イタリアの「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」とアルバニアの「ベラト」という、ヨーロッパを代表する二つの天空都市を徹底比較。チヴィタは「死にゆく町」と呼ばれる静謐な廃墟都市、一方ベラトは「千の窓の街」として知られる住民が暮らす世界遺産の「生きた城塞」だ。アクセス、費用、見どころを実体験に基づいて解説し、「静」と「動」の異なる魅力から、旅のスタイルに合った選択を提案する。
「ベラト」と「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」——ヨーロッパの天空都市を語るとき、この2つの名は必ずセットで語られます。一方はアルバニアの世界遺産「千の窓を持つ街」、もう一方はイタリアの「死にゆく町」として知られるラツィオ州の奇跡の城塞都市。どちらに行くべきか、そして実際にどうやって行くのか——この記事では、両方を実際に訪れたバックパッカーの一次体験をもとに、アクセス・費用・見どころを徹底比較します。
この対話を終えた後は、イタリアのウンブリア地方にある静寂に満ちた宝石のような街、スペッロで心を解き放つ旅もおすすめです。
ヨーロッパの2大「天空都市」とは?
ヨーロッパで有名な天空都市には、イタリアの「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」と、アルバニアの「ベラト」があります。特にイタリアのチヴィタは、凝灰岩の台地が風雨で浸食され崩壊が進んでいるため「死にゆく町」とも呼ばれ、ジブリ映画のモデルとしても人気を集めています。一方ベラトはユネスコ世界遺産に登録されており、現在も住民が暮らす「生きた城塞」として訪れる旅人を魅了しています。
アルバニアの至宝「ベラト」とイタリアの「チヴィタ」
バルカン半島の小国アルバニアの内陸部に位置するベラトは、オスム川の谷間に白い邸宅が折り重なる「千の窓の街」。ユネスコ世界遺産にも登録されており、オスマン帝国時代の建築と多宗教文化の共存が今も息づいています。一方、チヴィタ・ディ・バニョレージョはイタリア中部のラツィオ州、ローマから北へ約120キロの地点に立つ天空都市。深い渓谷にそびえる凝灰岩の台地の上に中世の街並みが丸ごと乗っており、外界とつながるのは長さ約300メートルの一本の橋だけです。アドリア海を挟んで向かい合う2国が、それぞれに異なる「空の上の城」を育んできたのです。
イタリアの天空都市「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」へ
チヴィタ・ディ・バニョレージョは、イタリア・ラツィオ州ヴィテルボ県バニョレージョ市に属する小集落で、エトルリア時代から2500年以上の歴史を持ちます。現在の常住人口は10人前後とも言われ、「世界でもっとも美しい廃墟」と称されることもある天空都市です。
なぜ「死にゆく街」と呼ばれるのか?(ラピュタのモデルの噂)
チヴィタが「La città che muore(死にゆく町)」と呼ばれる理由は、その地盤にあります。街が立つ台地は、火山灰が固まった凝灰岩で形成されており、その下には粘土層があります。凝灰岩は比較的もろく、長年にわたる風雨の浸食によって台地の縁が少しずつ削られ続けています。加えて、過去に繰り返された地震による地盤沈下も崩壊を加速させてきました。17世紀末の大地震が決定的な打撃となり、多くの住民が街を離れ、都市は孤立。外部とつながる現在の橋が架けられたのも比較的近代になってからのことです。
こうした宿命的な背景から、チヴィタは「いつかは消えてしまうかもしれない街」として世界中の旅人を惹きつけています。また、空中に浮かぶような孤立した台地の上に城塞都市が乗るその姿は、宮崎駿監督のアニメ映画『天空の城ラピュタ』のモデルの一つとも噂されています。公式に認定されているわけではありませんが、実際に渓谷からチヴィタを遠望したとき、その光景がラピュタの城を彷彿とさせることは多くの訪問者が証言しています。ジブリファンにとっても、一度は訪れる価値のある場所といえるでしょう。
