日々の喧騒、鳴り止まない通知音、そして時間に追われる感覚。私たちはいつの間にか、自分自身の心と向き合う時間を失ってしまっているのかもしれません。もし、あなたが今、そんな息苦しさを少しでも感じているのなら、地中海の北アフリカに浮かぶ国、チュニジアへの旅を想像してみてはいかがでしょうか。
そこは、ラピスラズリの海と、太陽の光を浴びて輝く白い壁の家々が織りなす、美しいコントラストの世界。特に首都チュニスから程近くにありながら、観光地の喧騒とは一線を画す静かな港町「メグリン(Mégrine)」は、物質的な豊かさだけでは満たされない心の渇きを潤してくれる、まさに隠れ家のような場所です。
オリーブの木々が風にそよぎ、スパイスの香りが漂う路地裏。ゆったりと流れる時間の中で、私たちは忘れかけていた五感の喜びを取り戻し、自分自身の内なる声に耳を澄ますことができるでしょう。この旅は、有名な観光地を巡るだけの旅ではありません。地中海の光と風に身を委ね、チュニジアの奥深い文化に触れながら、静謐な精神世界を探求する、あなただけの特別な時間となるはずです。
さあ、日常を少しだけ遠くに置いて、心と魂を解き放つ旅へと出発しましょう。メグリンの柔らかな光が、あなたを優しく迎えてくれます。
このような静謐な精神世界への旅は、南アフリカのボショフにある石造りの教会で響く祈りの歌にも通じるものがあります。
メグリンとはどんな場所?喧騒から離れた地中海の隠れ家

チュニジアと聞くと、多くの人はサハラ砂漠の壮大な風景や、青と白が織りなす美しいシディ・ブ・サイドの街並みを想起するでしょう。しかし、チュニジアの魅力はそれだけにとどまりません。首都チュニスの中心部から南へ数キロ、チュニス湾の向こう側に、メグリンという静かな街があります。
かつてフランスの保護領だった歴史を持つこの町は、ヨーロッパ風の洗練されたヴィラとチュニジア伝統の建築様式が自然に調和しているのが特色です。ヤシの木が並ぶ広々とした通り、色鮮やかなブーゲンビリアで飾られた壁を持つ家々。その光景はどこか懐かしく、訪れる人の心を穏やかに包み込みます。
メグリンが「隠れ家」と呼ばれる理由は、その立地条件にあります。首都のすぐ近くにありながら、多くの観光客が押し寄せることはほとんどありません。ここにあるのは、地元の人々の穏やかな日常そのものです。朝はカフェでミントティーを片手に談笑する男性たち、昼は市場で新鮮な食材を選ぶ女性たちの活気ある声、そして夕暮れ時には海辺を散歩する家族の姿。こうした何気ない日常の情景こそが、メグリン最大の魅力であり、私たちの心を強く惹きつけるのです。
なぜこの場所が私たちの精神に深い響きをもたらすのでしょうか。それはメグリンが「余白」に満ちた空間であるからかもしれません。観光地としての華やかさはないものの、ここには心を無にして風の音や波のさざめきに耳を傾ける時間があります。計算され尽くしたエンターテインメントではなく、自然の移ろいや人々の暮らしの中に、本質的な豊かさが宿っているのです。忙しい日常のなかで見失いがちな自己と向き合うための「余白」。メグリンは、私たちにそのかけがえのない時間を与えてくれる、地中海の静謐な聖域と言えるでしょう。
心を整えるメグリンの朝。地中海の日の出と散策のすすめ
旅先の朝は、いつもより少しだけ早く目を覚ますことをおすすめします。とりわけメグリンの朝は、一日の中で最も神聖で心が洗われるひとときと言えるでしょう。まだ街が静寂に包まれているうちに、ぜひ海辺へ足を運んでみてください。
東の空が徐々に白みを帯び、やがて柔らかなオレンジ色に染まっていく光景は、まるで壮麗な絵画のようです。そして、水平線の彼方から太陽が顔を出す瞬間、世界は眩い光に満たされます。海の表面はキラキラと輝き、まるで無数のダイヤモンドが散りばめられたかのよう。その荘厳な風景に触れると、私たちは自然と謙虚な気持ちになり、生きている喜びを改めて感じることでしょう。
この朝日の光を浴びることは、心身に素晴らしい効果をもたらします。太陽光は、幸福感や心の安定に関わる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促進すると言われています。メグリンのやわらかな朝の光を全身で受けることは、まさに自然がくれる精神の安定剤。不安やストレスがゆっくりと溶けていくような感覚を味わえるはずです。
