めまぐるしく移り変わる東京のショーウィンドウ。シーズンごとに新しいデザインが並び、トレンドという名の激しい流れの中で、私はいつも何かを追いかけているような、それでいて何かに追われているような、そんな感覚に囚われていました。ふと、スマートフォンの画面をスワイプする指を止め、窓の外に目をやる。コンクリートとガラスでできた森の向こうに、本物の、もっと根源的な何かがある場所へ行きたい。そんな衝動に駆られたのが、この旅のはじまりでした。
行き先は、スペイン南部アンダルシア地方に佇む、世にも奇妙で、そして息をのむほどに美しい村。「セテニル・デ・ラス・ボデガス(Setenil de las Bodegas)」。その名は、巨大な岩が家々の屋根となり、人々の暮らしが文字通り岩と共に在る、唯一無二の場所を指し示しています。
この記事では、私が実際に歩き、味わい、感じたセテニルの魅力を、これから旅立つあなたのための完璧なガイドとしてお届けします。岩の下に広がる洞窟住居での暮らし、太陽の光を浴びた食材から生まれる絶品のタパス、そして夜ごと賑わう洞窟バルのはしご体験。それは、ただの観光では終わらない、あなたの価値観を静かに、けれど確かに揺さぶる特別な時間になるはずです。さあ、日常を少しだけ脇に置いて、アンダルシアの奇跡の村へ、一緒に旅立ちましょう。
岩に抱かれた村の奥深さに魅了されたなら、ポルトガルのエメラルドの海で体験する秘密の洞窟探検も、また異なる感動を与えてくれるはずです。
なぜ人は岩と共に生きるのか?セテニルの歴史が紡ぐ物語

セテニル・デ・ラス・ボデガスを訪れると、多くの人がまずその奇妙な光景に言葉を失います。巨大な岩盤がせり出し、まるで空を覆い尽くす天蓋のように家々を覆っているのです。しかし、これは自然のいたずらでも現代アートの作品でもありません。ここには、何世紀にもわたる人々の叡智と歴史が深く刻み込まれています。
自然の要塞として築かれた村
この村の起源は、少なくとも12世紀、イベリア半島がイスラム勢力(ムーア人)の支配下にあった時期にさかのぼると伝えられています。グアダレテ川の支流であるトレホ川が長い時間をかけて浸食し形成したこの渓谷と洞窟は、天然の要塞として機能していました。敵の侵攻を防ぎやすいだけでなく、岩盤によって作られた洞窟は夏の厳しい暑さや冬の寒さを避ける理想的な避難所でもあったのです。
「セテニル」という名称の由来には、レコンキスタ(キリスト教徒による国土回復運動)の歴史が深く関わっています。ラテン語の「Septem Nihil」、すなわち「7度無駄に終わる」という意味から来ているという説が有力です。これは、カトリック両王の軍勢がこの天然の要塞を攻略するのに7回もの攻撃を要したという逸話に基づいています。1484年、ついに陥落したこの地は、その難攻不落の歴史を名前に刻み込んだのです。
ワインの香り漂う「ボデガ」の村
さらに、村名の後半にあたる「デ・ラス・ボデガス(de las Bodegas)」は「ワイン貯蔵庫の」という意味を持ちます。キリスト教徒がこの場所を奪還した後、岩の洞窟が一定の温度と湿度を保つ特性に注目され、ワインやオリーブオイル、イベリコ豚の生ハムの熟成に最適な環境であることがわかりました。人々はこれらの洞窟を「ボデガ(Bodega)」として活用し、この村は高品質な農産物の産地として発展していったのです。
村を歩いていると、岩が単なる屋根であるだけでなく、家の一部や壁そのものになっていることに気づきます。これは、洞窟を拡張して家を造り上げた証拠です。彼らは自然に逆らうのではなく、自然を受け入れてその一部となる道を選びました。その暮らしは、現代を生きる私たちに、自然との共生のあり方を静かに問いかけているように感じられます。
アンダルシアの太陽と影が交差する、二つの洞窟通り
