世界経済の減速が懸念される中でも、私たちの旅への情熱は衰えることを知らないようです。英国の調査会社オックスフォード・エコノミクスが発表した最新の予測によると、2026年の世界の海外旅行者到着数は、前年比で8%も増加する見通しです。
この記事では、なぜ世界的な経済の向かい風にもかかわらず旅行業界が力強い成長を遂げるのか、その背景にある要因と、今後の旅行トレンドを牽引する注目のデスティネーションについて詳しく解説します。
成長を支える3つのエンジン
今回の強気な予測の背景には、主に3つの大きな要因があります。これらが相互に作用し、世界の観光業を新たなステージへと押し上げようとしています。
旅行への価値観の変化と心理的回復
パンデミックを経て、多くの人々が「体験」に価値を見出すようになりました。物質的な所有よりも、旅先でのユニークな経験や思い出作りを優先する傾向が強まっています。この「旅行者心理の改善」が、可処分所得の使い道として旅行が選ばれる大きな理由となっています。
世界最大市場・中国の本格的な復帰
長らく停滞していた中国からのアウトバウンド旅行(海外旅行)が本格的に回復軌道に乗ることも、市場全体を押し上げる巨大な推進力となります。中国からの旅行者は、近隣のアジア諸国はもちろん、ヨーロッパをはじめとする長距離路線においても需要を喚起し、世界中の観光地に大きな経済効果をもたらすでしょう。
躍進するアジア太平洋地域
アジア太平洋地域は、世界で最もダイナミックな成長を遂げる市場として注目されています。この地域の海外旅行者到着数は、世界平均を大きく上回る前年比13%増という驚異的な伸びが予測されています。各国の積極的な観光プロモーションや航空路線の拡充が、この成長をさらに加速させています。
世界の旅行者を惹きつける2大デスティネーション
2026年の旅行市場を特に力強く牽引するのは、伝統的な人気を誇る「地中海」と、目覚ましい成長を見せる「アジア」です。
揺るぎない魅力で輝く地中海エリア
スペイン、イタリア、トルコ、ギリシャといった地中海沿岸の国々は、その人気が衰えることはありません。温暖な気候、豊かな食文化、古代から続く歴史遺産といった「本物の体験」を提供できることが最大の強みです。競争力の高い価格設定も魅力の一つで、ヨーロッパからの旅行者に加え、回復するアジア市場からの旅行者も惹きつけることで、安定した人気を維持する見込みです。
多様な魅力で急成長するアジア太平洋
13%増という高い成長率が予測されるアジア太平洋地域は、まさに世界の観光業のホットスポットです。日本、韓国、タイをはじめとする国々は、独自の文化、美食、そしてコストパフォーマンスの高さで世界中の旅行者を魅了しています。特に日本にとっては、この成長の波に乗ることで、インバウンド観光のさらなる拡大が期待されます。
今後の展望と私たち旅行者への影響
この力強い成長予測は、旅行業界全体に活気をもたらす一方で、私たち旅行者にもいくつかの変化をもたらす可能性があります。
- 旅行の選択肢の拡大: 航空会社は増便や新規路線の開設を進め、旅行会社からは地中海やアジアを中心とした魅力的なツアー商品が続々と登場するでしょう。私たちにとって、旅の選択肢はますます豊かになります。
- 人気観光地の混雑と価格上昇: 旅行需要の増加は、人気デスティネーションにおける混雑(オーバーツーリズム)や、航空券・宿泊費の高騰につながる可能性があります。旅行を計画する際は、早めの予約や、あえてピークを外したオフシーズンの検討が賢明な選択となるかもしれません。
- サステナブル・ツーリズムへの意識向上: 旅行者数の増加は、観光地の環境や地域社会への影響という課題も浮き彫りにします。自然や文化を尊重し、持続可能な旅を意識することが、旅行者一人ひとりに求められる時代になっていくでしょう。
経済的な不透明感を吹き飛ばすかのように、世界の旅行市場は明るい未来へと向かっています。太陽が降り注ぐ地中海のビーチか、それとも活気と魅力にあふれるアジアの都市か。2026年に向けて、次の素晴らしい旅の計画を始めてみてはいかがでしょうか。

