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    魂の故郷を訪ねて。ミャンマー、ミャナウンの田園風景に心溶かす旅

    現代の喧騒から遠く離れ、ただ穏やかな時間が流れる場所があるとしたら、それはきっとこんな風景の中に違いありません。ミャンマーの中央部、大河エーヤワディーのほとりに静かにたたずむ町、ミャナウン。ここは、まだ多くの旅人の地図には載っていない、秘境とも言える場所です。どこまでも続く黄金色の田園、水牛がのんびりと草を食む姿、人々の素朴な笑顔と敬虔な祈り。私たちの心が忘れかけていた、温かく懐かしい「何か」を思い出させてくれる、そんな不思議な魅力に満ちています。

    情報が溢れ、時間に追われる毎日の中で、ふと立ち止まり、自分自身の内なる声に耳を傾けたいと感じることはありませんか。ミャナウンの旅は、豪華なホテルや観光名所を巡るものではありません。それは、ありのままの自然と、そこに息づく人々の暮らしにそっと寄り添い、自分自身の心を洗い清めるような、深く静かな体験の連続です。今回は、そんなミャナウンの奥深い魅力と、心満たされる時間の過ごし方をご案内いたします。さあ、魂の故郷へ、一緒に旅立ちましょう。

    同様に、インドの大河のほとりで古の信仰と静寂に触れる旅に興味がある方は、インド東部の秘境ヒラークッドを訪れる旅もご覧ください。

    目次

    なぜ今、ミャナウンなのか?失われた時が流れる場所

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    ミャンマーと聞くと、多くの人はヤンゴンのシュエダゴン・パゴダやバガンの仏塔群を思い浮かべるかもしれません。しかし、今回ご紹介するミャナウンは、それらの有名な観光地とは異なり、静かな魅力に満ちた場所です。エーヤワディー地方に位置し、豊かな大河の恵みを受けながら、古くから稲作を中心とした農業で発展してきました。

    ヤンゴンからバスで数時間走ると、都市の喧騒が次第に遠ざかり、車窓の景色は緑豊かに変わっていきます。ミャナウンの特徴は、現代化の波に急き立てられることなく、昔ながらの暮らしのリズムが今も大切に守られている点にあります。ここでは、時間の流れがまるで異なる世界のように感じられます。朝は鳥たちのさえずりで目を覚まし、日中は田畑で汗を流し、夕暮れには家族と語り合い、夜は満天の星空のもとに眠る。こうした、人間本来の自然との共生の姿が町の隅々に息づいているのです。

    私がこの地を訪れて最初に感じたのは、その空気の清らかさでした。これは単に大気が澄んでいるというだけでなく、人々の眼差しや交わされる挨拶、子供たちの無垢な笑顔など、すべてが純粋さを帯びているように思えました。それは物質的な豊かさとは異なる、精神的な満足感がこの土地を包んでいるからかもしれません。この手つかずの原風景と、そこに暮らす人々の穏やかな心に触れることこそ、ミャナウンを旅する大きな魅力と言えるでしょう。日々の忙しさで疲れた心を、そっとほぐしてくれるような、癒しの力がミャナウンには満ちています。

    黄金色に輝く田園風景 – 心を洗う散策の時間

    ミャナウンで最も象徴的な風景といえば、どこまでも広がる田園地帯です。特に乾季の収穫が近づく頃には、稲穂が豊かな黄金色に輝き、広大な大地がまるで眩しい光のカーペットのように一面を覆います。そんな中、一本の赤土の道が果てしなく続く風景は、一枚の絵画のように美しく、ただ見つめているだけで心が穏やかになるのを感じられます。

    まだ朝霧に包まれる早朝の田んぼを、ひんやりとした空気のなか歩く体験は格別です。土の香り、草の匂い、そして遠くから響く鶏の声。五感すべてが、都会の生活では鈍っていた感覚を呼び覚ましてくれます。道を行くと、農作業へ向かう村の人たちとすれ違います。彼らは皆、笑顔で「ミンガラーバー(こんにちは)」と声をかけてくれ、その温かさに見知らぬ旅人への警戒心はまったくなく、純粋な歓迎の気持ちが伝わってきます。

