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    天空の聖地へ、魂の休息。ブータン最後の秘境「ハア谷」を歩く、心と体を満たす絶景ハイキング

    日々の喧騒から遠く離れ、ただ静かに自分自身と向き合いたい。そう感じたことはありませんか?情報が溢れ、時間に追われる毎日の中で、知らず知らずのうちに心は渇き、体は固くこわばってしまいます。そんな現代に生きる私たちが本当に求めるのは、物質的な豊かさよりも、魂が深呼吸できるような、清らかな時間なのかもしれません。

    「世界で一番幸福な国」として知られる、ヒマラヤの小国ブータン。その中でも、つい最近まで外国人の立ち入りが制限されていた「最後の秘境」と呼ばれる場所があります。それが、チベットとの国境にひっそりと横たわる、ハア谷です。

    手つかずの雄大な自然、天を突くヒマラヤの山々、そして何世紀にもわたり受け継がれてきた篤い信仰。ハア谷には、私たちの心を洗い、本来の健やかさを取り戻させてくれる、特別な空気が流れています。今回は、この神秘の谷を舞台に、心と体を解き放つ絶景ハイキングの旅へとご案内します。風が祈りを運ぶ峠道を歩き、断崖の尼僧院を訪ね、谷の人々の温かい暮らしに触れる。それは、忘れかけていた「本当の豊かさ」を見つける、魂の巡礼となるはずです。

    魂の休息を求める旅は、ミャンマーの田園風景に心溶かす旅へと続くこともあります。

    目次

    ブータン、最後の秘境「ハア谷」への誘い

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    ブータン西部に位置するハア谷は、首都ティンプーや国際空港があるパロから比較的近い場所にありながら、長い間その神秘に包まれてきました。隣接するチベットとの国境地帯に位置しているため軍事的な要衝とされ、2002年までは外国人観光客の立ち入りが厳しく制限されていたのです。この歴史的事情こそが、ハア谷が「最後の秘境」と呼ばれる所以であり、手つかずの自然と古き良きブータンの伝統文化が今なお息づく、奇跡のような場所であり続ける理由でもあります。

    「ハア(Haa)」という名前には、どこか神秘的な深みが感じられます。一説には、ブータンの公用語であるゾンカ語で「驚き」や「予期せぬ」という意味があると言われ、また別の説では「隠された」という意味を持つともされています。その名の通り、ハア谷の地に足を踏み入れると、目の前に広がる壮麗な景色と、俗世から切り離されたかのような静謐さに、誰もが心を打たれることでしょう。

    谷を横切るハア・チュ川のせせらぎ、風に揺れる青々とした麦畑、そして谷の両側に屏風のようにそびえ立つ雄大な山々。そのすべてが調和し、一幅の美しい絵画のような景観を作り出しています。ここでは、時間がまるで異なる速度で流れているかのように感じられます。鳥のさえずり、川の流れる音、そして風の音だけが響く世界で、私たちは日常の鎧を脱ぎ捨て、ありのままの自分へと還ることができるのです。観光化されていないからこそ味わえる、ありのままのブータンの姿。まさにそれが、ハア谷が旅人を惹きつけてやまない最大の魅力だと言えるでしょう。

    心を洗う天空の散歩道 – チェレ・ラ峠からの絶景ハイキング

    ハア谷を訪れる旅の目玉であり、多くの人々がこの地を目指す最大の理由が、パロとハアを結ぶチェレ・ラ峠(Chele La Pass)からのハイキングです。標高は約3,988メートルあり、富士山を超えるこの場所は、まさに「天空の回廊」と称されるにふさわしい神聖な景観が広がっています。

    峠の頂上までは車でアクセス可能なため、体力に自信がない方でも気軽に壮大なパノラマを楽しめるのが嬉しい点です。車を降りると、冷たく澄んだ空気が肺いっぱいに広がり、その透明感に驚かされます。視界には、東にパロ谷、西にはハア谷が広がり、その壮大さに思わず息をのむことでしょう。空気が澄んだ日には、ブータン第二の高峰であるチョモラリ山(標高7,314m)や聖なるジチュダケ山(Jichu Drake)をはじめ、雪に覆われたヒマラヤの峰々が神々の座の如く連なっている光景を望めます。

    この峠から始まるハイキングは、本格的な登山というよりも尾根沿いをゆったり歩くリッジウォークに近いものです。高地に身体を慣らしながら、一歩ずつ自分のペースで進みます。急ぐ必要は全くなく、目の前に広がる絶景をじっくり味わい、時折立ち止まっては深呼吸をするだけで、心身が浄化されていくような不思議な感覚に包まれます。