セテニルの中心地であり、旅の見どころとして特に印象的なのが、トレホ川を挟んで対面する二つの通りです。一方は太陽の光が燦々と降り注ぐ「カジェ・クエバス・デル・ソル(Calle Cuevas del Sol)」、そしてもう片方は一日中岩の影に覆われる「カジェ・クエバス・デ・ラ・ソンブラ(Calle Cuevas de la Sombra)」。この対照的な通りを歩くことこそ、セテニルの魅力を最も深く味わう方法です。
明るく輝く「太陽の洞窟通り(Calle Cuevas del Sol)」
南向きに位置するこの通りは、その名の通りアンダルシアの強い陽光をたっぷりと浴びています。川沿いに立ち並ぶのは、白壁が美しいバルやレストラン、カフェの数々。テラス席では観光客や地元の人々が楽しげに語らい、ワイングラスを傾けています。
見上げると、巨大な岩盤が迫り、その隙間に白い家々が寄り添うように並んでいます。岩と建物の間を通る日の光が白壁に繊細な影を落とし、まるで印象派の絵画のような景観が広がります。ここでテラスに腰掛け、冷えた白ワインとともにタパスを味わう時間は至福そのもの。岩の重厚さと人々の温かな生活が溶け合い、ほかにない高揚感に満たされるのです。
静かで涼やかな「影の洞窟通り(Calle Cuevas de la Sombra)」
太陽の通りから小さな橋を渡ると、場の雰囲気は一変します。こちらは「影の洞窟通り」と呼ばれ、巨大な岩盤が道を完全に覆い尽くし、まるで自然が作り出したトンネルのような空間が広がります。真夏であっても涼しく、太陽の通りで火照った身体を優しく冷ましてくれます。
この通りはより生活の息吹が感じられる場所。八百屋や肉屋、小さな雑貨店が軒を連ね、岩の天井から吊るされた照明が幻想的な光で足元を照らしています。車一台がやっと通れる狭い道を、地元のおばあさんがゆっくりと買い物袋を提げながら歩く、そんな日常風景が巨大な岩の下で静かに息づいているのです。この非日常と日常が自然に溶け合う感覚こそ、セテニルの最大の魅力かもしれません。歩きながら、まるで地球の胎内にいるかのような不思議な安らぎが心を満たしていきます。
セテニル美食紀行:洞窟バルで味わうアンダルシアの恵み

セテニルの旅の魅力は、その独特な景観だけにとどまりません。岩の洞窟を利用したバルで味わうタパスは、この地域の歴史と文化が凝縮された本物の美味。バルを何軒も巡る「タペオ(Tapeo)」は、スペインの食文化の真髄を味わう体験であり、セテニルでの旅をより一層豊かなものにしてくれます。
これを外せない!セテニルでぜひ味わいたいタパスと名物料理
セテニルのバルでは、アンダルシア地方の恵み豊かな食材を活かした多彩な料理が楽しめます。迷ったときは、まず以下の料理を試してみるのがおすすめです。
- イベリコ豚の加工品(Chacinas Ibéricas): チョリソやサルチチョン、そしてハモン・イベリコなど。岩の洞窟(ボデガ)でじっくり熟成された生ハムやサラミは、旨味がぎゅっと凝縮され、芳醇な香りが漂います。地元産の赤ワインとの相性は抜群です。
- 地元産ヤギのチーズ(Queso de Cabra): この地域はヤギのチーズの名産地で、フレッシュで爽やかなものから濃厚な熟成タイプまで幅広く揃います。オリーブオイルをかけたり、蜂蜜を添えて味わうのがおすすめです。
- スープ・コルタス(Sopas Cortas): セテニルの伝統的な家庭料理で、パンをベースにアスパラガス、チョリソ、卵などを加えた素朴ながら滋味深いスープです。寒い日には心も体も温めてくれます。
- 揚げ物(Frituras): アンダルシアのバルで人気の揚げ物。特にイワシのフリット(Boquerones fritos)やイカリング(Calamares)は、冷えたビールやシェリー酒と合わせて楽しみたい逸品です。
- 地元野菜を使った料理: 太陽の恵みをたっぷり受けたトマトを使ったガスパチョやサルモレホ、旬のアスパラガスをシンプルに焼いたものなど、素材の味を生かした料理も見逃せません。