    大地とともに生きる営み

    田んぼの畦道に腰を下ろして農作業の様子を眺めると、時間を忘れてしまうほどです。牛を使って耕す昔ながらの農法、手際よく稲を植えたり刈ったりする女性たちの動き。それぞれの所作は、何世代にもわたり積み重ねられた知恵と経験が宿り、無駄のない美しいリズムを感じさせます。そこには、機械化された現代の農業では味わえない、人と自然が密接に対話する姿があります。彼らにとってこの土地は単なる生産の場ではなく、祖先から受け継ぎ、子孫へ繋げていくべき神聖な存在なのです。

    時折、作業の合間に彼らがこちらに気づき、手招きしてくれることもあります。言葉が通じなくても、身振り手振りで「どこから来たの?」と尋ねられたり、お茶を振る舞ってくれたりすることもあります。こうした交流は、ガイドブックには載っていない旅のかけがえのない宝物です。日焼けした顔に深く刻まれた皺は、厳しい自然と共に生きてきた証であり、その瞳の奥にはすべてを包み込むような優しさが宿っています。

    田園散策の心得

    この美しい風景のなかを歩く際、いくつか心に留めておきたいポイントがあります。まず、田んぼは彼らにとって大切な職場であり生活の糧であることを尊重しましょう。むやみに農地に立ち入ったり、作物を傷つけたりしないよう注意が必要です。写真を撮る場合も、一言声をかけるか会釈をするなど、配慮を忘れないように心がけてください。多くの場合、快く被写体になってくれますが、その親切に甘えることなく、感謝の気持ちを持つことが旅行者のマナーと言えます。

    ミャナウンの田園を歩くことは、ただの散策ではありません。大地のリズムに自分の歩調を合わせ、自然と一体となる瞑想のような時間です。風に揺れる稲穂の音に耳を傾け、足の裏で土の感触を感じ取り、太陽の光を全身で浴びるうちに、頭の中を占めていた雑念が消え去り心が解き放たれていくのを実感するでしょう。これこそが、ミャナウンがもたらす最高の贅沢な体験なのです。

    エーヤワディー川と共に生きる人々の営み

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    ミャンマーの国土を南北に貫く大河、エーヤワディー。この川は単なる地理的な存在にとどまらず、古くからミャンマーの人々に「母なる川」として信仰され、生活の中核をなしてきました。ミャナウンの町もまた、このエーヤワディー川の豊かな恵みなしには語ることができません。川は交通の主要路であり、漁場としてだけでなく、人々の心を癒やす雄大な存在として、その暮らしに深く根付いています。

    川辺に立つと、ゆったりと流れる茶褐色の川面の向こうに、果てしなく広がる緑豊かな対岸が望めます。その壮大なスケール感は、一瞬言葉を失うほどの圧倒的な存在感を放っています。川面を渡る風は爽やかで、日常の喧騒を一時忘れさせてくれます。ここでは、時間もまた川の流れに合わせて、悠久の調べとともに静かに進んでいるかのように感じられます。

    川辺のマーケットと生き生きとした日常

    早朝の川岸は町の中でも特に活気にあふれる場所の一つです。対岸の村々から小さな渡し船が次々と到着し、船からは採れたての野菜や果物、川で獲れた新鮮な魚が威勢の良い掛け声とともに降ろされていきます。そこはまるで水上マーケットのようで、人々が品物をやり取りする活気とエネルギーに満ちています。色鮮やかな野菜、銀色に光る魚、そして人々のロンジーの鮮やかな色合いが交錯し、生き生きとした町の日常が目の前に広がります。

    マーケットを少し歩いてみると、見慣れない食材や素朴ながらも美味しそうなお惣菜が並んでいるのが目に入ります。売り手のおばあさんと目が合うと、にっこりと優しい笑顔を返してくれるでしょう。たとえ買い物をしなくても、その場の空気に触れるだけで、旅の心は豊かに満たされます。ここでは物のやり取りだけでなく、人と人との温かな交流が何よりも大切にされているのです。

    夕暮れ時に訪れる魔法の瞬間

    一日の中で、エーヤワディー川が最も美しい姿を見せるのは夕暮れの時間帯です。太陽が西の地平線に沈み始めると、空はオレンジ色やピンク色、そして紫色へと刻々と色合いを変えていきます。その壮大な光のコントラストが雄大な川面に映り込み、世界全体が燃え上がるような鮮やかな彩りに包まれます。この瞬間はまさに魔法のひととき。多くの人々が川岸に集い、この荘厳な自然の営みを静かに見守ります。

