アジア太平洋地域で、仕事(ビジネス)と休暇(レジャー)を組み合わせた新しい旅行スタイル「ブリージャー」が急速に広まっています。最新の調査によれば、この地域のビジネス旅行者のうち、実に76%もの人々が「次の出張に個人的な休暇を組み合わせたい」と考えていることが明らかになりました。これは単なる一時的なトレンドではなく、私たちの働き方や旅行に対する価値観の変化を象徴する、新しい常識となりつつあります。
なぜ今、アジア太平洋で「ブリージャー」が拡大するのか
この驚異的な数字の背景には、いくつかの要因が考えられます。
働き方の多様化と価値観の変化
パンデミックを経て、リモートワークやハイブリッドワークが普及したことで、働く場所や時間に対する考え方が大きく変わりました。オフィスに縛られない柔軟な働き方が可能になったことで、出張先で数日間の休暇を追加してリモートワークを行うなど、仕事とプライベートの境界線をより柔軟に捉える人が増えています。特に、経験価値を重視するミレニアル世代やZ世代がビジネス旅行者の中心となるにつれ、この傾向はさらに加速しています。
コストパフォーマンスへの意識
航空券などの移動費を会社の経費で賄える出張は、個人旅行のコストを大幅に削減できる絶好の機会です。出張の前後に自費で宿泊を延長するだけで、通常よりもずっと経済的に旅行が楽しめるため、賢い旅行者たちにとってブリージャーは非常に魅力的な選択肢となっています。
旅行業界に訪れる変化と未来予測
ブリージャーの普及は、旅行業界全体に大きな影響を与え、新たなビジネスチャンスを生み出しています。
ホテル業界の新たな戦略
これまでのビジネスホテルは、機能性やアクセスの良さが重視されてきました。しかし、ブリージャー旅行者は、仕事の後にリラックスできる環境や、観光の拠点としての利便性も求めます。そのため、ホテル業界では以下のような変化が予測されます。
- 高速Wi-Fiやワークスペースといったビジネス向けの設備に加え、スパ、プール、質の高いレストランなど、レジャー向けの施設を充実させる動き。
- 長期滞在者向けの割引プランや、週末を挟んだ「ウィークエンドパッケージ」の提供。
- ビジネスとレジャーの両方のニーズを満たす、新しいコンセプトのホテル開発。
航空会社・OTAに求められる新サービス
航空会社やOTA(オンライン・トラベル・エージェント)も、この新しい需要に対応する必要に迫られています。
- 出張の往路と、休暇後の復路で日程や空港が異なるような、より柔軟な航空券の予約システムの開発。
- 法人向けの出張予約プラットフォームと、個人向けの観光アクティビティ予約サイトの連携。
- 「フライト+ビジネスホテル数泊+リゾートホテル数泊」といった、ブリージャーに特化したパッケージ商品の造成が活発化するでしょう。
ブリージャーは、単なる「出張のついでに観光する」というレベルを超え、私たちのライフスタイルそのものを変える可能性を秘めています。企業側も、従業員のワークライフバランス向上や満足度アップ、ひいては優秀な人材を惹きつけるための福利厚生の一環として、ブリージャーを積極的に推奨する動きが出てくるかもしれません。
アジア太平洋地域から始まるこの大きな波は、世界の旅行のあり方を塗り替えていくことになるでしょう。次の出張の際には、あなたもスーツケースに休暇の計画を少しだけ忍ばせてみてはいかがでしょうか。

