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    メルボルンのカフェ文化に触れる、心と身体が喜ぶ旅。世界最先端のヴィーガンブランチと魅惑のハラールスイーツを巡る。

    オーストラリア南東部に位置する、ビクトリア州の州都メルボルン。石造りの重厚な建築物と、壁を埋め尽くすストリートアートが共存するこの街は、「世界で最も住みたい街」ランキングの常連として知られています。その魅力は数多くありますが、中でもメルボルンの名を世界に轟かせているのが、街の隅々にまで根付いた豊かな「カフェ文化」です。

    メルボルンにとってカフェとは、単にコーヒーを飲む場所ではありません。人々が集い、語らい、インスピレーションを得るコミュニティの中心であり、日々の暮らしに欠かせないライフスタイルそのもの。朝の目覚めの一杯から、友人とのランチ、午後の静かなひとときまで、あらゆるシーンでカフェが彩りを添えています。そんなカフェ文化の聖地で今、注目を集めているのが「食の多様性」。今回は、健康や環境への意識が高いメルボルンの人々が愛する、世界最先端の「ヴィーガンブランチ」と、多文化都市ならではの奥深い「ハラールスイーツ」の世界を巡る旅にご案内します。それは、ただ美味しいものを味わうだけでなく、新しい価値観に触れ、心と身体が深く満たされる、大人のための豊かな食体験となるはずです。さあ、メルボルンの奥深き食の世界へ、一緒に旅立ちましょう。

    メルボルンの食の多様性をさらに深く探求するなら、路地裏のカフェから最先端のヴィーガン、ハラールの饗宴までを巡る食の迷宮への旅もおすすめです。

    目次

    メルボルンのカフェ文化とは?

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    メルボルンの街を歩くと、その数多くのカフェに誰もが驚かされることでしょう。大手チェーン店は目立たず、その代わりに個人経営の個性あふれるカフェが、大通りから細い路地に至るまであらゆる場所に点在しています。なぜこの街がこれほど独特なカフェ文化を築いてきたのか。その背景には、歴史と街の性格が深く関係しています。

    コーヒー愛の源泉

    メルボルンのコーヒー文化の基盤を作ったのは、第二次世界大戦後に移住してきたイタリア系移民たちでした。彼らが持ち込んだのは、蒸気圧を利用して一気に抽出する「エスプレッソ」の文化です。かつてはイギリスの影響で紅茶が主流だったこの土地に、濃厚で豊かな味わいのエスプレッソは大きな衝撃を与えました。1950年代には、イタリア人街として知られるカールトン地区のライゴンストリートを中心にエスプレッソバーが次々と開業し、メルボルンの住民たちは芳醇な香りと味わいに魅了されていきました。彼らがもたらした熱意は、単なる飲み物としてのコーヒーを超え、人生を彩る文化として根付かせたのです。

    レーンウェイ・カルチャーの魅力

    メルボルンのカフェ文化を語るうえで欠かせないのが、「レーンウェイ」と呼ばれる細い路地の存在です。中心街の碁盤目のように配置された大通りの間を縫うように、無数の狭い路地が広がっています。かつては荷物の搬入口やゴミ置き場として使われていた薄暗い通路が、今ではこの街で最も刺激的なスポットへと生まれ変わりました。壁面を彩るグラフィティアート、秘密基地のようなブティック、そして個性豊かなカフェ。一軒一軒を探し歩く宝探しのような楽しみが、メルボルン散策の醍醐味となっています。迷路のような路地を辿り、偶然見つけたカフェの扉を開ける瞬間のワクワク感は、ここだけの特別な体験です。かつては無価値だった空間に新たな価値を見出すこの精神は、時の積み重ねと再生の物語に惹かれる私の心にも深く響きました。

    バリスタは芸術家

    メルボルンでは、バリスタは単なるコーヒーを淹れるスタッフではありません。豆に関する知識、焙煎技術、抽出の腕前、さらには客との会話力を備えた尊敬すべき専門家であり、「コーヒーの芸術家」と言える存在です。彼らは一杯のコーヒーに哲学と情熱を込め、豆が持つ個性を最大限に引き出す方法を常に模索しています。カウンター越しに交わされる「今日の豆はどこ産?」「どんな特徴があるの?」といった会話は日常風景であり、バリスタとのやりとりを通じて自分好みの一杯を見つけるのもメルボルンのカフェの楽しみのひとつです。その真剣な姿勢は、まるで茶道のお点前を拝見しているかのような静かな感動を呼び起こします。

