光、そして人々の営みの歴史が凝縮されていることを感じながら、ゆったりと食事の時間をお楽しみください。
心と体を癒すスピリチュアルな時間

オリバ湿地公園は、単に美しい自然が広がるだけの場所ではありません。その静謐な空気と絶えることのない生命の営みは、訪れる人の心に深く響き、日々の疲れた心を癒す力を秘めています。ここは、自分自身と向き合い、内なる声に耳を傾けるためのスピリチュアルな聖域としての役割も果たしています。今回は、公園で体験できる心身の癒し方をご紹介します。
静寂の中での瞑想体験
現代社会は情報のあふれと騒音であふれており、私たちは常に外部からの刺激にさらされ、心を休める余裕がありません。オリバ湿地公園の最大の魅力のひとつは、その圧倒的な「静けさ」にあります。もちろん鳥のさえずりや風の音は聞こえますが、これらは心を乱すノイズではなく、むしろ静けさを一層感じさせる自然の調べです。
公園の静かなスポット、例えば木道のベンチや少し高台の丘の上など、自分のお気に入りの場所に腰を下ろしてみてください。ゆっくりと目を閉じて深呼吸を繰り返します。息を吸うたびに湿地の清らかなエネルギーを身体に取り込み、吐く息とともに心にたまったストレスや不安を手放すイメージを描きましょう。初めはさまざまな思考が浮かぶかもしれませんが、それを無理に追い払おうとせず、流れる雲のようにただ観察します。やがて意識は遠くから聞こえる鳥の鳴き声や、葦の擦れ合う音、水の流れるかすかな音へと向かっていきます。それらの自然音に耳を澄ませていると、思考は徐々に静まり、心は穏やかな湖面のように澄んでいくことでしょう。これはまさにマインドフルネス瞑想の状態です。過去や未来の想いから解放され、「今ここ」に在る自分と自然が一体になる感覚は、深い安らぎと解放感をもたらします。
水と生命のエネルギーに触れる
水は古くから多くの文化で「浄化」と「生命」の象徴とされてきました。オリバ湿地公園は、その豊かな水のエネルギーに満ちている場所です。地下から湧き出る泉、穏やかに流れる川、広大な水面。ここにいるだけで、澱んだエネルギーが洗い流されていくように感じる方も多いでしょう。
特に、ミネラル豊富な水が湧き出るFont Saladaは、強力な癒しのスポットとして知られています。その水は肌に良いとされるだけでなく、心身のエネルギーを浄化しバランスを整える効果も期待されています。水に触れられる場所では、そっと手や足を浸してみてください。地下深くから旅してきた水の冷たくて清らかな感触が体を通して心まで染み渡るのを実感できるはずです。私たちは生命の根源である水によって命をつながれています。この地で水と触れ合うことは、自分の生命力の源と再び結びつく神聖な儀式とも言えるでしょう。
アーシング(グラウンディング)のすすめ
現代人は靴や舗装された道の上で生活しているため、大地と直接繋がる機会がほとんどありません。アーシング(グラウンディング)とは、裸足で直接大地に触れることで、体内に溜まった余分な電気を放出し、地球のエネルギーと再び繋がる健康法です。これによりストレス軽減、睡眠の質向上、炎症の緩和など様々な効果が報告されています。
オリバ湿地公園には、裸足になって安全に歩ける土や草地が豊富にあります。人の少ない場所を選び、靴と靴下を脱いでゆっくり大地に足をのせてみてください。初めはひんやりと感じるかもしれませんが、すぐに足裏から湿った土の柔らかさや草の感触、大地が持つ温かく安定したエネルギーを感じ取れるでしょう。足の裏全体で地球の鼓動を感じるよう意識を集中させるのもおすすめです。自分が一本の木になったかのように、足裏から根を伸ばし地球の中心と繋がるイメージをもつのも効果的です。わずか数分のアーシングで、頭に昇っていたエネルギーが下がり、心が落ち着き深いリラックスを体験できます。自然と一体になるこのシンプルな行為は、デジタル時代を生きる私たちにとって非常に力強い癒しのツールです。オリバ湿地公園の豊かな大地は、アーシングを実践するのに理想的な環境となっています。
