日々の喧騒、絶え間なく押し寄せる情報、そして気づかぬうちに心に溜まっていく澱のような疲れ。ふと、すべてを洗い流してくれるような、圧倒的な自然の中に身を置きたいと感じることはありませんか。もしあなたが今、そんな深い癒やしを求めているのなら、クロアチアの心臓部にひっそりと存在する「プリトヴィツェ湖群国立公園」こそ、訪れるべき場所かもしれません。
そこは、まるで地球が秘蔵してきた宝石箱をそっと開いたかのような世界。エメラルドグリーンに輝く湖、純白の飛沫を上げて流れ落ちる無数の滝、そしてそれらを優しく包み込む深い森。一歩足を踏み入れれば、澄み切った空気が肺を満たし、水のせせらぎが思考のノイズをかき消してくれます。私が旅をするとき、持ち物はいつも最小限。背負う荷物が軽いほど、心は自由になり、目の前の世界の美しさを素直に受け止められるからです。このプリトヴィツェは、まさにそんな身軽な心で訪れたい、魂の故郷のような場所なのです。さあ、日常という重いコートを脱ぎ捨てて、生命の源流へと還る旅に出かけましょう。
魂が洗われる旅を求めるなら、骸骨が語る生と死の荘厳な物語もまた、心に深い気づきをもたらすでしょう。
プリトヴィツェ湖群国立公園とは? – 地球が生んだエメラルドの宝石箱

プリトヴィツェ湖群国立公園は、クロアチアの首都ザグレブとアドリア海沿岸の都市ザダルの中間に位置する広大な国立公園です。1979年にユネスコの世界自然遺産に登録され、その類稀な美しさから「ヨーロッパの秘境」とも称されています。
この公園の最大の特徴は、大小16の湖が標高差のある石灰岩の地形に階段状に連なっている点です。それらの湖をつなぐように、大小合わせて92の滝が流れ落ちています。自然が織りなす圧巻のウォーターガーデンの姿は、訪れる人々の心を深く惹きつけてやみません。
この幻想的な景観は一体どのようにして生まれたのでしょうか。その秘密は「石灰華(せっかいか)」あるいは「トラバーチン」と呼ばれる現象にあります。この地域の水には、石灰岩から溶け出した炭酸カルシウムが豊富に含まれており、その流れの中で水中の植物や苔、岩に炭酸カルシウムが付着し、長い時間をかけて沈殿し石化していきます。この沈殿物がトラバーチンの堆積となり、自然のダムを形作るのです。このダムが水をせき止めて新たな湖を生み出し、その上を水が越える際に滝が新たに誕生します。プリトヴィツェは、今もなお形を変え続けながら発展している、生きた風景なのです。
このトラバーチンこそが、プリトヴィツェの湖にあの神秘的な色彩をもたらす魔法の源でもあります。水に溶け込んだ鉱物や有機物、そして光の角度が組み合わさることで、湖水は目を見張るほど鮮やかなエメラルドグリーンやターコイズブルーに輝きを放ちます。驚くほどの透明度を誇り、湖底に沈む倒木や優雅に泳ぐ魚の姿まではっきりと見渡せるのです。その湖面を眺めているだけで、まるで心が浄化されていくような不思議な感覚に包まれます。
公園内では、この繊細な自然環境を守るため、湖や湿地帯の上に木製の遊歩道が整備されています。訪れる私たちは、この木道を歩くことでまるで水の上を散歩しているかのような感覚を味わいながら、雄大な絶景の中を巡ることができます。自然への影響を最小限に抑えつつ、その奥深くまで立ち入ることを許してくれる。この絶妙な配慮こそが、プリトヴィツェが世界中の人々から愛される理由の一つといえるでしょう。
なぜプリトヴィツェは心を惹きつけるのか?そのスピリチュアルな魅力
プリトヴィツェの美しさは、単なる観光名所という言葉では到底表現しきれません。ここには、私たちの心や魂の奥深くに直接響き渡るような、精神的なエネルギーが満ちています。なぜこれほどまでに私たちがこの地に引き寄せられるのか、その理由を探りたくなるのです。
水の力 ― 生命の源に触れる浄化の体験