    五色の祈り、風に舞うタルチョの聖地

    チェレ・ラ峠を訪れた人々の心を強く惹きつけるのは、無数に風にはためく五色の祈祷旗「タルチョ」の美しい光景です。青、白、赤、緑、黄の鮮やかな旗がヒマラヤから吹き降ろす風に揺られ、パタパタと音を立てて空を舞っています。

    チベット仏教の伝統では、これら五色にはそれぞれ象徴的な意味があります。青は「空」、白は「風(空気)」、赤は「火」、緑は「水」、そして黄は「地」を表し、宇宙を成す五大元素を象徴しています。タルチョにはびっしりと経文が印刷されており、風が旗を揺らすたびに書かれたお経が風に乗って世界へ広がり、全ての生き物に幸福と慈悲をもたらすと信じられています。

    タルチョが連なる道を歩くと、まるで目に見えない大きな力に守られているかのような穏やかで神聖な気持ちが湧いてきます。風の音に耳を澄ませると、それは単なる自然の音ではなく、何万、何億という祈りの声が重なった聖なるシンフォニーのように感じられるかもしれません。ここでは自然と信仰が深く結びつき、人々は自然の中に神仏の存在を感じつつ生きています。この地は、ブータンの人々の精神世界に深く触れることのできる特別な場所です。

    天空の尼僧院「キ・ラ・ゴンパ」を訪れる

    チェレ・ラ峠からのハイキングコースの一つに、断崖に建つ「キ・ラ・ゴンパ(Kila Gompa)」を目指す道があります。この尼僧院はブータンで最も古い尼僧院の一つとされ、その歴史は9世紀にまで遡ります。岩肌にへばりつくように建てられた白壁の建物群は、下から見上げると「どうやってこんな場所に建てたのか」と感嘆せずにはいられない光景です。

    峠から尼僧院へは、シャクナゲや松の森を抜けながらおおよそ1時間半から2時間ほどの穏やかな下り道です。鳥のさえずりを耳にしながら森林浴を楽しみ、のどかな光景の中でヤクが草を食む姿に出会うこともあります。森を抜けて視界が開けると、目の前にキ・ラ・ゴンパの姿が現れ、その感動はひとしおです。

    この尼僧院には現在も数十人の尼僧が厳格な戒律のもとで暮らし、瞑想や仏教哲学の学びに日々を捧げています。俗世から隔絶された環境の中で、彼女たちは静かに祈り、内なる平和を追求しているのです。訪問者はその静けさを乱さず、敬意を持って参拝することが求められます。運が良ければ、尼僧たちのお勤めの声やバター茶のおもてなしを受けられるかもしれません。彼女たちの穏やかで澄んだ瞳に見つめられると、雑念が消え去り、清らかな心境に導かれるでしょう。キ・ラ・ゴンパへの道のりは、単なるハイキングではなく、精神的な旅そのものと言えます。

    スポット名キ・ラ・ゴンパ (Kila Gompa Nunnery)
    場所チェレ・ラ峠から徒歩約1.5〜2時間
    特徴ブータン最古の尼僧院の一つ。断崖に建つ歴史的な建造物。
    体験静寂のなかで瞑想に励む尼僧の日々の暮らしを感じられる。
    注意点尼僧院は神聖な場所です。静粛を保ち敬意を払って訪れてください。内部の撮影は原則として禁じられています。

    ハア谷の歴史と文化に触れる – 聖なる寺院と伝統家屋

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    ハア谷の魅力は、その壮大な自然景観だけに留まりません。谷の奥深くには、ブータンの歴史と信仰を今日に伝える重要かつ神聖な場所が点在しています。ハイキングの途中でこれらの場所を巡ることで、旅は一層深みのあるものになるでしょう。

    黒と白の寺院「ラカン・カルポ」と「ラカン・ナクポ」

    ハア谷の中心部には、谷の守護寺院として篤く信仰される、対となるふたつの寺院があります。それが「ラカン・カルポ(白い寺院)」と「ラカン・ナクポ(黒い寺院)」です。これらの寺院の起源には、興味深い伝説が伝わっています。

    7世紀、チベットを統一したソンツェン・ガンポ王は、ヒマラヤに横たわる巨大な女悪魔を鎮めるため、その体の各所に108の寺院を建立しようと計画しました。その際、王は白い鳩と黒い鳩を空に放ち、鳩が舞い降りた場所に寺院を建てるよう命じたと言われています。こうして、白い鳩が降りた地にラカン・カルポが、黒い鳩が降りた地にラカン・ナクポが建立されたと伝えられています。