    サードウェーブコーヒーの潮流

    近年、世界のコーヒーシーンを席巻している「サードウェーブ」の流れは、メルボルンでも大きな影響を及ぼしています。これは、コーヒー豆の産地や農園、精製方法といった「豆の個性(シングルオリジン)」を重視し、一杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れるスタイルを指します。ワインのようにコーヒーのテロワール(生育環境)を語り、フルーティーな酸味や花のような香りを楽しむ。こうしたスペシャルティコーヒーへの探究心が、メルボルンのカフェ文化をさらに深みのあるものにしています。もはやこれは単なる眠気覚ましのカフェイン摂取ではなく、豆が紡ぐ物語を味わう、知的で豊かな体験へと昇華されているのです。

    身体が目覚める、アートなヴィーガンブランチ体験

    メルボルンはコーヒーへの強いこだわりで知られる一方、食に関しても健康志向が非常に高い都市です。特に最近では、「ヴィーガン」というライフスタイルが完全に定着しています。動物性食品(肉や魚、卵、乳製品、はちみつなど)を一切摂らないヴィーガニズムは、単なる食の選択にとどまらず、動物愛護や環境保護といった理念に根ざしています。そんなヴィーガン文化の中心地であるメルボルンでは、非常に創造的で美味しいヴィーガン料理に出会うことができます。今回は特に、休日の楽しみとして人気の高い「ブランチ」に焦点を当ててみます。

    なぜメルボルンでヴィーガンが支持されるのか?

    メルボルンにヴィーガン文化が深く根付いている背景にはいくつか要因があります。まず挙げられるのは、この街の「多様性を受け入れる包容力ある精神」です。さまざまな人種や文化が調和するメルボルンでは、個々の価値観やライフスタイルが尊重される風土が根付いています。食のスタイルもその例に漏れず、ヴィーガンは特別視されることなく、自然な選択肢として暮らしの中に浸透しています。

    加えて、環境意識の高さも大きなポイントです。畜産業が環境に及ぼす影響への理解が広がる中、より持続可能な食のあり方としてヴィーガンを選択する若者が増加しています。そして何よりも、メルボルンのシェフたちの卓越した創造力。彼らは「ある食材が使えない」という制約を逆手に取り、新たな美味しさを生み出す挑戦と捉え、植物性の素材だけで味も見た目も従来の料理を超える数々の逸品を次々と生み出しているのです。

    店舗紹介: Smith & Daughters

    ヴィーガンブランチの代表格として外せないのが、フィッツロイ地区に位置する「Smith & Daughters」。メルボルンのヴィーガンシーンを牽引してきた象徴的存在であり、レンガ造りの角地に黒を基調としたシックな外観が、この地区の洗練された雰囲気と見事に調和しています。扉を開けると、高い天井に流れるロックミュージック、壁面に飾られたアート、そして活気に満ちたスタッフの笑顔が迎えてくれます。ヴィーガンレストランにありがちな自然派で穏やかなイメージを覆す、エネルギッシュかつスタイリッシュな空間が特徴です。

    私が訪ねたのは週末のブランチタイムで、店内は予約客で込み合っていました。その人気の高さがうかがえます。メニューを手にすると、ワクワクする料理名がずらりと並んでいます。私が選んだのは「Breakfast Burrito」。トルティーヤの中には、スパイシーに味付けされた豆腐スクランブル、ブラックビーンズ、ワカモレ、ハッシュブラウン、そしてヴィーガンチーズがたっぷり詰まっています。一口頬張ると、その複雑で満足感あふれる味わいに驚かされました。豆腐スクランブルは本物の卵と見紛うほど風味豊かで、ピリッとしたサルサソースとクリーミーなワカモレが見事に混ざり合っています。動物性の材料を使わずにこれほどのコクと奥行きをどう表現するのか、シェフの技術力と探究心にただただ感嘆するばかりでした。

    隣席の女性が注文していた「Tiramisu French Toast」もまさに芸術作品のような一品。コーヒーシロップを染み込ませた厚切りのトーストには、マスカルポーネチーズの代わりにカシューナッツクリームがたっぷりかけられ、ココアパウダーが美しく振りかけられています。甘さとほろ苦さが絶妙に香り立ち、一度は追加注文したくなる魅力がありました。Smith & Daughtersの料理は、ヴィーガンか否かを忘れさせるほど純粋に「美味しい」ことに満ちており、ヴィーガンの方はもちろんそうでない方も心から食事を楽しめる場所と言えます。メルボルンの食文化の多様性と創造性を象徴する名店です。