まず最初に感じるのは、圧倒的な「水の力」です。生命の根源である水が、この場所では多様な姿でその存在感を示しています。轟音とともに流れ落ちる滝が発する力強いエネルギーは、心にたまった淀みを洗い流し、解き放ってくれるかのようです。その響きはまさに地球の鼓動そのもの。しばしその場に立ち尽くすと、思考が静まり、純粋なエネルギーの流れに身を委ねる感覚に包まれます。一方で、鏡のように静かな湖面は、私たちの心のありようを映し出します。波一つない水面をじっと見つめることで、乱れた感情が落ち着き、内面の静寂を取り戻せるでしょう。流れる水と溜まる水、その両方を同時に体験することにより、私たちは心と体のバランスを整え、浄化されてゆくのです。
色の魔法 ― 魂を癒すエメラルドの輝き
プリトヴィツェの湖が醸し出す特有の色彩にも、ひときわ特別な力が宿っています。エメラルドグリーンやターコイズブルーは、色彩心理学の観点から癒しや調和、心の解放を表す色として知られています。特にグリーンはハートチャクラに対応する色であり、見る者の心を開き、愛情や安らぎを呼び起こす効果があるとされています。プリトヴィツェでのウォーキングは、まさにこの「緑の癒し」を全身で受ける体験です。木々の緑、苔の鮮やかな緑、そして湖水の緑。重なり合う様々な緑の階調に包まれると、自然と肩の力が抜け、素直でありのままの自分に戻れるように感じられます。光の具合や時刻によって移ろう湖の色は、生き物のように表情を変え、その変化を見つめているだけで、時間があっという間に過ぎてしまうでしょう。
森の呼吸 ― フィトンチッドに満たされる森林浴
滝や湖を囲むのは、ブナやモミの木々が生い茂る原生林です。この豊かな森は、公園全体に清らかな空気を送り届けています。木々から放出される「フィトンチッド」という揮発性の物質には、心身のリラックスを促し、ストレスを和らげ、免疫力を高める効果が科学的に認められています。木道を一歩一歩踏みしめながら、深く息を吸い込んでみてください。湿った土の香り、苔の薫り、そして木々の甘く心地よい香りが混ざり合った、生き生きとした空気が全身の細胞に行き渡るのが感じられるでしょう。これは単なる散策ではなく、森が放つ生命のエネルギーを呼吸を通じて自分の中に取り入れる、至高の森林浴体験なのです。
生命の循環 ― 朽ちゆくものと生まれるものの調和
プリトヴィツェの森を歩いていると、湖底に沈んだ倒木や、倒れた木の上に新たに苔や草が芽吹いている光景を多く目にします。ここでは、朽ちてゆくものも醜いものとして排除されることなく、次なる生命を育む大切な土台としてそのままの姿で存在しています。水は絶え間なく流れ、岩を削り、木は育ち、やがて枯れていく。この公園全体が、壮大な「生命の循環」のミニチュアなのです。この風景は私たちに伝えています。終わりは新しい始まりであり、変化は自然の摂理であると。人生における変化や困難も、この大きな自然のサイクルの一環であると理解できれば、心は少し軽やかになるでしょう。プリトヴィツェはその静謐な佇まいで、私たちに深い受容の気持ちを与えてくれるのです。
究極のウォーキング体験へ – おすすめハイキングコース徹底ガイド

プリトヴィツェ湖群国立公園の最大の魅力は、その圧巻の景観を自分の足で間近に体験できる点にあります。公園内には、所要時間や体力に応じて選べる複数の公式ハイキングコースが用意されており、ここではその中でも特におすすめのコースをいくつかご紹介します。自分の心と体のコンディションを感じ取りながら、最適なルートを見つけてみてください。
公園は大きく分けて、静謐かつ神秘的な雰囲気を醸し出す「上湖群(Gornja Jezera)」と、公園のシンボルであるヴェリキ・スラップ(大滝)をはじめとした壮大な景観が広がる「下湖群(Donja Jezera)」の2つのエリアに区分されています。多くのコースは、この両エリアの見所をエコボートやパノラマバスをうまく組み合わせて効率的にめぐれるよう工夫されています。
初心者でも安心!絶景を満喫できるショートコース(コースC:約4〜6時間)
プリトヴィツェ初訪問の方や、体力にあまり自信が無いけれど主要な見所は外したくないという人に最も人気があり、推奨されるのが「コースC」です。公園の魅力を凝縮した、まさに定番と呼べるルートです。
多くの人はエントランス2からスタートします。まずはパノラマバスに乗って、一気に上湖群の最高地点へと移動。車窓から見える景色に、これから始まるウォーキングへの期待が膨らみます。バスの終点で降りたあとは、緩やかな下り坂を主体とした快適なハイキングがスタートします。
