IHGホテルズ&リゾーツはALANDと提携し、長期滞在型ブランド「ステイブリッジ・スイーツ」をオーストラリアに初導入します。
オーストラリアの長期滞在需要を見据えた大規模展開
世界的なホテルチェーンであるIHGホテルズ&リゾーツは、オーストラリアの不動産デベロッパーであるALANDとマスター開発契約を締結し、同社の長期滞在型アップスケールブランド「ステイブリッジ・スイーツ」をオーストラリア国内に初導入することを発表しました。
この契約により、ALANDはオーストラリアにおける同ブランドの独占開発権を取得します。両社は全国で少なくとも15軒、合計2000室以上のホテルポートフォリオを構築する計画を掲げており、オーストラリアにおける長期滞在(エクステンデッド・ステイ)セグメントの市場シェア拡大を狙います。
なぜ今、オーストラリアで長期滞在型ホテルなのか
ステイブリッジ・スイーツはすでに世界で355軒を展開し、さらに152軒が開業準備中という、IHGの中でも急速に成長しているブランドの一つです。
近年、世界的にリモートワークの普及や、出張と休暇を組み合わせた「ブレジャー(Bleisure)」といった新しい旅行形態が定着しつつあります。オーストラリアでも同様に、数週間から数ヶ月にわたる中長期滞在のニーズが急増しており、従来のホテルとは異なる、暮らすように滞在できる客室設備への需要が高まっています。
最初の進出地として、伝統的なリゾート地ではなく、シドニー西部の成長エリア(グレーター・ウェスタン・シドニー)が選ばれた点も重要です。第一弾として確定しているのは以下の2軒です。
- ステイブリッジ・スイーツ・シドニー・パラマッタ(130室)
- ステイブリッジ・スイーツ・シドニー・レピントン(112室)
パラマッタはシドニーの主要なビジネス中心地として成熟しており、長期滞在のビジネス出張客に最適な立地です。一方のレピントンは、現在建設中のウェスタン・シドニー国際空港や新興開発地域(エアロトロポリス)に近く、インフラ開発や航空関連の長期プロジェクトに従事するワーカー、および移住者の滞在需要を確実に取り込む戦略的な配置となっています。なお、この2つのプロパティの運営はシグネチャー・ホテル・マネジメント・グループが担う予定です。
アジア太平洋地域の宿泊市場にもたらす影響と予測
今回の15軒・2000室という大規模なパイプラインは、オーストラリア市場のみならず、アジア太平洋地域(APAC)全体のホテル開発トレンドの変化を象徴しています。
第一に、インフラ投資と連動した宿泊需要の取り込みが加速することが予測されます。ウェスタン・シドニーのような大規模開発エリアでは、中長期滞在用の高品質な宿泊施設が求められており、長期滞在型ブランドが参入することで、プロジェクト関係者だけでなく周辺地域の経済活性化にも大きく貢献する見込みです。
第二に、長期滞在セグメントにおける競争の激化です。IHGとALANDが先行して一気に15軒という規模で市場を押さえることで、他の国際的ホテルチェーンもオーストラリア国内での長期滞在型ブランドの展開を急ぐ可能性が高まります。
観光や短期の出張にとどまらず、新しい働き方や都市開発に密着した宿泊施設のあり方が、今後のホテルビジネスにおける成長の要となるでしょう。ステイブリッジ・スイーツの豪州進出は、今後の旅行業界における多様化を推進する重要な試金石となります。

