地中海の風が、頬を優しく撫でていきます。その風は、7000年以上の悠久の歴史と、オリーブやレモンの爽やかな香りを運んでくるかのよう。ここはレバノン、世界で最も古くから人々が住み続けている港町の一つ、ビブロス。かつてフェニキア人が文明を築き、アルファベットが生まれたとされるこの地は、ただ古いだけの場所ではありません。歴史の地層の上に、現代を生きる私たちの心と体を深く癒してくれる、豊かな食文化が息づいています。
都会の喧騒、日々の忙しなさから少しだけ距離を置き、自分自身と向き合う旅に出たい。そう感じている40代以上のあなたへ。今回は、古代の叡智と地中海の恵みが凝縮されたレバノンの伝統料理「メゼ」を、心と体に優しいヴィーガンというスタイルで巡る、特別な旅へとご案内します。石畳の小道を歩き、遺跡に想いを馳せ、そして太陽の光をたっぷり浴びた野菜たちの饗宴に舌鼓を打つ。そんな、五感のすべてが満たされるデトックス・ジャーニーの始まりです。
この旅で心を洗うように、ヤジディ教の宇宙観に触れる魂の旅もまた、世界への深い理解をもたらしてくれるでしょう。
ビブロスへの誘い:なぜ今、この古代都市なのか?

世界中には美しい港町や歴史ある街が数多く存在していますが、なぜ今、ビブロスが私たちの心を強く惹きつけるのでしょうか。その理由は、この街が刻んできた他に類を見ない時の重なりと、豊かな食文化の生命力、そして穏やかに流れる空気感が、現代の私たちが忘れかけている大切な何かを呼び覚ましてくれるからに他なりません。
歴史を感じる息づく街並み
ビブロスの街に足を踏み入れると、まるで時空を超えたかのような不思議な感覚に包まれます。足元には何世紀にもわたり数え切れない人々の歩みを受け止めてきた石畳が広がり、目の前には十字軍が築いた堅牢な城塞がそびえ立ちます。その背後にはローマ時代の円形劇場やフェニキア時代の神殿跡が静かに佇んでいます。新石器時代からの人々の営みが始まり、エジプト、アッシリア、ペルシャ、ローマ、ビザンツ、アラブ、十字軍、オスマン帝国といった名だたる文明が支配する中、この街は一度も見捨てられることなく、歴史を紡ぎ続けてきました。それはまさに、巨大な木の年輪のように、さまざまな時代の記憶が層となって重なり合っているのです。単に遺跡を眺めるだけでなく、その石の一つひとつに触れ、古代の風を感じながら歩むことで、私たちは時間という壮大な流れのなかに存在するちっぽけながらも確かな存在であることを実感させられます。この体験は、日々の悩みを客観視し、心を軽くしてくれる精神的な癒しにもつながるのです。
地中海の恵みが息づくレバノン料理の真髄
レバノン料理についてどのような印象がありますか。中東料理の一種として括られがちですが、その内容は驚くほど洗練されていてヘルシー、そして私たちの味覚に優しく寄り添います。その秘密は、地中海の太陽をたっぷり浴びた新鮮な野菜や香り高いハーブ、そして「液体の金」とも称される上質なオリーブオイルを豊富に使うことにあります。特に「メゼ」と呼ばれる数十種類の小皿料理がテーブルに並ぶスタイルは、レバノンのもてなしの心そのものです。色とりどりの料理がずらりと並ぶ様子は、見ているだけで心が華やぎます。注目すべきは、多くのメゼ料理が肉や魚、乳製品を使わないヴィーガンスタイルであること。ひよこ豆、ナス、パセリ、トマト、キュウリなどの植物性食材が、スパイスとハーブの絶妙な調和によって、深みと複雑さ、満足感あふれる一皿に仕上げられています。美味しさを堪能しながら体も自然と浄化されていく――これほど贅沢な食体験は他ではなかなか味わえません。
心身を癒すリトリートとしての旅
ビブロスでの旅は、観光スポットを慌ただしく巡るものではありません。朝は港で日の出を見つめ、カフェでミントティーを飲みながら読書に耽る。昼は遺跡をゆったりと散策し、かつての人々の暮らしに思いを馳せる。そして夜は、美味しいヴィーガン・メゼを囲み、大切な人やあるいは自分自身と語り合う。そんな「何もしない贅沢」を許してくれる穏やかな時間がここには流れています。情報過多の現代社会から意識的に離れ、地中海の穏やかなリズムに身を任せることは、心と体双方にとって最高のリトリート(静養)となるでしょう。健康やウェルネスに関心がある方、日々の疲れを感じている方にとって、ビブロスはまさに理想的な旅先と言えます。
