年末年始のピークシーズンを迎え、フィリピンの大手LCC(格安航空会社)であるセブ・パシフィック航空が、旅行者に向けて重要な注意喚起を発表しました。特にマニラのニノイ・アキノ国際空港(NAIA)を利用する際は、大幅な混雑が予想されるため、事前の準備と早めの行動が求められます。
セブ・パシフィック航空が発表した具体的な注意喚起
セブ・パシフィック航空は、ホリデーシーズンの旅行をスムーズにするため、以下の点を強く推奨しています。
空港への推奨到着時間
特に混雑が予想されるため、通常より早く空港に到着することが求められます。
- 国際線: 出発時刻の4時間前
- 国内線: 出発時刻の3時間前
これは、チェックインカウンター、手荷物預け入れ、保安検査、出国審査など、各手続きで長い待ち時間が発生することを見越したものです。
手荷物許容量の事前確認
LCCを利用する際に特に注意が必要なのが手荷物です。事前に予約した許容量を超過した場合、空港で高額な超過料金が発生する可能性があります。搭乗前に必ず自身の航空券に含まれる手荷物の重量や個数を確認し、必要であればオンラインで追加購入しておくことが賢明です。
マニラ空港(NAIA)のターミナル確認
マニラのニノイ・アキノ国際空港は、ターミナルが複数(ターミナル1, 2, 3, 4)に分かれており、航空会社や行き先によって利用するターミナルが異なります。セブ・パシフィック航空は主にターミナル3を使用していますが、一部のターボプロップ機運航便はターミナル4から出発します。ターミナルを間違えると移動に大幅な時間を要し、最悪の場合、飛行機に乗り遅れる危険性があります。Eチケットや航空会社の公式サイトで、利用便のターミナルを必ず確認してください。
なぜ今、この注意喚起が必要なのか? その背景
この強力な注意喚起の裏には、いくつかの複合的な要因があります。
爆発的に回復するフィリピンの観光需要
パンデミック後の旅行制限緩和を受け、フィリピンへの観光客は急増しています。フィリピン観光省(DOT)によると、2023年の外国人観光客到着数は、11月時点で年間目標の480万人を突破し、500万人を超えるなど、予想を上回るペースで回復しています。特にクリスマスと年末年始は、海外で働くフィリピン人(OFW)の帰省ラッシュと観光客が重なる一年で最も混雑する時期です。
世界一長いクリスマスシーズン
フィリピンでは、9月に入ると街にクリスマスの装飾が始まり、「-ber months(September, October, November, December)」と呼ばれる世界で最も長いクリスマスシーズンに突入します。これにより、国内の移動も活発化し、空港の混雑に拍車をかけます。
空港インフラの課題
マニラのニノイ・アキノ国際空港は、以前から「世界で最も混雑する空港の一つ」として知られています。2023年1月1日には大規模な航空管制システムの不具合が発生し、300便以上が欠航・遅延、約65,000人の足に影響が出たことは記憶に新しく、インフラの脆弱性が指摘されています。航空会社としては、こうした不測の事態も想定し、旅行者個人に最大限の準備を促すことで、混乱を未然に防ぎたい狙いがあります。
予測される影響と旅行者が取るべき対策
この注意喚起を軽視すると、楽しいはずの旅行が台無しになる可能性があります。乗り遅れのリスクはもちろん、予期せぬ出費やストレスを避けるため、以下の対策を強くお勧めします。
- オンラインチェックインの活用: 可能な限り出発の24時間前から利用できるオンラインチェックインを済ませておきましょう。預け荷物がない場合は、直接保安検査場へ向かうことができ、大幅な時間短縮につながります。
- E-travelへの事前登録: フィリピンへの入国・出国には、電子申告システム「eTravel」への登録が必須です。空港での混乱を避けるため、出発72時間前からオンラインで登録を済ませておきましょう。
- 交通手段の確保: 年末年始はマニラ市内の交通渋滞も激化します。空港へ向かう際は、Grabなどの配車アプリや空港バスなど、時間に余裕を持った交通手段を事前に計画・予約しておくことが重要です。
今回のセブ・パシフィック航空の発表は、同社だけでなく、年末年始にフィリピンを訪れるすべての旅行者にとって重要なメッセージです。航空需要の回復は喜ばしいことですが、インフラがそれに追いついていない現状では、私たち旅行者一人ひとりの「事前の準備」が、快適な旅の鍵を握っていると言えるでしょう。

