米国務省、ニジェールを「レベル4:渡航中止」に指定
米国務省は2024年1月30日、西アフリカのニジェールに対する渡航情報を更新し、警戒レベルを最高の「レベル4:渡航中止(Do Not Travel)」に引き上げました。この決定は、テロ、誘拐、そして凶悪犯罪のリスクが著しく高まっているという現地の治安状況を反映したものです。
今回の措置により、ニジェールは米国が渡航中止を勧告するアフリカ諸国の中で8カ国目となりました。この厳しい勧告は、現地の米国政府職員とその家族に対し、可能な限り早く国外へ退避するよう命じるものであり、対象国の国際的な孤立と経済的な苦境をさらに深める可能性があります。
なぜ今、ニジェールが最高警戒レベルに?
今回の渡航中止勧告の背景には、複数の深刻な問題が絡み合っています。
政治的不安定とクーデター
最も直接的な原因は、2023年7月に発生した軍事クーデターです。これにより民主的に選ばれた政権が転覆し、軍事政権が実権を掌握しました。以来、国内の政治情勢は極度に不安定化し、法の支配が揺らいでいます。このような状況は、犯罪組織やテロリストが活動しやすい環境を生み出しています。
サヘル地域におけるテロの脅威
ニジェールは、マリやブルキナファソと国境を接するサヘル地域に位置しており、この地域は長年、アルカイダやIS(イスラム国)関連の武装勢力の活動拠点となってきました。国境地帯では、民間人や治安部隊を狙った襲撃、誘拐事件が頻発しており、外国人旅行者が標的となるリスクも極めて高いと判断されています。
アフリカで「渡航中止」勧告が出されている国々
ニジェールの追加により、米国務省が「レベル4:渡航中止」に指定しているアフリカの国は以下の8カ国となりました。
- ブルキナファソ
- 中央アフリカ共和国
- リビア
- マリ
- ニジェール
- ソマリア
- 南スーダン
- スーダン
これらの国々は、紛争、テロ、深刻な政治不安、人道危機といった共通の課題を抱えており、米国政府は自国民に対し、いかなる理由があっても渡航しないよう強く警告しています。また、これらの地域では有事の際に米国政府が提供できる領事支援は極めて限定的であることも強調されています。
経済への深刻な打撃と今後の見通し
渡航中止勧告は、対象国の経済に壊滅的な影響を及ぼします。
観光業の崩壊と投資の停滞
まず、観光業は完全に停止します。外国人観光客が訪れなくなることで、ホテル、レストラン、交通機関などの関連産業は収益を失い、多くの雇用が危機に瀕します。さらに重要なのは、海外からの直接投資(FDI)が大幅に減少、あるいは完全に停止することです。治安の悪化と政治の不安定さは、企業が新たな投資を決定する上での最大のリスク要因であり、インフラ開発や経済成長の機会が失われます。
国際社会からの孤立
このような勧告は、対象国が国際的な旅行、ビジネス、外交のネットワークから切り離されることを意味します。国際会議の開催や文化交流も困難になり、人道支援団体の活動でさえも、スタッフの安全確保のために制限される可能性があります。
ニジェールおよび他の7カ国がこの状況から脱却するには、国内の安全保障、ガバナンス(統治能力)、そして緊急事態への対応能力を劇的に改善する必要があります。しかし、軍事政権下にある国や内戦が続く国々にとって、その道のりは極めて長く、険しいものとなるでしょう。
旅行を計画される皆様におかれましては、渡航先の安全情報を外務省や各国大使館のウェブサイトで常に確認し、自らの安全を最優先に行動することを強くお勧めします。