時が止まった中世の迷宮を歩く(体験・見どころ)
橋を渡り、サンタ・マリア門をくぐると、そこは時間が止まったかのような世界が広がっています。車の騒音も現代的な看板も一切なく、あるのはエトルリア時代から受け継がれた石畳の道、蔦の絡まる石造りの家々、そして深い静寂だけです。街は非常に小さく、端から端まで歩いても15分ほどで巡れます。しかしその限られた空間に迷路のように入り組んだ路地が張り巡らされ、どこを切り取っても絵になる景色が広がっています。
街の中心にはサン・ドナート教会が静かに建っています。ロマネスク様式のファサードを持つこの教会は、街の精神的な拠り所として、崩れゆく運命を見守り続けてきました。内部は華美な装飾こそありませんが、厳かな敬虔な空気に満ちており、壁に残るフレスコ画の断片や使い込まれた木製の十字架が、街の長い歴史を静かに語りかけています。また、路地では手作りの陶器を販売する店や小さなギャラリーに出会うことも。「死にゆく」という運命を背負いながら、アーティストや職人たちが新たな創造の息吹を注ぎ込んでいます。
崖の端にテラス席を備えたレストランで、眼下に広がる雄大な谷を眺めながら食事をする体験もぜひ。この地方の郷土パスタ「ウンブリケッリ」に猪肉の濃厚なラグーソースが絡んだ一皿は、ラツィオの大地の恵みをそのまま口に運ぶような力強い味わいです。
| スポット名 | チヴィタ・ディ・バニョレージョ (Civita di Bagnoregio) |
|---|---|
| 概要 | 凝灰岩の台地が風雨で浸食され崩壊の危機にあるため「死にゆく町」と称される天空都市。外界とは一本の長い橋でのみつながる。 |
| 見どころ | 渓谷からの全景、中世のまま時が止まった街並み、サン・ドナート教会、展望台からの眺望 |
| 住所 | 01022 Bagnoregio, Viterbo, Italy |
| 注意事項 | 街に入るには入場料(通行料)が必要。駐車場から街までは長い橋を徒歩で渡る必要があり、急勾配のため歩きやすい靴が必須。最新の料金は公式サイトで確認してください。 |
ローマからのアクセス・行き方と周辺観光(オルヴィエート)
チヴィタへのアクセスは、イタリア中部の交通の要所オルヴィエートを経由するルートが一般的です。ローマのテルミニ駅からオルヴィエート駅へは特急・普通列車で約1時間〜1時間半。そこからCOTRAL社のバスに乗り換えてバニョレージョまで約45分かかります。バニョレージョの町からチヴィタへは徒歩またはシャトルバスで移動し、最終的に全長約300メートルの橋を自らの足で渡ってたどり着きます。
乗り換え回数が多く、地方バスのダイヤは本数が限られているため、事前に時刻表を確認しておくことが重要です。日帰り旅行は可能ですが、出発時刻と帰りのバスの時間を必ずセットで確認しましょう。最新の時刻表・運賃はCOTRAL公式サイトやトレニタリア公式サイトで確認してください。
なお、オルヴィエート自体も見どころが多く、チヴィタとセットで観光するのが定番コースです。黒と白の縞模様が美しいゴシック様式の大聖堂や、岩盤を掘って作られた「サン・パトリツィオの井戸」など、半日あれば主要スポットを巡れます。ローマを拠点に「オルヴィエート+チヴィタ」の日帰り旅を計画するのが効率的でしょう。
個人手配が不安な場合や、移動の手間を省きたい場合は、ローマ発の日帰りツアーの利用も選択肢です。ツアーであれば送迎・ガイド・時刻表の心配が不要で、より多くの時間を観光に充てられます。詳しくは後述の「現地ツアーの活用 vs 個人手配」セクションを参照してください。
イタリア中部の旅では、トスカーナの秘湯・ヴェントゥリーナ温泉を組み合わせるルートも人気です。チヴィタ観光の後、自然の恵みで心身を癒す旅程として検討してみてください。