日の出を満喫した後は、そのまま海岸沿いをゆったり散策してみてはいかがでしょう。打ち寄せる波の音は、不規則ながらも心地よいリズムを奏で、私たちの心を深いリラクゼーションへと導きます。これは「1/fゆらぎ」と呼ばれるもので、小川のせせらぎや木漏れ日など、自然界にあるリズムがもたらす癒しの力です。難しく考えず、ただ波のリズムに呼吸を合わせるだけで、心は自然と穏やかになっていきます。
散策を続けるうちに、小さな漁船が沖へ出ていく光景に出会うかもしれません。または、ジョギングを楽しむ地元の人と「アッサラーム・アライクム(あなたに平和を)」と挨拶を交わすこともあるでしょう。カフェの前には焼きたてのパンの香ばしい香りが漂い始めます。こうした一つ一つの風景や音、匂いが五感を優しく刺激し、生きている実感を呼び起こしてくれるのです。計画に縛られず、気の向くままに歩く。そんな贅沢な朝の時間が、メグリンでの一日を、またあなたの心も豊かに彩ってくれます。
チュニジアの食文化に触れる。メグリンの市場と家庭料理の知恵

精神的な豊かさは、私たちの身体を支える「食」と密接に結びついています。チュニジア、特にメグリンのような地方都市では、その土地の恵みをふんだんに活かした、素朴でありながら深い味わいの食文化が今も息づいています。その真髄に触れるには、まず地元の市場(スーク)を訪れるのが最適です。
メグリンの市場に一歩足を踏み入れると、そこにはエネルギーに満ちた鮮やかな色彩と香りの洪水が広がっています。太陽の光を浴びて育った真っ赤なトマト、光沢のある濃紫色のナス、みずみずしい緑のキュウリ。積み重ねられた野菜や果物は、それ自体がひとつの芸術作品のようです。さらに、鼻をくすぐるのはクミンやコリアンダー、ターメリックなどのスパイスが織りなす複雑で異国情緒あふれる香り。人々の賑やかな声が響き渡り、市場全体がまるで一つの生き物のように躍動しています。
ここで欠かせないのが、チュニジア料理の心臓部ともいえる「ハリッサ」です。唐辛子をベースに、ニンニクやコリアンダー、塩、オリーブオイルを加えて作られるペースト状の調味料で、ピリッとした辛味の中に深い旨みが感じられます。そして、世界トップクラスの品質を誇るチュニジア産オリーブオイル。黄金色に輝くそのオイルは、あらゆる料理の風味をひときわ引き立てる魔法の液体です。市場には多様なハリッサや、農家から直接届く新鮮なオリーブオイルが並び、その豊かさに目を見張ることでしょう。
これらの食材を使ったチュニジアの家庭料理は、まさに地中海式食生活の典型例です。代表的な料理「クスクス」は、世界最小のパスタと称される粒状の小麦に、羊肉や鶏肉、豊富な野菜を煮込んだスープをかけていただきます。スパイスの効いたスープが染み込んだクスクスと、ほろほろと柔らかな肉、甘みのある野菜が一体となった味わいは、体と心を優しく包み込みます。「タジン」は日本の茶碗蒸しに似た卵料理で、具材は多様。肉や魚介、野菜、チーズなどを卵と混ぜ合わせ、オーブンでじっくりと焼き上げます。ふわっとした食感と凝縮された旨みは、一度味わうと忘れられない美味しさです。
チュニジアの食文化の智慧は、単に健康的な食材を選ぶだけには留まりません。それは旬の食材を尊重し、丁寧に手間暇かけて調理し、何より家族や友人と食卓を囲む時間を大切にするという文化そのものに根ざしています。食事とは単なる栄養補給ではなく、コミュニケーションの場であり、愛情を分かち合うための重要な儀式なのです。メグリンの小さなレストランや市場で購入した食材を使って自炊しながら、この温かなチュニジアの食文化に触れることは、私たちの食生活、そして生活全般を見つめ直す貴重な機会になるでしょう。
| スポット名 | 概要 | 住所(例) |
|---|---|---|
| メグリン中央市場 | 新鮮な野菜や魚介類、スパイス、オリーブ、デーツなどがずらりと並ぶ賑やかな市場。地元の人々の暮らしと食文化を直に体感できます。 | Rue de l’Indépendance, Mégrine, Tunisia |
| カフェ・デ・パルミエ | 地元の男性たちの憩いの場として親しまれる伝統的なカフェ。甘く芳しいミントティーを片手に、街の喧騒をゆったり眺められます。 | Avenue Habib Bourguiba, Mégrine, Tunisia |
