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    胃袋ひとつじゃ到底足りない!台湾の古都・台南、路地裏の絶品小吃(シャオチー)食べ尽くし紀行

    旅の醍醐味とは、なんだろうか。知らない景色に心を奪われることか、歴史の息吹を感じることか。それもいい。だが、30代も後半に差し掛かった旅ライターの僕にとって、旅とはすなわち「胃袋の拡張工事」に他ならない。知らない街の暖簾をくぐり、地元の人々が愛する一皿に舌鼓を打つ。その瞬間のために、僕は今日も旅に出る。

    今回、僕の胃袋が熱烈に求めたのは、台湾の古都・台南だ。台北の喧騒とは一線を画す、ゆったりとした時間が流れるこの街は、台湾の京都とも称される歴史の街。しかし、その真の姿は「美食の都」という言葉にこそ集約される。特に「小吃(シャオチー)」と呼ばれるB級グルメの層の厚さは、他の追随を許さない。一品数十元(日本円で数百円)で味わえる絶品の数々が、迷路のような路地裏に宝石のように散らばっているのだ。

    さあ、地図を片手に、僕と一緒に台南の食の迷宮へ迷い込んでみようじゃないか。腹を空かせ、好奇心を最大のスパイスに。これは、食いしん坊たちに捧げる、台南の路地裏グルメ冒険譚だ。

    この食いしん坊たちの冒険譚の後は、手付かずの自然とタオ族の魂に触れる台湾・蘭嶼の旅で、食とは異なる台湾の魅力を体験するのもいいだろう。

    目次

    なぜ台南は「美食の都」なのか?小吃(シャオチー)文化の深淵に触れる

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    台南の食文化を語る際に欠かせない存在が「小吃」である。直訳すれば「軽食」や「スナック」となるが、台南の小吃は単なる小腹の満たしものではない。人々の暮らしに深く根付いた、誇り高い食文化そのものであると言える。

    かつて台南は台湾の政治・経済の中心地として栄えた。肥沃な土地には多くの人が集い、多様な食文化が花開いた。特に港町としての歴史が、新鮮な海の幸をもたらし料理に豊かな味わいを添えた。また、温暖な気候はサトウキビの栽培に適し、台南料理特有の「ほのかな甘み」を育む土壌となった。醤油に砂糖を加えた、あの独特の甘じょっぱさは、台南の味の象徴と言っても過言ではない。

    台南の小吃店の多くは、何世代にもわたりひとつの料理だけを守り続ける専門店だ。擔仔麵(タンツーメン)はここ、牛肉湯(ニョウロウタン)はあそこ、と人々はお気に入りの専門店リストを持っている。ひとつの料理に磨きをかけ、その味を継承する職人たちの強いこだわりこそが、台南の食文化を驚くべき高みへと押し上げているのだ。

    肉燥飯(バーソーブン)が一杯50元(約250円)、牛肉湯が一杯100元(約500円)という手頃な価格で、人生最高の味に出合える可能性がある。それこそが台南という街の魅力であり、食いしん坊たちを引きつけてやまない魔力なのである。

    台南食べ歩きモデルコース:路地裏の名店を巡る一日

    それでは、前置きはこのあたりにして、具体的な食べ歩きの旅へと出かけよう。実際に僕が歩き回り、味わい、感動したお店をめぐるモデルコースを紹介したい。ただし、あくまでも一例に過ぎない。あなたの直感を頼りに、気になる路地に迷い込んだり、地元の人で賑わう店へ飛び込む勇気を持つことが、何よりも心に残る旅の秘訣であることを忘れないでほしい。

    このコースを一日で回るのは、かなりの大食漢でもかなり難しい。最低でも2泊3日、できれば3泊4日の滞在を確保し、自分の胃袋と相談しながらゆっくりと楽しむことを強くおすすめしたい。所要時間は、あなたの食欲の許す限りで決まるだろう。

    府城の朝を迎える、ほっとする一杯「牛肉湯」

    台南の朝は非常に早い。そして、その目覚めの一杯として、多くの地元民に愛されているのが「牛肉湯(ニョウロウタン)」だ。新鮮な生の牛肉に、沸騰したての熱々の牛骨スープを注ぎ入れて火を通すという極めてシンプルな料理。しかし、そのシンプルさゆえに、素材の質が味のすべてを左右する。