静寂が支配する上湖群の森の中、木道を歩き始めるとすぐにエメラルドグリーンに輝く湖が姿を現します。大小さまざまな滝が次々と出現し、水音と森の静けさが絶妙なハーモニーを織り成します。木道は水面すれすれに設置されているため、まるで湖の上を歩いているかのような独特の浮遊感を味わえます。透き通った水中では魚が泳ぐ様子も間近に観察でき、自然との一体感を強く実感できるでしょう。
上湖群の散策を終えると、公園内で最大のコジャク湖にたどり着きます。ここからはエコボートに乗船し、約20分間のゆったりとした湖上クルーズを楽しみます。ボートから眺める景色は歩いている時とはまた異なる趣があり、雄大な自然に包まれていることを肌で感じられます。対岸に着いたら、いよいよ下湖群のハイキング開始。下湖群はよりダイナミックで開放的な景観が特徴で、最大の見どころは落差約78メートルを誇るクロアチア最大の「ヴェリキ・スラップ(大滝)」です。展望台からの眺めも素晴らしいですが、ぜひ滝壺のそばまで近づいてみてください。轟く水音と飛沫を全身に浴びれば、心身共にリフレッシュできることでしょう。
この「コースC」は、徒歩だけでなくバスやボートも活用するため、体力を温存しつつ効率的に絶景を満喫できるのが魅力です。プリトヴィツェの魅力を存分に味わえる、非常に満足度の高い定番コースとなっています。
健脚向け!公園を縦横無尽に味わい尽くすロングコース(コースK:約6〜8時間)
体力に自信があり、プリトヴィツェの自然をじっくりと深く味わいたい方には、最長コースの「コースK」にチャレンジすることをおすすめします。このコースは乗り物を一切使わず、全区間を自分の足だけで歩き切る、まさに究極のトレッキングルートです。
歩行距離は約18.3kmと決して楽な道のりではありませんが、その先には他のコースでは味わえない特別な体験が待っています。コースKの最大の魅力は、その静寂です。多くの観光客で賑わう主な遊歩道から少し外れ、森の奥深くへ分け入るため、すれ違う人もほとんどいません。聞こえてくるのは、自分の足音、風に揺れる木々のざわめき、そして遠くから響く滝の音だけ。こうした静けさの中を歩く時間は、まるで動く瞑想のような体験です。
余計な荷物を持たず、一歩一歩足元を確かめながら歩くことで、思考が静まり五感が研ぎ澄まされていきます。苔の香り、土の感触、木漏れ日の温もりといった、日常生活では見落としがちな自然の微細な表情に気づけるでしょう。これは、必要最小限の装備で旅をする私のスタイルにも通じる部分があります。荷物も欲も最小限にしてこそ、目の前の風景の本当の価値を感じ取ることができるのです。コースKは、そんなミニマリズムの真髄を味わえる道でもあります。
もちろん、ヴェリキ・スラップや上湖群の数々の滝など、主要な名所はすべて網羅しています。しかし、このルートで得られる最大の収穫は、目に見える風景以上に、そこへ至る過程と自然と一体になる時間自体にあるのかもしれません。挑戦には準備(トレッキングシューズの装着、十分な飲食物の携行、地図の確認)が必要ですが、完歩した際の達成感と心に響く感動は計り知れないものがあります。
時間が限られている方へ – 下湖群を凝縮したショートコース(コースA:約2〜3時間)
旅のスケジュールに余裕がなくても、プリトヴィツェの雰囲気を少しでも味わいたいという方には、下湖群の見どころに絞った「コースA」をおすすめします。所要時間は2〜3時間と短時間ですが、プリトヴィツェの象徴的な景観をしっかり楽しめるコースです。
スタートはエントランス1から。展望台から望む下湖群のパノラマは、まるで絵はがきのような美しさです。そこから遊歩道を下っていくと、すぐにハイライトのヴェリキ・スラップに到着。間近でその迫力を体感したあとは、青く輝く湖畔に設置された木道を歩きます。短いながらも洞窟をくぐったり大小の滝を楽しんだり、変化に富んだコースになっています。時間が限られていても、プリトヴィツェの壮大さのエッセンスを効率よく味わえる、コストパフォーマンスの優れたルートです。