| レストラン・ラ・シレーヌ | チュニス湾で獲れる新鮮なシーフード料理が自慢の地元レストラン。シンプルなグリルや魚介のクスクスなど、地中海の恵みを堪能できます。 | Quai des Pêcheurs, Mégrine, Tunisia |
歴史と信仰が交差する場所。静寂に包まれる祈りの空間
メグリンの旅は、自分自身の内面と向き合う旅である一方、時にはその視点をもっと広く、すなわち悠久の歴史や多くの人々の信仰の世界に向けてみることで、新しい発見や深い精神的な満足感を得ることができます。
チュニジアは古代カルタゴの時代からローマ、ビザンツ、アラブ、オスマン帝国、さらにはフランスに至るまで、さまざまな文明が交錯してきた歴史の十字路といえます。その重層的な歴史は、街の建築や人々の日常生活の中にいまもなお色濃く残っています。メグリンの街を歩いていると、ふと控えめなモスク(イスラム教の礼拝堂)に出会うことがあります。華やかな装飾はなくとも、その佇まいからは敬虔な祈りの空気が満ちています。1日に5回、街中に響き渡るアザーン(礼拝の呼びかけ)の声は、イスラム教徒でない私たちにとっても、心を落ち着かせ、自己を省みる時間を与えてくれる不思議な力を持っています。
より深くその精神性に触れたい方は、メグリンから電車で少し移動し、チュニス旧市街(メディナ)中心にある「ザイトゥナ・モスク」を訪れてみてください。732年に建てられたこのモスクは、チュニジア最古級であり、最重要のモスクの一つです。広大な中庭を囲む壮麗な列柱や、緻密に彫刻された説教壇(ミンバル)など、イスラム建築の粋を堪能できるその空間はまさに圧巻の一言です。信者でなくとも、その荘厳で静謐な雰囲気の中に身を置くと、心が洗われるような感覚を覚えることでしょう。ここでは大声で話すことや派手な振る舞いは慎むべきです。静かに、その場所が持つ力に身を委ねるだけで、日常の雑念から解放され、心が澄み渡るのを感じるはずです。
歴史の視点をさらに古代へと遡ると、かつて地中海世界に君臨した海洋国家カルタゴの遺跡がすぐ近くにあります。ローマとのポエニ戦争で徹底的に破壊された悲運の都市であり、現在は静かな丘の上に広がる遺跡群が残っています。その石畳や円形劇場の跡を見ると、かつての繁栄と歴史の儚さがひしひしと伝わってきます。偉大な文明もいつかは消え去り、人の営みもまた儚いものです。しかしその上で私たちは今この瞬間を生きています。カルタゴの遺跡は、時間の壮大さと「今を生きる」ことの尊さを静かに語りかけてくれているのです。
さらにチュニス湾の対岸には、芸術家たちに愛された青と白の街、シディ・ブ・サイドが輝いています。その美しさはもちろんですが、この街が醸し出す独特の空気感が訪れる人々の心を惹きつけます。断崖の上にあるカフェ「カフェ・デ・ナット」では、眼下に広がる地中海の絶景を眺めながらミントティーを味わうことができ、その時間はまさに至福のひとときです。青と白のシンプルな色彩の世界に身を置くと、思考も自然とシンプルになり、本当に大切なものだけが浮かび上がってくるように感じられます。
これらの場所は単なる観光名所に留まりません。それぞれの地が持つ独特の歴史と物語、そしてそこに流れる特有の「気」を感じることで、私たちの精神はより深く、豊かに育まれていくのです。
| スポット名 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| ザイトゥナ・モスク | チュニス旧市街(世界遺産)の中心に位置する、チュニジアで最も古いモスクの一つ。壮麗なイスラム建築と厳かな雰囲気に触れることができます。 | メグリンからTGM鉄道などでアクセス可能。非イスラム教徒は礼拝時間外に見学可能。肌の露出を控えた服装が求められます。 |
| カルタゴ遺跡 | 古代カルタゴと古代ローマ、両時代の遺跡が点在する広大な遺構。アントニヌスの共同浴場やビュルサの丘からの眺めは見逃せません。 | 世界遺産。一日かけてじっくり巡ることをおすすめします。歩きやすい靴が必須です。 |
| シディ・ブ・サイド | チュニス湾を見下ろす崖の上に広がる、白壁とチュニジアンブルーの扉が印象的な街。迷路のような路地を散策するだけでも心が躍ります。 | カフェからの夕景は格別。土産物店も多いですが、賑わいを離れて静かな小道に入るのがおすすめです。 |
地中海の恵みを五感で感じる。オリーブオイルとハマム体験