    僕が訪れたのは、人気の一軒「文章牛肉湯」。早朝にもかかわらず、店の前にはすでに多くの人々が列をなしていた。湯気が立ち昇る厨房、リズミカルに肉を切る店員の手さばき、そしてスープを味わう客の満足げな表情。こうした活気こそが美味しい店の何よりの証だ。

    席に座って「牛肉湯」を注文。ほどなくして運ばれてきた器の中には、ほんのりとピンクがかった美しい牛肉が浮かんでいる。レンゲでスープをすすると…旨い。奥深い味わいで他には例えようがない。牛骨と野菜からゆっくりと取られたと想像されるスープは、あっさりとしながらも底知れぬコクと旨味が感じられる。主役の牛肉は驚くほど柔らかく、噛み締めるたびに肉本来の甘みが口いっぱいに広がる。

    テーブルに置かれた生姜の千切りを少し加え、甘みのある醤油膏(醤油ベースのタレ)につけて味わうのが台南流。この味の変化がまた格別だ。ご飯と一緒に頼めば、最高の朝食セットになる。朝っぱらからこんな贅沢をしてもいいのだろうか? いいのだ、ここは台南なのだから。

    多くの牛肉湯の店は、その日の牛肉がなくなり次第営業終了する。人気店の場合、午前中の早い時間で閉まってしまうことも珍しくないため、早起きは必須と言える。まさに「早起きは三文の徳」ではなく、「早起きは極上の牛肉湯を味わう特権」である。

    台湾の朝食の定番「鹹豆漿」も魅力的

    牛肉湯も素晴らしいが、台湾の朝食の定番メニュー「鹹豆漿(シェントウジャン)」もぜひ味わっておきたい。温かい豆乳にお酢を加え、ゆるく固めたおぼろ豆腐のような食べるスープだ。

    僕が訪れたのは、地元の人々で賑わう「永記豆漿」。ここでは鹹豆漿に揚げパンの「油條(ヨウティアオ)」を浸して食べるのが定番スタイルとなっている。運ばれてきた鹹豆漿は、ラー油の赤、ネギの緑、干しエビやザーサイの茶色が程よく混ざり、食欲をそそる見た目だ。

    スプーンですくって口に運ぶと、豆乳の優しい甘みと酢の穏やかな酸味、そしてラー油のピリッとした辛味が一体となって口内に広がる。ふんわりとろける食感が心地よい。ここに、カリッと揚げた油條を浸すと、スープを吸い少し柔らかくなった油條がジュワッと旨味を放ち、絶妙なアクセントを加える。

    牛肉湯が「動」のエネルギーをチャージする一杯なら、鹹豆漿は「静」のやさしさで体をじんわりと温めてくれる。その日の気分で選ぶ楽しみも、旅の醍醐味だろう。

    昼の喧騒、胃袋の祭典へ。国華街(グォフアジエ)周辺に突撃!

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    朝食で胃袋のエンジンがかかれば、いよいよ台南グルメの一大スポットである国華街(グォフアジエ)とその周辺エリアへ足を運ぼう。このエリアは有名な小吃店が数多く軒を連ねており、まさに食べ歩きの聖地だ。道の両側に屋台がずらりと並び、バイクと人が入り混じる賑わいは、まさしくアジアの活気を感じさせてくれる。

    ここでの鉄則は「一店一品」。一軒で腹を満たしてはいけない。少しずつ多様な味を楽しむことこそ、国華街を攻略する最大のポイントだ。

    プリプリの食感が魅力の「碗粿(ワーグイ)」

    まず最初に試してみたいのは、台南を象徴する小吃のひとつ「碗粿(ワーグイ)」。米粉を水で溶き、豚肉やシイタケ、塩漬けの卵黄などを加えてお碗で蒸した、茶碗蒸しと餅の中間のような料理だ。その名も「富盛號碗粿」は、70年以上の歴史を誇る老舗中の老舗として知られている。

    レトロな外観に惹かれて入店し、名物の碗粿をオーダーする。黒っぽい見た目に最初は戸惑うが、スプーンを入れるとぷるんとした弾力が心地よく伝わる。一口すくうと、米の優しい甘みと具材の旨味が織りなす生地が舌の上でとろける。そして何より、この店の魅力は上にかけられた特製タレだ。甘辛い醤油ベースのタレに、おろしニンニクのアクセントが効き、全体の味をシャープに引き締めている。