アルバニアの天空都市「ベラト」へ

バルカン半島に位置する小国アルバニア。その名前を耳にしても、多くの人にとって具体的なイメージを描くのは容易ではないかもしれません。しかしこの国には、まだあまり知られていない貴重な宝物が隠されています。その代表格が、世界遺産にも登録されている歴史深い古都・ベラトです。首都ティラナからバスに揺られて数時間、車窓の景色が徐々に穏やかな丘陵地帯へと移り変わり、やがて現れる壮大な風景に、訪れた誰もが息をのみます。
千の窓が物語る街並みと「生きた城塞」ベラト城
ベラトは「千の窓の街」という愛称で親しまれています。その名の通り、オスム川の谷間にそびえる急斜面には、オスマン帝国時代に建てられた白い壁の邸宅がパズルのように密集し、それぞれに茶色の木製枠の大きな窓が整然と並んでいます。朝日の光を浴びればキラキラと輝き、夕暮れ時には家々の灯りが星々のように瞬く。その風景は一枚の壮麗な絵画のようです。
街はオスム川の両岸に広がり、イスラム教徒が多いマンガレム地区とキリスト教徒が多いゴリツァ地区に分かれています。二つの地区は美しい石造りのゴリツァ橋でつながり、異なる文化が川を挟んで共存してきた歴史を物語っています。マンガレム地区の磨り減った石畳の坂道をゆっくりと踏みしめながら登っていくと、足元から長い年月にわたり人々が歩んできた道の重みが伝わってきます。
マンガレム地区の丘の頂上にそびえるのが、ベラトの象徴・ベラト城(カラヤ)です。紀元前4世紀にイリュリア人によって築かれたとされ、その後ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国と支配者が変わるたびに増改築が重ねられてきました。この城の最大の特徴は、単なる歴史的遺構であるだけでなく、現在なお住民が城内で生活する「生きた城塞」であることです。門をくぐり一歩足を踏み入れると、石造りの家々の軒先に洗濯物が風になびき、庭先で野菜を育てるおばあさんの姿があります。観光客が歴史探訪を楽しむ傍らで、子どもたちはボールを蹴り、猫はゆったりと日向ぼっこをしている。現実の日常と歴史が溶け合うこの不思議な空間こそ、チヴィタとは決定的に異なるベラト城最大の魅力です。
城壁の最も高い地点に立つと、目の前に息をのむような大パノラマが広がります。雄大なトムオリ山を背景に、「千の窓」が連なるベラトの街並みが眼下に広がり、オスム川はゆったりとその流れを見せています。城内にはビザンツ時代の教会がいくつか残されており、中でも丘の上に建つ聖三位一体教会は、赤レンガと石の精巧な装飾が美しく、周囲の緑と調和してまるで絵画の一部のようです。
| スポット名 | ベラト城 (Kalaja e Beratit) |
|---|---|
| 概要 | 紀元前4世紀に始まる城塞。現在も住民が暮らす「生きた城塞」として知られ、教会やモスク跡、博物館が点在。 |
| 見どころ | 城壁からの絶景、聖三位一体教会、オヌフリ博物館、城内の日常風景 |
| 住所 | Rruga Mihal Komnena, Berat, Albania |
| 注意事項 | 急な坂や石畳が多いため歩きやすい靴が必須。夏は強い日差しへの帽子や水分補給を推奨。 |
イコンの静けさと輝き - オヌフリ博物館と地元グルメ
ベラト城内で見逃せないのが、生神女就寝大聖堂の一角にあるオヌフリ博物館です。16世紀の偉大なイコン画家オヌフリとその工房による作品が数多く所蔵されており、薄暗い聖堂に足を踏み入れると、金箔で装飾された豪華なイコノスタシス(聖障)が目に飛び込みます。オヌフリ作品の大きな特徴は「オヌフリ・レッド」と呼ばれる鮮烈な深紅色。秘伝の技法で生み出されたこの色は製法が謎に包まれており、聖人の衣装に用いられたその赤は神聖さと情熱を象徴するかのようです。館内は静寂に包まれ、訪問者は皆、作品の前で自然と息を潜めます。信仰の有無を問わず、卓越した芸術が魂を揺さぶる体験がここにあります。
