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    神々が溶かした翡翠の輝き、スイス・ブリエンツ湖へ。心満たす癒やしと絶景の旅

    スイスの中央に横たわる、息をのむほどに美しい湖。それは、まるで神様が巨大な翡翠を溶かし、アルプスの谷間にそっと流し込んだかのような、神秘的な輝きを放つブリエンツ湖です。氷河が削り取った微細な粒子が光を乱反射し、季節や時間、天候によってターコイズブルーから深いエメラルドグリーンへと、その表情を繊細に変えていきます。この世のものとは思えないほどの透明度と色彩は、ただ眺めているだけで心が洗われ、日常の喧騒から解き放たれていくのを感じるでしょう。

    ベルナー・オーバーラント地方に抱かれたこの湖は、単なる絶景スポットではありません。湖畔には木彫りの伝統が息づく可愛らしい村が点在し、歴史ある蒸気機関車がアルプスの頂を目指して煙を上げ、荘厳な滝がマイナスイオンのシャワーを降り注いでいます。湖上を渡る風は心地よく、人々の暮らしは穏やかで、そこには太古から変わらない大自然の息吹と、丁寧に育まれてきた文化が見事に調和しているのです。

    今回の旅では、このブリエンツ湖の持つ多面的な魅力に深く触れていきます。なぜこれほどまでに人の心を惹きつけるのか、その翡翠色の秘密から、湖畔での心安らぐ時間の過ごし方、そして魂を揺さぶるような大自然のアクティビティまで。40代からの私たちの旅は、ただ観光地を巡るだけでは物足りないはず。心と身体が本当に求める、上質で満ち足りた時間を求めて、スイス・ブリエンツ湖の奥深い世界へとご案内します。さあ、魂の浄化と再生の旅に出かけましょう。

    翡翠色の湖の美しさに魅了されたなら、エメラルドグリーンの湖が織りなす迷宮を歩くクロアチア・プリトヴィツェ湖群国立公園のハイキングも、あなたの心を揺さぶるはずです。

    目次

    湖の魂に触れる。翡翠色の奇跡、その秘密

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    ブリエンツ湖を訪れる人々が最初に心を奪われるのは、その比類なき湖水の色彩です。単に「青」や「緑」と表現するには到底及ばない、奥深く、どこか神秘的で霊的な趣さえ漂う色合いをしています。なぜここまで神秘的な翡翠色に輝くのか、その秘密は雄大なアルプスの自然環境そのものに隠されています。

    氷河が生み出す「ロックフラワー」

    ブリエンツ湖の主要な水源は、アイガー、メンヒ、ユングフラウといったアルプスの名峰に端を発するアヨーレ川とリュッチェーネ川です。これらの川は、上流に広がる巨大な氷河からの雪解け水を運んできます。数千年、数万年の歳月をかけてゆっくりと動く氷河は、その底で岩盤を徐々に削り取っていきます。この過程で生成されるのが、「ロックフラワー(Rock Flour)」または「氷河ミルク(Glacial Milk)」と呼ばれる、小麦粉のように極めて微細な鉱物の粒子です。

    この微細なロックフラワーは雪解け水とともに川を流れ、やがてブリエンツ湖へと運ばれます。粒子は非常に軽いためすぐには沈殿せず、湖水の中で浮遊し続けます。そして、太陽の光が湖面に差し込むと、これら無数の微粒子が光のスペクトルの中でも主に緑や青といった短波長の光を選択的に反射します。一方で赤やオレンジなどの長波長の光は吸収されるため、この複雑な反射と吸収の作用こそが、私たちの目に映る幻想的なターコイズグリーンやエメラルドグリーンを創り出しているのです。

    また季節によってもその色味はさりげなく変わります。雪解け水が最も多い夏には、ロックフラワーの濃度が上がり、より白く濁ったミルキーなターコイズブルーになります。一方、秋から冬にかけて水量が穏やかになると、微粒子が徐々に沈んで透明度が増し、より深く静かなエメラルドグリーンへと変化します。訪れるたびに違う表情を見せてくれる点も、ブリエンツ湖の大きな魅力と言えるでしょう。