ヴィーガン・メゼの世界へ:ビブロスで味わうべき絶品料理
さあ、いよいよこの旅の最高潮とも言えるヴィーガン・メゼの深遠な世界に足を踏み入れましょう。メゼとは単なる前菜の盛り合わせではありません。それは食事の始まりを祝う儀式であり、会話を盛り上げ、人々の絆を深める重要な文化的伝統なのです。次々とテーブルに運ばれてくる小皿のひとつひとつには、レバノンの肥沃な土地と人々の知恵がぎっしり詰まっています。
メゼとは何か?レバノンの食文化の核
レバノンでは、食事はゆったりと時間をかけて楽しむもの。特に夕食時には、冷たいメゼや温かいメゼが何種類もテーブルを彩り、これをつまみながらアラック(アニス風味の蒸留酒)やワインを交わし、和やかな会話がはずみます。メインディッシュにたどり着く頃には、お腹がすでに満たされていることも少なくありません。それほどにメゼは食事の中心的存在であり、主役のような輝きを持っています。シェアが前提のため自然と会話が生まれます。「このフムス、とてもなめらかね」「タッブーレのパセリが本当に新鮮だわ」——美味しさを分かち合う喜びが、集う人々の一体感を育むのです。さらに驚くべきは、その豊富なメニューの多くが、知らず知らずのうちにヴィーガン対応であること。動物性食材を使わずとも、これほど満足感のある食事が成立するという発見は、私たちの食の価値観に新たな視点をもたらしてくれます。
絶対に味わいたい!ヴィーガン・メゼの代表格
多彩なメゼの中でも、特にぜひ味わってほしい、植物性食材のみで作られた代表的な料理をご紹介します。各料理が持つ背景や味わいの深さを知ることで、ビブロスでの食事体験がいっそう豊かになることでしょう。
フムス (Hummus):中東料理の女王
世界中で知られるフムスですが、本場レバノンでいただくそれは格別です。茹でたひよこ豆にタヒニ(練りゴマ)、レモン汁、にんにく、オリーブオイルを合わせて滑らかなペーストにした、シンプルながらも奥深い一皿です。起源は古く、13世紀のエジプトの料理書にも登場する歴史ある料理。ビブロスのフムスはとろけるようなクリーミーさで、口に入れた瞬間にひよこ豆の優しい甘みとタヒニの芳ばしさがふんわり広がります。そこに爽やかなレモンの酸味がキリリと効き、後味はすっきり。たっぷりと注がれた最高品質のオリーブオイルが表面で宝石のように煌めきます。フワフワのホブズ(平たいパン)でディップすれば、もう手が止まりません。高タンパク質で食物繊維、ビタミン、ミネラルも豊富なため、健康美の源といえる完全栄養食。旅の活力補給に欠かせない一品です。
ババ・ガヌーシュ (Baba Ghanoush):焼きナスの魅惑的な味わい
フムスに並ぶ人気ディップ、ババ・ガヌーシュ。主役は皮が焦げるまで直火で丹念に焼かれたナス。この調理法でナスの水分が凝縮され、甘みが増し、そしてなんとも香ばしいスモーキーな香りが生まれます。その香ばしい皮を剥き、果肉をタヒニ、レモン汁、にんにくなどと和えます。フムスより少し粗めに仕上げることが多く、トロリとした食感の中にナスの繊維感が感じられるのが特徴。ひと口運ぶと燻製のような芳香が鼻を抜け、続いてナスのとろける甘みが舌を包み込みます。どこか艶めかしさも感じさせる、その魅惑的な味わいは一度食べたら忘れられません。名前の由来には「甘やかされたお父さん」という意味があるとも言われ、歯の弱い父親のために娘が作ったという温かい逸話も残っています。そんな物語を思い浮かべながら味わうのも素敵です。
タッブーレ (Tabbouleh):パセリが主役の爽快サラダ
日本では付け合わせや飾りに使われることが多いパセリですが、レバノンのタッブーレでは大量のパセリが主役です。細かく刻んだイタリアンパセリにミント、トマト、玉ねぎ、そして少量のブルグル(挽き割り小麦)を加え、レモン汁とオリーブオイルで和えたサラダ。目にも鮮やかな緑一色が広がります。口に含むとパセリとミントの爽やかな香りが広がり、まるで緑の風が吹き抜けるかのよう。トマトのほどよい酸味と玉ねぎのピリリとした辛味がアクセントとなり、ブルグルのプチプチとした食感が食べる楽しさに一役買います。ビタミンCやβカロテン、鉄分を豊富に含むパセリをたっぷり摂ることで、美容と健康を内側から支える効果が期待できる、まさに瑞々しい清涼剤です。濃厚なディップの合間にいただくと、口の中がさっぱりとして新たなひと口へと誘います。
