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    魔法の国の隣にある、もうひとつの楽園へ。香港ランタオ島、心洗われる静寂の旅

    香港といえば、ヴィクトリア・ピークから見下ろす100万ドルの夜景、狭い路地にひしめくネオンの看板、そして世界中の美食家を唸らせる広東料理。そんなエネルギッシュで喧騒に満ちたイメージを抱いている方が、きっと多いのではないでしょうか。かく言う私も、香港の魅力はその混沌としたパワーにあると信じて疑わない一人でした。しかし、旅を重ねるうちに気づかされたのです。きらびやかな摩天楼のすぐそばに、まるで時が止まったかのような、穏やかで深い静寂に包まれた世界が広がっていることを。

    今回の旅の舞台は、香港に260以上ある島々の中で最大の面積を誇る「ランタオ島」。香港国際空港が浮かぶチェク・ラップ・コク島と橋で結ばれ、香港ディズニーランドがある島として、その名前を聞いたことがあるかもしれません。しかし、島の大部分は緑豊かなカントリーパークに指定され、手つかずの雄大な自然と、古くからの信仰が息づく聖地が共存する、まさに「大人のための楽園」なのです。

    きらびやかな魔法の国の隣で、ひっそりと輝きを放つ、もうひとつの香港。それは、慌ただしい日常で少し疲れた心を解きほぐし、明日への活力をそっと与えてくれるような、優しさに満ちた場所でした。さあ、一緒に心のデトックスに出かけましょう。40代からの旅は、ただ観光地を巡るだけでは物足りない。五感で自然を感じ、文化に触れ、自分自身と静かに向き合う。そんな贅沢な時間を、ランタオ島で過ごしてみませんか。

    ランタオ島の魅力は静寂だけではなく、水牛と出会う南シナ海のSUP散歩で心と体を解き放つアクティブな体験にもあります。

    目次

    まずはランタオ島へ、心地よい旅の序章

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    ランタオ島への旅は、まずどの交通手段を選ぶかから始まります。香港の中心部から島へ渡る方法は、主にMTR(地下鉄)とフェリーの2通り。選択によって、旅の雰囲気も少し変わってきます。

    MTRでスムーズに、東涌(トンチョン)へ

    香港島の中心、中環(セントラル)や九龍(カオルーン)からMTR東涌線に乗ると、終点の東涌駅までおよそ30分。車窓に映る景色は、高層ビル群から次第に緑豊かな郊外へと移り変わり、これから始まる非日常の旅に期待が膨らみます。東涌駅は、後述するケーブルカー「昂坪360」の乗り場と直結しているほか、大型アウトレットモール「シティゲート・アウトレット」も併設されているため、非常に利便性が高いです。島内の観光スポットを効率よく回りたい方には、このルートがおすすめ。帰りにショッピングを楽しむプランも立てやすいでしょう。

    船旅を楽しみながら、梅窩(ムイオー)へ

    もう一つのアクセス手段は、中環のフェリー乗り場から出る船旅です。目的地はランタオ島東側の静かな港町、梅窩。高速フェリーなら約35分、普通フェリーで約55分かかります。デッキに立ち潮風を感じながら、遠ざかる香港島のビル群を眺める時間は、それだけで特別な体験となるでしょう。時間に縛られず、のんびりと旅を始めたい方には、フェリーが断然おすすめです。梅窩のフェリー乗り場にはバスやタクシー乗り場があり、ここから島内の各地へアクセスが可能です。どこか懐かしいローカルな雰囲気が漂う港町に降り立った瞬間から、ランタオ島のゆったりとした時間が流れ始めます。

    島内の移動には路線バスが網の目のように走っており、とても便利です。香港市街地で使える交通系ICカード「オクトパスカード」がそのまま利用できるため、小銭の心配がありません。バスの窓から望む険しい山々と美しい海岸線のコントラストは、息をのむほどの絶景。目的地へ向かう途中も、ランタオ島の魅力を存分に味わえる貴重な時間となるでしょう。

    天空の聖地、昂坪(ゴンピン)へ。心洗われる絶景と祈りの空間

    ランタオ島の旅で最初に訪れたいのが、標高約520メートルの高原・昂坪(ゴンピン)です。この地には、世界最大級の屋外大仏「天壇大仏」や歴史ある寺院「寶蓮寺」があり、島でも屈指の聖地として広く知られています。この聖地へと続くルートこそが、旅の最初の見どころと言えるでしょう。

    壮大な空中散歩「昂坪360」ケーブルカー

    東涌駅の目の前から、昂坪高原までを結ぶのが「昂坪360」ケーブルカーです。全長5.7キロメートル、所要時間は約25分。単なる移動手段に留まらず、眼下に広がる香港国際空港、果てしなく続く南シナ海の青色、そしてランタオ島の豊かな緑が織りなす大パノラマを独り占めできる、まさに空の上のアトラクションとなっています。