    ラカン・カルポは名の通り、白く輝く壁面が印象的で、規模も大きく、ハア県の行政機能も担っています。内部は色鮮やかな壁画で満たされ、仏教の教えや神々の物語が生き生きと描写されています。その荘厳な空気は、訪れる人の心を強く惹きつけます。

    一方で、ラカン・ナクポは谷のやや奥まった場所に静かに佇んでいます。黒い石材や木材で造られた重厚な建物は、周囲の自然と調和し、神秘的で強いエネルギーを感じさせます。内部は薄暗く、バターランプの灯りが揺らめく中、古代から続く祈りの気配を肌で感じ取ることができるでしょう。ラカン・カルポが「陽」の象徴ならば、ラカン・ナクポは「陰」を表します。この二つの寺院を訪れることで、ハア谷を護る大いなる力の両面性を実感できるはずです。

    スポット名ラカン・カルポ (Lhakhang Karpo)ラカン・ナクポ (Lhakhang Nagpo)
    別名白い寺院黒い寺院
    建立伝説ソンツェン・ガンポ王が放った白い鳩が舞い降りた地ソンツェン・ガンポ王が放った黒い鳩が舞い降りた地
    特徴大規模かつ荘厳な建築。ハア県の行政機能も担う。谷の奥に構える重厚で神秘的な建築。
    役割ハア谷の守護寺院(陽)ハア谷の守護寺院(陰)

    ブータンの原風景を映す伝統的な住まいと暮らし

    ハア谷を歩いていると、ブータンの伝統建築様式で建てられた美しい農家が点在しているのに気づきます。石、土、木材を巧みに組み合わせて建てられたこれらの家々は、基本的に三階建てで構成されています。一階は家畜小屋、二階が倉庫や穀物の貯蔵場所となり、最上階の陽当たりの良い空間が家族の生活スペースです。この合理的な造りは、ヒマラヤの厳しい自然環境で暮らす人々の知恵の結晶と言えるでしょう。

    家の壁や窓枠には、龍や神話上の動物、花などの鮮やかな装飾が施されているのが特徴です。これらは単なる美飾ではなく、魔除けや幸運を呼び込む重要なシンボルです。特に、男性のシンボル(陽物)が描かれていることもあり、驚かれるかもしれませんが、これは多産豊穣や魔除けを願う古くからの民間信仰の表れです。

    ハア谷の魅力は、こうした美しい家々が営まれる素朴で温かな人々の暮らしに触れられる点にもあります。ブータンの人々は非常に親日的で、旅人に心からのもてなしを見せてくれます。農家を訪れた際には、その温かさをぜひ体験してください。囲炉裏端で、自家製バターと塩を使ったバター茶「スジャ」や、どぶろくのような地酒「アラ」を振る舞われることもあります。言葉が通じなくとも、その笑顔や優しい眼差しから心が通じ合う瞬間を感じられるでしょう。

    また、食事も旅の大きな楽しみの一つです。ブータン料理は唐辛子を野菜として扱うため辛いことで知られていますが、中でも代表的な「エマ・ダツィ」は、唐辛子をチーズで煮込んだシンプルながら奥深い味わいの国民食です。ハア谷で採れる新鮮な野菜や蕎麦、赤米を使った家庭料理は、滋味深く疲れた体を内側から癒してくれます。こうした人々との交流や食文化の体験を通して、私たちはブータンが「幸福の国」と称される理由を肌で実感することができるのです。

    ハア谷の自然を満喫する – 四季折々の表情と動植物

    ハア谷の自然は、訪れる季節によってまったく異なる顔を見せてくれます。それぞれの季節には独自の美しさがあり、一度訪れただけではそのすべての魅力を味わい尽くすことが難しいかもしれません。

    春夏秋冬、ハア谷の各季節の魅力

    春(3月~5月): 長い冬が終わりを迎え、谷に新たな生命が息づく時期です。山の斜面はピンクや赤、白色のシャクナゲが色鮮やかに咲き誇り、まるで天上の花園のような光景が広がります。高山植物も次々に花を咲かせ、ハイキングコースは一年で最も華やかな様相を呈します。空気は澄みわたり、雪をかぶったヒマラヤの峰々が鮮明に望める、最高の季節です。

    夏(6月~8月): 雨季にあたり、谷は深い緑に包まれます。雨に洗われた木々の葉はみずみずしく輝き、棚田の稲もぐんぐん成長します。霧が立ち込めることが多く、谷全体が幻想的なムードに包まれます。雨具は必須ですが、雨上がりにかかる虹や霧の中から姿を現す荘厳な山々の風景は、この時期ならではの贈り物です。