ファラフェル (Falafel):愛され続けるひよこ豆の揚げ団子
中東を代表するコロッケ、ファラフェルも本場でぜひ味わっていただきたい一品。水に浸したひよこ豆もしくはソラマメを潰し、パセリ、コリアンダー、玉ねぎ、にんにく、さらにクミンやコリアンダーシードなどのスパイスと混ぜ合わせて丸め、油で揚げたものです。ビブロスのレストランで供される出来たてのファラフェルは、外側は驚くほどカリカリで黄金色に輝き、一口頬張ると「サクッ」と軽快な音がします。中はふんわりしっとりとしていて、豆の優しい甘みとハーブやスパイスが織りなすエキゾチックな香りが口いっぱいに広がります。肉を使わずともこの満足感は格別。そのままでも美味しいですが、タヒニソースを添えたりホブズに挟んでサンドイッチにするのもおすすめです。小腹が空いた時のおやつにもぴったりで、老若男女に愛される心の味です。
ワラク・エナブ (Warak Enab):ぶどうの葉で包まれた小さな宝石
春から初夏にかけて摘まれる柔らかなぶどうの若葉に、米や野菜を包んで蒸し煮にした繊細な料理です。ギリシャのドルマに似ていますが、レバノン風はさらに小ぶりで、指の太さほどのサイズに巻かれています。ヴィーガンバージョンでは、米、刻んだトマト、玉ねぎ、パセリなどを詰め、レモン汁とオリーブオイルで風味豊かに炊き上げます。噛むとしっとり柔らかなぶどうの葉の爽やかな酸味とともに、中からハーブの香りをまとった優しい味わいのお米が広がります。冷たいままで提供されることが多く、見た目も可憐でテーブルの小さな宝石のよう。ついもう一つ、また一つと手が伸びてしまう上品な美味しさ。手間暇かかるため家庭では祝いの席に作られる特別な料理なので、レストランで見かけたらぜひオーダーしてください。
ファットゥーシュ (Fattoush):揚げパンがアクセントの食感サラダ
タッブーレと並んでレバノンを代表するサラダですが、こちらはまた異なる魅力を放っています。レタス、きゅうり、トマト、ピーマン、ラディッシュなど季節の新鮮な生野菜を大ぶりにカットし、カリッと揚げるかトーストしたホブズを砕いて加えるのが特徴です。味を決める要素のひとつ「スマック」と呼ばれる赤紫色のスパイスは、ほんのり酸味がありサラダを引き締めます。ドレッシングはオリーブオイルとレモン汁がベースで、ザクロの糖蜜(ディブス・ルンマーン)が加わることもあり、甘酸っぱさが食欲をそそります。シャキシャキの野菜、カリカリのパン、そして爽やかなドレッシングが見事に調和した時の味わいは格別で、多様な食感と風味を一度に楽しめる、食べていて実に愉快なサラダです。
万里のおすすめ!ビブロスのヴィーガン・メゼが美味しいレストラン

歴史ある街並みに自然と溶け込むように、ビブロスには数多くの素晴らしいレストランが点在しています。その中でも特に、雰囲気、味わい、そしてヴィーガン・メゼの豊富さで私が自信を持っておすすめしたい3軒をご紹介します。
Feniqia (フェニキア):港を一望する絶景とともに
古代フェニキア人が大海原へ舟出したとされる歴史的な港を見下ろす、絶好のロケーションに位置するのが「Feniqia」です。石造りの壁と現代風のインテリアが見事に調和した店内は開放感に満ち、爽やかな潮風が通り抜けます。特に夕暮れ時、地中海に沈む夕日を眺めながら楽しむメゼは、言葉にできないほどの感動をもたらします。伝統的なレシピを重んじつつも、洗練された盛り付けと味わいが特徴のメゼは、滑らかさが際立つフムスに、燻製の香り豊かなババ・ガヌーシュなどが楽しめます。数十種類ものメゼから選ぶ楽しみもありますが、迷った際はスタッフにヴィーガン・メゼのおすすめ盛り合わせを頼むのがベストです。特別な夜を演出するのに最適な一軒と言えるでしょう。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 店名 | Feniqia (フェニキア) |
| ジャンル | レバノン料理、地中海料理 |
