南国の太陽が肌を焦がし、湿った風がエキゾチックな香りを運んでくる場所、インドネシア・バリ島。世界中の旅人を魅了してやまないこの島は、単なるリゾート地という言葉だけでは到底語り尽くせない、深い精神性と神秘に満ちた「神々の島」です。日々、肉体を極限まで追い込み、世界の様々な土地で魂のぶつかり合いを経験する私、大(だい)にとっても、バリ島は特別な場所。それは、強さだけでは計れない、内なる静寂と向き合うための聖地だからです。
今回、私が足を運んだのは、バリ島中部に位置するティルタ・ウンプル寺院。その名は「聖なる泉の寺院」を意味します。古くから万病を癒し、心身を浄化する力があると信じられてきた泉が、今もなおこんこんと湧き出ており、島の人々はもちろん、世界中から救いを求める人々が訪れるパワースポット中のパワースポット。観光客向けの華やかなダンスやビーチの喧騒とは一線を画す、ここは真の祈りの場所です。
日々のトレーニングで蓄積された肉体の疲労、海外でのビジネスや厳しい練習で張り詰めた精神の緊張。それらすべてを洗い流し、一度自分を「ゼロ」に戻したい。そんな強い想いに突き動かされ、私は聖なる水に身を委ねることを決意しました。これは、単なる観光レポートではありません。格闘家として、一人の人間として、聖なる泉と向き合った魂の記録です。これから語られる体験が、あなたの心に眠る何かを揺り動かし、次なる旅へと誘うきっかけとなれば幸いです。
聖なる泉での体験の詳細や、具体的な沐浴儀式「ムルカット」のプロセスについては、聖なる泉に身を委ねて。バリ島ティルタウンプル寺院で魂を浄化する沐浴儀式「ムルカット」体験記をご覧ください。
ティルタ・ウンプル寺院とは?神話が息づく聖地

バリ島のウブドから北へ車で約30分ほどの場所に、緑豊かな渓谷に包まれるように静かに佇むティルタ・ウンプル寺院があります。その歴史は非常に古く、西暦962年、ワルマデワ王朝の時代に創建されたと伝えられています。千年以上もの長い年月を経て、この場所は人々の祈りを受け入れ、聖なる水で魂を浄化し続けてきました。
神話が伝える聖なる泉の起源
ティルタ・ウンプル寺院の中心である聖なる泉には、バリ・ヒンドゥー教の壮大な神話が息づいています。かつて、バリ島を支配していた悪の王マヤ・デナワは、自らの力を過信し、神々への信仰を禁じました。これに憤慨した神々は、善の神インドラを遣わし、マヤ・デナワとの激しい戦いが繰り広げられます。
戦闘の最中、追い詰められたマヤ・デナワは、インドラ軍が休む夜の間に毒の泉を湧き出させ、多くの神々を死に至らしめました。仲間の死を嘆いたインドラは大地に杖を突き立てます。すると、その場所から聖なる水が湧き出し、その水は「アムリタ」、すなわち不老不死の霊水となって、毒に倒れた神々を蘇らせたのです。このインドラ神が生み出した泉こそが、ティルタ・ウンプルの起源であると伝えられています。
この神話は単なる物語ではなく、バリの人々の心に深く根付き、この泉の水が持つ浄化の力や生命を蘇らせるエネルギーの源として、今なお信じられています。訪れる人々はこの神聖な物語に想いを馳せながら、一滴一滴の水に感謝し身を委ねるのです。
バリ・ヒンドゥー教の浄化の儀式「ムルカット」
バリ島の人々の暮らしは宗教と密接に結びついています。バリ・ヒンドゥー教では、人は日々の生活の中で無意識に不浄なもの(ネガティブなエネルギーや思考、不運など)を溜め込むと考えられています。そのため、定期的に心身を清め、魂をリフレッシュする「ムルカット」と呼ばれる浄化の儀式が非常に重視されています。
ティルタ・ウンプル寺院は、このムルカットを行う最も神聖な場所のひとつです。誕生日や結婚、病気の回復祈願、あるいは新たなことを始める際など、人生の節目に多くの人々が訪れ、聖なる水での沐浴を行います。それは過去の不浄を洗い流し、新しい一歩を踏み出すための神聖な誓いの儀式でもあります。
