イスラエルのフラッグキャリアであるエル・アル航空が、大規模なネットワーク拡大計画を発表しました。アジアの主要都市であるベトナムのハノイ、韓国のソウル、フィリピンのマニラへの直行便を含む、合計9つの新路線を開設します。旅行者にとって、アジアとヨーロッパを結ぶ新たな翼の誕生は、旅の計画に大きな変化をもたらすかもしれません。
9つの新路線、その全貌
今回の発表の目玉は、これまで直行便がなかったアジアの3都市への就航です。さらに、子会社のサン・ドール航空を通じて、ヨーロッパの人気都市への翼も広げます。
アジアへの翼を広げる3都市
これまで乗り継ぎが必要だったアジアの主要都市へ、テルアビブから直接アクセスできるようになります。
- ベトナム・ハノイ
- 韓国・ソウル
- フィリピン・マニラ
これらの路線は、観光だけでなく、近年経済的な結びつきが強まるイスラエルとアジア諸国とのビジネス渡航の需要も見据えたものです。
ヨーロッパの魅力的な6都市へ
子会社のサン・ドール航空が運航するヨーロッパ路線も大幅に拡充されます。文化、歴史、自然の魅力にあふれる都市へのアクセスがより便利になります。
- スイス・バーゼル
- クロアチア・ザグレブ
- デンマーク・コペンハーゲン
- ポルトガル・ポルト
- モンテネグロ・ティヴァト
- キプロス・パフォス
なぜ今、大規模拡大?背景にある2つの大きな要因
このタイミングでの大規模な路線拡大には、いくつかの重要な背景があります。
地政学的変化がもたらした「追い風」
最大の要因は、2020年の「アブラハム合意」以降、イスラエルとアラブ諸国との関係が正常化したことです。特に、サウジアラビアやオマーンがイスラエルの民間航空機に対して領空を開放した影響は絶大です。
これにより、これまでアラビア半島を迂回する必要があったアジア路線の飛行時間が劇的に短縮されました。例えば、イスラエルからインドへの飛行時間は、従来の約8時間から約5.5時間へと、2.5時間も短縮されています。この飛行時間の短縮は、燃油コストの削減と運航効率の向上に直結し、アジア路線の開設を現実的なものにしたのです。
パンデミック後の旺盛な旅行需要
世界的に旅行需要は力強い回復を見せています。国際航空運送協会(IATA)によると、2023年の世界の航空旅客需要は、パンデミック前の2019年と比較して94.1%まで回復しました。この旺盛な需要を捉え、他社に先駆けてネットワークを拡大することは、航空会社にとって重要な成長戦略となります。エル・アル航空もこの波に乗り、新たな収益源を確保する狙いがあると考えられます。
私たちの旅はどう変わる?予測される未来と影響
この新路線開設は、旅行者にどのような影響を与えるのでしょうか。
アジア・欧州間の新たな旅行ルートの誕生
最も大きな変化は、旅行の選択肢が増えることです。例えば、日本からイスラエルへ向かう際、これまでは主にヨーロッパの主要都市やイスタンブールでの乗り継ぎが一般的でしたが、今後はソウルで乗り継ぐという新たなルートが生まれます。
また、アジアとヨーロッパを周遊する旅行を計画する際にも、テルアビブをハブとして利用する新しい旅程を組むことが可能になります。エル・アル航空は、テルアビブのベン・グリオン国際空港を、アジアとヨーロッパを結ぶ新たな中継地点として成長させたいという戦略を描いている可能性があります。
観光とビジネスの架け橋に
直行便の就航は、人々の往来を活発化させます。アジアからは、聖地巡礼や歴史探訪を目的としたイスラエルへの観光客が増加することが予想されます。一方、イスラエル人にとっても、ベトナムの雄大な自然やフィリピンの美しいビーチが、より身近な旅行先となるでしょう。
ビジネス面では、直行便による移動時間の短縮が、両地域間の貿易、投資、技術協力といった経済交流をさらに加速させることが期待されます。
まとめ
エル・アル航空による9つの新路線開設は、単なる路線図の書き換えではありません。地政学的な変化と回復する旅行需要を捉えた、戦略的な一手と言えるでしょう。私たち旅行者にとっては、より多様で便利な旅のプランニングが可能になる喜ばしいニュースです。今後、アジアと中東、そしてヨーロッパを結ぶ新しい空の道が、どのような出会いと交流を生み出していくのか、注目していきましょう。