旅の醍醐味は食文化にも宿ります。マンガレム地区の伝統的なレストランで味わった「タベ・コシ」は、ヨーグルトと卵で子羊肉を焼き上げたグラタンのような一品。ヨーグルトの酸味と肉の旨味が絶妙に調和し、鮮烈な印象を残します。パプリカやトマト、チーズを煮込んだ「フェルゲセ」は素朴ながら野菜の甘みが凝縮され、パンにつけて食べると手が止まらなくなります。アルバニア料理の物価は総じて手頃で、ヨーロッパの西側主要都市に比べると旅のコストを大幅に抑えられるのも魅力の一つです。
首都ティラナからのアクセス・行き方と治安
ベラトへのアクセスの拠点は首都ティラナです。ティラナのバスターミナル(Staioni Qendror)からはベラト行きのバスが日中を中心に運行しており、所要時間は約2時間半〜3時間。バスの車窓からは、アルバニアの素朴な田園風景を楽しめるのも魅力です。最新の時刻表・運賃はバスターミナルや現地の旅行代理店で確認することをおすすめします。
治安については、ベラトは観光客向けのインフラが整備されており、旅行者にとって比較的安全な都市です。ただし、一般的な海外旅行と同様に貴重品の管理は徹底しましょう。アルバニア・レクの現金が必要な場面も多く、特に小規模な店や市場ではカードが使えない場合があるため、ある程度現金を用意しておくと安心です。ベラトをゆったり満喫するには最低でも1泊2日の滞在がおすすめ。伝統的な家屋を改装した趣のあるゲストハウスに泊まることで、より深くベラトの空気に浸れます。
アドリア海を挟んだイタリア側でも、アドリア海沿岸の隠れ家マルティンシクーロのような静かな滞在先を組み合わせることで、バルカンからイタリアへと続く旅の充実度がさらに増します。
徹底比較!ベラトとチヴィタ、天空都市に行くならどっち?

両都市を実際に歩いた経験から、旅行者の視点で「行くならどちらか?」という問いに正面から答えます。まずは5つの軸で比較した表をご覧ください。
| 比較項目 | チヴィタ・ディ・バニョレージョ(イタリア) | ベラト(アルバニア) |
|---|---|---|
| 国・地域 | イタリア・ラツィオ州 | アルバニア中部 |
| アクセス難易度 | やや難(ローマ→オルヴィエート→バニョレージョと乗り換え複数) | 中程度(ティラナから直行バスあり) |
| 景観の特徴 | 廃墟・博物館的。中世のまま時が止まった静謐な世界 | 生活感あり。住民が暮らす「生きた世界遺産」 |
| 入場料・通行料 | あり(橋の手前で徴収。金額は時期により変動) | 城内は入場無料〜少額(変動あり) |
| おすすめな人 | 廃墟・中世の静寂・ラピュタ的景観を求める人。ローマ旅行とセットで効率よく回りたい人 | 現地の生活文化・多宗教共存の歴史・穴場体験を求める人。費用を抑えながら深い旅をしたい人 |
歴史の層:住民の暮らしと廃墟感の違い
両都市の最も根本的な違いは「人の気配」です。ベラトでは、歴史的な風景のすぐ隣に人々の日常が息づいています。石畳のベラト城で遊び回る子どもたち、路地裏のカフェで談笑する年配の方々、窓辺に洗濯物を干す主婦の姿。彼らにとって世界遺産であるこの街は特別な観光地ではなく、生まれ育った生活の場です。歴史は背景のように溶け込み、訪れた私たちは「生きた歴史の劇場」に招かれたかのような感覚を覚えます。
対照的にチヴィタでは、日常のにぎわいはほとんど感じられません。常住者は非常に限られており、観光客がいなくなる早朝や夜間には、街はまるで無人のセットのような静寂に包まれます。ここで旅人が感じるのは、人の営みの温もりよりも、石や風が語りかける悠久の時の流れです。この徹底した非日常性が、チヴィタ固有の魅力を形作っています。
歴史の質感にも差異があります。ベラトはイリュリア→ローマ→ビザンツ→オスマンと複数の文明が層を重ね、キリスト教とイスラム教の遺跡が城内に共存する「多層的な歴史の共存」が体感できます。チヴィタはエトルリア→ローマ→中世イタリアという変遷の後、17世紀末の大地震と地盤沈下によって「断絶」し、そのまま中世の姿が奇跡的に保たれた「凍りついた歴史」を体現しています。