    見た目からは想像できない、複雑で深みのある味わい。これが長年にわたり台南の人々に愛され続けてきた理由だと感嘆せずにはいられない一品である。

    台南の定番グルメ「肉燥飯(バーソーブン)」

    台湾全土で親しまれている「魯肉飯(ルーローファン)」だが、台南では「肉燥飯(バーソーブン)」と呼ばれることが一般的だ。豚バラ肉を細かく刻み、甘辛く煮詰めたそぼろをご飯にのせたシンプルながらやみつきになる丼料理。

    国華街から少し歩いたところにある「福記肉燥飯」は、地元民に絶大な支持を受け、いつも満席の人気店だ。メニューは肉燥飯と魚のすり身スープなど数種に絞られている潔さが特徴。席に着くと、おばちゃんが「肉燥飯?」と尋ねてくれるので、頷くだけで注文が完了する。

    こちらの肉燥飯は、脂身たっぷりの豚肉をとろとろになるまで煮込んでいるのが特徴だ。ご飯の上にたっぷりの肉燥がキラキラと輝き、見るからに食欲をそそる。一口頬張れば、豚の脂の甘みとコクが、甘辛いタレと一緒に口いっぱいに広がる。八角などの香辛料は控えめなので、日本人にも非常に食べやすい味わいだ。米一粒一粒にタレと脂がよく絡み、箸が止まらなくなる。

    一杯30元前後というお手頃価格も嬉しい。小ぶりなサイズなので、他の小吃と組み合わせて楽しむのにも最適。台南グルメ巡りの心強い味方と言えるだろう。

    漁師町の味覚「蝦捲(シャージュエン)」

    港町・台南を訪れたなら、ぜひ海の幸も味わいたい。そんな時にぴったりなのが「蝦捲(シャージュエン)」だ。エビのすり身を豚の網脂や湯葉で包み、揚げたエビのフリッターのような一品。

    安平地区に本店を構える「周氏蝦捲」は、台南を代表する名店だ。黄金色にカラッと揚がった蝦捲は、外側がサクサクで、一口かじると心地よい音が響く。中からはプリップリのエビがたっぷり顔を出し、エビの甘みとネギやクワイのシャキシャキ感が絶妙に調和する。

    甘めの醤油ダレとピリリと辛いワサビをつけて食べるのが定番スタイル。この組み合わせが揚げ物のくどさを和らげ、後を引く美味しさを演出している。思わずビールが欲しくなる、罪深い美味しさの逸品だ。

    甘い誘惑。台南スイーツ&ドリンクでひと休み

    しょっぱいものを食べ続けた後は、自然と甘いものを求めたくなるのが人間の慣れ親しんだ習性だ。美食の街・台南では、スイーツやドリンクのレベルも非常に高い。食べ歩きの合間に、そっと一息つける甘味処にぜひ立ち寄ってみよう。

    伝統の味わい、心がほどける甘さ「豆花(トウファ)」

    台湾スイーツの代表といえば「豆花(トウファ)」。豆乳を固めた、ぷるぷるとした食感が特徴のヘルシーなデザートだ。台南で豆花といえば、安平地区にある名店「同記安平豆花」が特に有名だ。

    こちらの豆花は、昔ながらの製法で作られており、大豆の香りが豊かに広がる。口当たりは絹のように滑らかで、喉をするりと通り抜けていく。トッピングにはタピオカや小豆、緑豆などが選べるが、筆者のおすすめはシンプルな小豆。手間暇かけて炊き上げた小豆のやさしい甘みと、豆花の素朴な味わいが絶妙に調和する。

    控えめな甘さのシロップが全体をまとめ上げ、食べ終えた後にはすっきりとした清涼感が残る。暑い台南の街を歩き疲れた身体に、この一杯の豆花が染み渡る感覚はまさに至福のひとときだ。冷たい豆花だけでなく、温かいものも用意されているため、季節を問わず楽しめるのが嬉しい。

    フルーツ天国の醍醐味「フルーツかき氷」

    南国・台湾は、言わずもがなフルーツの宝庫だ。特に台南はマンゴーをはじめ、多彩な果物の産地として知られている。その豊かな恵みを味わうなら、「かき氷」がおすすめだ。

    孔子廟の近くにある「莉莉水果店」は、新鮮なフルーツを使ったジュースやかき氷で人気の老舗。店先には鮮やかな果物がずらりと並び、見ているだけで心がときめく。

    定番のマンゴーかき氷も絶品だが、せっかくなら旬の果物をふんだんに盛り合わせた「綜合水果冰(総合フルーツかき氷)」をぜひ試してほしい。スイカ、メロン、パイナップル、ドラゴンフルーツなど、季節によって内容は変わるものの、山盛りのフルーツの豪華さは圧巻だ。