オリバ湿地公園への誘い – 旅の準備とヒント
オリバ湿地公園での滞在を最大限に楽しむためには、事前の準備と心構えが重要です。この美しい自然環境を存分に堪能し、敬意を持って訪れるための実用的なポイントをご紹介します。
アクセスについて
オリバ湿地公園への公共交通機関のアクセスはやや不便なため、レンタカーの利用が最も自由度が高くおすすめです。バレンシア市やアリカンテ市からは、高速道路AP-7を経由して約1時間から1時間半ほどで到着します。公園には複数の入口や駐車場が点在していますので、訪れたいエリアをあらかじめ地図で確認しておくとスムーズに移動できます。
公共交通機関を利用する場合は、近隣のオリバ(Oliva)やペゴ(Pego)までバスで移動し、そこからタクシーを利用する方法もあります。ただし、便数が限られているため、事前に時刻表のチェックが必須です。余裕をもったスケジュールを組むことをおすすめします。
推奨される服装と持ち物
公園内には整備された木道もありますが、未舗装の土の道も多いため、歩きやすいスニーカーやハイキングシューズの着用が望ましいです。季節や天候に合わせた服装を心掛けましょう。
- 服装: 夏は強い日差し対策として、通気性の良い長袖・長ズボン、帽子、サングラスの着用が適しています。冬は海風が冷たく感じることがあるため、防風・防水機能のあるジャケットを持参すると安心です。
- 飲料と軽食: 公園内には売店や自動販売機がほとんどありません。特に夏場は脱水症状を避けるために十分な水分を持参しましょう。自然の景色を眺めながらのピクニックもおすすめです。
- 日焼け止め・虫よけスプレー: 直射日光を避ける場所が少ないため、日焼け止めは欠かせません。また、湿地帯では蚊などの虫が多いため、特に夕方は虫よけスプレーがあると快適に過ごせます。
- 双眼鏡とカメラ: バードウォッチングを楽しみたい方は双眼鏡を持って行くと良いでしょう。また、息を呑むような風景を撮影するためにカメラもお忘れなく。
- 地図: スマートフォンの地図アプリは便利ですが、電波が届きにくい場所もあるため、公園の案内所で紙の地図を入手しておくと安心です。
訪問時の心構え
オリバ湿地公園は、多くの貴重な動植物が暮らす保護区域です。この場所に訪れる際は、自然環境をお借りしているという謙虚な気持ちを持ちましょう。
- 静かに行動する: 大声を出したり音楽を流したりすると、野生動物を驚かせストレスを与えてしまいます。静けさを楽しみ、自然のささやきに耳を傾けましょう。
- ゴミは必ず持ち帰る: 公園内にはゴミ箱がほとんどありません。自分の出したゴミはもちろん、もし落ちているゴミを見かけたら率先して拾うように心掛けましょう。
- 動植物を傷つけない: 美しい花や珍しい植物を見つけても、決して採取せず、大切に扱いましょう。野生動物に対しても触れたり脅かしたりせず、距離を保って観察してください。指定された道から外れて葦原などに踏み入ることも控えましょう。
- ペットを連れての入園: ペットを連れて行く際は必ずリードをつけ、他の利用者や野生動物への配慮を忘れないでください。また、ペットの立ち入りが制限されているエリアもあるため、看板をよく確認しましょう。
こうした小さな配慮が、このかけがえのない自然を次世代へと守り伝えるために欠かせません。自然への敬意を持って、心豊かなひとときをお過ごしください。
湿地の向こうに見えるもの – 周辺の魅力的なスポット

オリバ湿地公園での滞在をより充実させるために、ぜひ周辺の町やビーチへも足を伸ばしてみてください。湿地の静謐な風景とは異なる、この地ならではの多彩な魅力に触れることができます。
オリバの旧市街