チュニジアの精神文化を語る際、欠かせないのがこの地の暮らしに深く根付いた二つの恵み、「オリーブ」と「水」です。これらを五感で体感することは、心身の浄化を促し、大地との結びつきを新たに実感する神聖な儀式と言えるでしょう。
チュニジアは世界でも有数のオリーブオイル生産国です。国土には銀色に輝く葉を持つオリーブの木々が広大に広がり、その景観は旧約聖書にも登場する平和の象徴そのものです。メグリン近郊へ足を伸ばせば、何世代にもわたり受け継がれてきたオリーブ畑に出会えます。力強く大地に根をおろし、灼熱の太陽や乾燥に耐え抜くオリーブの木は、まさに生命力の結晶。木陰に立ち、葉が揺れる風の音に耳を澄ませば、自然と心が落ち着き、内なるエネルギーが湧き上がるのを感じられます。
このオリーブの実から搾り出されるのが、「黄金の液体」と称されるオリーブオイルです。新鮮なエクストラバージンオリーブオイルは、青々とした草のような香りやリンゴやトマトを思わせるフルーティーな風味、喉をピリッと刺激する心地よい辛味を備えています。テイスティングを体験すれば、その複雑で深い味わいに驚嘆することでしょう。パンに浸してシンプルに味わうだけで、口の中に地中海の太陽と大地のエネルギーが広がります。良質なオリーブオイルを日々の食事に取り入れることは、健康の維持はもちろん、感覚を研ぎ澄まし自然の恵みに感謝する心を取り戻す最高の手段でもあります。
さらに、チュニジアでぜひ体験していただきたいのが、伝統的な公衆浴場「ハマム」です。ハマムは単なる入浴施設にとどまらず、身体の汚れだけでなく心の垢も洗い流す浄化の場であり、地元の人々にとって重要な社交の場でもあります。
ハマムの扉をくぐると、冷んやりとした脱衣所から、次第に蒸気で満たされた暖かな部屋、そして最も熱い空間へと進みます。大理石の床に腰を下ろし、ゆっくりとお湯を体にかけて温まるうちに毛穴が開き、汗とともに日常の疲れや毒素が流れ出ていくのが実感できます。この時間は、一種の瞑想状態にも似た無心のリラックスタイムとなるでしょう。
体の芯まで温まったら、いよいよハマムの醍醐味である「ゴマージュ(アカスリ)」です。ケッサと呼ばれる専用のミットを手にした施術師が、オリーブオイル石鹸で身体を洗いながら、全身を力強くこすりあげます。最初は驚くかもしれませんが、出てくる垢の量に、自分のなかにこんなに不要なものが溜まっていたのかと驚くと同時に、不思議な爽快感に包まれます。
ゴマージュを終えると、肌は信じられないほど滑らかになり、体は羽のように軽やかになります。しかし、それ以上に大きな変化を感じるのは心のほうでしょう。物理的に「一枚脱いだ」感覚は、精神的な解放へとつながり、古い自分を洗い流し、新しい自分に生まれ変わるのです。ハマム体験は心身のデトックスであり、まさにスピリチュアルな再生の儀式でもあります。少し勇気をもって、このチュニジア独特の文化に飛び込んでみてください。これまでに味わったことのない深いリフレッシュ感が、きっとあなたを待っているはずです。
自分と向き合う時間。メグリンで見つける「何もしない贅沢」
旅に出ると、つい「何かをしなければならない」という強迫観念にとらわれがちです。有名な観光地を巡り、名物料理を全て味わい、お土産を買い揃える。そうした予定をこなすことに満足感を覚える旅も、もちろん素晴らしいものです。しかし、メグリンが私たちに示してくれるのは、それとは全く異なる旅のあり方、つまり「何もしない贅沢」です。
考えてみてください。私たちの日常は常に「行動(Doing)」で埋め尽くされています。仕事に取り組み、家事をこなし、情報を取り入れ、誰かとコミュニケーションをとる。そうした中で、「ただ存在する(Being)」ための時間はほとんどありません。メグリンの穏やかな雰囲気は、私たちをその「やらねばならないこと」の束縛から静かに解き放ってくれます。
例えば、海辺のカフェのテラス席に腰を下ろし、一杯のミントティーを頼む。そしてただ、目の前に広がるチュニス湾を眺める。行き交う船、空を舞うカモメ、ゆっくりと形を変える雲。スマートフォンを取り出すことも、本を開くこともせず、ただその景色の一部になるのです。最初は手持ち無沙汰に感じるかもしれませんが、しだいに思考のざわめきが静まり、心が穏やかになっていくのがわかるでしょう。風の感触、お茶の香り、遠くで響く子供たちの笑い声。普段は気づかないような小さな感覚が、鮮やかに蘇ってきます。これこそが、自分自身とそして世界と深くつながる瞬間です。