    漁を終えた小舟がシルエットとなって川面をすべる光景は郷愁を誘い、心に深く刻まれるでしょう。この夕景を見つめていると、一日を無事に終えられたことへの感謝が自然に湧き上がってきます。悩みや不安といったささやかな感情が、この広大な風景の中でゆっくりと溶けていくような感覚に包まれるかもしれません。ミャナウンを訪れた際には、ぜひ一度エーヤワディーの夕日を心ゆくまで味わってみてください。それはあなたの人生観にほんの少し変化をもたらす、忘れがたい体験となるでしょう。

    敬虔な祈りが響く – パゴダ巡りと仏教文化

    ミャンマーは国民の約9割が上座部仏教を信仰する、世界的にも有数の仏教国です。人々の暮らしのあらゆる場面に仏教の教えが根付いており、その信仰心は日常生活に自然に溶け込んでいます。ミャナウンにおいても、町の中心部や村の片隅に大小さまざまなパゴダ(仏塔)や僧院が点在し、人々の祈りの場として大切にされています。

    ミャンマーの人々にとって、パゴダは単なる観光スポットではありません。悩みがある際に訪れて心を落ち着け、善行を成し遂げた際にその報告をし、日々の平穏に感謝する、魂のよりどころなのです。パゴダの境内を歩くと、老若男女さまざまな人が静かに祈りを捧げる姿が見られます。その誠実な様子は、宗教や文化の違いを超えて訪れる者の心を打ちます。

    エーヤワディー川を見守る シュエ・ミィンディン・パゴダ

    ミャナウンで最も多くの信仰を集めるのが、エーヤワディー川沿いに建つ「シュエ・ミィンディン・パゴダ」です。黄金に輝く仏塔は川を行き交う船乗りの目印となり、街のシンボルとして親しまれています。建立に関する詳細な記録は不明ですが、長い歴史を通じてこの町の営みを見守り続けてきたことは確かです。

    パゴダの境内に入る際は、まず靴と靴下を脱いで裸足になる必要があります。これは聖域に対する敬意の表れです。ひんやりとしたタイルの感触が足の裏に心地よく、俗世と区切られた神聖な空間に足を踏み入れた実感が湧いてきます。境内は常に掃き清められ清潔に保たれており、地元の人々のパゴダに対する深い愛情が感じられます。

    中央にそびえる黄金の仏塔の周囲には多様な仏像や祠が祀られており、人々は自分の生まれた曜日に対応する方角の祠で、水をかけたり花を供えたりしながら熱心に祈ります。その祈りの習慣は生活の一部として根付いているのです。風が吹くと、仏塔の先端に吊るされた無数の小さな鈴がチリンチリンと清らかな音色を響かせます。この音は仏陀の教えが風に乗って世界中へ広がることを象徴していると言われています。目を閉じてその音に耳を傾けると、心が洗われるような清々しい気持ちになります。

    項目内容
    名称シュエ・ミィンディン・パゴダ (Shwe Myin Tin Pagoda)
    所在地エーヤワディー川沿い、ミャナウン中心部
    見どころ川面に映る黄金の仏塔、夕景、地元の人々の祈りの場
    参拝時間日の出から日没まで(目安)
    注意事項タンクトップやショートパンツなど露出の多い服装は避ける。靴と靴下を脱いで裸足で参拝すること。

    村に溶け込む信仰の風景

    ミャナウンの魅力は、大きなパゴダだけに留まりません。田園風景の中を散策していると、ふとした場所に小規模な仏塔や僧院が現れ、これらは観光地化されておらず、より一層人々の暮らしに密着した信仰の姿を垣間見ることができます。

    特に印象深いのは、早朝に行われる托鉢の光景です。まだ薄暗い中、橙色の袈裟を纏った僧侶たちが一列に並んで静かに村を歩きます。家々の前では住民たちが炊きたてのご飯やおかずを用意して待ち、敬虔な祈りと共にお布施を捧げます。これは「功徳を積む」という仏教の教えに則った大切な習慣であり、施す側も受ける側も穏やかで満ち足りた表情を浮かべています。この光景はミャンマーの人々の精神性の核心に触れるような、深く印象的な体験となるでしょう。もし見学する機会があれば、彼らの静かな祈りを乱さぬよう、遠くから敬意を込めて見守りましょう。