    ゴンドラは通常の「スタンダードキャビン」と、床が全面ガラス張りの「クリスタルキャビン」の2種類があります。高所が苦手でなければ、ぜひクリスタルキャビンを選んでみてください。まるで空を舞う鳥のように、足元に広がる森の絨毯を見下ろしながら進むスリルと爽快感は格別です。ゴンドラがゆっくりと高度を上げ、山頂の稜線を越えた瞬間、巨大な天壇大仏のシルエットが目の前に現れます。その荘厳な姿に思わず息を呑み、これから訪れる聖地への期待が一気に高まるでしょう。

    強風の日などは天候の影響で運休する場合もあるため、訪問前には公式サイトで運行状況を確認することをおすすめします。週末や祝日は混雑が予想されるため、事前にオンラインでチケットを予約しておくとスムーズに乗車できます。

    天にそびえる慈悲の象徴「天壇大仏」

    ケーブルカーを降りて、土産店やレストランが立ち並ぶ「昂坪ビレッジ」を抜けると、圧倒的な存在感を誇る天壇大仏が姿を現します。高さ34メートル、重さ250トンの巨大な青銅製座像は、穏やかな表情で訪れる人々を見守っています。

    大仏の足元へ続くのは268段の石段。一歩一歩登るごとに俗世の煩わしさが洗い流されていくような不思議な感覚に包まれます。運動不足を嘆きつつ息を切らしながらの登坂は、まるで短い修行のよう。しかし、台座にたどり着き振り返ると、昂坪高原と周囲の山々が織りなす壮大な景色が広がり、これまでの疲れが一瞬で吹き飛ぶほどの感動が味わえます。

    間近で見上げる大仏は、そのサイズだけでなく、細部に施された精巧な造形にも感嘆させられます。印を結ぶ手の形や、螺髪(らほつ)と呼ばれる巻き毛の一つ一つにまで、仏教の教えと人々の祈りが込められているのが伝わってきます。台座内部は三層構造の資料館となっており、仏舎利(お釈迦様の遺骨とされるもの)が安置されています。静かな空間で、この大仏が建立されるまでの歴史に触れるのもおすすめです。

    スポット名天壇大仏(The Big Buddha)
    所在地Ngong Ping, Lantau Island, Hong Kong
    アクセス昂坪360ケーブルカー「昂坪駅」から徒歩約10分
    拝観時間10:00~17:30
    料金屋外エリアは無料(台座内部の入場は別途料金必要)
    注意事項268段の階段があります。歩きやすい靴をおすすめします。

    信仰の荘厳な中心地「寶蓮寺(ポーリン寺)」

    天壇大仏の向かいに建つのが、百年以上の歴史を持つ仏教寺院「寶蓮寺」です。極彩色の華麗な門をくぐると線香の香りがふわりと漂い、一気に厳かな雰囲気に包まれます。本堂の大雄寶殿(だいゆうほうでん)には、金色に輝く三体の仏像が安置され、熱心に祈りを捧げる人々の姿が絶えません。

    広大な境内には、万仏殿(Great Hall of Ten Thousand Buddhas)など見どころが多くあります。特に万仏殿は名前の通り、壁一面に一万体以上の小さな仏像がずらりと並び、その壮観な光景はただただ圧巻です。どの仏像も表情が異なり、じっくり眺めているうちに時間を忘れてしまいます。

    この寺を訪れた際には、ぜひ精進料理(斎菜)を味わってみてください。野菜や豆腐、キノコなどを豊富に使い、肉や魚を使っていないとは思えないほど深い味わいです。派手さはないものの、素材の味を丁寧に引き出しており、食べ終える頃には心身ともに内側から清められていくような感覚を得られます。天壇大仏を望みながらいただく素朴で優しい料理は、きっと忘れがたい思い出になるでしょう。レストランは人気が高いため、早めの時間帯に訪れるのが望ましいです。

    スポット名寶蓮寺(Po Lin Monastery)
    所在地Ngong Ping, Lantau Island, Hong Kong
    アクセス天壇大仏の向かい
    開門時間寺院 8:00~18:00 / 精進料理 11:30~16:30
    料金境内は無料(精進料理は有料)
    注意事項寺院内は静粛に。肌の露出が多い服装は控えましょう。

    自然の中の知恵の言葉「心経簡林(ハート・スートラ)」

    寶蓮寺の賑わいを離れ、鳳凰山麓へ続く小径を約5分歩くと、静寂な丘に38本の巨大な木柱が並ぶ不思議な光景が現れます。これが「心経簡林(ハート・スートラ)」です。

    各柱には、仏教の重要経典のひとつ「般若心経」の一節が、著名な国文学者・饒宗頤(ジャオ・ゾンイー)氏の書によって刻まれています。柱の配置は「∞」(無限)を象った形で、宇宙の無限の真理を表現していると言われています。風に揺れる木々の音と鳥のさえずりだけが響くこの場所は、時が止まったかのような静謐さに満ちています。柱の間をゆっくり歩きながら文字に目を向けると、心が静かに穏やかになるのを感じるでしょう。

