欧州のホテル予約市場では、ブッキング・ホールディングスとエクスペディア・グループの2大オンライン旅行会社(OTA)が85%以上を寡占しています。
欧州ホテル・レストラン・カフェ連合(HOTREC)が2026年9月に発表した最新の「欧州ホテル流通調査2026」により、欧州のオンライン旅行会社(OTA)を通じたホテル予約市場において、ブッキング・ホールディングスとエクスペディア・グループの2大企業が圧倒的なシェアを握っている実態が明らかとなった。
OTA市場の寡占化が進む欧州の現状
2026年に発表された同調査は、欧州各国の2,713のホテルから得られた2025年の実績データを基にしている。報告によると、欧州におけるOTA経由のホテル予約のうち、ブッキング・ホールディングスが全体の68.8%(ブッキング・ドットコム単体で66.1%)を占めている。これに次ぐエクスペディア・グループのシェアは16.6%であり、この2大プラットフォームだけでOTA市場の85.4%を寡占していることが示された。
国別の傾向を見ると、ドイツ市場ではブッキング・ホールディングス単独でOTAシェアの70.5%を握り、ギリシャでは両社合計のシェアが87.4%に達するなど、地域によっては特定の巨大企業への集中がさらに顕著となっている。
直接予約は過半数を維持も、高まるプラットフォーム依存
欧州のホテル予約全体を見ると、ホテルの自社ウェブサイトや電話、現地窓口などを通じた「直接予約」の割合は51.3%と、依然として過半数を維持している。しかし、直接予約の割合は2013年の57.6%から緩やかに低下傾向にある。
一方で、OTAを経由した予約はホテル予約全体の29.9%を占めており、2013年の19.7%から大きく拡大した。ホテル側にとってOTAは国際的な集客において不可欠な販売チャネルであるものの、高い手数料負担が経営を圧迫する要因となっている。加えて、約半数のホテルがOTA側から意図しない価格の引き下げを受けたと報告しており、価格決定権の喪失や不透明な取引条件への不満が高止まりしている。
DMA(デジタル市場法)の厳格な執行と今後の展望
こうした特定プラットフォームへの過度な依存と市場支配の固定化に対し、HOTRECは欧州連合(EU)の「デジタル市場法(DMA)」の厳格な執行を強く求めている。また、オンラインプラットフォームの公平性を定めるP2B(Platform-to-Business)規則を堅持し、ホテル側の権利を保護するよう規制当局に訴えかけている。
欧州のホテル産業は多くが独立系の中小企業で構成されており、巨大なOTAに対する交渉力が弱いという背景がある。EU当局が巨大IT企業をゲートキーパーとして指定し、プラットフォーム上の不公正な取引慣行に対してより厳しい監視と是正措置を講じることになれば、今後ホテル側が独自の価格戦略を展開しやすくなる効果が期待される。
将来的には、透明性の高い健全な競争環境が整備されることで、ホテル側は高額な仲介手数料を削減し、サービス向上や直接予約システムへの投資へ資金を回すことが可能になる。旅行者にとっても、特定のプラットフォームに縛られることなく、ホテル独自の特典や柔軟な料金体系を享受できるなど、より多様な選択肢が生まれる市場へと変化していくことが予測される。

