中国政府が、国際的な観光客誘致と経済活性化を目指し、ビザなしで渡航できる対象国を拡大する新たな政策を打ち出しました。この動きは、コロナ禍以降、回復が遅れていた国際交流の促進と国内消費の刺激を目的としており、世界中の旅行者から大きな注目を集めています。
ビザなし渡航の対象国と内容
今回の政策拡大により、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、マレーシアといった国々が新たに対象に含まれました。その後もスイス、アイルランド、ハンガリー、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルクなどが追加され、対象は数十カ国に上ります。
対象国の国民は、ビジネス、観光、親族・友人訪問、トランジット(乗り継ぎ)の目的で、最長15日間の滞在であればビザなしで中国に入国することが可能になります。これにより、これまで必要だった煩雑なビザ申請手続きと費用が不要となり、中国への旅行のハードルが劇的に下がりました。
なぜ今、開放政策を推し進めるのか?
この大胆なビザなし政策の背景には、いくつかの要因があります。
経済回復への強い意志
ゼロコロナ政策の解除後も、中国経済、特にインバウンド観光業の回復ペースは想定よりも緩やかでした。不動産市場の不況など国内経済が課題を抱える中、外国人観光客による消費(インバウンド消費)は、外貨獲得と国内経済の活性化に直結する重要な要素です。今回の政策は、観光業をテコ入れし、経済成長を後押ししようとする政府の強い意志の表れと言えます。
国際的なイメージ向上
近年の国際情勢の中で、中国はより開かれた姿勢をアピールする必要に迫られています。ビザの緩和は、ビジネスや文化交流を促進し、国際社会との関係を強化するための具体的なメッセージとなります。パンデミックを経て停滞していた人的交流を再開させ、国際的な孤立感を払拭する狙いもあると考えられます。
すでに現れている効果とデータ
この政策の効果は、既にはっきりと数字に表れています。中国国家移民管理局の発表によると、2024年の第1四半期にビザなしで中国に入国した外国人の数は198.8万人に達し、前年の同じ時期と比較して266.1%増という驚異的な伸びを記録しました。
この需要増に対応するため、航空業界も迅速に動いています。中国と対象国を結ぶ国際線のフライトが増便されるなど、受け入れ体制の強化が進んでおり、旅行者にとっての利便性はさらに向上しています。
今後の影響と旅行者へのアドバイス
予測される未来
このビザなし政策は、今後も継続・拡大される可能性が高いと見られています。短期的にはヨーロッパや東南アジアからの観光客が大幅に増加し、北京、上海、広州といった主要都市だけでなく、地方の観光地にも経済的な恩恵がもたらされるでしょう。中長期的には、ビジネス目的の渡航者も増え、国際的な投資や協力関係の深化にも寄与することが期待されます。
旅行を計画する方へ
中国への旅行がこれまでになく身近になったことは間違いありません。ビザ申請の手間がなくなったことで、週末を利用した短期旅行や、アジアの他国への旅行と組み合わせた周遊プランも立てやすくなりました。
ただし、渡航を計画する際は以下の点に注意が必要です。
- ビザなしでの滞在は最長15日間に限られます。それ以上の滞在を予定している場合は、従来通りビザの取得が必要です。
- 渡航政策は変更される可能性があるため、出発前には必ず在中国日本国大使館や中国ビザ申請サービスセンターなどの公式サイトで最新情報を確認してください。
今回の中国の開放政策は、旅行業界にとって大きな追い風であり、私たち旅行者にとっても新たなデスティネーションを発見する絶好の機会となるでしょう。