| おすすめポイント | ビブロス港を一望できる最高のロケーション、洗練された雰囲気、豊富なヴィーガン・メゼメニュー |
| 住所 | Byblos Port, Jbeil, Lebanon |
| 予算(目安) | ディナー 1人 40〜60 USドル |
| 特記事項 | 夕暮れ時は非常に混雑するため、特にテラス席をご希望の場合は事前予約をおすすめします。 |
Adonai Le Petit Libanais:旧市街の迷路にひっそり佇む隠れ家
迷路のような旧市街(スーク)の石畳の小径を辿ると、蔦に覆われた小さな入り口が静かに現れます。それが「Adonai Le Petit Libanais」です。こちらはレバノンの家庭に招かれたかのような温かくアットホームな雰囲気の中で、お母さんの手料理のような伝統的なメゼを味わえる隠れ家的なレストラン。店内は小ぢんまりとしていますが、アンティーク調の調度品が飾られた心地よい空間です。特にワラク・エナブ(ぶどうの葉の詰め物)は、ひとつひとつ手で丁寧に巻かれたことが伝わってくる優しい味わい。ファラフェルも注文を受けてから揚げるため、外はカリッと香ばしく、中は熱々でふわふわ。観光客のみならず地元の人々にも愛される、本物の味を堪能できる名店です。スーク散策の合間にぜひ立ち寄ってみてください。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 店名 | Adonai Le Petit Libanais (アドナイ・ル・プティ・リバネ) |
| ジャンル | 伝統的レバノン料理 |
| おすすめポイント | 旧市街の隠れ家風の落ち着いた雰囲気、家庭的で心温まる伝統の味わい、手頃な価格帯 |
| 住所 | Byblos Souk, Jbeil, Lebanon |
| 予算(目安) | ランチ・ディナー 1人 20〜35 USドル |
| 特記事項 | 小さな店舗のため、ディナータイムは満席になることが多いです。時間をずらして訪れるのがおすすめです。 |
Locanda A L’Ancienne:歴史的建築で味わうオーガニックの恵み
十字軍時代に築かれた歴史ある石造りの建物を、美しく改装したブティックホテルに併設されているレストランが「Locanda A L’Ancienne」です。アーチ型の天井や石壁が何百年もの歴史を感じさせる空間は、独特の荘厳さを漂わせています。こちらのレストランの特徴は、地元農家から届くオーガニック食材を積極的に使用していること。太陽の光と大地の恵みをたっぷり浴びて育った野菜は、一口食べればその濃厚な味と生命力を実感できます。特にパセリの香りが際立つタッブーレや、瑞々しさが目立つファットゥーシュは一押しです。歴史の重みを感じる壮麗な空間で、大地の恵みを味わう体験は、心身の細胞が喜ぶかのようなウェルネス感あふれる食事。少し贅沢なランチや、大切な記念日のディナーに最適な場所です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 店名 | Locanda A L’Ancienne (ロカンダ・ア・ランシエンヌ) |
| ジャンル | オーガニック・レバノン料理 |
| おすすめポイント | 歴史的建築を活かした美しい空間、地元産オーガニック食材へのこだわり、高品質な料理 |
| 住所 | Voie Romaine, Byblos, Lebanon |
| 予算(目安) | ディナー 1人 50〜70 USドル |
| 特記事項 | ブティックホテル併設のため、落ち着いた大人の雰囲気が魅力。スマートカジュアルの服装が望ましいです。 |
食だけじゃない!ビブロスの歴史とスピリチュアル・スポット探訪
ヴィーガン・メゼで身体が満たされたら、次はビブロスの街が持つ深遠な歴史と精神性に触れ、その心をゆったりと解き放つひとときを味わいましょう。石畳や遺跡のひとつひとつが、静かに私たちに語りかけてくるのを感じられます。
ビブロス遺跡群:歴史の層を巡る散策