湿地公園と同じ名前を持つオリバは、歴史が息づく美しい街です。丘の上に広がる旧市街(Casco Antiguo)では、白壁の家々が密集した細い路地が迷路のように絡み合い、散策すればまるで中世の時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。坂を登ると、壮麗なサンタ・マリア・ラ・マジョール教会(Iglesia de Santa María la Mayor)が姿を現します。さらにその上には、かつての城壁跡であるサンタ・アナ城跡(Castillo de Santa Ana)があり、ここからはオリバの町並みやオレンジ畑、そして眼下に広がる地中海の絶景を一望できます。散策に疲れたら、広場のカフェでひと息つけば、地元の人々の生活に溶け込むような穏やかなひとときを過ごせるでしょう。
ペゴの町
湿地公園のもうひとつの玄関口であるペゴも、訪れる価値の高い魅力的な町です。オリバに比べるとやや小ぶりですが、その分、いっそうローカルで落ち着いた空気が漂っています。町の中心には、美しいアーチが特徴的な市庁舎や立派な教会があり、見応えがあります。特に木曜日に開催される週市(Mercado Semanal)はおすすめです。新鮮な野菜や果物、オリーブオイル、チーズ、ハチミツなど、この土地の特産品がずらりと並び、にぎやかな雰囲気が楽しめます。地元の人々との何気ない会話も、旅の忘れられない思い出になることでしょう。町のパン屋で焼きたてのパンを買い、湿地公園でピクニックをするのも素敵な過ごし方です。
地中海の美しいビーチ
オリバ湿地公園の東側には、どこまでも広がる美しい砂浜が続いています。バレンシア地方の有名なビーチリゾートに比べて観光客も少なく、静かで落ち着いた海辺の雰囲気が魅力です。特にプラヤ・デ・テラ・ノヴァ(Playa de Terranova)やプラヤ・ダigua・モルタ(Playa d’Aigua Morta)は、自然のままの砂丘が残る美しいビーチとして知られています。湿地公園で自然観察を楽しんだ後、潮風を感じながらビーチでゆったり過ごすのは格別の贅沢です。午前中は湿地をハイキングし、ランチは地元レストランでパエリアを味わい、午後はビーチでシエスタ(昼寝)。そんな、スペインらしいゆったりとした一日を満喫することも可能です。淡水の湿地と塩水の地中海、二つの異なる水の世界を一日で体験できるのも、この地域ならではの大きな魅力と言えるでしょう。
自然との対話がもたらす心の静寂
オリバ湿地公園をあとにする時、あなたの心に何が刻まれているでしょうか。それは、美しい鳥の写真や、味わい深いパエリアの記憶だけではないはずです。風に揺れる葦のささやき、水面に映る澄んだ空の青さ、そしてすべてを包み込むような深い静けさ。この場所で過ごした時間は、私たちの心の奥底に静かで穏やかな波紋を広げ続けるでしょう。
私たちは日常のなかで、多くの「役割」を担って生きています。会社員として、親として、子どもとして。しかし、この湿地の一歩を踏み入れた瞬間、そうした役割から解き放たれ、ただ一人の存在として、自然の一部としての自分を許されます。ここでは、誰かと比べる必要も、何かを成し遂げる必要もありません。ただそこにいて、呼吸し、感じることができればそれでいいのです。
鳥は鳥として空を舞い、魚は魚として水を泳ぎ、葦は葦として風に揺れる。それぞれが、ありのままの姿で与えられた命を精一杯生きています。その純粋な生命の営みを間近に感じることで、私たちは「自分もただ自分でいてよいのだ」という、シンプルながらも力強いメッセージを受け取ることができるのかもしれません。
旅から戻り、再び賑やかな日常が始まったとしても、あなたの心にはあの湿地の風景が息づいているはずです。目を閉じれば、いつでもあの静けさや生命の輝きを思い出すことができるでしょう。それは、困難に直面した時、心の支えとなり、道に迷いそうになった時に本来の自分へと立ち返らせてくれる、静かな羅針盤のような存在になるに違いありません。オリバ湿地公園は、一度訪れただけで終わる場所ではありません。まるで心の故郷のように、何度でも帰りたくなる、不思議な魅力を持った場所なのです。次に心が休息を求める時、またこの生命に満ちた静寂の地でお会いできることを願っています。

