2026年FIFAワールドカップは、アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共同開催で史上最大規模となる。数百万人の観戦者が国境を越えて移動する課題に対し、大会ではテクノロジーを活用した革新的な国際渡航管理システムを導入する。事前に身元登録する「信頼できる渡航者」制度の拡大やAIアシスタントが、複雑な入国手続きを簡素化し、シームレスな移動を実現。この試みは、将来の国際旅行の新たなスタンダードとなる可能性を秘めている。
2026年に開催されるFIFAワールドカップは、サッカーファンにとって待望のイベントであると同時に、私たちの国際旅行のあり方を大きく変える可能性を秘めています。史上初となるアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国共同開催。この壮大な試みは、国境を越えて移動する数百万人の旅行者のために、これまでにない新しい国際渡航管理のモデルを提示しようとしています。
史上最大規模のW杯と国境を越える課題
2026年大会は、参加チームが32から48へと拡大され、史上最大規模となることが決定しています。それに伴い、世界中から訪れるファンの数も記録的なものになると予想されており、一部では500万人以上が3カ国を訪れるとの試算も出ています。
しかし、この3カ国共同開催には大きな課題が伴います。それは、ファン、選手、関係者が試合や観光のために、アメリカ、カナダ、メキシコの国境を頻繁に行き来する必要があるという点です。現在、これらの国々はそれぞれ独自の入国審査制度を運用しており、渡航者は国ごとに異なる手続きを踏まなければなりません。この複雑さが、スムーズな移動の障壁となる可能性が指摘されていました。
テクノロジーが実現する「シームレスな移動」への挑戦
この課題を解決するため、大会主催者と各国政府は、テクノロジーを活用した革新的な国境管理システムの構築を進めています。その中心となるのが、「信頼できる渡航者(Trusted Traveler)」という考え方です。
「信頼できる渡航者」制度の活用と拡大
これは、事前に身元情報を登録し、審査を通過した渡航者に対して、迅速な入国審査を提供する仕組みです。多くの日本人旅行者にも馴染み深い、米国の電子渡航認証システム「ESTA」やカナダの「eTA」もこの一種と言えます。
2026年W杯では、これらの既存システムに加え、米国の「グローバルエントリー」や、米国-カナダ間の移動を円滑にする「NEXUS」といった、より高度な事前審査プログラムの活用が推進される見込みです。これらのプログラムに登録することで、渡航者は専用レーンを使い、空港での待ち時間を大幅に短縮できるようになります。大会期間中、参加国からの渡航者を対象とした特別な申請プロセスの導入も検討されており、多くの観戦者がこの恩恵を受けられるようになるかもしれません。
AIアシスタントがビザ申請と入国をサポート
さらに、最新テクノロジーとしてAIアシスタントの導入も計画されています。AIチャットボットなどが、渡航者一人ひとりの国籍や渡航履歴に応じて、必要なビザの種類や申請書類を案内。複雑な手続きを分かりやすくガイドし、申請プロセスを円滑化します。多言語に対応することで、世界中どこからのファンでも安心して準備を進められる環境が整えられるでしょう。これにより、安全性と利便性の両立を目指します。
予測される未来:W杯が変える今後の国際旅行
2026年W杯で試みられるこれらの取り組みは、単なる一過性のイベント対策に留まらない可能性があります。
大規模国際イベントの新たなスタンダードへ
この3カ国共同開催で得られた成功事例やノウハウは、今後のオリンピックや万国博覧会など、他の大規模国際イベントにおける国境管理のモデルケースとなるでしょう。複数の主催国が連携し、統一されたプラットフォームで渡航者情報を共有する。そんな未来のスタンダードが、このW杯をきっかけに生まれるかもしれません。
一般旅行者にも広がる「シームレスな旅」
W杯のために整備されたインフラやシステムは、大会終了後も維持され、一般の旅行者に解放されることが期待されます。一度の事前登録で複数の国をスムーズに周遊できるようになったり、AIがパーソナルアシスタントのように旅行計画や手続きをサポートしてくれたりする世界。まるで国内を移動するかのように、ストレスなく国境を越えられる「シームレスな旅」が、そう遠くない未来に現実のものとなるかもしれません。
2026年、私たちはピッチ上での熱戦だけでなく、国際移動の歴史的な転換点を目撃することになるでしょう。Arigatripでは、今後もこの新しい旅の形に関する最新情報をお届けしていきます。