| コース名 | 所要時間(目安) | 歩行距離(目安) | 特徴 | 見どころ |
|---|---|---|---|---|
| コースA | 約2〜3時間 | 約3.5km | 下湖群を巡る最短コース。エントランス1発着。 | ヴェリキ・スラップ、下湖群のパノラマビュー |
| コースB | 約3〜4時間 | 約4.0km | コースAにコジャク湖のボート横断を組み合わせたコース。 | ヴェリキ・スラップ、エコボート乗船体験 |
| コースC | 約4〜6時間 | 約8.0km | 公園全体の見どころをカバーする最も人気のコース。バスとボート利用。 | 上湖群の滝、コジャク湖クルーズ、ヴェリキ・スラップ |
| コースK | 約6〜8時間 | 約18.3km | 公園全体を徒歩のみで巡る最長コース。健脚向け。 | 公園全体の景観、静かな森のトレイル、達成感 |
プリトヴィツェを歩くための心得 – 旅をより深く、豊かにするために
この比類なき自然の聖地を訪れる際には、いくつかの心得を把握しておくことで、旅がより安全かつ思い出深いものになります。自然への尊敬を忘れず、最高の体験をするための準備を整えましょう。
ベストシーズンはいつ?四季折々に表情を変える湖
プリトヴィツェは訪れる時期によってまったく異なる魅力を見せてくれます。それぞれの季節が独自の美しさを持っており、「ベストシーズン」はあなたが求める体験内容によって異なります。
春(4月~5月)
雪解け水が流れ込み、一年で最も水量が増すこの季節は、滝の迫力がピークに達します。枯れ木ばかりだった森林が一斉に芽吹き、鮮やかな新緑が湖面に映し出される様子は、生命の力強さを強く感じさせてくれます。訪問者もまだ多くなく、静かに自然と向き合いたい方に特におすすめの時期です。
夏(6月~8月)
深緑の森と降り注ぐ太陽の光に照らされて、湖がターコイズブルーに輝く、プリトヴィツェの典型的な風景が広がります。いわゆるハイシーズンで、気候も安定しているためウォーキングに最適ですが、世界中から多くの観光客が訪れるため、特に日中は大変混み合います。この季節に行くなら、開園直後の早朝を狙うのが賢明です。
秋(9月~10月)
私個人が最も美しいと感じるのは秋のプリトヴィツェです。ブナの原生林が黄色やオレンジ、赤に色づき、燃え盛るような紅葉がエメラルドグリーンの湖面に反射する光景は、まるで一枚の絵画のよう。澄んだ冷たさの漂う空気の下で、夏の喧騒が嘘のように静かな環境で散策を楽しめます。感傷的でありながら、豊かな色彩に心が満たされる季節です。
冬(11月~3月)
雪と氷に覆われた冬のプリトヴィツェは、まるでファンタジー映画の一場面のような幻想的な美しさを誇ります。凍結した滝「氷瀑」や木の枝に付いた樹氷は、この季節ならではの特別な風景です。ただし、寒さと積雪の影響で一部遊歩道が閉鎖されたり、エコボートやバスの運行が休止されたりする可能性があります。訪問前には最新情報の確認と十分な防寒対策を忘れずに。
服装と持ち物 — 自然への敬意を込めた準備
シンプルな荷物が理想とはいえ、自然の中を歩く以上は快適さと安全を確保するための最低限の装備が必要です。
歩きやすい靴
最も重要な装備です。公園の遊歩道は整備されているものの、木道は濡れると滑りやすく、石畳や未舗装のトレイルもあります。普段のスニーカーよりも、靴底にしっかりとした凹凸があり足を保護するトレッキングシューズやハイキングシューズを強く推奨します。
重ね着できる服装
山岳地帯に位置するプリトヴィツェは天候が変わりやすく、夏でも朝晩は冷え込むことがあります。体温調整がしやすいよう、速乾性のあるインナー、保温性に優れたフリースや薄手のダウン、さらに防風・防水性のあるジャケットを組み合わせるレイヤリングが基本です。脱ぎ着しやすい服を心掛けましょう。
雨具
急な雨に備えて雨具は必携です。両手が使える上下分かれたレインウェアの方が、傘よりも便利で安全です。
水と軽食