    魂に響く癒やしの色彩

    この自然がもたらす秀逸な色彩は、科学的な説明だけでは語り尽くせない不思議な力を秘めているように感じられます。古来より人々は、美しい自然や偉大な存在に神聖さを見出してきました。ブリエンツ湖の翡翠色も、まさにそのような特別な存在なのです。

    湖畔に佇み、水面を静かに見つめていると、あたかも湖自体が呼吸しているかのような感覚に包まれます。さざ波が風に揺られて広がる様子は、地球の鼓動のようにも思えます。その深く澄んだ水の色を見つめているうちに、心の奥に溜まっていた澱(おり)がすうっと溶け出し、心が浄化されるような不思議な安らぎを感じるのです。

    これはひとつのカラーセラピー効果とも言えるでしょう。グリーンは心身のバランスを整え、安らぎと調和をもたらす色とされ、ブルーには精神を落ち着かせ、心を解放する働きがあると伝えられています。ブリエンツ湖の色彩はこれら両方の特徴を併せ持ち、訪れる人の魂に深く響いて、深いリラックスと癒やしをもたらしてくれるのです。まさに自然が生み出した究極のヒーリングスポットと言えるでしょう。

    木彫りの魂が宿る村、ブリエンツを歩く

    湖の名をそのまま冠したブリエンツ村は、湖の北東岸に位置し、まるで絵本の一頁から飛び出してきたかのような美しい風景を誇る村です。背後に迫るアルプスの山々と、目の前に広がる翡翠色の湖が織りなす絶好のロケーションは圧巻です。しかし、この村の真の魅力は、ただ美しい景色にあるだけではありません。村中に息づく伝統工芸「木彫り」の魂が、19世紀から今日まで色濃く受け継がれているのです。

    村全体がアートギャラリー、木彫り文化の伝統が息づく

    ブリエンツの木彫りの歴史は、1816年の凶作の時期に遡ります。厳しい冬を乗り切るための副収入として、村人たちは木彫刻製品の制作を始めました。その精緻な技術と芸術性はたちまち評判を呼び、スイスを代表する伝統工芸として世界的に知られるようになりました。現在も村内にはスイス唯一の木彫り学校が存在し、次世代の職人たちが日々腕を磨いています。

    村を歩くと、この伝統が今も生き続けていることが肌で感じられます。シャレー(スイス伝統の木造家屋)の壁や扉には繊細な彫刻が施され、店舗の看板や噴水、ベンチに至るまで、あらゆる場所に木彫りの作品が飾られています。それらは熊や鷲といったアルプスの動物をモチーフにしたものや、生活の様子を象ったものなど多彩です。まるで村全体が大きなアートギャラリーのように感じられます。ひとつひとつの作品に込められた職人の想いと温かみを感じつつ、まるで宝探しのように村を散策する体験は、かけがえのない心豊かな時間となるでしょう。

    スポット情報詳細
    名称ブリエンツ村 (Brienz)
    見どころ木彫り彫刻、ブルン通り、湖畔のプロムナード、木彫り博物館
    アクセスインターラーケン・オスト駅から鉄道で約20分、もしくは湖上船で約1時間15分
    特徴伝統的な木彫り工芸の中心地。村の散策自体が観光となる場所。

    ヨーロッパで最も美しい通り「ブルン通り」

    村の中でも特に多くの人々を惹きつけるのが「ブルン通り(Brunngasse)」です。一時期「ヨーロッパで最も美しい通り」に選ばれたこともあるこの小路は、まさにスイスの原風景そのもの。石畳の道沿いに18世紀築の伝統的なシャレーが寄り添うように連なっています。

    年月を経てこげ茶色に染まった木材、その壁を彩る見事な木彫りの装飾、そして窓辺を彩る鮮やかな赤いゼラニウムの花々。これらが織り成すコントラストはあまりに完璧で、思わず息をのむほどの美しさです。家々の隙間からは、輝くブリエンツ湖がちらりと顔をのぞかせ、その風景をより一層引き立てます。車両の通行が禁止された細い路地なので、安心してゆったりと散歩を楽しめるのも魅力。写真好きにはたまらない、どこを切り取っても絵になる素晴らしい景色が広がっています。