    秋(9月~11月): 雨季が終わり、安定した晴天が続く絶好の季節です。空は青く澄み渡り、ハイキングに最適な時期となります。谷の樹々は赤や黄色に色づき始め、黄金に実った麦や稲の収穫風景があちこちで見られます。ブータンでは多くの宗教的な祭り(ツェチュ)が開催されるため、文化に触れる絶好の機会も訪れます。

    冬(12月~2月): 厳しい寒さが訪れるものの、静寂と落ち着きに満ちた時期です。谷は雪に覆われ、一面の銀世界へと姿を変えます。空気が最も澄みわたり、ヒマラヤの眺望は圧巻の美しさ。雪化粧をした寺院や家屋の景色は、まるで水墨画のような趣きを醸し出します。十分な防寒対策をすれば、凛とした空気の中で楽しむ冬のハイキングもまた格別な体験になるでしょう。

    聖なる青いケシとの出会い

    ブータンを象徴する花であり、多くのトレッカーがその姿を一目見たいと憧れるのが、国花でもある「ブルーポピー(メコノプシス)」です。標高3,500メートルから5,000メートルの高地にしか自生しないため、「ヒマラヤの青いケシ」や「幻の花」とも称されます。その名にふさわしく、深く澄んだ透明感のある青い花びらは、神秘的な美しさを湛えています。

    ハア谷の周辺の高地にもブルーポピーが点在しており、開花時期は雪解け後の6月下旬から8月上旬にかけてです。この花と出会うためには、雨季の最中に専門ガイドと共に数日間のトレッキングを行う必要があります。決して容易な道のりではありませんが、霧の中で凛と咲く青いケシを見つけた際の感動は、一生心に残る思い出となるでしょう。そのはかなくも気高さを感じさせる美しさは、ヒマラヤの厳しい自然環境が生み出した奇跡。この花との邂逅は、旅に深い精神的な満足感をもたらしてくれます。

    野鳥の楽園を巡る

    ハア谷は手つかずの豊かな自然が残されていることから、多種多様な野生動物や鳥類のサンクチュアリ(聖域)となっています。特にバードウォッチングを好む人々にとってはまさに楽園と言える場所です。谷を歩けば、多彩な鳥たちの美しいさえずりが響いてきます。

    ブータンの国鳥であるワタリガラスをはじめ、虹色に輝く羽を持つヒマラヤン・モナール(ニジキジ)、ベニキジ、ミミキジといったヒマラヤ固有の貴重な鳥類にも出会える可能性があります。双眼鏡を携え、静かに森の中を歩きながら鳥たちを探すことは、自然との対話を楽しみ、その一部となるような瞑想的なひとときです。ハア谷のハイキングは、単に風景を楽しむだけでなく、そこに息づく小さな生命の声に耳を傾けることによって、さらに豊かな体験となるでしょう。

    ハア谷への旅の準備と心得

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    最後の秘境、ハア谷への旅を最高のものにするため、事前に押さえておきたい準備や心得についてご紹介します。特に40代以上の大人の旅では、無理のないプランと十分な準備が、心身の快適な滞在を支えてくれます。

    ベストシーズンと服装のポイント

    一般的に、ブータン旅行の最適なシーズンは、安定した天候とヒマラヤの絶景が楽しめる春(3月から5月)と秋(9月から11月)です。これらの季節は気候が穏やかで、トレッキングにもぴったりの時期です。

    服装については、標高差が大きいため、体温調節が容易な「レイヤリング(重ね着)」が基本となります。チェレ・ラ峠のように標高が約4,000メートルに達する場所では、夏でも朝晩には氷点下近くまで冷え込むことがありますが、日中は強い陽射しが降り注ぎます。

    • ベースレイヤー:汗をかいても速乾性のある化学繊維やメリノウールの下着がおすすめです。
    • ミドルレイヤー:保温性のあるフリースや薄手のダウンジャケットを用意しましょう。
    • アウターレイヤー:風雨を防ぐ防水透湿素材(ゴアテックスなど)のジャケットとパンツが必要です。
    • ボトムス:動きやすいトレッキングパンツが適しています。
    • 足元:履き慣れた防水性のトレッキングシューズやハイキングシューズを。足首を支えるミドルカット以上が安心です。
    • 小物:強い日差し対策に帽子、サングラス、日焼け止めは必須。また、朝晩の冷えや急な天候変化に備えて、手袋、ネックウォーマー、ニット帽などもあると便利です。

    高山病対策と体調管理

    ハア谷やチェレ・ラ峠は標高が高いため、高山病のリスクを十分に考慮する必要があります。高山病は年齢や体力に関係なく誰にでも起こりうるもので、頭痛、吐き気、倦怠感、めまいなどが主な症状です。