私たちが訪れた日にも、観光客と混じり合って白い正装に身を包んだ地元の人々が、真剣な表情で祈りを捧げながら沐浴していました。彼らにとってここは単なる観光地ではなく、生活の一部であり魂のよりどころです。その敬虔な姿は私たち訪問者の心も引き締め、この場所の神聖さをひしひしと感じさせてくれました。
バリ建築の粋を凝らした寺院の構造
ティルタ・ウンプル寺院はバリ・ヒンドゥーの宇宙観を反映し、大きく三つのエリアに分かれています。この構造はバリ島の多くの寺院に共通する様式です。
- ジャバ・ピサン(外苑)
寺院入口にあたる最初の庭です。俗世と聖域を結ぶ場所で、大きなガジュマルの木や美しい庭園が広がっています。ここで心を落ち着け、聖なる場所へ入る準備をします。
- ジャバ・トゥンガ(中庭)
割れ門をくぐると中庭が広がります。ここには寺院の見どころである沐浴場「プランギルタン」と聖なる水が湧き出る泉があります。祈りと水音が響き渡る寺院の中心的なエリアです。
- ジュロアン(内苑)
最も神聖とされるエリアで、神々が祀られている本殿があります。沐浴を終え清められた者だけが入ることができる祈りの場で、荘厳なメル(多重塔)が立ち並び、静寂と神聖な空気に満ちています。
寺院の至る所に施された繊細な石彫刻には、神々の物語や自然のモチーフが描かれており、バリの職人たちの高い芸術性が感じられます。苔むした石像や悠久の時を感じさせる割れ門など、建築物自体からも強いエネルギーが放たれているかのようです。
聖なる泉での沐浴体験記 – 浄化の儀式「ムルカット」への誘い
ついに、この旅のハイライトである沐浴の儀式に臨みます。ただの水浴びとは異なり、神聖な儀式です。正しい作法と敬意をもって向き合うことで、その恩恵を最大限に受け取ることができます。ここでは、私が実際に経験した一連の流れを細かくご紹介します。
沐浴前の準備と心構え
寺院に着き、入場料を支払うと、まずサロン(腰巻き布)とスレンダン(帯)が手渡されます。これは、肌の露出を控え、神聖な場への敬意を示すためのものです。たとえ長ズボンを履いていても、必ずその上から着用するルールになっています。
沐浴を希望するなら、最初に向かうのは専用の更衣室です。入場ゲートをくぐって左手に進むと、ロッカーと更衣室があります。ここで沐浴用の服装に着替えます。多くの人は、水着の上にサロンを巻くか、濡れても良いTシャツと短パンに着替えています。私も手持ちのラッシュガードとサーフパンツに着替え、沐浴用の緑色のサロンをレンタルしました。
ここでいくつか非常に重要な注意点があります。
- 女性の生理について: 生理中の女性は、残念ながら沐浴場への入場が禁止されています。これは「不浄」という考えに基づくもので、バリ・ヒンドゥーの寺院では厳格に守られています。無理に入ることは絶対に避けてください。
- 貴重品の管理: 沐浴時は手ぶらが基本です。更衣室には有料のロッカーがあるため、必ず利用しましょう。鍵は手首に装着できる形になっており、紛失の心配が軽減されます。
そしてもう一つ、欠かせないのが神々へのお供え物「チャナン」です。寺院入口付近で、地元の女性たちが手づくりのチャナンを販売しています。ヤシの葉で作られた小さな器に、色鮮やかな花やお米、お香などが美しく盛り付けられています。これは神々への感謝と祈りを形にしたもので、ひとつ購入して沐浴前の祈りに用います。チャナンを手にすると、心が引き締まり、自然と儀式への心構えが整っていくのが感じられました。
| 準備項目 | 内容と注意点 |
|---|---|
| 服装 | 肩と膝が隠れる服装が基本。沐浴希望者は濡れても構わない服(水着、Tシャツ等)と着替え、タオルを持参。専用サロンは現地でレンタル可能。 |
| 持ち物 | 入場料やロッカー代の現金、貴重品を入れる防水バッグ、チャナン(お供え物:現地購入可)。 |
| 注意事項 | 生理中の女性は沐浴禁止。出血がある怪我の場合も同様。聖なる場への敬意を忘れず、静粛に行動すること。 |
| お供え物 | サリ・チャナンと呼ばれるお供え物は寺院入口で購入可能(必須ではないが推奨)。沐浴前の祈りに使用。 |