ライター亜美のおすすめ!洞窟バル巡りプラン
せっかくなら一軒だけでなく、何軒か巡ってそれぞれの店の雰囲気や味わいを楽しみたいですよね。私が実際に訪れて特に良かった、おすすめのルートをご紹介します。
1軒目:Bar Frasquito – 地元の活気を感じる
まずは「太陽の洞窟通り」にある老舗バル「Bar Frasquito」へ。地元の人にも愛される活気あふれるお店で、カウンターに並ぶタパスを指差し注文するのもワクワクします。まずは冷えたビール(Cerveza)とイベリコ豚のチョリソを。岩肌がむき出しの店内で、周囲の賑やかな雰囲気を感じながら飲む一杯は格別です。気さくな店主との会話も旅の醍醐味のひとつです。
2軒目:La Tasca – 少し洒落た空間でワインを楽しむ
次に訪れたいのが、同じく太陽の通りに位置する「La Tasca」。こちらはモダンで落ち着いた雰囲気が魅力的。豊富なワインリストからおすすめを教えてもらい、ヤギのチーズ盛り合わせとともに楽しむのが私のおすすめです。岩盤をくり抜いて造られたワインセラーのような空間で、ゆったりとグラスを傾ける時間は贅沢そのもの。過ぎ去った恋の思い出がワインの深みとともに蘇る、そんな感傷的な気分に浸るのも悪くありません。
3軒目:Cervecería El Lirio – 影の洞窟通りで締めくくり
最後は橋を渡り、「影の洞窟通り」へ足を運びます。少しディープな雰囲気が漂う「Cervecería El Lirio」で、締めの一皿を堪能しましょう。こちらの名物「スープ・コルタス」やボリュームのある肉料理を試すのがおすすめ。昼間の賑わいが嘘のように静かな通りで、岩の天井を見上げながら味わう温かなスープは旅の疲れを優しく癒してくれます。
バル巡りのポイントは、一軒でお腹いっぱいにならないこと。一杯のドリンクと一、二皿のタパスを楽しんでから次の店へ移動するのが、スマートに「タペオ」を満喫するコツです。
完璧なセテニル旅行を計画する:モデルプラン&実践ガイド
セテニルの魅力に惹かれたなら、次は具体的な旅のプランを練りましょう。日帰りでも十分楽しめますが、この村の真の魅力を味わうなら、ぜひ一泊し、静かな朝と賑やかな夜の両方をじっくり体験することをおすすめします。
セテニルへのアクセス方法
セテニルは山間に位置する小さな村のため、電車の便はありません。主なアクセス手段はバスかレンタカーになります。
- レンタカー:
- メリット: 時間の制約を気にせず、他の「白い村」も自由に訪れることができるため、最も推奨される方法です。セビリアやマラガの空港でレンタカーを借り、アンダルシア地方のドライブ旅行を楽しむのが最高の体験となるでしょう。
- 注意点: セテニル村内の道路は非常に狭く運転しづらいため、村の入口近くにある公共駐車場に車を停めて、村の中は歩いて散策することをおすすめします。
- バス:
- メリット: レンタカーを使わない場合の一般的なアクセス方法です。近隣の主要都市ロンダ(Ronda)からバスが運行しています。
- ロンダ発のバス: 大手バス会社DAMASなどが運行し、所要時間は約30〜40分です。ただし本数はかなり少ないため、事前に時刻表をしっかり確認し、計画的に行動する必要があります。特に帰路のバスは時間厳守です。
モデルプラン:あなたにぴったりのセテニル滞在法
A) ロンダ発の日帰りコンパクトプラン(滞在時間:約5時間)
- 10:00 ロンダのバスターミナルを出発。
- 10:40 セテニルに到着したら、まずは村の高台にある展望台「ミラドール・デル・カルメン(Mirador del Carmen)」へ。ここから村全体とその特徴的な地形を一望しましょう。息を呑む絶景が広がっています。
- 12:00 「太陽の洞窟通り(Calle Cuevas del Sol)」へ移動。岩盤の下に並ぶバルで早めのランチを楽しみます。テラス席で陽光を浴びながら、タパスと冷たいドリンクを味わいましょう。
