中東の主要航空会社が、2026年を見据えた大規模な路線拡充計画を次々と発表しています。アジアと欧州を結ぶハブ空港としての地位をめぐる競争は新たな局面に入り、私たち旅行者の空の旅にも大きな変化をもたらしそうです。今回は、この最新動向の背景と、今後の旅行に与える影響について詳しく解説します。
拡大する中東エアラインの翼
今回の動きを牽引しているのは、カタール航空やサウジアラビアのLCC(格安航空会社)であるflyadealといった航空会社です。彼らは特に成長著しいアジア太平洋地域や、伝統的に需要の強い欧州へのネットワーク強化を打ち出しています。
具体的には、これまで未就航だった都市への新規路線開設や、既存路線の増便が計画されており、旅行者はより多様なルートを選択できるようになります。この背景には、コロナ禍を経て力強く回復するビジネス渡航とレジャー需要への期待があります。国際航空運送協会(IATA)は、2024年の世界の航空旅客数が過去最高の47億人に達し、コロナ禍以前の2019年の水準を上回ると予測しており、各社はこの需要を確実に取り込もうと動いています。
路線拡大の背景にある国家戦略
単なる需要回復への対応だけでなく、今回の路線拡大は中東各国の国家戦略と密接に結びついています。特にサウジアラビアが掲げる経済改革計画「サウジ・ビジョン2030」では、石油依存からの脱却を目指し、観光業を新たな経済の柱と位置付けています。
この戦略の一環として、2030年までに年間1億5000万人の観光客(国内・海外含む)誘致という壮大な目標を掲げており、その達成には航空網の強化が不可欠です。新興航空会社「リヤド・エア」の設立や、既存航空会社の機材増強、そしてリヤドやジェッダといった空港の機能強化は、この国家戦略を具現化するための重要な布石と言えるでしょう。同様に、カタールやアラブ首長国連邦(UAE)も、航空産業を国家の威信と経済成長を支える基盤として重視しており、国家を挙げた投資が続いています。
ドバイ・ドーハ・リヤド、三つ巴のハブ空港競争
中東のハブ空港といえば、長年世界一の国際線旅客数を誇るドバイ国際空港(DXB)がその地位を不動のものとしてきました。2023年には年間旅客数が約8,700万人に達し、コロナ禍以前のレベルへ完全に回復しています。
しかし、今回の路線拡充により、カタールのドーハ・ハマド国際空港(DOH)や、サウジアラビアのリヤド・キング・ハーリド国際空港(RUH)が猛追する構えです。各国が自国のハブ空港の魅力を高めるため、最新鋭のターミナル建設や乗り継ぎサービスの向上に力を入れており、空港間の競争は今後さらに激しくなることが予想されます。
この競争は、単に乗り継ぎ客を奪い合うだけでなく、最終目的地として自国を選んでもらうための「ゲートウェイ」としての役割をかけた戦いでもあります。
私たち旅行者への影響と今後の展望
では、この激しい競争は私たち旅行者にどのような恩恵をもたらすのでしょうか。
旅行者にとってのメリット
最も大きなメリットは、選択肢の増加と価格競争による運賃の低下です。アジアと欧州を結ぶ路線が増えることで、より柔軟な旅行計画が可能になります。これまで直行便がなかった都市へも、中東経由でスムーズにアクセスできるようになるかもしれません。また、航空会社間の競争が激しくなれば、魅力的な価格の航空券やキャンペーンが登場する可能性が高まります。
さらに、各社が最新機材を積極的に導入しているため、より快適な空の旅が期待できるでしょう。空港施設の充実も進んでおり、乗り継ぎ時間の過ごし方もより快適で楽しいものに変わっていくはずです。
航空業界の未来
この動きは、アジア・欧州間の航空業界の勢力図を大きく塗り替える可能性があります。中東の航空会社がその地理的優位性を活かしてシェアを拡大すれば、伝統的な欧州やアジアの航空会社は戦略の見直しを迫られるかもしれません。
2026年に向けて本格化する中東エアラインの路線拡大は、私たち旅行者にとって選択の幅が広がる絶好の機会です。次の海外旅行を計画する際は、進化を続ける中東のハブ空港を経由する新しいルートを検討してみてはいかがでしょうか。

