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    香港の楽園、ランタオ島・長沙泳灘へ。水牛と出会う南シナ海のSUP散歩で心と体を解き放つ旅

    コンクリートジャングルとネオンの洪水。多くの人が抱く香港のイメージは、おそらくそのようなものでしょう。しかし、その喧騒からわずか一時間ほどの船旅でたどり着ける場所に、まるで別世界のような穏やかな時間が流れる楽園が存在することをご存知でしょうか。それが、香港最大の離島、ランタオ島です。高層ビル群の摩天楼とは対極にある、雄大な自然とゆったりとした空気が支配するこの島に、心身を癒す特別な体験を求めて足を運びました。目指すは、香港で最も長い砂浜を誇る「長沙泳灘(チェンシャービーチ)」。ここでは、穏やかな南シナ海の波に揺られながら楽しむスタンドアップパドルボード(SUP)と、ビーチを悠然と散歩する野生の水牛との出会いが待っているといいます。日々のトレーニングやビジネスの緊張感から心と体を解き放ち、自然の大きなリズムに身を委ねる。そんな贅沢な時間を過ごすべく、私はランタオ島へと向かったのです。そこは、都会の香港しか知らない人々にとって、良い意味で期待を裏切る、静かで美しいサンクチュアリでした。

    ランタオ島での自然体験に心を動かされたなら、香港のもう一つの雄大な自然、鳳凰山での雲海ご来光もまた、忘れられない旅の記憶となるでしょう。

    目次

    楽園への序章:長沙泳灘への道のりと最初の感動

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    香港の喧騒を背後に、ランタオ島へ渡る方法はいくつかありますが、旅情をかき立てるのはやはりフェリーでしょう。中環(セントラル)のフェリー乗り場から梅窩(ムイオー)行きの高速フェリーに乗ると、わずか約30分で島の玄関口に到着します。船を降りた途端、空気の違いを肌で感じました。湿度を帯びた風は同じでも、そこには排気ガスの臭いではなく、潮の香りと緑の匂いが漂っています。高層ビルが作る圧迫感はなく、どこまでも広がる空と穏やかな山の稜線が迎えてくれました。

    梅窩のフェリーターミナルからは、長沙泳灘行きのバスが発着しています。バスに揺られてくねくねした山道を約20分進むと、車窓に手つかずの緑豊かな自然が次々と広がり、香港の新しい一面を垣間見ることができます。そして突然視界が開け、目の前にきらめく広大な海が広がりました。バスを降り、砂浜へと続く小道を歩くと、そのスケールに圧倒されます。全長約3キロもある白砂のビーチは、限りなく続いているかのようで、「これが本当に香港なのか」と何度も自問しました。

    私が訪れたのは平日の午前中だったため、ビーチにはほとんど人影がありません。聞こえてくるのは、寄せては返す波の優しい音と、時折響く鳥のさえずりだけ。普段はアドレナリンが駆け巡るリングの上や、交渉が飛び交うビジネスの現場にいる私にとって、この静寂は何にも代えがたい贅沢でした。目の前に広がる穏やかな南シナ海と、背後にそびえる緑豊かな山々。その対比が織りなす光景は、まるで一枚の絵画のようです。都会で張り詰めていた神経が、ゆっくりと、しかし確実にほどけていくのを感じました。これが長沙泳灘が私に与えてくれた最初の感動であり、これから始まる特別な体験への期待を膨らませるプロローグとなったのです。

    自然との共生:ビーチの主役、水牛たちとの出会い

    長沙泳灘の魅力を語るうえで欠かせないのが、このビーチを悠然と歩み回る野生の水牛たちの存在です。彼らは島の原風景の一部であり、自然と人間が共存するランタオ島の象徴とも言える存在なのです。

    上長沙と下長沙、異なる表情をもつビーチ

    長沙泳灘は大きく二つのエリアに分かれています。バス停から見て西側に広がるのが「上長沙泳灘(Upper Cheung Sha Beach)」、東側に広がりレストランやレンタルショップが点在するのが「下長沙泳灘(Lower Cheung Sha Beach)」です。どちらも美しい砂浜が続いていますが、より静かで手つかずの自然が残っているのは上長沙泳灘の方です。そして水牛と出会う機会が高いのもこちらになるでしょう。