    ミャナウンの食文化 – 素朴で滋味深い味わい

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    旅の醍醐味のひとつは、その地特有の食文化に触れることです。ミャナウンの食文化は、都会の洗練されたレストランとは異なり、自然の恵みを活かした素朴で深い味わいが持ち味です。エーヤワディー川で採れる新鮮な川魚や、肥沃な土地で育まれた米や野菜。これらの食材が、現地の人々の知恵と愛情によって、心身に優しい料理へと形を変えます。

    ミャンマー料理の基本は、ご飯と「ヒン」と呼ばれるおかずにあります。「ヒン」はよくカレーと訳されますが、日本のカレーとは異なり、じっくり油で炒めた玉ねぎや香辛料を煮込み、味わい深い煮込み料理と考える方が適切でしょう。鶏肉や豚肉、魚、野菜など多彩なヒンがあり、それぞれに家庭ごとの味わいがあります。辛さは控えめで、素材の旨味を存分に引き出したものが多いため、日本人の口にも合いやすい料理です。

    みんなの憩いの場、ティーハウス文化を体験

    ミャナウンの人々の暮らしを垣間見るには、「ティーハウス」が絶好の場です。ミャンマー風の喫茶店であり、早朝から夜まで多くの人々でにぎわう交流のスポットです。農作業の合間に一息つく男性たち、井戸端会議で語り合う女性たち、学校帰りの子どもたち。様々な世代がここに集い、お茶を片手に会話を楽しみます。

    ティーハウスの定番ドリンクは、「ラペイエ」と呼ばれる甘く濃厚なミルクティーです。濃く煮出した紅茶に、たっぷりのコンデンスミルクとエバミルクを加え、その独特の甘みとコクは一度味わうと癖になる美味しさです。疲れた体に、この甘い一杯がじんわりと染み渡ります。

    ラペイエに合うのは、サモサや春巻きのような揚げ物、もち米を使ったお菓子、中華風麺料理など、バラエティ豊かな軽食です。手頃な価格で小腹を満たすのに最適です。店頭に並ぶお菓子を指さして注文し、周囲の様子を眺めながらゆったり過ごすひとときは、観光だけでは味わえない、地元の暮らしに溶け込む貴重な体験となるでしょう。最初は戸惑うかもしれませんが、勇気を出して一歩踏み出せば、温かく迎え入れてくれます。

    家庭料理に息づく心温まる味わい

    もし地元の家庭に招かれる幸運に恵まれたら、それは何よりの食の喜びとなるでしょう。ミャンマーの家庭では、数種類のヒンのほかに、炒め物やスープ、「ガピ」と呼ばれる発酵調味料を使った和え物などが食卓を彩ります。大皿料理を皆で囲み、にぎやかに会話を弾ませながら食事をするのが一般的です。そこには家族の絆ともてなしの心があふれています。

    豪華な食材を使っているわけではありませんが、庭で収穫した新鮮な野菜や近隣の市場で買い求めた活きの良い食材は力強さに満ちています。化学調味料に頼らず、素材そのものの味を尊重した料理は、どこか懐かしく、体の内側から元気をもらえる気がします。言葉が通じなくても、美味しい食事を囲む時間は心と心を通わせる最高のコミュニケーションです。ミャナウンの食を通じて感じる温かさは、旅の思い出をより豊かにしてくれることでしょう。

    手仕事のぬくもり – 伝統工芸に触れる

    ミャナウンのような地方の町では、今もなお人の手による伝統的なものづくりが、日常生活のなかに息づいています。機械による大量生産品があふれる現代においても、一点一点丁寧に仕上げられた手仕事の品には、作り手の温かさとその土地独自の文化が宿っています。ミャナウンの町や周囲の村を歩くと、そんな美しい手仕事と出会うことができます。

    カタン、コトンと響く機織りの音

    家の軒先からリズミカルな音が聞こえてきたら、それは機織りの音かもしれません。ミャンマーの女性たちは、伝統的な巻きスカート「ロンジー」の布を、手織り機を使って自分たちの手で織りあげることがあります。色鮮やかな糸が、彼女たちの巧みな手さばきによって美しい模様の布へと生まれ変わる様子は、見ていて飽きることがありません。