    湖畔のプロムナードで心穏やかなひとときを

    村歩きに疲れたら、湖畔に沿って続くプロムナード(遊歩道)へ足を運んでみましょう。広がる翡翠色の湖面と、対岸に連なる壮大な山並みは、いつまでも見つめていられるほどの美しさです。遊歩道にはたくさんのベンチが設置されており、ただ座って湖を眺めるだけでも最高の贅沢となります。

    心地よい風に吹かれながら、カフェのテラス席で一杯のコーヒーを楽しんだり、湖畔のレストランでこの地方ならではの料理に舌鼓を打ったりするのもおすすめです。夕暮れ時にはまた異なる表情を見せ、夕日に染まる空と山々が湖面に映り込み、オレンジから紫へと変わるマジックアワーは、忘れ難い旅の思い出となるでしょう。ブリエンツ村での過ごし方は、急ぐことなく、慌てることなく、ただ目の前に広がる美しい風景と穏やかな時間に身をゆだねることこそが、最も贅沢な楽しみ方なのです。

    天空へ続く軌跡、ブリエンツ・ロートホルン鉄道

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    ブリエンツ湖のほとりを訪れるなら、必ず体験したいのが「ブリエンツ・ロートホルン鉄道」です。この登山鉄道は、ブリエンツ駅から標高2,244メートルのロートホルン山頂までを結び、長い歴史を誇っています。特に注目すべきは、多くの列車が100年以上前に製造された蒸気機関車(SL)で運行されていることです。現代において、これほど本格的な蒸気機関車の登山鉄道に乗れる場所は、世界的に見ても非常に珍しいと言えるでしょう。

    五感で楽しむ蒸気機関車の旅

    ブリエンツ駅のホームで見られる、真っ赤なレトロな客車と黒煙を勢いよく吐き出す蒸気機関車。その姿を目にした瞬間から、旅の期待が高まります。どこか懐かしさを感じさせる「ポーッ」という汽笛の音を合図に、列車はゆっくりと動き出します。ガタンゴトンと響く揺れ、窓から漂う石炭の香り、そして後方から聞こえてくる「シュッ、シュッ」という蒸気の音。これらすべてが、現代の電車では味わうことのできない五感を刺激する貴重な体験です。

    列車はアプト式のラックレールを力強くかみしめながら標高をぐんぐんと稼いでいきます。車窓の景色は刻々と移り変わり、初めはブリエンツの愛らしい街並みが広がり、やがて緑豊かな森林地帯へと変わります。木々の合間から見える眼下のブリエンツ湖は、まるで宝石のように煌めき、標高が上がるにつれてその美しさは一層際立ち、まるで空から町を見下ろす鳥の視点へと変わっていきます。

    約1時間の列車の旅はあっという間に過ぎますが、それは単なる移動ではなく、一つの感動的なアトラクションそのものです。まるで時代を遡り、ノスタルジックで心温まる時間を過ごす、貴重な体験と言えるでしょう。

    スポット情報詳細
    名称ブリエンツ・ロートホルン鉄道 (Brienz Rothorn Bahn)
    区間ブリエンツ駅 (標高566m) 〜 ロートホルン・クルム駅 (標高2,244m)
    所要時間約1時間
    運行期間6月上旬〜10月下旬頃(積雪状況により変動あり)
    特徴19世紀末より続く歴史的な蒸気機関車による登山鉄道。山頂からの絶景は必見。

    雲上の大パノラマ、ロートホルン山頂の絶景

    終点のロートホルン・クルム駅に着くと、そこはまさに天空の世界が広がっています。ひんやりと気持ちのよい空気が、火照った体を優しく包み込みます。駅の隣にある展望台や山頂レストランのテラスからの眺望は、言葉にならないほど見事です。

    眼下にはさっきまでいたブリエンツの村がまるでおもちゃのように小さく見え、細長く伸びるブリエンツ湖の全貌を一望できます。その翡翠色の湖面は陽光を浴びることで銀色に輝き、まるで天の川のような煌めきを放ちます。さらに目を上げれば、360度にわたる壮大なパノラマが目の前に展開。西にはインターラーケンの街とトゥーン湖、南にはアイガー、メンヒ、ユングフラウの名峰が連なるベルナー・オーバーラント地方のアルプスの峰々が屏風のように並び、その総数はなんと693峰にのぼると言われます。