    私はまず、人の気配が少ない上長沙泳灘へ向かいました。どこまでも続く砂浜を裸足で歩くと、細やかな砂が足裏に心地よく触れ、まるで大地から直接エネルギーを得ているような不思議な感覚が広がります。しばらく進むと、遠くにいくつか黒い大きな塊が見えました。最初は岩かと思いましたが、それがゆっくりと動いた瞬間、思わず息を呑みました。水牛の群れだったのです。

    時を超えて生きる、島の守り手

    十数頭の群れでしょうか。彼らはビーチに寝そべったり、のんびり草を食べたり、中には浅瀬に入って気持ちよさそうに水浴びをする者もいます。その姿は風景に完璧に溶け込み、まるで太古の昔からここに暮らしているかのような圧倒的な存在感を放っていました。聞くところによると、彼らはかつてこの島で農耕に寄与していた水牛の子孫だそうです。農業の衰退に伴い野生化した彼らは、今や島の自然の一部として保護され、人々と穏やかに共に生きています。

    私は彼らの邪魔をしないように距離を十分に取りつつ、そっとその姿を見つめました。筋肉質で力強い体つきの一方、その目はとても穏やかです。彼らの周囲だけ時間の流れが違うのではないかと錯覚するほど、ゆったりとした空気が漂っています。毎日、勝ち負けの世界で生きる私にとって、彼らの「ただそこにいる」というシンプルな生き様は心に深く響きました。競争も見栄も焦りもなく、ただ自然のリズムに身を任せ、太陽を浴び水を飲み、草を食む姿は、人間が忘れかけた生きる意味の本質を静かに教えてくれているように感じられました。

    水牛に接する際にはいくつかの注意点があります。彼らは基本的に温厚ですが、それでも野生動物であることに変わりはありません。驚かせたり不用意に近づいたり、触れようとするのは絶対に避けましょう。特に子牛を連れた親牛は警戒心が強いため、より一層の注意が求められます。また、彼らに食べ物を与えることは生態系のバランスを崩す原因となるため厳禁です。私たちは彼らのテリトリーにお邪魔しているという謙虚な気持ちを持つことが大切です。静かに見守り、同じ空間と時間を共有することで、かけがえのない貴重な体験となるでしょう。

    心と体を研ぎ澄ます、南シナ海でのSUP瞑想

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    長沙泳灘の穏やかな自然を堪能した後はいよいよ、この旅の最大の見どころであるSUP体験へと進みます。下長沙泳灘にはウォータースポーツ用品のレンタルショップが数店舗軒を連ねています。ここでボードとパドルを借り、簡単な指導を受けたのち、南シナ海の穏やかな波間へと漕ぎ出します。

    なぜSUPなのか?静寂に包まれながらの全身運動

    スタンドアップパドルボード(通称SUP)とは、サーフボードのようなボードの上に立ち、パドルを使って水面を進むアクティビティです。一見すると優雅なスポーツに見えますが、実は全身を使った非常に効果的な運動でもあります。水の上でバランスを保つためには体幹、すなわちインナーマッスルを絶えず使い続ける必要があります。これは格闘技における体軸の安定トレーニングと共通する部分があります。さらに、パドルを漕ぐ動作は背中、肩、腕の筋肉を効率よく鍛えられます。

    しかし、私が長沙泳灘でSUPを選んだのは単なる身体のトレーニング目的だけではありません。むしろ、その瞑想的な側面に強く惹かれたのです。周囲に遮るものがない大海原の上でボードと自分だけになる瞬間。揺れる波、パドルが水をかく音、遠くから聞こえる潮騒。五感が研ぎ澄まされるなかで日常の雑念が静かに溶けていく感覚。まさに「動く瞑想」です。心と体が調和し、自然と一体感を味わえるのは、他にないSUPの魅力だと実感しています。

    スポット情報:長沙泳灘 ウォータースポーツ
    場所香港 ランタオ島 下長沙泳灘(Lower Cheung Sha Beach)
    アクティビティスタンドアップパドルボード(SUP)、カヤック、ウィンドサーフィンなど
    レンタルビーチ沿いに複数のレンタルショップあり
    料金目安SUPボード1時間あたり 約150〜200香港ドル(ショップによって異なる)
    設備更衣室、シャワー、ロッカー(有料の場合あり)
    備考初心者向けレッスンを提供するショップもあります。貴重品管理には十分ご注意ください。