長時間の散策には水分補給が欠かせません。ペットボトルや水筒を持参しましょう。公園内には売店やレストランもありますが数は限られています。エネルギー補給用のチョコレートやナッツ、シリアルバーなどの軽食を持っていると安心です。
その他
日差しが強い時期には帽子、サングラス、日焼け止めが必須です。美しい風景を記録するためのカメラもお忘れなく。ただし、時にはカメラを置いて、ご自身の目と心でその景色をじっくり味わう時間も大切にしてください。
公園でのルールとマナー — 自然との共生のために
この繊細な自然環境は、バランスの上に成り立っています。未来の世代にこの宝物を遺すために、すべての訪問者が守るべきルールがあります。
指定された遊歩道を歩くこと
遊歩道を外れると、大切な石灰華の苔や植物を踏みつけて成長を妨げる原因となります。決してコースから外れないでください。
ゴミはすべて持ち帰ること
公園内にはほとんどゴミ箱がありません。「来た時よりも美しく」の精神で、自分が出したゴミは必ず持ち帰りましょう。
動植物の採取は禁止
美しい花や珍しい石を見つけても絶対に持ち帰らないでください。すべての動植物はこの生態系の重要な一員です。
湖での遊泳や釣りは禁止
湖の水は神聖なものです。遊泳のみならず、水に足を入れることも固く禁じられています。
ドローンの使用禁止
公園の静けさと安全を守るため、ドローンの飛行は厳禁となっています。
これらは単なる規則に留まらず、自然に対する敬意の表れです。この場所を訪れる一員として、責任ある行動を心掛けましょう。
プリトヴィツェへのアクセスと拠点選び

プリトヴィツェへの旅行を計画する際、アクセス方法と宿泊場所の選択は非常に重要なポイントとなります。ここでは主要な選択肢についてご案内します。
主な都市からのアクセス手段
プリトヴィツェ湖群国立公園には鉄道駅がないため、移動手段はバスかレンタカーが中心になります。
バスでのアクセス
クロアチアの主要都市、特に首都ザグレブやアドリア海沿岸のスプリット、ザダルからは、プリトヴィツェ行きの長距離バスが頻繁に運行されています。ザグレブの長距離バスターミナルからは、およそ2時間から2時間半で到着します。バスは公園のエントランス1とエントランス2のすぐそばに停車するため利便性が高いです。チケットは事前にオンラインで購入することをおすすめします。
レンタカーでのアクセス
時間に縛られず、自分のペースで旅行を楽しみたい方にはレンタカーがぴったりです。クロアチアの道路は比較的整備されており、運転しやすい環境が整っています。レンタカーを利用すれば、プリトヴィツェだけでなく、途中の小さな村や周辺の観光地にも自由に立ち寄ることができ、旅の幅が広がります。公園内には有料の広い駐車場が完備されています。
宿泊先のおすすめエリア
プリトヴィツェをじっくり楽しむためには、日帰りではなく少なくとも1泊することをおすすめします。宿泊者だけが味わえる早朝の静かな公園散策は格別です。
公園内のホテル
国営のホテルが公園内にいくつかあり、最大の魅力は抜群の立地です。ホテルのすぐ目の前がエントランスなので、開園時間と同時にほかの訪問者よりも早く入園できます。朝もやに包まれた幻想的な湖の風景は、まさに至福のひととき。ただし、ホテルの数は限られており、とくに繁忙期は数ヶ月前から予約が埋まってしまうため、早めの予約が必要です。
公園周辺の村にあるソベ(Sobe)
公園周辺には、個人経営の民宿やアパートメントタイプの宿泊施設、いわゆる「ソベ」が点在しています。ホテルよりも手頃な価格で、家庭的な雰囲気が魅力です。地元のオーナーから地域の情報を聞いたり、自家製の朝食を味わえたりするなど、クロアチアならではの温かいおもてなしを体験できます。ただし、多くのソベはエントランスから若干の距離があり、徒歩や車での移動が必要です。
スルニ(Slunj)/ラストケ(Rastoke)地区
プリトヴィツェから北へ車で約30分の位置にあるラストケ村は、「小さなプリトヴィツェ」とも呼ばれる美しい村です。川の合流点に家々が建ち並び、その下を清流や滝が流れる光景はまるで童話の世界のように魅力的です。プリトヴィツェの大自然とは一味違う、人々の生活と水の調和した愛らしい風景に触れることができます。プリトヴィツェ観光の拠点としてこの村を選び、両方の魅力を堪能するのも素敵なプランです。