ビブロスの中心部に広がる広大な考古学遺跡は、この街の心臓とも言える場所です。ここには単一の時代の痕跡だけでなく、新石器時代の住居跡からフェニキア時代の神殿、ローマ時代の円形劇場、さらには十字軍の城塞まで、多様な時代の遺構が文字通り重なり合いながら発掘されています。遺跡内を歩くと、足元に眠る数千年の時間を一歩で越えるような不思議な感覚に包まれます。特に目を引くのは、フェニキアの王たちが眠るとされる王家の墓。ここからは世界最古級のフェニキア文字が刻まれた石棺が発見されており、アルファベットの起源を紐解く上で非常に重要な遺跡です。地中海を見下ろす小高い丘に立ち、古代の石柱の間を通り抜ける風を感じると、かつてこの地で繰り広げられた繁栄と衰退の歴史が目の前に広がるようです。悠久の時の流れのなかに身を置くことで、今抱えている悩みが如何に小さなものかに気づき、心が軽やかになることでしょう。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| スポット名 | ビブロス考古遺産 (Byblos Archaeological Site) |
| 主な見どころ | 十字軍の城塞、ローマの円形劇場、オベリスク神殿、王家の墓など |
| おすすめの過ごし方 | 2〜3時間ほどゆったり散策。特に夕暮れ時は、遺跡が夕日に染まり幻想的な景色が広がります。 |
| 住所 | Byblos, Lebanon |
| 入場料 | 8,000 LBP(レバノン・ポンド)※料金は変動する可能性があります |
| 注意事項 | 陽射しを遮る場所が少ないため、帽子やサングラス、水分補給は必須。足元は歩きやすい靴で訪れてください。 |
ビブロス旧市街(スーク):迷い込む歓び
遺跡エリアのすぐ傍に位置するのが、中世の趣が色濃く残る旧市街スークです。迷路のように入り組んだ石畳の細い路地は、どこを歩いても絵になる風景ばかり。壁を覆う鮮やかなピンクのブーゲンビリア、趣き深い木製扉、そして通りの両脇には化石や銀細工、伝統的な織物を扱う小さな店が軒を連ねています。強引な客引きはほぼなく、ただのんびりと歩くだけでも気持ち良い時間が過ごせます。気の向くままに角を曲がると、ふと現れたカフェでミントティーを一杯。店主と片言の英語で会話を交わし、おすすめのお土産を教えてもらう…そんな予定調和とは異なる偶然の出会いが旅の醍醐味です。このスークは単なる観光地ではなく、現地の生活が今も息づく場所。洗濯物が揺れる路地裏や子どもたちの笑い声が響く窓辺など、日常の一コマに触れることで、旅人として自分もこの街の歴史の一端に溶け込んでいくような温かな感覚を味わえるでしょう。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| スポット名 | ビブロス旧市街 (Byblos Old Souk) |
| 主な見どころ | 石畳の風情ある路地、個性豊かなお土産物店、隠れ家的なカフェやレストラン |
| おすすめの過ごし方 | 地図に頼らず気の向くままに散策。化石店をのぞいたり、地元アーティストの工房を訪ねたりするのも楽しい体験です。 |
| 住所 | Byblos, Lebanon(ビブロス遺跡に隣接) |
| 入場料 | 無料 |
| 注意事項 | 滑りやすい箇所もあるため歩きやすい靴がおすすめ。店内や商品撮影時は一声かけるのがマナーです。 |
聖ヨハネ・マルコ教会と港の景色
ビブロスの小さな港のそばに、静かにしかし確かな存在感を放つのが聖ヨハネ・マルコ教会です。12世紀に十字軍によって建立されたこのロマネスク様式の教会は、質実剛健でありながらどこか優美さも備えています。砂岩で造られた壁は長い年月の潮風にさらされ、味わい深い色合いに変化しました。内部は華美な装飾がないぶんそのシンプルさが心を落ち着かせ、静謐な祈りの空間を作り出しています。教会を出て港を眺めると、青い海に浮かぶ色とりどりの漁船、その背後に広がる遺跡群、そして教会の姿が一体となった景観が広がります。何世紀にもわたり変わらないであろうこの風景は、一幅の絵画のような美しさです。宗教や宗派を超えて、この場所に漂う穏やかで神聖な空気に身を委ねることは、自分自身の内面と向き合う貴重な時間となるでしょう。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| スポット名 | 聖ヨハネ・マルコ教会 (Saint John-Marc Cathedral) |