    海上から望む絶景と、心との対話

    レンタルショップでライフジャケットを身につけ、ボードを持って海辺へ向かいます。最初は膝立ちでボードの上に乗りながらバランスに慣れることからスタート。ここは遠浅で波も非常に穏やかなため、初心者でも安心してチャレンジできるのが嬉しいポイントです。数回パドルを漕ぎ沖へ進むと、陸の喧騒はすっかり遠のきます。波の揺れに体の重心を合わせゆっくりと立ち上がると、視点がぐっと高くなり、まったく異なる景色が広がりました。

    海上から望む長沙泳灘は、その美しさに息をのむほどでした。どこまでも続く白砂の浜辺、その背後に広がるランタオ島の緑深い山並み、そして広大な青空。まるで地球の大きさを肌で感じるような壮大なパノラマです。時折、水辺で草をはむ水牛の姿も遠目に見え、この地ならではの魅力を改めて実感しました。

    ボードの上でバランスを取りつつ、ゆったりとパドルを漕ぐ。その単調な動作が不思議と心を穏やかにしてくれます。最初は「落ちないように」と緊張していた意識がやがて自然や周囲の環境に向かい始めました。頬をなでる風、太陽の光を反射する波面、ボードの下をくぐり抜ける小魚の群れ。普段の生活では見過ごしがちな細やかな自然の営みが、愛おしくすら感じられます。

    しばらく漕いだ後、パドルをボードに置き、その場に座り込んだり仰向けに寝転んだりしてみました。波に身を委ねていると、自分が海の一部になったような不思議な感覚に包まれます。空にはトンビが輪を描いて飛び、遠くには香港国際空港へ向かう飛行機の姿も小さく見えます。あの飛行機の中にはビジネスや観光で香港に向かう多くの人々が乗っているのでしょう。その一方で私は、このすぐ近くでこんなにも静かで穏やかなひとときを過ごしている。その対照的な光景が、この旅の価値をよりいっそう深めてくれました。

    この海上で過ごした時間は、自分自身と向き合う貴重な機会ともなりました。日々の目標、トレーニングの課題、ビジネスの戦略といった具体的な思考から解放されて、より根本的な問いが自然と心に浮かんできます。「自分にとって本当に大切なものは何か」「これからどのような人生を歩みたいのか」。急いで答えを求める必要はありません。ただ広大な自然の中でその問いにゆったり向き合うことで、凝り固まった思考に柔軟性が生まれ、新たな視点を得られるのです。これは都会のジムや道場で汗を流すのとは全く異なる、心身のリセットの時間でした。

    ビーチサイドの至福:SUP後のご褒美と黄昏時

    約2時間にわたり、心ゆくまで海上を散策し楽しんだのち、再びビーチへと戻りました。程よい疲労感に包まれつつも、それ以上に爽快な気分と静かな満足感が全身を満たしています。体幹を使ったことで、身の内側からじわじわと温まっているのが実感できました。冷たいシャワーで汗や潮水を洗い流したあとの時間は、まさに至福のひとときでした。

    海を見渡すレストランでの遅めの昼食

    下長沙泳灘の魅力は、美しい自然風景だけにとどまりません。ビーチ沿いには、雰囲気の良いレストランやカフェがいくつも軒を連ねています。オープンエアのテラス席からは、目の前に広がる南シナ海を一望することができます。運動でお腹がぺこぺこだった私は、その中の一軒に腰を下ろし、遅めの昼食を取ることにしました。

    メニューには新鮮なシーフードを使った料理のほか、欧米人観光客が多い地域ならではの多国籍メニュー、さらに冷えたビールやトロピカルカクテルが並びます。私はガーリックシュリンプと冷えたビールを注文しました。潮風を感じながら、キラキラと輝く海を眺め、キンキンに冷えたビールを喉に流し込む瞬間。このためにがんばったのだと心から感じられるほどの多幸感がありました。運ばれてきたエビはプリプリで、ガーリックの香りが食欲を刺激します。特別なご馳走というわけではありませんが、このロケーションで心地よい疲労感とともに味わう食事は、どんな高級レストランにも勝る最高の贅沢でした。

    周囲を見渡せば、家族連れやカップル、友人同士のグループが、それぞれ思い思いの時間を過ごしています。彼らの穏やかな笑顔を見ると、こちらまで幸福な気分になります。ここでは誰もがリラックスし、都会の鎧を脱ぎ捨て、素の自分に戻っているように見えました。それこそが、長沙泳灘がもたらす魔法なのかもしれません。