- 13:30 食後は「影の洞窟通り(Calle Cuevas de la Sombra)」を散策。ひんやりした空気の中、地元のショップを訪ねたり、岩のトンネルで写真を撮ったりしましょう。
- 14:30 村の細い路地を自由に歩きながら、観光客が少ない場所で地元の静かな生活を垣間見ます。インカネーション教会(Iglesia de la Encarnación)など歴史的建造物の訪問もおすすめです。
- 15:30 カフェで一息つき、地元産のオリーブオイルや蜂蜜などのお土産探しもお忘れなく。
- 16:00 バスターミナルへ戻り、ロンダ行きのバスに乗車。
B) 岩に抱かれて過ごす、1泊2日ゆったりプラン
- 【1日目】
- 14:00 レンタカーでセテニルに到着。村入り口の駐車場に車を停めて、予約済みの洞窟ホテルへ向かいます。岩壁をそのまま使った部屋に荷物を置けば、冒険のスタートです。
- 15:00 日帰りプランと同様に村全体をゆっくり散策。焦らず気になる路地に入り、自分だけのお気に入りスポットを見つけてください。
- 18:00 ホテルで少し休み、夜のバル巡りに備えます。夕暮れどきは、岩と白壁がオレンジ色に染まる美しい光景が見られ、宿泊者だけの特権です。
- 19:30 タペオタイムの始まりです。「太陽の洞窟通り」のバルを皮切りに、日が沈むとともに岩の下に灯りがともり、村全体が幻想的な雰囲気に包まれます。2〜3軒のバルをはしごしながら、地元ワインと料理を心ゆくまで味わいましょう。
- 22:00 賑やかなバル街を離れ、静かな夜の村を散策しながらホテルへ戻ります。空には満天の星が輝いています。
- 【2日目】
- 08:30 朝のセテニルはまだ観光客が少なく、静かな静寂に包まれています。鳥のさえずりとパン屋から漂う焼きたての香りが響く中、川沿いを散歩するのはとても爽快です。
- 09:30 地元のカフェで、焼きたてパンとカフェ・コン・レチェ(カフェオレ)の朝食を楽しみましょう。
- 10:30 昨日とはまた違うエリアを探索。村の少し外れにある、より素朴な洞窟住居が立ち並ぶ地区を歩くと新たな発見があります。
- 12:00 ホテルをチェックアウトし、最後のランチへ。お気に入りのバルを再訪するか、新しく開拓するかはお好み次第です。
- 13:30 お土産を買い、セテニルに別れを告げて次の目的地へ。岩とともに過ごした時間の心温まる思い出が、きっとあなたの胸に刻まれているでしょう。
旅の費用と予約のポイント:賢く旅するための準備

非日常の体験が味わえるセテニルですが、旅の計画を立てる際は現実的な予算設定と事前予約が欠かせません。ここでは、具体的な費用の目安と予約に関するポイントを紹介します。
費用の目安(1名あたり)
あくまで参考としてご覧ください。
- 交通費:
- ロンダからの往復バス:およそ5〜10ユーロ
- レンタカー:1日あたり約50〜80ユーロ(保険込み)+燃料代
- 宿泊費:
- 洞窟ホテルやアパートメント:1泊80〜200ユーロ(シーズンや施設ランクによって変動)
- 一般的なホテルやB&B:1泊60〜120ユーロ
- 食費:
- バルでのタパス:1皿3〜6ユーロ
- ランチセット(Menú del Día):10〜15ユーロ程度
- ディナー(レストラン利用):25〜50ユーロ
- 飲み物:ビール2〜3ユーロ、グラスワイン3〜4ユーロ
- 日帰りモデルコースのトータル予算(ロンダ発の場合): 約40〜60ユーロ(交通費+食費+雑費)
- 1泊2日モデルコースのトータル予算(レンタカー利用/2名での旅行の1人分): 約150〜250ユーロ(レンタカー代の半額+宿泊費+食費+雑費)
予約の選択肢と注意点
セテニル旅行は一般的に個人で手配しますが、現地発のツアー参加も選択可能です。
個人手配の場合