聖なる泉へ—沐浴の手順と作法
着替えを終え、チャナンを手にして沐浴場へ向かいます。石段を下ると、目の前に息をのむ光景が広がります。澄んだ水が満たされた長方形の沐浴場の壁には、複数の水の噴出口が設けられ、ゴボゴボと絶え間なく聖なる水を注いでいます。その中で地元の人たちや世界各地からの旅人が、それぞれの祈りを胸に順番を待っていました。
まずは祈りを捧げます。沐浴場の脇にある小さな祭壇にチャナンを置き、線香に火を灯します。そして静かに手を合わせ、ここに来られたことへの感謝と、これからの沐浴によって心身が清められるよう祈ります。周囲の人の所作を真似ましたが、重要なのは形ではなく心。真摯な祈りによって寺院のエネルギーと自分の波長が調和していくように感じられました。
祈りを終え、冷たく澄んだ水にそっと足を入れます。その瞬間、ひんやりとした感触が足元から順に広がり、背筋がすっと伸びました。水は驚くほど透明で、底の石や泳ぐ小魚まで鮮明に見えます。千年以上湧き続ける聖なる水に触れているという思いから、自然と畏敬の念が湧き起こりました。
沐浴には定められた作法があり、噴出口は全部で13か所。左端から順に巡っていきますが、11番目と12番目の噴出口は、死者の浄化に使われるため、一般参拝者は避ける習わしです。これは厳守しなければなりません。
各噴出口での基本的な作法は以下の通りです。
- 祈り: 噴出口の前で合掌し祈りを捧げる。
- 頭を水につける: 流れ落ちる水の下に頭を三度くぐらせる。
- 口をすすぐ: 手に水を受け口を三度すすぐ。
- 顔を洗う: 顔を三度洗う。
- 水を飲む: 聖なる水を一口いただく。
- 頭頂から浴びる: 頭頂部(サハスラーラ・チャクラ)から水をかぶり、全身を清める。
この一連の動作をそれぞれの噴出口で繰り返します。各噴出口には病気治癒、悪夢の除去、罪の浄化、家庭円満などといった異なるご利益があると伝えられており、一つ一つに意識を集中し内なる願いと向き合いながら丁寧に儀式を進めました。
沐浴中に感じたこと—心身の変化
最初の噴出口で頭を水に浸した瞬間、冷たさに思わず声が出そうになりました。しかし不思議なことに二つ目、三つ目と進むうちに体は徐々にその冷たさに慣れ、水の冷たさが逆に心地よく感じられてきました。頭の中の雑念がさっと消えていくのがわかりました。
私は格闘家として常に体と向き合い、筋肉の張りや関節の痛み、疲労の蓄積を感じてきました。これらは日々の鍛錬の証であり自分の一部です。しかし聖なる水に打たれていると、肉体的な感覚は薄れ、もっと奥深い魂の核が浄化されていく感覚に包まれました。まるで見えない鎧や重荷が一枚一枚脱ぎ捨てられていくようでした。
水の音と周囲の静かな祈りの声だけが響く中で、自分の呼吸に集中します。吸う息と共に神聖なエネルギーを取り込み、吐く息と共に内なる汚れを手放す。それはまさに動く瞑想であり、日々の精神統一とは異なる自然の大いなる力に身をゆだねることで得られる深い安らぎと解放感を味わいました。
隣で沐浴していた年配のバリ人男性が微笑みかけてくれました。言葉は交わせずとも、同じ聖水を浴び、同じ祈りを捧げる者同士の共感がありました。国籍も年齢も宗教も超え、祈りのためにここに集う人々がつくり出す空間は、信じられないほど温かく、強いエネルギーで満ちていました。
全ての噴出口での沐浴を終え、水から上がると、身体は芯まで冷えているはずなのに、心は不思議なほど温かく軽やかでした。視界が澄み渡り、周囲の緑が一段と鮮やかに映ります。これが「浄化」なのだと、頭で理解するのではなく、全身と魂で実感した瞬間でした。
沐浴後も続くスピリチュアルな探訪 – 寺院内部の見どころ

沐浴で清められた心身を携え、寺院のさらに奥深くへと足を運びます。ティルタ・ウンプルの魅力は沐浴場に留まらず、その先に一層神聖で美しい空間が広がっています。
主神殿(ジュロアン)の静謐さ