    項目詳細
    店名Smith & Daughters
    住所107 Cambridge St, Collingwood VIC 3066, Australia
    地区フィッツロイ/コリングウッド
    特徴メルボルンを代表するヴィーガンレストラン。ロックな雰囲気の中、創造性豊かなヴィーガン料理を楽しめ、ブランチからディナーまで高い人気を誇る。
    営業時間日・火・水:9:00-15:00、木〜土:9:00-15:00/17:30-22:00(月曜定休)※時間は変更の可能性あり
    予算ブランチ:20〜35 AUD

    店舗紹介: Matcha Mylkbar

    次に紹介するのは、海沿いの街セント・キルダにある「Matcha Mylkbar」。名前の通り、抹茶を使ったメニューや彩り豊かなラテが評判のカフェです。健康に配慮しつつ美味しさと見た目の美しさを追求した料理は、SNSでも話題が絶えません。白を基調とした明るく開放的な店内には大きな窓から陽光がたっぷり入り、観葉植物の緑がアクセントとなる居心地の良い空間が広がっています。目の前には広々とした公園が見え、その先にはセント・キルダの美しいビーチが続きます。リラックスした雰囲気の中、体に優しいブランチを愉しむには理想的なロケーションです。

    この店の看板メニューの一つが、「ヴィーガン“エッグ”」を使った料理。私がオーダーした「Big Brekkie」は、鮮やかな黄色のヴィーガンエッグを中心に、ソテーしたマッシュルーム、ほうれん草、アボカド、そしてサワードウブレッドが美しく盛り付けられていました。見た目は完璧な目玉焼きですが、実は豆腐の白身をターメリックで染め、サツマイモやカボチャのピューレで作った黄身を添えたもの。ナイフを入れると黄身がとろりと流れ出し、その再現度の高さには感心させられました。口に含むと優しい甘さと滑らかな口当たりが広がり、本物の卵とは異なるながらも深い植物由来の旨味を味わえました。

    さらに、Matcha Mylkbarといえばカラフルな「ラテ」メニューもぜひ試してほしい逸品です。定番の抹茶ラテはもちろん、藻類のブルーアルジーを使った鮮やかな青色の「Smurf Latte(スマーフラテ)」や、ビーツを用いたピンク色の「Love Latte(ラブラテ)」など、見ているだけで楽しくなるドリンクが揃っています。私が選んだスマーフラテは、ほんのり甘く独特の風味があり、見た目のインパクトだけでなく抗酸化作用も期待できるスーパーフードドリンク。心身に喜びをもたらす、この上ない極上の一杯でした。伝統的なカフェ文化とは一線を画す、新時代のウェルネスを体現する存在として、メルボルンの先進性を肌で感じられる貴重なスポットです。

    項目詳細
    店名Matcha Mylkbar
    住所72A Acland St, St Kilda VIC 3182, Australia
    地区セント・キルダ
    特徴抹茶をはじめとする鮮やかなラテが名物のヴィーガンカフェ。黄身まで再現した「ヴィーガンエッグ」は必食。海辺の開放的なロケーションも魅力。
    営業時間毎日 7:30-16:00 ※営業時間変動の可能性あり
    予算ブランチ:20〜30 AUD、ラテ:7〜10 AUD

    ヴィーガンブランチから得る、新たな食の価値観

    メルボルンのヴィーガンブランチ体験は、新しい食の価値観を私に教えてくれました。それは、ヴィーガンという選択が何かを我慢する「引き算」ではなく、新たな美味しさや可能性を切り拓く「足し算」の発想であるということです。豆腐やナッツ、野菜、スパイスを巧みに操り、食感や風味、そして見た目の美しさにこだわるシェフたちはまさに食のアーティスト。彼らの手腕にかかれば、植物性素材だけでこれほど心躍る素晴らしい一皿が生み出されるのです。

    旅先でいつもとは異なる食のスタイルに触れることは、自身の食生活やその背景にある文化、環境問題について見つめ直す良い機会となります。なぜこの地にこの食文化が根付いたのか、そこに込められた想いは何か。そんなことを想いながら味わうと、旅はより深みのあるものになるでしょう。メルボルンの活気あふれるカフェで楽しむヴィーガンブランチは、私たちの身体だけでなく知的好奇心も満たしてくれる、豊かなひとときとなるはずです。

    甘美なる発見。多様性が生んだハラールスイーツの世界

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    ヴィーガン文化と並んで、メルボルンの食文化の多様さを象徴するものに「ハラールフード」があります。世界各国からの移民が暮らす多文化都市・メルボルンでは、中東や東南アジア出身の方々が数多く住んでおり、イスラム教の戒律に則ったハラール食を提供するレストランや店舗が豊富に存在しています。特に、日本ではまだなじみの薄い中東系のスイーツは、一度味わえば虜になること必至の魅力的な世界です。甘く芳しい香りに誘われて、ぜひハラールスイーツの旅に出かけてみてください。

    ハラールとは?

