9連休が追い風、旅行需要は過去最高レベルへ
2026年の春節(旧正月)が9連休の大型連休となることを受け、中国からの海外旅行予約が驚異的なペースで増加しています。複数のオンライン旅行プラットフォームが発表したデータによると、予約件数はすでに前年同期を大幅に上回り、新型コロナウイルスのパンデミック前である2019年をも超える勢いを見せています。この旺盛な需要は、世界の観光市場の完全回復に向けた力強い追い風となることが期待されています。
人気の渡航先は「ビザなし東南アジア」と「オーロラ輝く北欧」
予約データを見ると、人気の渡航先には明確な傾向が現れています。
手軽さが魅力の東南アジア諸国
特に予約が集中しているのが、タイ、マレーシア、シンガポールといった東南アジア諸国です。これらの国々は、中国との地理的な近さに加え、近年相次いで導入されたビザ免除措置が大きな後押しとなっています。面倒なビザ申請手続きが不要になったことで、旅行者はより手軽に、そして直前でも旅行を計画できるようになりました。温暖な気候と豊かな文化、比較的安価な物価も、家族旅行や友人同士の旅行先として高い人気を誇る理由です。
特別な体験を求めるなら北欧へ
一方で、これまでとは異なるユニークな体験を求める層からは、フィンランドやノルウェーといった北欧諸国への関心が高まっています。最大の目的は、夜空を彩る幻想的なオーロラ鑑賞です。春節の時期はオーロラ観測のベストシーズンと重なるため、一生に一度の体験を求めて高額なツアーにも予約が殺到しています。
旅行スタイルの変化:団体旅行から「パーソナライズされた旅」へ
今回の予約動向で注目すべきは、旅行形態の変化です。かつて主流だった大規模な団体ツアーは影を潜め、個人の興味やペースに合わせて旅程を組む個人旅行(FIT)や、家族や友人だけで行動する小規模なプライベートツアーが主流となりつつあります。
この背景には、パンデミックを経て旅行者の価値観が変化し、画一的な観光地巡りよりも、現地の文化に深く触れたり、特別なアクティビティを体験したりといった「コト消費」への関心が高まったことがあります。旅行プラットフォーム上では、現地の料理教室や伝統工芸体験、プライベートガイド付きのハイキングツアーといった、よりパーソナライズされたプランの人気が急上昇しています。
予測される影響と今後の展望
この爆発的な旅行需要は、世界経済に多大な影響を与えると予測されています。
各国の観光業界に大きな経済効果
中国人観光客の回復は、各国の観光業界にとって待望のニュースです。ホテル、航空会社、レストラン、小売店など、幅広い分野で大きな経済的恩恵が見込まれます。特に、コロナ禍で大きな打撃を受けた観光地にとっては、完全復活への足がかりとなるでしょう。ある試算によると、2026年春節期間中の中国人観光客による海外での消費額は、2019年比で20%以上増加する可能性も指摘されています。
オーバーツーリズムへの懸念と対策
一方で、特定の人気観光地に旅行者が集中することによる「オーバーツーリズム(観光公害)」への懸念も高まります。交通渋滞、宿泊施設の価格高騰、そして地域住民の生活や自然環境への影響が課題となる可能性があります。受け入れ側の国や地域では、旅行者の分散を促すための新たな観光コンテンツの開発や、持続可能な観光(サステナブルツーリズム)に向けたインフラ整備が急務となるでしょう。
2026年の春節は、単なる旅行ブームに留まらず、世界の観光市場の構造や旅行者の意識が新たなステージに入ったことを象徴する出来事となりそうです。私たち旅行業界も、この変化に対応し、より質の高い、満足度の高い旅を提供していくことが求められています。