旅程・費用・アクセス難易度の比較
旅程の組みやすさで言えば、チヴィタはローマを拠点にする場合、日帰りツアーや個人旅行でアクセスしやすい位置にあります。ただし、ローマ→オルヴィエート→バニョレージョと乗り換えが複数あり、地方バスの本数が少ない点は注意が必要です。オルヴィエートとセットで1泊2日の旅程にすると余裕を持って楽しめます。
ベラトへはティラナからの直行バスがあり、アクセスそのものはシンプルです。ただしアルバニアはユーロ圏外で、言語・通貨・インフラ面で西欧旅行に慣れた旅行者には多少の準備が必要です。その分、旅の「発見感」と、物価の手頃さという大きな魅力があります。
費用面では、アルバニア全体の物価水準が西欧に比べて低く抑えられているため、ベラトのほうが宿泊・食事ともに費用を抑えやすい傾向があります。チヴィタはイタリアの物価水準が適用されるため、特に宿泊費は割高になります。ただし、どちらも早期予約や季節によって大幅に変動するため、最新の料金は各予約サイトや公式サイトで確認することをおすすめします。
結論:「動(ベラト)と静(チヴィタ)」という一言に尽きます。廃墟のような美しい静寂と中世の景観をローマ旅行の延長で楽しみたいならチヴィタ。現地の人々の暮らしに触れ、まだ世界に広く知られていない穴場で深い旅をしたいならベラトを選んでください。理想を言えば、生涯に両方を訪れる価値が十分にある2都市です。
旅の実用情報と心構え

これら二つの魅力あふれる天空都市への旅を検討されている方へ、役立つ情報と旅をより充実させるためのコツをお伝えします。
現地ツアーの活用 vs 個人手配
チヴィタ・ディ・バニョレージョへは、ローマ発の日帰りツアーが多数催行されています。ツアーを利用する最大のメリットは「移動の手間がない」こと。ローマ市内でのピックアップから始まり、オルヴィエート観光とチヴィタ訪問をセットにしたプランが多く、地方バスの乗り継ぎを心配せずに効率よく両方を楽しめます。また、日本語対応のガイドが同行するツアーもあり、チヴィタの地質学的な成り立ちや歴史的背景を理解しながら観光できるのも強みです。
一方、個人手配の最大の魅力は「自分のペースで動ける自由」です。観光客が少ない早朝に到着して幻想的な朝霧の中のチヴィタを独り占めしたい、夕暮れ時のライトアップをゆっくり楽しんだ後に街に泊まりたい——そういった旅程は、ツアーでは実現しにくいものです。ただし地方バスは本数が少なく、運行ダイヤの確認は必須。余裕を持ったスケジュールを立てることが個人手配成功の鍵です。
ベラトについては、現時点では日本語ガイドが同行する現地ツアーの選択肢は限られています。ティラナ発のグループツアーや個人タクシーのチャーターは選べますが、多くの旅行者はバスを使った個人手配でアクセスしています。アルバニアの旅行情報はまだ日本語の資料が少ないため、英語の旅行口コミサイトや現地の旅行代理店を活用して最新情報を集めることをおすすめします。
橋を渡るための歩きやすい靴・服装のアドバイス
チヴィタへの橋は全長約300メートルで、途中から急な勾配があります。特に石畳部分や橋のコンクリート面は滑りやすいため、底がしっかりしたスニーカーや歩きやすいトレッキングシューズが必須です。ヒールやサンダル、底の薄いフラットシューズでの訪問は避けてください。高所が苦手な方は橋の欄干を手で持ちながらゆっくり進むことができます。
ベラト城も急勾配の石畳が続くため、同様に歩きやすい靴が必須です。夏のアルバニアは日差しが非常に強く、帽子・サングラス・日焼け止めは必携。また、水分補給のための飲料水は坂道を登る前に用意しておきましょう。城内の売店は数が少なく、想定より早く渇いてしまうことがあります。
両都市ともに服装の特別な規定はありませんが、チヴィタのサン・ドナート教会やベラト城内の教会を訪れる際は、肩や膝が出るような露出の多い服装は避けるのがマナーです。薄手のスカーフやジャケットを一枚持参しておくと安心です。