    ハラールスイーツの世界に触れるにあたり、まず「ハラール」という言葉について説明します。ハラールはアラビア語で「許可された」を意味し、イスラム教の教えに従い、口にしたり使用したりしても良いもののことを指します。逆に「禁じられている」ものは「ハラーム」と呼ばれます。

    食に関するハラールの代表的なルールは、豚肉や豚由来成分(ゼラチンなど)、そしてアルコールの摂取を避けることです。また、豚以外の肉(牛・鶏・羊など)に関しても、イスラム法に則った適切な屠殺方法で処理されていなければハラールとは認められません。これらの戒律は一見厳しい制約のように感じられるかもしれませんが、こうした制約があるからこそ独自の工夫が生まれ、豊かでユニークな食文化が育まれてきたのです。宗教的側面には深入りしませんが、食文化を通じてハラールを知ることは異文化理解の素晴らしい入口になるでしょう。

    スポット紹介:A1 Bakery

    メルボルンで気軽にハラール中東料理を楽しむなら、まずはブランズウィック地区にある「A1 Bakery」へ足を運んでみてください。こちらはレバノン系の家族が切り盛りするベーカリー兼カフェで、1992年の創業以来、地域の人々に長く愛されている名店です。駅から徒歩で向かうと、スパイスと焼きたてのパンの香りが食欲を刺激してきます。店内はいつも活気に満ちており、パンを買い求める客や、熱々のチーズパイを頬張りながら会話を楽しむ人々でにぎわっています。

    この店の看板メニューは「マナイーシ」と呼ばれる中東風の平たいピザです。タイムやゴマをブレンドしたスパイス「ザータル」を塗ったものや、ハルーミチーズをのせたものなど、種類豊富で低価格で味わえます。ただし今回の目的はスイーツです。レジの横にあるショーケースには、黄金色に輝く魅惑的なスイーツがずらりと並んでいました。

    その中でも代表格が「バクラヴァ」。薄いパイ生地を何層にも重ね、刻んだピスタチオやクルミを挟んで焼き上げ、甘いシロップをたっぷりかけたお菓子です。ひと口頬張ると、パリパリの生地の食感と共に、ナッツの香ばしさ、濃厚で脳に染み渡る甘みが口の中いっぱいに広がります。日本の洋菓子とは一線を画す、エキゾチックで魅惑的な甘さです。濃いめのブラックコーヒーやミントティーとの相性も抜群です。

    ほかにも、デーツ(ナツメヤシ)のペーストをクッキー生地で包んだ「マームール」や、セモリナ粉を使ったケーキの「ナムーラ」など、試したいスイーツが豊富に揃っています。A1 Bakeryは、気取らない雰囲気の中で本格的な中東の味に触れられる貴重な場所。異国の市場に迷い込んだかのようなワクワク感をぜひ体験してみてください。

    項目詳細
    店名A1 Bakery
    住所643-645 Sydney Rd, Brunswick VIC 3056, Australia
    地区ブランズウィック
    特徴地元で圧倒的な支持を集めるレバノン系ベーカリー。リーズナブルで美味しいマナイーシやバクラヴァなど、伝統的なハラールスイーツが豊富に揃う。
    営業時間毎日 7:00-19:00 ※変更の可能性あり
    予算スイーツ: 2〜5 AUD、マナイーシ: 3〜10 AUD

    スポット紹介:Knafeh Melbourne

    次にご紹介するのは、単なるスイーツ店にとどまらない、食とエンターテイメントが融合した特別な体験を提供する「Knafeh Melbourne」です。こちらは改造された輸送用コンテナを店舗としており、定位置を持たずにメルボルンのさまざまなイベントやマーケットを巡回する移動式のスイーツスタンドです。公式SNSで出店情報が随時発信されているため、訪れる際は事前に確認しておくことが不可欠です。この「探す楽しみ」も、旅の魅力の一つとなっています。