    この場所に立つと、日常の悩みがいかに小さなことだったかを実感させられます。大自然のスケールの巨大さの前では、人間という存在の小ささを思い知らされると同時に、この地球という星の偉大さを強く感じることでしょう。風の音だけが静かに響く中、この絶景を心に深く刻み込む時間は、まさに魂を揺さぶられるような感動的な瞬間であり、旅のハイライトです。

    山頂にはレストランもあり、絶景を眺めながら食事や休憩を楽しむことができます。また、体力に自信のある方は、山頂からのハイキングに挑戦するのもおすすめです。高山植物が咲き乱れる道を歩きながら、移り変わる景色を堪能する時間は、かけがえのない思い出となるでしょう。

    水煙が舞う聖域、ギースバッハの滝

    ブリエンツ湖の南岸に位置し、深い森の奥にまるで秘密の楽園のようにたたずむ場所があります。それがギースバッハの滝(Giessbachfälle)です。14段にわたり、合計約500メートルの高さから水が流れ落ちるこの滝は、その壮大な姿と美しさで昔から多くの人々を惹きつけてきました。単に滝を眺めるだけでなく、滝の裏側を歩けるユニークな体験が、この地を特別なものにしています。

    滝の裏を歩く、幻想的な体験

    ブリエンツ湖から船に乗りギースバッハの桟橋に降り立つと、歴史ある赤いケーブルカーが丘の上へと案内してくれます。1879年に開通したこのケーブルカーは、ヨーロッパで最も古いもののひとつです。レトロな車両に揺られながら森を登る時間も、冒険の始まりとしてワクワクするでしょう。

    ケーブルカーを降りると目の前に壮麗な「グランドホテル・ギースバッハ」が姿を現し、その背後からは「ゴオォォ」と地鳴りのような音が響き渡ります。音の方向へ遊歩道を進むと、ついにギースバッハの滝がその全貌を見せてくれます。複数の流れに分かれた白い飛沫が、緑深い木々や苔むした岩を滑り落ちる様子は、力強くも繊細でまるで一枚の絵画のようです。

    この滝の最大の見どころは、主要な滝が流れ落ちる滝壺の裏側に遊歩道が設けられている点です。水しぶきがミストのように降り注ぎ、肌を濡らしても気にせず、水のカーテンの向こう側に足を踏み入れられます。轟音と飛沫に包まれ、滅多に見られない角度から滝を感じるこの体験は、自然の力を全身で受け止める非常に力強く神秘的な時間です。水のカーテン越しに望むブリエンツ湖の風景もまた格別で、まるで別世界に迷い込んだような不思議な感覚が味わえます。

    スポット情報詳細
    名称ギースバッハの滝 (Giessbachfälle)
    場所ブリエンツ湖の南岸
    アクセスブリエンツまたはインターラーケン・オストから湖船で「Giessbach See」船着き場へ。そこからケーブルカーか徒歩で登る。
    特徴14段にわたり壮大に流れ落ちる滝。滝の裏側を歩ける遊歩道がある。豊富なマイナスイオンを浴びられる。

    時代を映す、美しきグランドホテル・ギースバッハ

    ギースバッハの滝のすぐそばには、おとぎ話に出てくるお城のように優雅な「グランドホテル・ギースバッハ(Grandhotel Giessbach)」が佇んでいます。1874年に創建されたこの歴史あるホテルは、ベル・エポックの華やかさを色濃く伝える貴重な存在です。ヴィクトリア女王をはじめ多くの王侯貴族や芸術家たちが訪れ、この地の絶景と静けさを愛しました。

    一時閉鎖の危機に直面しましたが、自然保護団体が買い取り、創建当時の姿へと美しく修復されました。クラシカルで品格ある内装や、時代を感じさせる調度品の数々は、目にするだけで心が豊かになるでしょう。宿泊しなくても、ホテル内のレストランやカフェを利用できます。

    滝の轟音をBGMに、ホテルのテラスで優雅なアフタヌーンティーを味わうひとときはまさに至福です。目の前にはギースバッハの滝とブリエンツ湖が織り成す絶景が広がり、時間が止まったかのような穏やかで贅沢な空間が訪れます。力強い自然の美しさと人類の文化が完璧に調和したこの場所は、訪れた人々の心に深い安らぎと感動をもたらしてくれるでしょう。