更衣室で乾いた服に着替え、再びサロンを身にまとってから、中庭の奥にあるもうひとつの割れ門をくぐります。そこは「ジュロアン」と呼ばれる、寺院の中でもっとも神聖な内苑です。空気が一変し、いっそう静かで荘厳な空気に包まれます。
目の前には茅葺の多重塔メルがいくつも立ち並び、バリ・ヒンドゥーの神々が安置されています。地元の人々は地面に座り、僧侶の祈祷を受けながら心静かに祈りを捧げています。観光客である私たちは邪魔にならないよう、端の方から静かに見守ります。かすかに響くガムランの調べとお香の香りが交じり合い、まるで時が止まったかのような幻想的な空間が広がっています。
沐浴で清められたばかりの心でこの場に立つと、神々の存在がより身近に感じられる気がします。先ほど受けた恩恵に感謝の気持ちを改めて心に伝えました。派手さはないものの、バリの人々の深い信仰心が凝縮された、魂に響く場です。
聖なる泉の源流
沐浴場のさらに奥には、この寺院の核心ともいえる聖なる水の源泉があります。大きな池のような場所で、その底から水が絶え間なく湧き出している様子を間近に見ることができます。よく観察すると、池の底の黒い砂が水の力によって生き物のようにモコモコと盛り上がりながら、絶えず清らかな水を地表へ送り出しています。この光景はまるで生命の誕生そのものを目撃しているかのように神秘的です。
千年以上もの間、一度も涸れることなく湧き続ける聖泉。その力強いエネルギーの源を目の当たりにすると、先ほど浴びた水の一滴一滴の意味とありがたみが改めて深く胸に響きます。この泉があるからこそ、ティルタ・ウンプルはバリ島有数のパワースポットとして、多くの人々を惹きつけ続けているのでしょう。残念ながらこの泉に直接触れることはできませんが、静かに見つめるだけで、心が洗われるような清らかさを感じます。
鯉が泳ぐ池と周囲の風景
寺院の出口に向かう途中、大きな池があり、色鮮やかな大きな鯉が多数泳いでいます。聖なる水で育った鯉たちはどこか悠然としており、見ているだけで心がゆったりと和みます。池の周囲は緑豊かな木々に囲まれ、寺院の荘厳な建築と美しい自然が見事に調和しています。
また、寺院のすぐ隣の丘の上には、インドネシア初代大統領スカルノが建てたヴィラ(現在は政府の迎賓館)が見えます。彼もまた、このティルタ・ウンプルの聖なる力に魅了された一人だったのかもしれません。歴史と自然、そして信仰が一体となったこの場所の風景は、沐浴後の澄み切った心にいつまでも深く刻まれました。
ティルタ・ウンプル寺院を訪れるための実践ガイド
この素晴らしい体験を、ぜひあなたにも味わっていただきたいと思います。そのために、ティルタ・ウンプル寺院を訪れる際に役立つ具体的な情報やアドバイスをまとめました。
アクセス方法
ティルタ・ウンプル寺院は、バリ島の観光の中心であるウブドから車やバイクで約30分の距離に位置しています。公共交通機関が十分に整っていないため、以下の方法がおすすめです。
- カーチャーター: 運転手付きの車を時間単位で借りる方法で、最も快適かつ効率的です。複数の寺院や観光地を効率よく巡りたい場合に特に適しています。料金は半日(4〜6時間)で約50万ルピア程度が一般的です。
- バイクタクシー(Gojek/Grab): スマートフォンのアプリで簡単に呼べる配車サービス。お一人での移動や短距離の利用に便利で、料金も手頃です。ウブドからなら数万ルピアで行けます。
- レンタルバイク: バリ島での運転に慣れている方には自由に動けるレンタルバイクもおすすめです。ただし、交通量が多く道が複雑なため、海外での運転経験が豊富な方に限られます。
私は今回、他の観光地も回る予定があったためカーチャーターを利用しました。経験豊富なドライバーから現地の情報が得られるのも、この方法の魅力の一つです。
営業時間と入場料
訪問前には最新の情報を必ず確認してください。以下は私が訪れた際の情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 営業時間 | 8:00 〜 18:00(宗教行事等により変更の可能性あり) |