    • ゆっくりと行動する:高地に着いて最初の日は体を慣らすため軽い散歩程度にとどめましょう。ハイキング中も息切れしないペースで歩くことを心がけてください。
    • こまめな水分補給:意識して多くの水分を摂ることが高山病予防のポイントです。1日2~3リットルを目安に、水やお茶を頻繁に飲みましょう。
    • アルコールや睡眠薬は控える:呼吸を抑制しやすく高山病のリスクを高めるため、高地では避けるのが望ましいです。
    • 十分な休息を取る:快適な睡眠と疲労回復を促すため、余裕のあるスケジュール作りを心掛けましょう。
    • 事前の医療相談:不安がある場合は出発前にトラベルクリニックなどで相談し、高山病予防の薬を処方してもらうことも可能です。

    最も重要なのは、自分の体調に敏感になり、無理をしないこと。体調の異変を感じたらすぐガイドに伝え、休息を優先してください。

    ブータン旅行の基本ルール

    ブータンでは、個人旅行は原則認められておらず、政府公認の旅行会社を通じてツアーを組む必要があります。また、「最低公定料金」制度が設けられており、1泊あたりの料金が一律に決められています。この料金には宿泊代、食事代、専用車・ガイド代、各種許可証代などが含まれており、一見すると高額に見えるかもしれません。しかし、これは観光客の数を制限し、貴重な自然環境と独自の文化を保護する「ハイバリュー・ローインパクト」という国の方針の結果です。この仕組みのおかげで、訪問者は過剰な混雑とは無縁の、静かで高品質な旅を楽しむことができます。

    ハア谷でのマナーと心がけ

    • 寺院での服装:ゾンやラカンなどの聖地を訪れる際は、敬意を示して肌の露出が多い服装(タンクトップやショートパンツなど)は避けましょう。肩や膝を隠す服装が基本で、帽子やサングラスは入口で外すのがマナーです。
    • 写真撮影について:寺院内部はほとんどの場合撮影禁止です。外観の撮影は問題ありませんが、人物写真を撮る際は必ず一言断りを入れましょう。
    • 地元の方との接し方:ブータンの人々は非常に親切ですが、彼らの生活や文化を尊重することが大切です。子供に簡単にお菓子や文房具を渡すことは、物乞いの習慣を助長する恐れがあるため控えましょう。
    • 自然を大切に:ハイキング中のゴミ捨ては厳禁です。高山植物を採取したり、自然環境を無闇に傷つけることのないよう細心の注意を払いましょう。「足跡以外は何も残さず、思い出だけを持ち帰る」というハイカーの基本精神を守ることが重要です。

    魂が求める静寂 – ハア谷が教えてくれる本当の豊かさ

    ハア谷への旅は、単なる美しい景観を楽しむ観光ではありません。それは、ヒマラヤの壮大な自然に包まれ、風のささやきに耳を傾け、古の祈りの気配に触れることで、自分自身の内なる声と向き合う特別な時間です。

    チェレ・ラ峠の稜線を歩みながら、果てしなく広がるヒマラヤの山々を見つめると、日常の悩みや執着がいかに小さなものであったかに気づかされます。断崖に立つ尼僧院で静かに祈りを捧げる尼僧たちの姿は、物質的な豊かさとは異なる、精神的な満足や心の平穏とは何かを穏やかに語りかけてきます。また、谷の農家で味わう一杯のバター茶の温もりは、人と人とのつながりという人間にとって最も根源的な幸せを思い起こさせてくれるでしょう。

    情報から遮断され、便利さから解放されたその場所で、私たちは五感を研ぎ澄ませ、自然のリズムに身をゆだねます。それは、現代社会で私たちが失いかけている本来の感覚を取り戻す過程かもしれません。ハア谷が示してくれるのは、所有することの豊かさではなく、存在そのものの尊さ。何もしないで、ただそこにいることのなんと贅沢なことか。

    もしあなたの心が静寂と癒しを求めているなら、次の旅先としてブータンのハア谷をぜひ心の中に描いてみてください。天空の聖地を歩む一歩一歩が、あなたの心身を穏やかに満たし、明日を生きる力となる新たなエネルギーを授けてくれることでしょう。

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    この記事を書いた人

    韓国留学経験のある莉佳です!K-POPや最新コスメ、ソウルのトレンド情報を発信しています。ファッションと音楽をテーマにした、Z世代ならではのリアルな韓国の旅をお届けします。一緒に韓国カルチャーを楽しみましょう!

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