サウジアラビアのリヤド・キング・ハーリド国際空港は、フーシ派の攻撃で運用停止が長期化し、3,000便以上が欠航
リヤド・キング・ハーリド国際空港の運用停止が長期化
サウジアラビアの首都リヤドに位置するキング・ハーリド国際空港において、運用停止措置が長期化している。同空港周辺や施設がイエメンの武装組織フーシ派による攻撃の標的となり、駐機中の機体やターミナルの一部が深刻な被害を受けたことが発端である。サウジアラビア民間航空総局(GACA)による運用停止措置の延長が繰り返される中、これまでに3,000便以上のフライトが欠航や遅延などの影響を受ける事態に発展している。
2025年の統計データによれば、同空港は年間利用客数約4,080万人、年間発着便数は約29万6,800便を記録した巨大な中東の航空ハブである。1日平均で約800便以上の民間機が発着する拠点が数日間にわたって完全閉鎖されるのは極めて異例であり、国際的な航空輸送に計り知れない影響を与えている。
主要航空各社による相次ぐ欠航と運休延長
空港施設の安全確保が難航していることを受け、世界各国の主要航空会社は相次いでサウジアラビア発着路線の欠航や運休期間の延長を決定している。
中東を拠点とするエミレーツ航空やエティハド航空は、リヤド、ダンマーム、ジェッダなど主要空港を発着する便の欠航を広範囲で実施している。特にエティハド航空は、安全上の理由からアブダビとリヤドを結ぶ路線を10月19日まで全便運休とすることを発表した。また、エア・インディアも中東路線を中心に大幅な運休措置をとり、運航スケジュールは混乱を極めている。
影響は中東やアジアの航空会社にとどまらず、ルフトハンザドイツ航空やエールフランスといった欧州の主要キャリアもサウジアラビア路線の欠航や予約受け付けの停止に踏み切った。さらに、最新機材の受領を進めていたサウジアラビアの新興キャリアであるリヤド航空は、地上での被弾リスクを避けるため、保有するボーイング787-9型機をジェッダやメディナなど国内の他空港へ退避させる異例の対応を迫られている。
渡航警戒レベルの引き上げと乗り継ぎ路線への波及
治安情勢の急速な悪化を受け、英国外務省や豪米政府、ならびに日本の外務省はサウジアラビア全土に対する渡航警戒レベルを引き上げ、不要不急の渡航自粛を強く勧告している。
この事態は、単にサウジアラビアを目的地とする旅行者だけでなく、湾岸地域を経由する国際ネットワーク全体に大幅な乱れを引き起こしている。中東上空の空域制限や迂回飛行を余儀なくされる便が増加したことで、欧州とアジアやアフリカを結ぶ長距離国際線で飛行時間が延長し、乗継旅程に間に合わない乗客が続出している。迂回に伴う燃料消費の増加や機材繰りの悪化も生じており、周辺国の中東ハブ空港に代替便や滞留客が押し寄せるなど、インフラへの負荷が拡大している。
背景と中東観光経済に予測される打撃
事態の背景には、中東情勢の緊迫化とともに、サウジアラビア主導の連合軍とイエメンのフーシ派との間の武力衝突が激しさを増していることが挙げられる。国際空港という重要インフラが直接的な標的となったことで、治安に対する国際社会の懸念が一気に高まった。
サウジアラビアは近年、国家戦略として観光立国を掲げ、莫大な資金を投じてリゾート開発や航空インフラの整備、メガキャリアの育成を進めてきた。しかし、今回の民間航空網を直撃する武力衝突は、同国の観光経済に冷や水を浴びせる結果となっている。デルタ航空は予定していたリヤドへの新規就航を2027年へと大幅に延期する措置を発表しており、外資系企業の投資やグローバルな事業展開にもブレーキがかかっている。
今後、空港の運用が再開されたとしても、滞留している旅客の輸送や乱れた機材繰りの正常化にはさらに日数を要する見込みである。今回の空港緊迫化に伴う打撃はサウジアラビア国内にとどまらず、中東全体におけるインバウンド観光需要やビジネス出張の長期的な冷え込みにつながることが懸念されている。