    湖上の風になる。クルーズとアクティビティ

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    ブリエンツ湖の魅力を余すことなく堪能するには、湖の上からの景色を体験することが欠かせません。静かな湖面を滑るように進むクルーズ船は、湖畔の美しい村々や雄大なアルプスの山並みを、これまでとは異なる角度から見せてくれます。風を肌で感じ、水のさざめきを聴きながらゆったりと景色を楽しむひとときは、この旅の中でも忘れがたいハイライトとなるでしょう。

    絶景を巡る湖上のクルーズ

    ブリエンツ湖では、インターラーケン・オストとブリエンツ間を結ぶ航路を中心に、定期観光船が運航されています。歴史を感じさせるクラシックな外輪船「レッチュベルク号」から、モダンで快適な船まで多彩な種類があり、どの船を選ぶかも楽しみのひとつです。

    インターラーケンの船着き場を出発すると、船はゆっくりと翡翠色に輝く湖の中心へと進みます。デッキに出て、心地よい風を全身に受けながら360度広がるパノラマを満喫しましょう。右手には緑豊かな丘陵地帯が連なり、左手には険しい断崖が迫ります。正面には雪を頂いたアルプスの峰々が堂々とそびえ立っています。

    船は途中でいくつかの愛らしい村に立ち寄りながら進みます。先にご紹介したギースバッハの滝へは、この湖上クルーズが最も便利なアクセス方法です。船から望むギースバッハの滝は、森の中に白く細い流れを描き、陸上とはまた違った美しさを見せてくれます。また、韓国ドラマのロケ地として知られるイゼルトヴァルトの、湖に突き出た小さな半島と教会が織り成す風景は、おとぎ話の一場面のように幻想的です。

    およそ1時間15分の船旅は見どころが豊富で飽きることがありません。多くの船にはレストランも併設されているため、スイスワインを片手にゆったりと移り変わる景色を眺めながらのランチタイムは、非常に贅沢なひとときとなるでしょう。陸上の車や列車から見る風景とは異なり、湖の上という遮るもののない場所からの眺めは、ブリエンツ湖とアルプスの壮大な自然美を最も直接的に感じさせてくれます。

    よりアクティブに、湖と一体化する体験

    穏やかなクルーズも魅力的ですが、もう少しアクティブに湖を楽しみたい方には、多彩なウォーターアクティビティに挑戦することをおすすめします。ブリエンツ湖は水質が極めて良く、夏季には多くの人が湖水浴を楽しむ人気スポットとなっています。アルプスの雪解け水が流れ込むため水温はやや低めですが、その透明度と清涼感は格別です。

    近年注目を集めているのが、カヤックやスタンドアップパドルボード(SUP)です。自らの力で湖面を進み、気に入った場所で立ち止まって景色を楽しんだり、静かな入り江を探検したりと自由度が高く、モーターボートとは違って静かで環境にも配慮されたこれらのアクティビティは、自然との一体感をより深く味わわせてくれます。湖面に近い視点で見上げる山々は迫力があり、新たな発見と感動が得られるでしょう。

    特に風がなく鏡のように穏やかな早朝、カヤックを漕ぎ出す時間はまさに至福のひとときです。鳥のさえずりとパドルが水をかく音だけが響き渡る静寂の中、朝日に染まるアルプスの山々を眺める体験は、一生忘れられない魂に刻まれる思い出となるでしょう。湖畔のいくつかの村では用具のレンタルやガイド付きツアーが用意されており、初心者でも安心して楽しむことができます。

    愛の不時着、麗しの村イゼルトヴァルト

    ブリエンツ湖の南岸に、まるで湖面に浮かんでいるかのように佇む小さな村があります。その名前はイゼルトヴァルト(Iseltwald)。人口は約400人ほどの静かな村ですが、近年は世界各国から多くの観光客が訪れる人気スポットとなりました。そのきっかけとなったのが、日本でも大ヒットした韓国ドラマ「愛の不時着」。ドラマ内で、主人公がピアノを演奏する非常に印象的で美しいシーンが、この村の湖畔で撮影されたのです。