ただ歩くだけではない、プリトヴィツェのもう一つの楽しみ方
プリトヴィツェでのウォーキングは、それ自体が素晴らしい体験ですが、少し視点を変えることで、その魅力をさらに味わい深く感じることができます。
水の音に耳を澄ませる—静けさの中の瞑想の時間
決められたコースを効率的に巡るだけが、プリトヴィツェの楽しみ方ではありません。時には、途中のベンチや開けた場所に腰を下ろし、ただ静かに時間を過ごしてみてください。目を閉じて聴覚に意識を集中させましょう。轟音を響かせる大きな滝の音や、小川のささやかな流れの音、岩から滴る水のポタポタという音。これらさまざまな水の音がまるでオーケストラのように響いてくるはずです。その音に身を委ねていると、日常の悩みや不安が水の流れに乗ってどこかへ流れていくような感覚に包まれるでしょう。自然の中で体験する、極上のマインドフルネス(瞑想)の時間です。
カメラを置いて、五感で刻む旅の記憶
あまりの美しさに、多くの人は写真撮影に夢中になります。もちろん、思い出を記録するのは素晴らしいことです。しかし、ファインダー越しの世界に没頭するあまり、その瞬間の「今ここにいる体験」が薄れてしまうのは少々惜しいことです。時には意識的にカメラやスマートフォンをカバンにしまい、全身の五感を開いて周囲の風景を感じてみましょう。頬をなでる風の肌触り、湿った空気の香り、木漏れ日の柔らかな暖かさ、鳥のさえずり。写真には映らない、こうした豊かな感覚こそが、心により深く焼き付く思い出になります。所有する記憶ではなく、体験として刻まれる記憶こそが、旅がもたらす真の豊かさなのです。
公園の味覚で元気をチャージ
自然の中で身体を動かした後の食事は、格別の美味しさを感じます。公園内のレストランや休憩所では、シンプルなクロアチア料理を楽しむことができます。特におすすめなのが、プリトヴィツェの清流で育ったマスのグリル。新鮮でクセがなく、レモンを絞ってシンプルに味わうその美味しさは、歩き疲れた体に心地よく染み渡ります。その他にも、焼きたてのパンに地元のチーズやハムを挟んだサンドイッチや、ボリューム感のある肉料理など、素朴ながらじんわりと美味しいメニューが揃っています。壮大な景観を眺めながら、その土地の恵みを味わうことも、旅の大きな喜びのひとつです。
プリトヴィツェが教えてくれる、人生で本当に大切なこと

プリトヴィツェの森を歩き終え、帰路に就くとき、あなたの心にはどんな思いが残るでしょうか。美しい景色の記憶はもちろんですが、それ以上に何か特別なものが、この地から得られるはずです。
悠久の時を経て形づくられた湖と滝の前に立つと、日々の悩みがいかに些細なものかを実感します。何万年という時間スケールで絶え間なく変化し、成長し続けている自然の営み。その壮大な流れの中で、私たち人間の人生もまた、ほんの一瞬の輝きとして存在していることを感じさせられます。
トラバーチンのダムのように、人生で積み上げてきた経験が今の自分という「湖」を形作っています。そして時には、そのダムを越えて新たな場所へ流れ出す「滝」のような変化も必要です。プリトヴィツェの姿は、留まることと動くこと、両方が生命にとって欠かせないものであることを静かに語りかけています。
私が身軽な旅を続けるのは、物理的な軽さが精神の自由と豊かさへと繋がることを知っているからです。プリトヴィツェという場所もまた、私たちに同じ教えをもたらしてくれます。何かを足すのではなく、むしろ余計なものをそぎ落としていく。思考を休め、ただ自然の中に身を委ね、その美しさを全身で感じ取る。その瞬間に、私たちの心は最も満たされるのかもしれません。
このエメラルドグリーンの奇跡は、あなたの心の中に永遠に消えない一つの風景として刻まれるでしょう。そして日常に戻り、心が再び乾きを覚えた時には、あの水の音や森の香りを思い出してください。プリトヴィツェで体験した深い静寂と生命の輝きが、きっとあなたの内なる泉を潤し、穏やかで力強いエネルギーとなって、明日を生きる支えとなるはずです。