    その模様には、花や鳥など自然をモチーフにしたものから、幾何学的な文様まで、地域ごとに独自の特色があります。彼女たちが使う織機は最新のものではなく、何世代にもわたって受け継がれてきた古い木製の織機です。しかし、その織機から生み出される布は、機械織りにはない独特の風合いと柔らかさを持っています。それは、一目一目に込められた作り手の時間と愛情の賜物なのです。気に入った布があれば譲ってもらうのも良いでしょう。その一枚は単なるお土産ではなく、ミャナウンの女性たちの暮らしや文化の一部を持ち帰るような、特別な記念品となるはずです。

    自然素材を活かす暮らしの知恵

    ミャナウンの暮らしは、豊かな自然の恵みと共にあります。人々は、身近にある竹や木、椰子の葉などを巧みに使い、生活に欠かせないさまざまな道具を作り出してきました。市場をのぞくと、竹で編まれた籠やザル、お弁当箱、木をくり抜いて作られた食器やお椀など、素朴で味わい深い民芸品が並んでいます。

    これらの道具は、装飾性よりもまず使いやすさが重視されています。しかし、その無駄のない機能的なかたちには、「用の美」とも言うべき凛とした魅力が感じられます。例えば竹の籠は、軽く丈夫なだけでなく、通気性にも優れているため実用的です。自然素材の特性を熟知した人々が、長年の経験をもとに生み出した形なのです。

    こうした手仕事の品に触れると、私たちが自然から多くの恵みを受けているという当たり前の事実に改めて気づかされます。そして、物を大切に使い、壊れたら修理してまた使うという持続可能な暮らしのあり方を教えられます。ミャナウンで見つける小さな竹細工のひとつが、私たちの日々の物との向き合い方を少し変えるきっかけになるかもしれません。

    ミャナウンでの心穏やかな過ごし方

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    ミャナウンの旅は、予定をぎっしり詰めて観光スポットを駆け巡るタイプにはあまり向いていません。この町の本当の魅力は、ただ何もしない時間の中にこそ見出せるからです。ここでは、忙しい日常から意識的に離れて、「今、ここにいる」という感覚を味わう、ゆったりとした時間の過ごし方をおすすめします。

    朝は、窓から差し込む柔らかな光と鳥のさえずりに包まれて自然に目覚めるでしょう。急いで準備を整える必要はありません。まずは一杯のお茶をゆっくりと味わいながら、今日という一日をどう過ごすかをぼんやりと考えてみてください。午前中はのんびりと田園地帯を散策し、午後はエーヤワディー川のほとりで川面を眺めながら読書にふける。夕暮れにはパゴダを訪れて静かに祈りの時間を過ごし、夜は早めに床につき、満天の星空を夢見る。そんな何気ない一日が、ミャナウンでは最高の贅沢となります。

    デジタルデトックスと内なる対話

    ミャナウンでは、インターネットの接続が不安定な場所も多くあります。これを不便に感じるのではなく、むしろ貴重なチャンスと捉えて、意識的にスマートフォンやパソコンから離れる「デジタルデトックス」を実践してみてはいかがでしょうか。常に外部からの情報にさらされている私たちの脳を休め、自分の内面の声に耳を傾ける時間を持つのです。

    最初は少し手持ち無沙汰に感じるかもしれませんが、やがて五感が研ぎ澄まされていくのを実感できるはずです。風の音、人々の談笑、遠くで鳴く犬の声。これまで気にも留めなかった周囲のあらゆる音や風景が、新鮮な驚きを伴って心に響いてきます。ノートとペンを用意し、浮かんだ思いを自由に書きつけるジャーナリングもおすすめです。普段は意識の奥底に隠れている感情や忘れかけていた夢、本当に大切にしたいことが、思いがけず言葉となって表れてくるかもしれません。

    交流から生まれる心の豊かさ

    ミャナウンでの滞在をより豊かにするもう一つのポイントは、地元の人たちとのささいな交流です。言葉の壁を恐れる必要はありません。大切なのは、心を開いて相手に接することです。にこやかな笑顔と「ミンガラーバー」という挨拶だけで、心の距離はぐっと縮まります。ティーハウスで隣に座ったおじいさん、マーケットで野菜を売るおばさん、道端で遊ぶ子どもたち。彼らの日常に少しだけお邪魔させてもらう気持ちで、その輪の中に入ってみてください。