    ふんわりとした氷と、完熟果実のジューシーな甘み、そしてほんのり甘いシロップ。それぞれの果物本来の味わいを存分に楽しめる、シンプルながら贅沢な一皿だ。食べ進めるうちに、体の内側から熱がスッと冷えていくのを実感できる。

    歩き疲れた身体に染みわたる「冬瓜茶(ドングヮチャー)」

    台南の街を歩いていると、あちこちで「冬瓜茶」の看板が目に入る。冬瓜を砂糖でじっくり煮詰めて作る、台湾の伝統的なドリンクだ。独特の香ばしさとやさしい甘みが特徴で、日本の麦茶と同じようにがぶがぶ飲める爽やかさだ。

    数多くある冬瓜茶の店の中でも、行列が絶えないのが「義豐阿川冬瓜茶」。創業100年以上の老舗で、今も変わらぬ伝統の製法を守っている。こちらの冬瓜茶は、甘さがしつこくなく、後味が爽快なのが魅力だ。レモンやタピオカを加えたアレンジメニューも豊富だが、まずはシンプルな「原味冬瓜茶」を味わってみてほしい。

    一口飲めば、どこか懐かしいほっとする甘さが口いっぱいに広がる。暑さで疲れた身体に、この自然な甘みがじんわり染みわたっていく。ペットボトルで購入して、食べ歩きの相棒にするのもおすすめだ。

    夜の帳が下りたら、ローカルの熱気に酔いしれる

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    日が沈み、街にネオンの光が灯り始めると、台南はまるで別の表情を見せる。昼間のゆったりとした空気とは打って変わり、賑やかな夜の時間が幕を開けるのだ。

    食の楽園「夜市(イエシー)」へ出かけよう

    台湾の夜を楽しむなら、やはり「夜市」は外せない。台南にはいくつかの規模の大きな夜市が点在しているが、中でも特に人気が高いのが「花園夜市」と「大東夜市」だ。ただし台南の夜市は毎晩開催されているわけではなく、曜日ごとに開催場所が異なる点に注意が必要だ。「大東夜市」は月・火・金、「花園夜市」は木・土・日と決まっているため、訪問前にしっかりとスケジュールをチェックしておきたい。

    一歩足を踏み入れれば、そこはまさに食の楽園だ。食べ物の屋台だけでなく、衣料品や雑貨、さらにはゲームの屋台までが隙間なく並び、圧倒的な活気で満ちている。人々のざわめき、漂う食欲をそそる香り、そして煌々と灯るライトの数々。このカオスとも言える空気に身を任せるだけで、十分に楽しい体験ができる。

    夜市で味わうべき小吃は数え切れないほど多彩だ。独特の香りが鼻をくすぐる「臭豆腐」、牡蠣入りのオムレツ「蚵仔煎(オアチェン)」、顔よりも大きいと言われる巨大なフライドチキン「大雞排(ダージーパイ)」など、夜市ならではのパンチの効いたグルメが所狭しと並ぶ。気になる料理を見つけたら、迷わず列に並んで味わってみよう。

    一日の締めに欠かせない一杯「擔仔麵(タンツーメン)」

    夜市でたっぷり食べたあとでも、なぜかつい食べたくなるのが、台南発祥の麺料理「擔仔麵(タンツーメン)」だ。かつて漁師が漁に出られない時期(小月)に、天秤棒(擔仔)を担いでこの麺を売り歩いていたのが始まりとされる。

    その元祖として知られる「度小月擔仔麵」は、現在では有名なレストランとなったが、一杯には今も昔ながらの屋台の趣が残っている。店頭では、低い椅子に座った職人がリズミカルに麺を湯がく姿が見られ、見るだけで期待が高まるだろう。

    運ばれてきた擔仔麵は、驚くほど小ぶりなサイズで、まさに飲んだ後のシメに最適な量だ。エビで取った出汁のあっさりしたスープに、特製の肉そぼろ、そして一杯に一匹だけ添えられたエビが特徴的だ。にんにくが香るスープとコシのある麺が絶妙に絡み合う。

    するすると胃に優しく収まる、上品でありながら深みのある味わい。いろいろな味を堪能した一日の終わりに、そっと胃袋を労わってくれる一杯だ。この擔仔麵を楽しむことが、僕にとって最高の台南の夜の締めくくりなのである。