    ドラマの感動が蘇る、湖畔の桟橋

    ドラマファンでなくとも、この村の景色に心を奪われることでしょう。村の中心から湖へと向かって、一本の長い木製の桟橋が伸びています。ドラマのロケ地となったのは、まさにこの場所です。穏やかな湖面、背後にそびえる古城(シェール城)、そして対岸に連なる山々が見事に調和し、ロマンティックでやや切なさを感じさせる、詩情豊かな雰囲気を醸し出しています。

    この桟橋に立つと、誰もがドラマの主人公になったような気持ちに浸るかもしれません。翡翠色の湖水を覗き込めば、その高い透明度に驚かされます。まるで空中に浮かんでいるかのような錯覚を覚えるほどです。ここで深呼吸をすれば、澄み渡った空気が体中を満たし、心が静かに癒やされていくのを感じるでしょう。

    私が訪れた際も、多くの人々がこの桟橋でそれぞれの時間を過ごしていました。ドラマの感動的なシーンを思い出しながら写真を撮るカップル、静かに湖を見つめる人、友人たちと笑い合うグループ。国籍や年齢を問わず、多くの人がこの美しい景色に癒やしを求めて訪れているのが印象的でした。あの感動的なピアノの旋律が、湖を渡る風とともに聞こえてくるような、不思議な感覚に包まれる場所です。

    スポット情報詳細
    名称イゼルトヴァルト (Iseltwald)
    場所ブリエンツ湖の南岸
    アクセスインターラーケン・オストからバスで約25分、または湖上船で約45分
    特徴韓国ドラマ「愛の不時着」のロケ地として知られる。湖に突き出した桟橋から見える景色が絶景。静寂で絵のように美しい村。
    注意点観光客の増加に伴い、桟橋への入場に数フラン程度の料金がかかる。村は非常に小さく、静かに散策することが求められている。

    静寂と美しさが広がる小さな宝石のような村

    イゼルトヴァルトの魅力は、ドラマのロケ地であることだけに留まりません。村全体が、時間を忘れてゆったりと散策するのにぴったりの魅力にあふれています。湖畔沿いの遊歩道を歩くと、伝統的なシャレー様式の家々が立ち並び、その庭先はいつも色とりどりの花に彩られています。

    村の象徴的存在であるシェール城(Seeburg)は、現在リハビリテーションセンターとして利用されているため内部の見学はできませんが、湖に突き出た半島の上に建つ優美な姿は、村の風景に中世の趣を添えています。村内には大規模なホテルや土産物店はほとんどなく、昔ながらの静かで穏やかな生活が今もなお息づいています。だからこそ、訪れる人は心からリラックスでき、この村ならではの本来の美しさをゆっくりと味わうことができるのです。

    インターラーケンからはバスや船で気軽にアクセスできるため、半日ほどの小旅行にも最適です。ただし、その人気ゆえに特に週末や夏季シーズンは多くの観光客で賑わいます。もしこの村の静けさをじっくり堪能したい場合は、観光客がまだ少ない早朝や、シーズンオフの時期に訪れることをおすすめします。湖畔のカフェでひと息つきながら、ゆっくりと流れる時間を感じる。それこそが、イゼルトヴァルトで過ごす最高のひとときなのでしょう。

    旅の醍醐味、湖畔で味わうスイスの恵み

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    旅の楽しみとは、美しい風景や感動的な体験だけに留まりません。その土地特有の食文化に触れることも、旅の価値を高める重要な要素です。ブリエンツ湖の周辺は、豊かな自然が育んだ食材の宝庫です。湖の恵み、山の恵み、そしてスイスが誇る世界的な乳製品。これらを活かした素朴で美味しい料理が、旅人の心身を満たしてくれます。

    翡翠の湖が育む、新鮮な魚の味わい

    これほど美しく澄んだ水をたたえるブリエンツ湖で獲れる魚は、当然のごとく絶品です。湖畔のレストランでぜひ味わっていただきたいのが、新鮮な川魚料理です。特に「フェルヒェン(Felchen)」と呼ばれる白身魚はこの地域の名産品。淡白で上品な味わいを持ち、ムニエルやグリルなどシンプルな調理法で、その美味しさが際立ちます。