イタリア旅行のついでに中世の石畳を歩く旅の参考として、天空の城塞都市ベルガモへの旅も合わせてご覧ください。急勾配の石畳と中世の城壁という共通テーマを持つベルガモは、チヴィタとのはしごルートとしても人気です。
ベラト旅行の実用情報まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| アクセス | ティラナからバスで約2.5〜3時間。最新の時刻表はバスターミナルで要確認。 |
| おすすめの季節 | 春(4月〜6月)や秋(9月〜10月)が気候も快適で過ごしやすい。夏は日差しが強いが活気に溢れる。 |
| 滞在日数 | 最低1泊2日が望ましい。2泊あれば周辺のワイナリー訪問なども可能。 |
| 服装・持ち物 | 歩きやすいスニーカー等が必須。帽子やサングラス、飲料水も忘れずに。薄手の上着も推奨。 |
| その他 | アルバニア・レクの現金が必要な場面も多い。小規模な店や市場ではカード不可の場合あり。 |
チヴィタ・ディ・バニョレージョ旅行の実用情報まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| アクセス | ローマからオルヴィエートへ電車で約1〜1.5時間。オルヴィエートからバニョレージョへバスで約45分。最新の時刻表はCOTRAL公式サイトで確認。 |
| おすすめの時間帯 | 観光客が少ない早朝や、夕暮れから夜にかけて。朝霧の多い季節は幻想的な景観が楽しめる。 |
| 入場料(通行料) | 街へ入る橋の手前で通行料が必要(時期により変動あり。最新情報は公式サイトで確認)。 |
| 服装・持ち物 | 長く急な橋を歩くため、歩きやすい靴が必須。大きな荷物は移動が困難。 |
| その他 | 街中の飲食店は数が限られる。オフシーズンは営業状況を事前に確認。ローマ発日帰りツアーも利用可。 |
イタリアのさらに奥深い地域の旅に興味があれば、プーリア州のオリーブとワインを巡る旅もおすすめです。チヴィタとは異なる南イタリアの素朴な文化と美食を体験できます。
精神的な共鳴:「儚さ」と「永遠」の対話
アルバニアのベラトとイタリアのチヴィタ・ディ・バニョレージョ。この二つの天空都市を巡る旅は、ただの観光に留まりませんでした。それは、目に見えない「時間」と対話し、歴史の重みや人々の営みの尊さ、そして滅びゆくものの儚い美しさに触れる、心の深奥を揺さぶる旅でもありました。
チヴィタの「滅びゆく」運命は、私たちに「儚さ」を突きつけます。眼前の美しい街並みが、やがては地上から消え去るかもしれないという現実を思うとき、私たちは今この瞬間の価値や存在の奇跡を強く感じます。凝灰岩の台地が少しずつ削られていく事実は、桜が散ることを知っているからこそその満開に胸を打たれるのと同じ感覚——有限性という調味料が美しさを際立てています。
対してベラトの何層にも積み重なる歴史は、「永遠」や「持続」といった感覚を与えてくれます。王朝が滅び、支配者が変わっても、街は息づき続け、キリスト教とイスラム教の文化は共存してきました。ベラトの石畳に立つとき、私たちはその壮麗な物語の一端を担い、過去から未来へと続く大きな流れの中にいるという不思議な安堵感に包まれます。
「儚さゆえに美しい」チヴィタと、「持続するからこそ尊い」ベラト。この二つの対照的な時間感覚に触れることで、私たちの人生観は豊かになり、日々の暮らしに新たな視座をもたらしてくれるのではないでしょうか。きっとそこには、あなたの魂を揺さぶり、明日を生きる活力となる光が待っています。
天空都市の旅の後は、同じイタリア中部の静寂な場所として、ロマーニャの洞窟と美食の旅も旅程に加えてみてはいかがでしょうか。歴史の層と食の豊かさが交差するイタリアの奥深さを堪能できます。
天空都市に関するよくある質問 (FAQ)
イタリアの天空の街・死にゆく町はどこですか?