    これさえ押さえれば完璧!台南食べ歩き成功の秘訣

    これまで数多くの絶品グルメを紹介してきたが、実際に旅行する際にはもっと実用的な情報が求められるだろう。最高の食べ歩き体験をするために、私が身につけたいくつかの秘訣をここで共有したい。

    計画と準備:胃袋の限界に挑むために

    台南の美食を目の前にすると、誰もが直面するのが「胃袋の容量不足」という問題だ。これを乗り越えるためには、綿密な事前計画と準備が欠かせない。

    まず服装についてだが、台南は一年を通して温暖な気候だが、特に夏は強い日差しと高い湿度が特徴だ。通気性の良いTシャツやショートパンツ、ワンピースなどの軽装が快適だろう。日焼け止めや帽子、サングラスは必ず持参したい。一方、冬は朝晩の冷え込みが感じられることもあるため、薄手のジャケットやカーディガンなど羽織れるものを一枚携帯しておくと安心だ。そして何より重要なのが「歩きやすい靴」である。細い路地の散策や行列での待ち時間を考慮すると、スニーカーが最適だろう。

    持ち物としてぜひ持っておきたいのが、ウェットティッシュと小さめのゴミ袋だ。多くの屋台ではおしぼりが出ないため、ウェットティッシュは重宝する。また、街中にゴミ箱が少ないため、食べ歩きで出たゴミを一時的に保管できる袋があると非常に便利だ。持ち帰り用のエコバッグもあると役立つ。さらに、万が一に備えて胃腸薬を携帯することで、安心して食べ歩きに集中できるだろう。

    予算と支払い:賢く美味しく楽しむためのポイント

    台南の食べ歩き最大の魅力は、その優れたコストパフォーマンスにある。小吃(一品料理)はだいたい30元(約150円)から150元(約750円)程度だ。一日中食べ歩いても、一人当たり2,000円から3,000円あれば満足できるだろう。

    ここで特に注意したいのが「支払い方法」だ。屋台や地元の小吃店の多くは現金のみの対応で、クレジットカードや電子マネーが使えるのは、デパートや一部の有名店に限られる。そのため、台湾ドルの中でも100元札や10元、50元硬貨などの小銭を多めに用意しておくことがスムーズな食べ歩きの鍵となる。両替は空港や市内の銀行で可能だが、レートや手数料を比較しておくとより良い。

    交通系ICカードである悠遊カード(EasyCard)は、コンビニやチェーン店の一部では利用できるが、小吃店ではほとんど使えないと考えたほうがいい。あくまで交通機関の支払い用として割り切り、食事代は現金で用意しよう。

    予約と行列:人気店のルールを理解する

    「この店は予約できますか?」という質問をよく受けるが、ほとんどの場合「できない」と答えざるを得ない。今回紹介したような小吃店の大半は予約を受け付けていない。美味しいものを食べるなら、並ぶしかない。それが台南の常識だ。

    行列はその店の人気の証だが、ただ待っているだけではスムーズに進まないことも多い。店によっては、まず店内のカウンターで注文と支払いを済ませ、その後番号札を受け取り席が空くのを待つシステムを採用しているところも多い。行列の先頭で注文に迷うと、後ろの人々の視線やプレッシャーを強く感じるだろう。待っている間に壁に貼られたメニューを指さしで確認したり、周りのお客さんが何を頼んでいるか観察したりして、あらかじめ注文を決めておくとスムーズに進む。

    行列を少しでも避けたいなら、食事のピーク時間(昼は12時〜13時、夜は18時〜20時)をずらすのが効果的だ。早朝から活動を始めたり、中途半端な時間をおやつタイムに活用したりして工夫すれば、待ち時間を短縮できる。それでも人気店には常に行列ができているが、回転の速い店も多いので諦めずに並んでみてほしい。その先には、至福の味が待っているはずだ。

    ライター太郎がこっそり教える、旅がもっと深まるTIPS

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    最後に、ガイドブックには載っていないかもしれない、僕なりのちょっとしたコツをいくつか紹介しよう。これを知っているだけで、台南の旅がぐっと充実し、さらに楽しくなるはずだ。

