一年で最も多くの人々が移動する米国の感謝祭(サンクスギビング)シーズンが、大規模な暴風雨に見舞われ、空の便や陸路に深刻な影響を及ぼしています。家族や友人と過ごすために移動する何百万人もの旅行者が、フライトの遅延や欠航、危険な道路状況に直面しており、旅行計画の大幅な見直しを迫られています。
ピークを迎えた移動日に悪天候が直撃
感謝祭の祝日を前にした水曜日は、伝統的に米国で最も交通量が多くなる日の一つです。まさにそのタイミングで、強力な低気圧が東海岸から南部にかけて大雨や強風、一部地域では竜巻の警報をもたらしました。
空の便に広がる混乱
この悪天候により、全米の空港ではフライトの遅延や欠航が相次いでいます。特に、ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、アトランタといった東海岸の主要なハブ空港では混乱が顕著です。FlightAwareなどの追跡サイトによると、感謝祭前日だけで数百便が欠航し、数千便に遅れが生じています。
一つのハブ空港での混乱は、ドミノ倒しのように全米の航空網に影響を及ぼします。乗り継ぎを予定していた乗客は空港で足止めされ、代替便の確保も困難な状況が続いています。航空各社は手数料免除でのフライト変更などの対応に追われていますが、多くの旅行者が目的地への到着が大幅に遅れる事態となっています。
陸路の移動にも危険が伴う
空の便だけでなく、自動車で移動する人々にも影響は及んでいます。米国自動車協会(AAA)は、今年の感謝祭期間中(水曜日から日曜日までの5日間)に、約5,540万人が家から50マイル(約80km)以上移動すると予測しており、そのうち約4,910万人が自動車を利用すると見込んでいます。これは2005年以来3番目に多い数字です。
大雨による視界不良や路面の冠水、強風による横風は運転を危険なものにします。主要な高速道路では、悪天候と交通量の増加が重なり、通常よりも激しい渋滞が発生。移動時間が大幅に延びるだけでなく、事故のリスクも高まっています。
背景にある記録的な旅行需要
今回の混乱の背景には、パンデミック以降、力強く回復・増加している旅行需要があります。多くの人々が数年ぶりに家族との再会を計画しており、移動への意欲が非常に高まっています。この記録的な旅行者数が、悪天候によるインフラの脆弱性を浮き彫りにした形です。
特定の日に移動が集中する感謝祭の文化も、混乱を増幅させる一因です。多くの人が「水曜日に移動し、日曜日に帰宅する」というパターンを取るため、トラブルが発生した際の代替手段が限られてしまうのです。
今後の見通しと旅行者への影響
気象予報によると、暴風雨は感謝祭当日には東海岸を抜ける見込みですが、航空網の混乱はその後もしばらく続くと予測されます。欠航便の振り替えや、機材・乗務員の配置の乱れを正常化するには時間がかかるためです。
特に、帰宅のピークとなる週末にかけても、一部で遅延などの影響が残る可能性があります。
今回の事態は、気候変動による異常気象が、私たちの旅行計画に直接的な影響を与えることを改めて示しています。今後、旅行業界はより高度な気象予測と迅速な対応策が求められます。また、私たち旅行者も、特に大規模な移動が予測されるホリデーシーズンには、悪天候のリスクを考慮に入れた柔軟な計画や、万が一に備えた旅行保険の重要性を再認識する必要があるでしょう。