| 主な見どころ | 十字軍時代に建てられたロマネスク建築、港と調和した美しい眺め |
| おすすめの過ごし方 | 教会内部で静かな時間を過ごした後、港のカフェから教会の景色を楽しみながら一息つくのが良いでしょう。 |
| 住所 | Byblos Port, Jbeil, Lebanon |
| 入場料 | 無料(寄付は歓迎) |
| 注意事項 | 教会は信仰の場です。見学時は静かにし、肌の露出が多い服装は控えるなど配慮をお願いします。 |
旅の実用情報:ビブロスへのアクセスと滞在のヒント

この素晴らしい旅を実現するために、いくつかの実用的な情報をお伝えします。事前に少し準備をするだけで、旅の快適さが大きく向上します。
ベイルートからのアクセス方法
レバノンの主要な空港は首都ベイルートにあるラフィク・ハリリ国際空港です。ビブロスへは、ベイルートから北へ約40km、車でおよそ1時間の距離にあります。主な移動手段は以下の通りです。
- タクシー: 空港やベイルート市内のホテルから直接タクシーを利用する方法が最も簡単かつ快適です。料金は交渉制であることが多いため、乗車前に必ず料金を確認しましょう。相場は30〜40米ドル程度です。
- 乗り合いタクシー(セルビス): 地元の人が利用する乗合タクシーで、ベイルート市内の「チャールズ・ヘロウ・バスステーション」からビブロス(ジュベイル)行きのセルビスが出ています。料金は数ドルと非常に安価ですが、満員になるまで出発しなかったり、途中で乗降客があるため、時間に余裕のある方に向いています。
- バス: チャールズ・ヘロウ・バスステーションからビブロス方面へ向かうバスも運行されています。最も経済的な移動手段ですが、表示は基本的にアラビア語のため、旅行者にはややハードルが高いかもしれません。
ビブロスでの宿泊
ビブロスには多様なタイプの宿泊施設が揃っており、旅のスタイルに応じて選ぶことができます。
- 旧市街のブティックホテル: 歴史的な建物をリノベーションした、趣のある小規模なホテルが多数あります。遺跡やレストランへのアクセスが良く、ビブロスの魅力を存分に味わいたい方に最適です。
- 港周辺のホテル: 港や海の眺めを楽しみたい場合はこちらのエリアがおすすめです。少しモダンでリゾート風のホテルが見つかります。
- 新市街のホテル: 旧市街から離れた新市街には、比較的リーズナブルな料金のホテルやアパートメントタイプの宿泊施設があります。
旅のベストシーズン
ビブロスを訪れるのに最も快適なのは、春(4月〜6月)と秋(9月〜11月)です。穏やかな気候で過ごしやすく、春は花々が咲き誇り、秋は豊かな味覚を楽しめます。夏(7月〜8月)は日差しが強く気温も高いため、暑さが苦手な方にはあまり向きません。冬(12月〜3月)は雨の多い季節で肌寒くなる日が続きます。
地中海の風に吹かれて:ヴィーガン・メゼ紀行がもたらすもの
ビブロスでの旅を終え、帰路につく頃には、きっと心身が軽やかになっていることに気づくでしょう。それは単に美味しい料理を味わい、眺めの良い景色を楽しんだからだけではありません。7000年もの歴史が刻まれた大地を歩き、そのエネルギーを肌で感じたこと。太陽の恵みを浴びて育った野菜や豆の純粋な生命力を、体内に取り入れたこと。そして、地中海の穏やかな時間の流れに身をゆだね、思考をすっきりとリセットできたこと。こうしたすべての体験が、あなたの内面に深く染みわたり、内側から光り輝くような活力をもたらしてくれたのです。
ヴィーガン・メゼによる食の旅は、多くのことを私たちに教えてくれます。動物性の食材に頼らずとも、こんなにも豊かで美味しく、心が躍る食卓が実現できること。そして、体に優しい食事とは、我慢や制限ではなく、喜びや発見に満ちた冒険であるということ。このビブロスでの体験は、日本へ帰ってからの毎日の食生活にも、きっと新たな彩りを添えてくれるでしょう。
もし今、日常の忙しさの中で少し立ち止まり、自分自身をじっくり見つめ直す時間を求めているなら。歴史と美食、そして癒やしが見事に調和する古代都市ビブロスへの旅に出かけてみませんか。地中海の澄んだ青い風が、いつでもあなたを優しく迎え入れてくれるはずです。