    一日を締めくくる幻想的なサンセット

    食事を終え、ビーチを散策していると、太陽はゆっくりと西の空へと傾き始めました。長沙泳灘のサンセットは息を呑むほど美しいと聞いていましたが、その光景は私の想像をはるかに超えるものでした。

    空は金色から燃えるようなオレンジ、さらに柔らかなピンクへと刻一刻と色を変え、そのグラデーションが穏やかな海面に映り込んで、世界全体が優しい光に包まれます。ビーチにいた人々も皆、言葉を失い、ただ静かにその幻想的なショーを見つめていました。

    夕日を背景にシルエットとなった水牛の群れがゆっくりと家路につく姿は、まるで神話の一場面のようでした。波の音だけがBGMとして響くなか、今日という一日が静かに幕を閉じていきます。その光景に接し、自然と感謝の気持ちが湧き上がってきました。この美しい地球に生きていること、こうして旅ができる健康な身体を持っていること、そしてこの素晴らしい景色に出会えたこと。普段当たり前だと思っていた一つひとつの出来事が、いかにかけがえのないものかを、この夕日は静かに示してくれました。

    太陽が完全に水平線の向こうへ姿を消し、夜空に一番星が輝き始める頃、私はバス停へ向かいました。心は穏やかに満たされ、身体には新たなエネルギーが溢れているのを感じながら。この一日の体験は、単なるアクティビティではなく、魂の浄化であり、スピリチュアルなリトリートでもありました。

    ランタオ島の奥深さへ:もう一歩先の魅力

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    長沙泳灘での体験だけでも十分に満足できるものですが、もし時間に余裕があれば、ぜひランタオ島の他の魅力にも触れてみてください。この島は訪れるたびに新しい表情を見せてくれる、奥深い場所です。

    水上集落の郷愁:大澳(タイオー)

    長沙泳灘からバスでさらに西へ向かうと、香港のベニスとも称される水上集落「大澳(タイオー)」に到着します。ここでは現在も、多くの人々が水上に建てられた伝統的な高床式住宅「棚屋(パンオーク)」で生活しています。狭い路地には干物や蝦醤(エビのペースト)を販売する店が連なり、独特の香りが漂っています。その懐かしい風景は、まるで時代を遡ったかのような感覚を覚えます。

    ここでの楽しみは、小型のボートに乗って水路を巡り、水上家屋の日常を間近で見られることです。運がよければ、近海に生息するピンクドルフィンと出会えるかもしれません。都会の喧騒とは全く違う、素朴で温かな人々の暮らしに触れることで旅の深みが増すでしょう。

    天空の仏像と空中散策:天壇大仏と昂坪360

    ランタオ島と言えば、屋外に立つ仏像として世界最大級の「天壇大仏(ビッグブッダ)」を思い浮かべる人も多いでしょう。山頂に鎮座するその巨大な仏像は、遠くからでもひときわ目を引く存在感があります。268段の石段を登り切り、仏像の足元に立つと、その荘厳な雰囲気に心が洗われるような感覚を味わえます。ここからのランタオ島の山と海を見渡すパノラマも、また格別です。

    天壇大仏へ向かう際は、ケーブルカー「昂坪(ゴンピン)360」の利用が特におすすめです。東涌(トンチョン)の町から約25分間、眼下に広がる緑の森や青い海を眺めながらの空中散歩は、スリルと絶景を同時に楽しめます。床がガラス貼りの「クリスタルキャビン」を選べば、まるで鳥になったかのような爽快な気分を味わえます。

    大自然を歩く:ランタオ・トレイル

    アクティブに過ごしたい方には、島内を縦横に走るハイキングコース「ランタオ・トレイル」もおすすめです。全長70kmに及ぶこのトレイルは、区間ごとに難易度や景色が異なり、自分の体力や好みに合わせてコースを選ぶことができます。長沙泳灘の近くにも、美しい海岸線をのんびり歩ける比較的平坦なルートがあります。SUPとは異なる形で、自らの足で大地を踏みしめ、自然と一体感を味わうのもまた格別の体験となるでしょう。

    これらのスポットはいずれも異なる魅力を持っています。長沙泳灘の穏やかなビーチ、大澳の歴史的な漁村、天壇大仏が醸し出すスピリチュアルな空気。これらを組み合わせることで、ランタオ島の多面的な魅力をより深く感じ取ることができるでしょう。

    旅の準備と心得:ランタオ島を最大限に楽しむために

    最後に、この素晴らしい体験を計画している皆さんへ、いくつかの実用的な情報とアドバイスをお伝えします。少しの準備と心構えで、旅がさらに快適で思い出深いものになるでしょう。