イタリアの「天空の街」「死にゆく町」と呼ばれるのは、ラツィオ州ヴィテルボ県にあるチヴィタ・ディ・バニョレージョ(Civita di Bagnoregio)です。凝灰岩の台地の上に中世の街並みが乗っており、外界とつながるのは一本の橋のみ。台地の浸食・崩壊が今も続いているため「La città che muore(死にゆく町)」と呼ばれています。ローマから日帰りでアクセス可能で、オルヴィエートとセットで訪れるのが一般的なルートです。
ヨーロッパの天空の町「ベラト」と「チヴィタ」への行き方は?
チヴィタ・ディ・バニョレージョへの行き方:ローマのテルミニ駅から電車でオルヴィエートへ(約1〜1.5時間)、そこからCOTRAL社のバスでバニョレージョへ(約45分)、さらに徒歩またはシャトルバスで橋の入口まで移動し、約300メートルの橋を歩いて渡ります。ローマ発の日帰りツアーを利用すると移動の手間が省けます。
ベラトへの行き方:アルバニアの首都ティラナのバスターミナルからベラト行きのバスに乗り、約2.5〜3時間でベラト市内に到着します。時刻表や運賃は変動するため、最新情報は現地バスターミナルや旅行代理店で確認してください。
チヴィタ・ディ・バニョレージョはなぜ死にゆく町と呼ばれるのですか?
チヴィタが「死にゆく町(La città che muore)」と呼ばれるのは、街が立つ凝灰岩の台地が長年の風雨による浸食と地盤沈下によって今も少しずつ崩れ続けているからです。凝灰岩は火山灰が堆積した比較的もろい岩石で、その下の粘土層がさらに不安定さを増しています。過去に繰り返された地震も崩壊を加速させ、特に17世紀末の大地震後は多くの住民が街を離れました。現在も崩落は続いており、将来的に街が消えてしまうかもしれないという宿命を背負った唯一無二の存在です。
天空の城ラピュタのモデルと言われるイタリアの都市はどこですか?
宮崎駿監督のジブリ映画『天空の城ラピュタ』のモデルの一つとして噂されているのが、イタリアのチヴィタ・ディ・バニョレージョです。深い渓谷にそびえる孤立した岩の台地の上に城塞都市が乗り、一本の橋のみで外界とつながるその姿は、空中に浮かぶラピュタの城を彷彿とさせます。なお、これは公式に確認されたモデルではなく、その景観の類似から語られる「噂」ですが、実際に現地を訪れるとその納得感は非常に高いものがあります。ジブリ好きの旅行者にとっては一度は訪れる価値のある場所といえるでしょう。
ベラトとチヴィタ・ディ・バニョレージョ、どちらが旅行初心者におすすめですか?
旅行初心者や、イタリア旅行のついでに天空都市を訪れたい方にはチヴィタ・ディ・バニョレージョがおすすめです。ローマを拠点に日帰りできる距離にあり、日本語対応のツアーも多く、欧米旅行のインフラが整っています。一方、ベラトはアルバニアという比較的マイナーな旅先への挑戦となりますが、物価の手頃さ、現地の人々の温かさ、まだ観光地化されていない素朴な体験という点で、旅慣れた方や「ありきたりではない旅」を求める人に強くおすすめできます。どちらも石畳の急坂を歩くため、歩きやすい靴は両都市共通の必需品です。

