ベトナムが、東南アジアの観光地図を塗り替える勢いを見せています。ベトナム統計局の最新データによると、2025年に同国を訪れた外国人訪問者数が過去最高となる約2117万人に達しました。この数字は、ASEAN地域で最も高い成長率を誇り、ベトナムが新たなトップデスティネーションとして浮上していることを示しています。
驚異的な回復と成長を示すデータ
2025年の外国人訪問者数、約2117万人は、前年比で20.4%増という驚異的な伸びです。さらに特筆すべきは、新型コロナウイルス禍前のピークであった2019年の実績をも17.6%上回り、完全な回復どころか、新たな成長軌道に乗ったことを証明しました。
この成長率は、ASEAN事務局のデータでも際立っています。近隣のマレーシア(11.2%増)やインドネシア(10.4%増)といった観光大国を大きく引き離し、域内でトップの成長率を達成。訪問者数の総数では、依然としてマレーシア、タイに次ぐ第3位ですが、その差は急速に縮まりつつあります。
誰がベトナムを訪れているのか?
国・地域別の訪問者データを見ると、依然としてアジア市場が牽引役であることがわかります。
- 上位3市場: 中国、韓国、台湾
- 日本の位置: 日本は第5位にランクインしており、ベトナムが日本人旅行者にとっても重要な目的地であり続けていることが伺えます。
なぜベトナムはこれほど旅行者を惹きつけるのか?
この目覚ましい成長の背景には、いくつかの戦略的な要因が挙げられます。
積極的な航空路線の拡大
今回の発表で特に指摘されているのが、国際線の拡充です。ベトナムの航空会社は、中東やインド、ヨーロッパの各都市への新規就航や増便を積極的に進めてきました。これにより、これまでアクセスが限られていた市場からの旅行者を直接呼び込むことに成功し、訪問者の多様化を促進しました。
戦略的なビザ緩和策
ベトナム政府は観光業の回復と成長を加速させるため、ビザ政策を大幅に緩和しました。多くの国を対象とした電子ビザ(e-visa)の発給や、ビザ免除対象国の拡大、滞在可能期間の延長などが実施され、旅行者にとってのハードルが大きく下がったことが、訪問者数の増加に直結したと考えられます。
多様な魅力と進化する観光インフラ
ハノイの旧市街や世界遺産ハロン湾、古都ホイアンといった定番の観光地に加え、フーコック島やダナンなどのビーチリゾート開発も進んでいます。豊かな自然、奥深い歴史文化、そして世界的に評価の高いベトナム料理が、あらゆるタイプの旅行者を魅了しています。
今後の展望と旅行者への影響
この力強い成長は、ベトナムの観光業界に明るい未来をもたらす一方、いくつかの課題も浮き彫りにします。
ASEAN観光大国への挑戦
今後、ベトナムはタイやマレーシアと肩を並べる、あるいは追い越す存在になる可能性があります。観光収入はベトナム経済の重要な柱となり、さらなるインフラ投資やサービス向上につながることが期待されます。
オーバーツーリズムへの懸念
一方で、急激な観光客の増加は、人気観光地における混雑や環境への負荷といった「オーバーツーリズム」の問題を引き起こす可能性があります。持続可能な観光(サステナブルツーリズム)への取り組みが、今後のベトナム観光の質を左右する重要な鍵となるでしょう。
これからベトナムへの旅行を計画する方は、そのダイナミックな変化を肌で感じることができるはずです。定番の観光地だけでなく、新たに注目を集め始めた地方都市や自然豊かな国立公園など、少し視野を広げて旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。今、最も熱いデスティネーション、ベトナムから目が離せません。

