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    大手OTA「Etraveliグループ」、B2B事業への「倍賭け」を宣言 – 激化する旅行市場の新たな戦い方とは

    オンライン旅行会社(OTA)大手のEtraveliグループが、今後の成長戦略の柱としてB2B(企業間取引)事業へ大きく舵を切ることを明らかにしました。消費者向け(B2C)市場の競争が激化する中、同社はフライト予約技術を他の企業に提供する「ホワイトレーベル事業」を強化し、安定した収益基盤の確立を目指します。この戦略転換は、旅行業界のビジネスモデルが新たな時代に突入したことを示唆しています。

    目次

    B2CからB2Bへ – Etraveliグループが描く未来の成長戦略

    EtraveliグループのCEO、マティアス・ヘドゥルンド氏は、今後の成長はB2B事業にかかっていると強調しました。同社はこれまで、GotogateやMytripといった自社ブランドを通じて一般消費者に航空券を販売するB2C事業を主力としてきました。

    しかし、これからは自社が持つ高度なフライト予約技術やグローバルな航空会社とのネットワークを、他の旅行会社や異業種の企業にサービスとして提供するB2B事業を本格的に拡大します。これは、自社の強みである「テクノロジー」を収益源とする、大きな戦略転換と言えます。

    戦略転換の背景にある「競争激化」と「安定性」

    この大胆な方針転換の裏には、旅行業界が直面する厳しい現実があります。

    激化する消費者向け(B2C)市場

    オンライン旅行市場、特に航空券販売は、世界中のOTAやメタサーチ(旅行商品比較サイト)、さらには航空会社の直販強化により、熾烈な価格競争が繰り広げられています。莫大な広告費を投じて顧客を獲得する消耗戦は、収益性を圧迫する大きな要因となっています。Etraveliグループは、この不安定な市場から一歩引き、より安定した収益が見込めるB2B分野に活路を見出そうとしています。

    Booking Holdingsによる買収計画の頓挫

    この戦略を理解する上で欠かせないのが、2023年9月に起きた出来事です。世界最大のOTAであるBooking HoldingsがEtraveliグループを16.3億ユーロ(約2,600億円)で買収する計画が、欧州委員会によって「市場の競争を阻害する」として阻止されました。この決定により、Etraveliグループは巨大資本の傘下に入ることなく、独立した成長戦略を再構築する必要に迫られました。今回のB2B事業への注力は、その新たな挑戦の核となるものです。

    ホワイトレーベル事業の拡大が鍵

    戦略の中心となるのが「ホワイトレーベル事業」です。これは、Etraveliグループが開発した航空券の検索・予約システムを、パートナー企業のブランド名で提供する仕組みです。

    これにより、パートナー企業は自社で複雑なシステムを開発することなく、顧客に高品質なフライト予約サービスを提供できるようになります。例えば、旅行メディアが自社サイト内で航空券を直接予約できる機能を追加したり、金融機関がクレジットカード会員向けの特典として旅行サービスを提供したりといった活用が考えられます。Etraveliグループは、このパートナーシップを通じて、世界中の様々なブランドの裏方として事業領域を広げていく計画です。

    旅行業界への影響 – テクノロジープロバイダーとしてのOTA

    Etraveliグループのこの動きは、旅行業界全体に大きな影響を与える可能性があります。

    OTAの役割の変化

    これまでOTAは「旅行商品の販売代理店」という側面が強かったですが、今後は業界全体を支える「テクノロジープラットフォーム」としての役割が重要になります。AmadeusやSabreといった、航空券予約の基幹システム(GDS)を提供する企業と競合、あるいは協業する領域が広がるかもしれません。

    中小旅行会社のデジタル化を後押し

    高度な予約システムを自社開発する体力のない中小の旅行会社にとって、Etraveliのような企業が提供するソリューションは、ビジネスをデジタル化し、競争力を高めるための強力な武器となり得ます。これにより、業界全体のサービスレベルが向上することも期待されます。

    消費者にもたらされる利便性

    私たち旅行者にとっても、この変化は無関係ではありません。普段利用している航空会社や旅行サイト以外の、例えば銀行のアプリやライフスタイル系のウェブサイトなど、様々な場所でシームレスに航空券を予約できる機会が増えるかもしれません。これにより、旅行の計画や予約がより一層便利になる可能性があります。

    まとめ:Etraveliの挑戦が示す旅行業界の次なる潮流

    Etraveliグループが打ち出したB2B事業への「倍賭け」戦略は、単なる一企業の生き残り戦略にとどまりません。これは、価格競争が限界に近づく中で、OTAが自社の価値を「テクノロジー」に見出し、新たなビジネスモデルを模索し始めたことを示す象徴的な動きです。

    今後、他の大手OTAも同様の戦略を追随するのか、そしてテクノロジーを軸とした新たな競争がどのように展開されていくのか。Etraveliグループの挑戦は、旅行業界の未来を占う上で重要な試金石となるでしょう。

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