    彼らは、私たちがどこから来て、何を美しいと感じているのかに純粋な興味を示してくれます。身振り手振りを交えた不慣れなコミュニケーションでも、お互いを理解したい気持ちがあれば、驚くほど多くのことが伝わるのです。こうした触れ合いを通じて、私たちは単なる観光客ではなく、一人の人間としてその土地と関わりを持つことができます。そして旅の終わりには、ミャナウンが単なる訪問地ではなく、心のどこかでつながる第二の故郷のように感じられることでしょう。

    旅の準備と心構え

    ミャナウンへの旅を充実させるために、いくつかの実用的な情報と心構えをご紹介します。ここはまだ観光地化されていないため、事前準備と現地の文化を尊重する姿勢が非常に重要です。

    アクセス方法

    ミャンマー最大の都市ヤンゴンからミャナウンへの移動手段としては、長距離バスが最も一般的です。ヤンゴンのアウンミンガラー・ハイウェイ・バスステーションから、複数のバス会社が路線を運行しています。所要時間は道路状況に左右されますが、おおよそ6〜8時間程度が目安です。エアコン付きの快適なバスもありますが、地元のローカルバスは乗り心地が大きく異なることもあるため、事前に確認することをおすすめします。移動中に見られるミャンマーの田園風景も、旅の楽しみのひとつです。

    ベストシーズン

    ミャンマーの気候は大きく乾季(11月〜2月頃)、暑季(3月〜5月頃)、雨季(6月〜10月頃)の3つに分かれます。旅行に最適な時期は、気候が安定し過ごしやすい乾季です。青く澄んだ空の下、田んぼは収穫を控えた黄金色に輝きます。ただし、雨季は豊かな緑に包まれ、また異なる美しい景色を楽しむことができます。旅の目的に合わせて時期を選ぶと良いでしょう。なお暑季は気温が非常に高くなるため、体力に自信のない方は避けたほうが安心です。

    服装と持ち物

    服装は、年間を通して日本の夏服程度の通気性の良いもので十分です。ただし、日差しが強いため、帽子やサングラス、日焼け止めは必ず用意してください。朝夕には肌寒く感じることもあるので、薄手の羽織るものがあると便利です。パゴダ参拝時は肩や膝を隠す服装が必要です。タンクトップやショートパンツでの入場を断られることがあるため、ストールや巻きスカートを持参すると役立ちます。

    そのほか、虫除けスプレー、常備薬、ウェットティッシュもあると安心です。歩きやすい靴は必須ですが、パゴダでは裸足になることが多いため、脱ぎ履きしやすいサンダルなどが一足あると便利でしょう。

    文化的な注意点

    ミャンマーの人々はとても穏やかで親切ですが、その文化や習慣を尊重することを忘れないようにしましょう。

    • 写真撮影: 人を撮影する際は必ず事前に許可を取りましょう。特に僧侶や尼僧、高齢者の場合は敬意を払うことが重要です。
    • 左手の扱い: ミャンマーでは左手は不浄とされており、物の受け渡しや食事に左手を使うのは避けるのがマナーです。右手を用いましょう。
    • 頭を撫でない: 頭は神聖な部分と考えられています。親しみを込めての行為でも、子供の頭を撫でることは避けてください。
    • 足の裏を向けない: 人や仏像に足の裏を向けるのは非常に失礼にあたります。座る際は足の向きに注意しましょう。

    簡単なミャンマー語

    最後に、覚えておくと役立つ基本の挨拶をご紹介します。たとえ片言でも現地語で話しかけると、現地の人々の表情が和らぎ、より親密な交流が生まれます。

    • ミンガラーバー: こんにちは(一日中使える便利な挨拶)
    • チェーズーティンバーデー: ありがとう
    • タウッバーベー: どういたしまして
    • カウンデー: 良いですね、美味しいです

    これらの言葉に加えて、何よりも大切なのは笑顔です。笑顔を携えて臨めば、ミャナウンでの旅はきっと忘れられない素敵な体験になることでしょう。

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