| 入場料 | 大人 50,000ルピア、子供 25,000ルピア |
| 沐浴用サロンレンタル料 | 10,000ルピア |
| ロッカー使用料 | 15,000ルピア |
| おすすめの時間帯 | 観光客が少ない早朝(開門直後)や、夕方の西日で寺院が美しく照らされる時間帯。特に早朝は地元の方々の祈りと重なり、より神聖な雰囲気を感じられます。 |
訪問時の服装と持ち物
快適かつ敬意を持った訪問のために、服装と持ち物を前もって準備しておきましょう。
- 服装: 神聖な場所なので、肩と膝を隠す服装が必要です。Tシャツやブラウスにロングスカートや長ズボンを合わせるのが望ましいです。入り口でサロンを無料で貸し出していますが、沐浴をしない場合でも敬意を表した服装を心がけましょう。
- 持ち物リスト:
- 沐浴をする場合:
- 濡れてもよい服装(Tシャツ、短パン、水着など)
- 下着を含む着替え一式
- 大きめのタオル
- 濡れた服を入れるビニール袋
- 共通:
- 少額の現金(入場料やお供え物、ロッカー代など用)
- 日焼け止めや帽子などの日差し対策品
- カメラ(祈りの妨げにならないよう配慮が必要です)
- 何より敬意と柔軟な心
周辺のおすすめスポット
ティルタ・ウンプル寺院の周辺には、魅力的な観光地が数多くあります。ぜひ併せて訪れてみてください。
- グヌン・カウィ: タンパクシリン村にある巨大な石窟遺跡です。パクリサン川の両岸の岩壁に王家の陵墓とされる10のチャンディ(記念建造物)が彫られており、緑豊かな谷の底に位置しているため、ティルタ・ウンプルとは異なる神秘的な空気が漂います。
- テガラランのライステラス: バリ島を代表する美しい棚田の一つであり、ティルタ・ウンプルからウブドへ戻る途中に立ち寄ることが可能です。絶景を楽しみながら、カフェでランチや休憩をとるのがおすすめです。
- コーヒー農園: 周辺には、有名な「コピ・ルアク」をはじめとする多種多様なコーヒーとスパイスの農園が点在しています。多くの農園では無料でテイスティングを楽しめ、バリ島ならではの風味を体験できます。
これらのスポットを組み合わせることで、バリ島中部の自然、文化、そしてスピリチュアルな魅力を一日でたっぷりと堪能できます。
聖なる水が教えてくれたこと – 旅の終わりに

ティルタ・ウンプル寺院での沐浴体験は、私の旅の思い出の中でも特に鮮やかに、そして静かに心に残る出来事となりました。これまで格闘家として「強さ」を追求してきました。それは相手を制する力であり、過酷なトレーニングに耐える力であり、自分の限界を乗り越える力でもありました。しかし、この聖なる水は私に、まったく異なる種類の「強さ」を教えてくれたように感じます。
それは、受け入れる強さ、流れに身を委ねる強さ、そして自分自身を許し、浄化する強さです。冷たい水に浸かる中で、日々の緊張やこだわり、気づかぬうちに溜まっていたネガティブな感情が、静かに解けていきました。残ったのは「今、ここにいる」という純粋な実感と満ち足りた静けさだけでした。
世界のスラム街や危険地域を巡り、人間の剥き出しの生命力に触れる旅も、魂を揺さぶる大切な体験でした。しかし、今回の旅で改めて感じたのは、ティルタ・ウンプルのような静謐で内省的な時間もまた、人が生きるうえで欠かせないものだということです。動と静、陽と陰。両方を経験することで、魂の均衡が保たれるのかもしれません。
もしあなたが、日々の疲れを感じていたり、新たな一歩を踏み出したいと願っていたり、あるいはただ静かに自分自身と向き合うひとときを求めているのなら、ぜひバリ島のティルタ・ウンプル寺院を訪れてみてください。
そこは、単なる美しい観光スポットではありません。千年を超えて人々の祈りを受け止め、聖なる水で魂を清めてくれる真の聖地なのです。冷たい水に身を委ねるとき、あなたはきっと自身の内なる神聖さと再び出会うことでしょう。そしてその体験は、これからの人生をより深く、より豊かに照らし出す力を持っているはずです。