    言葉の壁はどう乗り越える?覚えておきたい魔法のフレーズ

    「中国語が話せなくて不安…」と感じるかもしれないが、心配はいらない。台南の人たちはとても親切で、日本人観光客にも慣れている。片言の英語やジェスチャー、そして何より「笑顔」があれば、大抵のことは乗り切れる。

    それでも、数個の簡単なフレーズを覚えておくと、コミュニケーションがぐっと楽しくなる。

    • 「内用(ネイヨン)?」または「外帯(ワイタイ)?」

    これは「店内で食べますか?」「持ち帰りますか?」という意味で、必ず尋ねられる質問だ。どちらかを答えられるだけで、注文がスムーズになる。

    • 「這個(ツェーガ)」

    メニューが読めなくても、これを言いながら指をさせばOK。最強のフレーズだ。

    • 「多少錢(ドゥオシャオチエン)?」

    「いくらですか?」という意味で、値段がわからないときに使おう。

    • 「好吃(ハオチー)!」

    「美味しい!」という最高の褒め言葉。これを言うと、お店の人がとても喜んでくれる。

    これだけでも、単なるお客さんからコミュニケーションを楽しむ旅人へと変われる。ぜひ勇気を出して試してみてほしい。

    衛生面は大丈夫?屋台グルメの心配を減らすポイント

    屋台の衛生面が気になることもあるだろうが、基本的にはあまり神経質になる必要はない。僕の基準は「地元の人でにぎわっているかどうか」だ。行列ができる店やいつも客で賑わっている店は、食材の回転が速く、新鮮なものを提供している証拠。そういったお店を選べば、まず問題ない。

    もちろん、最低限の注意は忘れずに。生水は飲まずにミネラルウォーターを購入すること。カットフルーツは、その場で切ってくれる信頼できる店を選ぶこと。そして、自分の体調と相談し、少しでも不安を感じたら無理をしないこと。これらのポイントを守れば、安心して屋台グルメを満喫できる。

    移動手段はどうすればいい?効率よく巡るための足

    台南の中心部は比較的コンパクトなため、主要な観光地やグルメスポットは歩いてまわれる。細い路地の発見も、歩くことでしか味わえない楽しみだ。

    もう少し距離がある場所へ行くときは、レンタルサイクルの「T-Bike」がとても便利。街中の多くのステーションで借りられ、クレジットカードで簡単に利用できる。風を感じながら街を駆け抜けるのは、格別に気持ちがいい。

    タクシーも気軽な移動手段だ。料金は日本よりずっと安く、複数人で乗ればさらにお得だ。最近はUberも普及しているので、アプリを事前にダウンロードしておくと、言葉の心配なく目的地にたどり着けてとても便利だ。

    さあ、美食の古都へ旅立とう

    ここまで台南の食にまつわる魅力を、僕の胃袋の記憶を頼りに熱く語ってきた。しかし、言葉をいくら尽くしても、あの街の空気感や人々の活気、そして口の中でとろける美味しさの感動を完全には伝えきれない。

    路地裏に漂う八角の香り、バイクのクラクションと人々の笑い声が入り混じる賑わい、店先で黙々と麺を茹でる老舗の店主の皺深い顔。そして、見知らぬ旅人に「好吃?(美味しい?)」と純粋な笑顔で声をかけてくれる地元の人々の温かさがある。

    台南の魅力は、単に美味しいというだけではない。食を通じて育まれてきた豊かで深みのある文化と、日々の暮らしを大切にする人々の営みが息づいている。一杯の牛肉湯や一碗の肉燥飯には、この街が歩んできた歴史と人々の思いがぎっしり詰まっているのだ。

    この記事を読んで、もしあなたの心に少しでも熱い想いが灯り、胃袋が「台南へ行こう」と叫び始めたなら、僕にとってこれ以上うれしいことはない。訪れる前には、最新の営業時間や定休日をお店のFacebookページやGoogleマップで確認することをお勧めする。また、旅全体の計画には台湾観光局の公式サイトが大いに役立つだろう。

    準備はできたか?胃袋の準備は万全か? あなたがまだ知らない台湾、そして人生で最高の一皿が、台南の路地裏であなたを待っている。さあ、今すぐ航空券を探し始めよう。美食の古都が両手を広げて、あなたを温かく迎え入れてくれるはずだ。

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    この記事を書いた人

    美味い酒と肴を求めて全国を飲み歩く旅ライターです。地元の人しか知らないようなB級グルメや、人情味あふれる酒場の物語を紡いでいます。旅先での一期一会を大切に、乾杯しましょう!

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