- 宿泊: Booking.comやAirbnbなどの予約サイトで「Setenil de las Bodegas」と検索すれば、多数の洞窟ホテルやアパートメントが見つかります。人気の宿泊施設は埋まりやすいため、特に春・秋・夏休みといったハイシーズンは2~3ヶ月前に予約を済ませることをおすすめします。
- 交通: レンタカーは主要なレンタカー会社の公式サイトや比較サイトで予約可能です。バスは、上記のDAMAS社など公式ページで時刻表をチェックできます。チケットはバスターミナルで当日に購入できます。
現地ツアーの場合
セビリア、マラガ、カディスなどの主要都市から出発し、「白い村巡り」の一環としてセテニルを訪れる日帰りツアーが多く催行されています。
- メリット:
- 運転や乗り継ぎの心配がなく楽。
- ガイドが歴史や名所を解説してくれる。
- 効率よく複数の村を回れる。
- デメリット:
- 滞在時間が限られ、自由な散策が難しい場合もある。
- 自分のペースで行動しづらい。
- 料金に含まれるもの(一般的に):
- 主要都市からの往復送迎(バス)
- 多言語対応のガイド付き
- 料金に含まれないもの(一般的に):
- 食事代やドリンク代
- お土産や個人的な出費
- ガイドやドライバーへのチップ
- 予約方法: GetYourGuideやViatorなどのオンラインツアー予約サイトで「Setenil de las Bodegas tour」と検索すると、さまざまなプランを見つけて予約が可能です。
旅のスタイルに合わせて、最適な方法を選びましょう。自由な冒険を楽しみたいなら個人での手配がよく、手軽さや効率を求めるならツアー参加がおすすめです。
安心して楽しむために:服装、持ち物、そして旅のQ&A
旅の準備は、その成否を左右する大切なステップです。特にセテニルのような独特な場所では、ちょっとした準備が快適さに大きく影響します。
準備と持ち物:私のパッキングリスト
アパレル業界に携わる私の視点から、機能性とファッション性を兼ね備えた持ち物リストをご紹介します。
必携アイテム
- パスポート、現金(ユーロ)、クレジットカード: 基本中の基本です。小さなバルではカードが使えない場合もあるため、50ユーロ程度の現金を持っておくと安心です。
- 歩きやすい靴: 最重要アイテムです。セテニルの道は石畳で坂や階段が多いため、スニーカーやしっかりしたソールのフラットサンダルがおすすめ。ヒールは避けましょう。
- スマートフォン、モバイルバッテリー: 写真撮影や地図確認に役立ちます。洞窟内では電波が弱まることもあるため、オフラインマップをあらかじめダウンロードしておくと便利です。
- 海外旅行保険の証書: 万一の事態に備えて必ず携帯してください。
推奨される準備とアイテム
- 服装について:
- 基本: レイヤードスタイルがおすすめです。日中は暖かいですが、洞窟内や朝晩は冷え込むことがあります。
- 春夏(4月~10月): 強い日差し対策として帽子やサングラス、日焼け止めは欠かせません。通気性の良いリネンやコットンのワンピースやTシャツに薄手のカーディガンやシャツを重ねるスタイルが良いでしょう。白い壁に映える鮮やかな色の服は写真映えもします。
- 秋冬(11月~3月): 軽くて暖かいライトダウンやフリースなどのアウターが必要です。特に朝晩は冷えるため、マフラーや手袋もあわせて持つと安心です。
- 酔い止め薬: レンタカーやバスで山道を走行する際、車酔いしやすい方は持参をおすすめします。
- 小さめのショルダーバッグやバックパック: 両手が自由になるバッグが散策時に便利です。石畳でつまずくことも考慮しましょう。
- ウェットティッシュ、除菌ジェル: バルでタパスを手でつまむことも多いため、持っていると役立ちます。
セテニル旅行 よくある質問(Q&A)
旅の前によくある疑問や不安に、あらかじめお答えします。
- Q. 洞窟の家やホテルは湿気やカビ臭が気になりますか?