    彼らが提供しているのは、中東伝統の温かいデザート「クナーファ」のみ。クナーファは細い麺状の生地(カダイフ)またはセモリナ粉の生地で、とろけるチーズを挟んで焼き、ピスタチオを散らした後、甘いシロップをかけていただくお菓子です。注文すると、陽気な髭の男性スタッフが音楽に合わせて踊り歌いながら、その場でクナーファを焼いてくれます。そのパフォーマンスを眺めているだけでも、自然と笑顔がこぼれる楽しい雰囲気です。

    運ばれてくる熱々のクナーファは、スプーンを入れるとパリパリの表面の中から、とろーりと伸びる熱いチーズが現れます。口に運べば生地の香ばしさ、チーズの程よい塩味、そしてシロップの濃厚な甘みが一体となり、まさに至福の味わいをもたらします。温かいチーズを使ったデザートは日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、この甘じょっぱい妙味は一度食べたら忘れられなくなるでしょう。Knafehは、美味しいスイーツの提供にとどまらず、人と人とを繋げる場として楽しい体験を大切にしています。その情熱とホスピタリティに触れれば、メルボルンの夜の思い出がより鮮やかに刻まれることでしょう。

    項目詳細
    店名Knafeh Melbourne
    住所移動式のため特定なし(公式サイトやSNSでの確認推奨)
    地区メルボルン各地
    特徴輸送用コンテナを改造した移動式スイーツ店。中東伝統の温かいチーズデザート「クナーファ」専門。陽気なスタッフが繰り広げるパフォーマンスも見どころ。
    営業時間イベントに準ずる
    予算クナーファ: 約15 AUD

    ハラールスイーツが伝えるもの

    メルボルンで出会ったハラールスイーツは、その背景にある文化や歴史への興味を強くかき立ててくれました。バクラヴァの濃厚なシロップの甘さには、乾燥した気候の中でエネルギーを効率的に補給する知恵が反映されているのかもしれません。クナーファのチーズのほどよい塩味は、甘さだけでなく味の深みを求める人々の美意識を表しているようにも感じられます。このように、一皿のスイーツから遠く離れた国の暮らしや人々の想いに思いをはせることができるのは、旅の大きな魅力の一つです。

    宗教上の戒律が食文化の幅を狭めるのではなく、むしろ独自の工夫や創造性を促して、他に類を見ない豊かな世界を築いているという発見は大きな驚きでした。豚肉やアルコールを使わない分、ナッツやドライフルーツ、スパイス、そして芳醇なローズウォーターやオレンジブロッサムウォーターを巧みに取り入れ、五感を刺激する甘美な世界を作り上げているのです。ハラールスイーツとの出会いは、私たちの固定観念を軽やかに解き放ち、世界の広がりと食文化の奥深さを教えてくれる貴重な経験となるでしょう。

    食の探求は、自分を知る旅

    メルボルンのカフェを巡りながら、最先端のヴィーガンブランチや伝統的なハラールスイーツを楽しむ旅。それは単に新しい味に触れるだけでなく、この街の精神に触れる体験となりました。一杯のコーヒーに込められた熱意、一皿のヴィーガン料理に息づく創造性と環境への配慮、そして一つのお菓子が紡ぐ遠い土地の物語。これらすべてが、メルボルンという都市が持つ「多様性を尊重し、新たな価値を生み出す」という理念を象徴しているように感じられたのです。

    カフェのカウンターでバリスタと交わすさりげない会話や、賑わうベーカリーで地元の人と肩を並べてパンを選ぶひととき。そうした瞬間を通して、私たちはただの観光客ではなく、少しだけ街の日常に溶け込むことができました。また、いつもとは異なる食のスタイルに挑戦することは、自分の身体の声に耳を傾け、本当に心地よいものは何かを見つめ直す機会にもなります。

    旅は未知の世界へと誘うと同時に、自分自身の内面を映し出す鏡のような存在でもあります。メルボルンでの食探索は、新たな味覚との出会いだけでなく、新しい視点や価値観というかけがえのない贈り物を私に届けてくれました。次に旅先を選ぶときは、ぜひその地の多様な食文化の扉を、少しの勇気をもって開いてみてください。きっと、心と身体を豊かに満たしてくれる素晴らしい発見が待っていることでしょう。

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    この記事を書いた人

    大学時代から廃墟の魅力に取り憑かれ、世界中の朽ちた建築を記録しています。ただ美しいだけでなく、そこに漂う物語や歴史、時には心霊体験も交えて、ディープな世界にご案内します。

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