    湖畔のテラス席で、輝く湖面を眺めながら地元の白ワインと共に焼きたてのフェルヒェンをいただくのは格別です。そこにレモンをきゅっと絞れば、爽やかな酸味が繊細な魚の風味をいっそう引き立てます。まさにこの地の自然の恵みを丸ごと味わう、深く満たされる食体験となるでしょう。また、イワナ(Forelle)やパーチ(Egli)も人気が高く、レストランごとに様々な調理法で提供されています。

    チーズと伝統が織りなす、心温まるスイス郷土料理

    スイス料理と聞けば、多くの人が最初に思い浮かべるのはチーズフォンデュではないでしょうか。もちろん、このベルナー・オーバーラント地方でもチーズフォンデュは冬の定番として親しまれています。しかし、この地方ならではの郷土料理もぜひ味わってみてください。

    代表的なのが「レシュティ(Rösti)」。細切りにしたジャガイモをフライパンでカリッと焼き上げた、スイス流のハッシュドポテトです。外は香ばしく、中はもっちりとした食感が魅力。目玉焼きやソーセージ、チーズをのせてメインとしていただくことが多いです。素朴ながらも奥深い味わいがあり、どこか懐かしさと心温まる感覚をもたらします。

    また、山小屋(ベルクハウス)のレストランで味わえる「アルペンマカロニ(Älplermagronen)」もおすすめです。マカロニとジャガイモをチーズとクリームで和え、その上にたっぷりのフライドオニオンをのせたボリューム満点の一品。伝統的に甘いリンゴのピュレを添えて食べるのが特徴で、この甘じょっぱい組み合わせが意外にも絶妙なハーモニーを生み出します。ハイキングで疲れた身体に、この濃厚な味わいがよく染み渡ります。

    これらの料理は、決して洗練されたグルメと呼べるものではありません。しかし、アルプスの厳しい自然の中で暮らす人々が知恵と工夫を重ねて生み出した、温かさと力強さを感じさせる味わいに溢れています。美しい風景とともに、この土地の食文化をじっくり味わうことで、ブリエンツ湖の旅は一層心に残るものとなるでしょう。

    翡翠の湖が心に遺す、永遠のきらめき

    私たちのスイス、ブリエンツ湖を巡る旅も、いよいよ終わりが近づいてきました。まるで神々が溶かし出したかのような翡翠色に輝く湖面、木彫りの魂を宿した村、天空へと駆け上がる蒸気機関車、そして水煙が舞い上がる壮大な滝。この湖が持つ多彩な魅力に触れながら、私たちの心に何が刻まれたのでしょうか。

    それはきっと、目を見張る絶景の記憶だけではないはずです。湖畔に佇み、静かに水面を見つめたひととき。心地よい風に吹かれながら、プロムナードをゆったりと歩いた穏やかな時間。力強い蒸気機関車の鼓動を感じ、大自然の壮大さに心を奪われた瞬間。そのすべてが私たちの五感に深く染み込み、日常に戻ってからもふとした時に鮮明に蘇る色褪せない宝物となったことでしょう。

    ブリエンツ湖の旅は、私たちに「何もしない贅沢」の意味を教えてくれました。時間に追われ、常に何かを成し遂げようと忙しく過ごす日々から離れて、ただそこにある美しい自然へ身を委ねること。風のささやきに耳を澄ませ、水の煌めきを見つめ、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。こうしたシンプルな行為が、どれほど私たちの心と身体を癒し、満たしてくれるのかを実感させてくれます。

    この湖が放つ翡翠色の輝きは、あなたの心の中に小さな灯をともしたかもしれません。それは、疲れた時にそっと癒しを与え、迷いの中では進むべき道を優しく照らしてくれる、静かで力強い光。次に訪れる旅先を思い描くとき、ぜひこのブリエンツ湖の永遠に輝く煌めきを思い出してください。翡翠の湖は、いつでもその美しい姿で再びあなたを温かく迎えてくれることでしょう。

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    この記事を書いた人

    韓国留学経験のある莉佳です!K-POPや最新コスメ、ソウルのトレンド情報を発信しています。ファッションと音楽をテーマにした、Z世代ならではのリアルな韓国の旅をお届けします。一緒に韓国カルチャーを楽しみましょう!

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