- A. ご安心ください。現代の洞窟住居や宿泊施設は換気システムがしっかり整っており、とても快適に過ごせます。岩が持つ天然の断熱効果で、夏は涼しく冬は暖かい環境です。ただし施設によって差があるため、予約サイトの口コミを参考にすると良いでしょう。
- Q. 村は小さいと聞きますが、観光にはどのくらいの時間を見ればいいですか?
- A. 主要な見どころを手短に回るなら2〜3時間でも可能です。しかし、この村の魅力をじっくり味わうなら最低でも半日はほしいところ。バルでの食事時間も含めると5〜6時間あると余裕を持って楽しめます。宿泊すれば観光客のいない静かな時間帯の村の表情にも触れられ、忘れられない旅になります。
- Q. 治安はどうですか?女性の一人旅でも安全でしょうか?
- A. 在スペイン日本国大使館の安全情報によると、スペインの観光地で一般的な注意(スリや置き引きなど)は必要ですが、セテニル自体はとても平和で治安が良い村です。日中は観光客も多く、女性の一人旅でも安心して散策できます。ただし夜間にバルから離れて暗い路地へ一人で入るのは控えましょう。狭い道を車が通ることもありますので、常に周囲に注意を払ってください。
- Q. 村内でWi-Fiは使えますか?
- A. 多くのホテルやバル、カフェで無料Wi-Fiが利用可能です。ただし岩に囲まれた地形のため、場所によっては携帯電話の電波が弱くなったり、Wi-Fiの接続が不安定になることもあります。デジタルデトックス気分で臨むのも悪くないかもしれません。
- Q. スペイン語が話せなくても大丈夫でしょうか?
- A. 観光客が訪れるバルやレストランでは簡単な英語が通じることが多いです。基本的な挨拶や「Hola(こんにちは)」「Gracias(ありがとう)」「La cuenta, por favor(お会計をお願いします)」などのフレーズを覚えておくと、地元の人とのコミュニケーションが一層楽しくなりますよ。
旅の終わりに、セテニルが私に教えてくれたこと

東京へ戻る飛行機の中、窓の外に広がる雲を見つめながら、セテニルで過ごした日々を思い返していました。巨大な岩盤の下で、何世紀も人々が暮らしてきたあの村は、いったい私に何を伝えようとしているのだろうか。
それは、抵抗するのではなく、受け入れることの強さかもしれません。厳しい自然環境を乗り越えるのではなく、その一部となることで、人々は唯一無二の文化と生活を築きあげてきました。岩は彼らにとって脅威ではなく、住まいを守る屋根であり、食物を保管する倉庫であり、共に暮らす隣人のような存在でした。
洞窟バルで隣に座ったおじいさんの深く刻まれたしわ。岩壁に飾られた色あせた家族写真。太陽の光と影が入り交じる路地を行き来する人々のさりげない日常の風景。そのすべてが、そこに存在することの尊さを静かに語りかけているようでした。あの岩の陰で飲んだワインの味は、なぜか少しだけ、忘れたいと思っていた記憶の味と似ていて。でも、それも今の私の一部なのだと、素直に受け入れられる気がしました。
慌ただしい日々に疲れ、自己を見失いそうになったとき、きっと私はセテニルの風景を思い出すでしょう。岩に抱かれて眠る、あの穏やかな夜を。
この長文を最後まで読んでくださったあなたも、きっと心の奥に旅への憧れを秘めているはずです。もし次の旅先で迷っているなら、ぜひ候補リストのトップに「セテニル・デ・ラス・ボデガス」を加えてみてください。そこには、あなたの心を揺さぶり、日常に新たな光をともす忘れがたい体験が待っています。アンダルシアのスペイン政府観光局の公式情報も参考にしながら、ぜひ旅の計画を立ててみてください。この岩の村が、あなたに素晴らしい物語を贈ってくれることでしょう。

