米連邦航空局(FAA)は2025年11月11日、ニューヨークやワシントンD.C.都市圏などの主要空港を発着するフライト数を削減するよう、航空各社に求める新たな命令を発表しました。この措置は、深刻化する航空管制官不足に対応し、空の安全を確保するためのものですが、今後の米国への渡航や米国内の移動を計画している旅行者にとっては、航空券の価格高騰やフライト選択肢の減少といった大きな影響が避けられない見通しです。
背景にある深刻な航空管制官不足
今回のフライト削減命令の背景には、全米で慢性化・深刻化している航空管制官の人手不足があります。
採用と育成の遅れがボトルネックに
パンデミック中の退職者の増加や採用活動の停滞に加え、管制官の育成には数年単位の長い時間と高度な専門性が求められます。全米航空管制官協会(NATCA)の報告によると、現在、現場で必要とされる管制官の数は、実際の配置人数を約3,000人以上も下回っているとされています。 特に、世界で最も混雑し、複雑な空域の一つであるニューヨーク航空路交通管制センター(ZNY)では人員不足が顕著で、管制官一人当たりの負担が限界に達していました。FAAは、このままの運航便数を維持することは、ヒューマンエラーによるニアミスなどのインシデントリスクを高めると判断。安全確保を最優先し、予防的措置としてフライト数そのものを制限するという苦渋の決断を下しました。
旅行者に予測される具体的な影響
この新命令は、来年初頭から段階的に実施される予定で、旅行者には主に以下の3つの影響が及ぶと予測されます。
航空券価格の高騰
対象となるのは、ジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)、ラガーディア空港(LGA)、ニューアーク・リバティー国際空港(EWR)、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港(DCA)といった需要の高いハブ空港です。 これらの空港では、ピーク時間帯のフライトが最大で10%程度削減される可能性があります。座席の供給数が需要に追いつかなくなり、需要と供給のバランスが崩れることで、航空券の価格は上昇する可能性が非常に高いでしょう。特に、ビジネス路線や観光シーズンには、価格の高騰が顕著になることが懸念されます。
フライトの選択肢減少とスケジュールの硬直化
航空会社は限られた発着枠の中で運航を最適化するため、地方都市への直行便を減らし、ハブ空港経由の乗り継ぎ便に集約する可能性があります。これにより、目的地によっては移動時間が長くなるかもしれません。 また、早朝や深夜といった時間帯の便が削減されることで、旅行者が選べるフライトの選択肢が減り、旅程の自由度が低下することも考えられます。
欠航・遅延リスクの増大
各空港のスケジュールが余裕のない状態で組まれるため、悪天候や機材トラブルといった一つの問題が、ドミノ倒しのように他のフライトに影響を及ぼしやすくなります。結果として、大規模な遅延や突然の欠航が発生するリスクがこれまで以上に高まるでしょう。
今後の見通しと旅行者ができる対策
航空管制官の不足問題は一朝一夕に解決できるものではなく、このフライト削減措置は少なくとも数年間は続くと見られています。
航空会社の対応
航空各社は、不採算路線の運休や減便を進める一方で、需要の高い路線では機材を大型化し、一便あたりの座席供給数を増やすことで影響を最小限に抑えようとする動きが加速すると予測されます。また、混雑する主要空港を避け、近隣の地方空港を活用する新たな路線が開設される可能性もあります。
旅行者が今からできること
これから米国への旅行を計画する方は、以下の点を心がけることをお勧めします。
- 早めの予約: 特にホリデーシーズンや夏休みなどの繁忙期は、できる限り早く航空券を予約することが価格を抑える鍵となります。
- 旅程に余裕を持つ: 乗り継ぎ時間を十分に確保し、到着日や出発日の翌日に重要な予定を入れないなど、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
- 旅行保険の活用: 予期せぬ欠航や遅延に備え、フライトの遅延・欠航補償が含まれる海外旅行保険への加入を検討する価値は高いでしょう。
- 代替ルートの検討: 目的地によっては、アムトラックなどの鉄道利用や、影響の少ない地方空港を利用するルートも視野に入れると、よりスムーズな旅ができるかもしれません。
Arigatripでは、引き続きこの問題に関する最新情報をお届けしていきます。旅行計画の際には、航空会社の公式サイトなどで最新の運航状況を必ず確認するようにしてください。