または、心地よい木陰を見つけて持参した本をゆったりと読む。時間に縛られず、気に入った箇所を何度も味わいながら、物語の世界にどっぷりと浸る。読み疲れたら目を閉じ、シエスタ(昼寝)でくつろぐのも良いでしょう。メグリンの午後の柔らかな日差しとやさしい風は、最高の眠りへと誘ってくれます。
情報が溢れる現代において、意識的に情報から距離を置く「デジタルデトックス」は、心の健康を守るためにたいへん大切です。メグリンのゆったりとした時間は、その実践にふさわしい環境と言えるでしょう。SNSの更新を気にせず、目の前の現実をじっくり感じる。誰かと比べることなく、自分の感覚を信じる。こうした時間を得ることで、すり減ってしまった感受性を取り戻し、自分にとって本当に大切なものが何かを改めて見つけ出すことができるのです。
「何もしない」ことは決して時間の無駄ではありません。それは自分の内なる声に耳を傾け、心と体をリセットするための、最も積極的で贅沢な時間の使い方です。メグリンの旅では、ぜひスケジュール帳に白紙の日を設けてみてください。その空白の時間の中に、あなたの魂が本当に求めていたかけがえのない宝物が見つかるはずです。
メグリン滞在をより豊かにするためのヒント

この静かな場所での滞在を、より安らぎと充実感のあるものにするために、いくつかのポイントをご紹介します。旅の準備から心の構えまで、少し気を配るだけで、メグリンの魅力をいっそう深く味わえるでしょう。
訪問に最適なシーズン
チュニジアは地中海性気候に属し、年間を通して比較的温暖ですが、快適な旅を考えると春(4月~6月)と秋(9月~11月)が最適な時期です。夏の厳しい暑さや冬の冷え込みもなく、この時期は街歩きや海辺でのひとときを楽しむのにぴったりです。柔らかな日差しと爽やかな空気、そして街に彩りを添える花々が最も鮮やかに咲き誇ります。特に春は、ブーゲンビリアやジャスミンが咲き乱れ、街全体が甘い香りに包まれます。
快適な旅の服装
服装はリラックスできることを何よりも重視しましょう。締め付けのないコットンやリネンなど自然素材の衣服がおすすめです。日差しは年間を通じて強いため、帽子やサングラス、日焼け止めは必ず持参しましょう。また、チュニジアはイスラム教の国であるため、ザイトゥナ・モスクなど宗教施設を訪れる際には、肌の露出を控えるのがマナーです。肩や膝が隠れる服装を基本とし、女性ならショールやスカーフを一枚携帯すると、髪を覆うのに便利なだけでなく、冷房対策や日よけとしても役立ちます。
心をつなぐ言葉
公用語はアラビア語ですが、フランス語も広く使われています。英語はホテルや観光客向けのレストランでは通じることが多いものの、ローカルな市場やカフェでは難しい場合もあります。けれど言葉の壁を気にしすぎる必要はありません。大切なのは、コミュニケーションを試みる姿勢です。簡単なアラビア語の挨拶をいくつか覚えておくだけでも、地元の方との距離はぐっと縮まります。「こんにちは」を意味する「アッサラーム・アライクム」、「ありがとう」の「シュクラン」、「お願いします」の「ミン・ファドレク」。これらを笑顔で伝えれば、温かな笑顔がきっと返ってくるはずです。
安全に過ごすための心構え
メグリンは比較的治安が良く穏やかな街ですが、海外に滞在しているという基本的な注意は怠らないようにしましょう。貴重品はホテルのセーフティボックスに預け、多額の現金を持ち歩くのは避けましょう。夜間の一人歩きは控え、人通りの少ない場所には近づかないように心がけてください。これらの基本的な注意さえ守れば、安心して滞在を楽しめます。
地元の暮らしに溶け込む滞在方法
時間にゆとりがあるなら、大型ホテルではなく、キッチン付きのアパートメントや地元の雰囲気が感じられるゲストハウスを利用することをおすすめします。市場で新鮮な食材を買い、自炊してみたり、近所の人とあいさつを交わしたりすることで、単なる観光客ではなく、その地域の生活に溶け込む体験ができます。朝は近所のパン屋で焼きたてのバゲットを買い、カフェで地元の人たちと会話する。そんな何気ない日常こそが、メグリンの旅を心に残るものにしてくれるのです。この穏やかな地で、あなた自身の「精神の故郷」を見つけてみてください。