    訪れるのに最適な季節

    香港は亜熱帯気候で年間を通して温暖ですが、ビーチでのアクティビティに最も適しているのは、気候が安定する10月から12月の秋と、3月から5月の春です。夏(6月〜9月)は非常に蒸し暑く、台風シーズンでもあるため注意が必要です。冬(1月〜2月)は水温が少し下がりますが、晴れた日中なら十分楽しめます。

    滞在拠点について

    日帰りでも十分楽しめますが、ランタオ島の魅力を余すところなく味わいたいなら、島内に宿泊するのがおすすめです。長沙泳灘周辺にはリゾート風のホテルや、個性的なグランピング施設、ホステルなど多様な宿泊施設があります。朝の静かなビーチを散歩したり、満天の星空を眺めるなど、泊まることでしか味わえない特別な時間を楽しめます。

    持ち物チェックリスト

    • 服装: 動きやすく乾きやすい服装を基本にしましょう。水着は事前に着用しておくと便利です。SUP後や夕方になると冷える場合があるので、軽く羽織れるものを一枚持っておくと安心です。
    • 足元: ビーチサンダルは必須アイテム。ハイキングも予定している場合は、歩きやすいスニーカーも携帯しましょう。
    • 日焼け対策: 日差しが非常に強いため、日焼け止め、帽子、サングラスは必ず持参してください。ラッシュガードもあると便利です。
    • その他: タオルや着替え、十分な飲み物、そして美しい風景を記録するためのカメラ。小腹が空いた時のために軽食を用意しておくのもおすすめです。

    心に留めておきたいこと

    • 自然への配慮: 水牛との遭遇でも触れましたが、私たちは自然の中にお邪魔しているという意識を忘れないことが重要です。ゴミは必ず持ち帰り、動植物を傷つけないように気を配りましょう。環境保護の理念である“Leave No Trace”(足跡を残さない心)を大切にしてください。
    • 安全を最優先に: SUPや海水浴を楽しむ際は、体力を過信せず無理をしないことが大切です。天候が急変することもあるため、海の状況には常に注意を払ってください。レンタルショップのスタッフの助言は必ず守りましょう。
    • 時間の感覚を緩める: ランタオ島では都会のような時間の流れに束縛されません。バスが時間通りに来なかったり、レストランのサービスがゆっくりだったりすることもありますが、それがこの島の魅力です。予定を詰め込みすぎず、予想外の出来事や偶然の出会いを楽しむ余裕を持って訪れることをおすすめします。

    喧騒の先に見つけた、心の静寂

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    香港・ランタオ島の旅を終えて、私の心に深く刻まれたのは、穏やかで満ち足りた静かな時間でした。広がる長沙泳灘のビーチ、ゆったりと暮らす水牛たち、そして南シナ海の穏やかな波の上で過ごしたSUPのひととき。これらすべてが、日常の闘争心や緊張感で固まっていた私の心身を、内側からやさしくほぐしてくれました。

    私たちは忙しい毎日の中で、知らず知らずのうちにさまざまな重荷を背負っています。目標達成へのプレッシャー、他人との比較で生じる焦り、そして未来への漠然とした不安。しかし、壮大な自然に包まれると、そうした悩みがどれほど小さく取るに足らないものだったかに気づかされるのです。

    ボードの上で波の揺らぎを感じ、ただ空を見上げているだけで満たされる。水牛が草を食む姿から命の尊さを感じる。夕日が海にゆっくりと沈む光景に、言葉を失うほど感動する。こうした一瞬一瞬の積み重ねが、乾いた心に潤いを与え、新たな活力をもたらしてくれます。

    もし日常に少し疲れを感じていたり、新たな刺激を求めていたり、あるいはただ美しい景色に癒されたいと思っているなら、次の旅先に香港・ランタオ島を選んでみてはいかがでしょうか。そこには、あなたが知っている香港のイメージを心地よく裏切る、静かで優しく、そして力強い自然が広がっています。長沙泳灘の波の音が、きっとあなたの心を穏やかな安らぎの場所へ導いてくれることでしょう。

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    この記事を書いた人

    起業家でアマチュア格闘家の大です。世界中で格闘技の修行をしながら、バックパック一つで旅をしています。時には危険地帯にも足を踏み入れ、現地のリアルな文化や生活をレポートします。刺激的な旅の世界をお届けします!

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