    ここは訪問者も少なく、まさに知る人ぞ知るパワースポット。瞑想したりベンチに座って深呼吸をしたりと、思い思いの静かな時間を過ごすのに最適な場所です。都会の喧騒から完全に離れ、大自然の中で自分自身と向き合う、贅沢なひとときが心経簡林には待っています。

    時が止まる漁村、大澳(タイオー)へ。懐かしき香港の原風景

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    昂坪の聖地で心を清めた後は、バスに揺られて島の西端に位置する漁村、大澳(タイオー)へと向かいます。昂坪のバス停から21番のバスに乗れば、約20分ほどで到着します。山道を下るバスの車窓から、青く澄んだ海と水上に浮かぶ家々が見え始めたら、そこが大澳です。「香港のヴェネツィア」とも称されるこの村には、近代化の波に飲み込まれる前の、昔ながらの香港の原風景が今なお色濃く残っています。

    水上に浮かぶ家々、棚屋(パンオク)を歩く

    大澳の最大の魅力は、川の両岸にずらりと並んだ「棚屋(パンオク)」と呼ばれる高床式の水上家屋です。かつて陸上居住を許されなかった蛋民(たんみん)という水上生活者たちが築いた独特な集落は、現在も多くの人が暮らす現役の村です。狭い路地や橋を渡りながら集落内を歩けば、軒先で網を修繕するお年寄りや、元気に駆け回る子どもたちの姿に出会えます。潮の香りと生活音が混ざり合い、まるで映画のセットに迷い込んだかのような懐かしい気分に浸れます。

    村の至るところでは、魚やイカの干物が天日干しされており、これもまた大澳の独特な風景です。そして、この村の名物は「蝦醤(ハーチョン)」と呼ばれる、エビを発酵させて作るペースト状の調味料です。強い独特の香りが村中に漂っており、お土産屋の店先には手作りの蝦醤が詰まった瓶がずらりと並びます。炒め物にほんの少し加えるだけで、本格的な広東料理の深い味わいが楽しめる一品です。香りに驚くかもしれませんが、勇気を出してひと瓶手に取ってみるのもおすすめです。

    幸運を呼ぶ?ピンクドルフィンを探して

    大澳を訪れたら、ぜひ体験してほしいのが小型ボートに乗って沖合へ出るミニクルーズです。村の船着き場には、客引きのおばさんたちが「ピンクドルフィン!ピンクドルフィン!」と元気に呼びかけています。そう、この海域にはシナウスイロイルカ、別名「ピンクドルフィン」が生息しているのです。

    ボートはまず、水上家屋が並ぶ水路をゆっくりと進み、海から棚屋の景観を楽しませてくれます。陸上からの眺めとは異なる、水上生活者の視点からの景色が新鮮です。そして水路を抜けると、ボートは一気にスピードを上げ沖へと向かいます。潮風を全身に感じながら進む爽快な感覚は格別です。

    ピンクドルフィンに出会えるかどうかは運次第で、必ず見られるわけではありません。しかし、大海原を眺めながら「どこかにいないかな」と目を凝らす時間そのものが楽しいものです。イルカに会えなくても、海上から眺めるランタオ島の雄大な山並みや、遠くに見える世界最長の海上橋「珠港澳大橋」の姿は見応え十分です。約20分の短い船旅ながら、大澳の自然と文化を一度に味わえるおすすめのアクティビティです。

    食べ歩きが楽しい、大澳のローカルグルメ

    散策で疲れたら、大澳ならではのローカルグルメで小腹を満たしましょう。この村はまさに食べ歩きの楽園。素朴ながらここでしか味わえない美味しい料理がたくさんあります。

    まず味わいたいのが、店頭で炭火焼きされる大きなイカ焼きです。香ばしい醤油の香りがそそり、プリプリの食感がたまりません。旅ライターとしては、これに冷えたビールがあれば最高だと感じます。また、表面はカリカリ、中はもちもちの香港風ワッフル「鶏蛋仔(ガイダンジャイ)」も人気の一品です。シンプルな甘さが、歩き疲れた身体に優しく染み渡ります。

    甘いものが好きな方には、「豆腐花(ダウフーファー)」もぜひお試しください。ぷるぷるとした温かいお豆腐に、ほんのり甘いシロップやショウガシロップをかけた、香港の定番スイーツです。村内には専門店がいくつかあり、それぞれ異なる味を楽しめるので、食べ比べるのも楽しいです。私が訪れたお店では、おばあさんが一杯ずつ丁寧に作ってくださり、その優しい味わいが大澳の穏やかな景色とともに心に残りました。

    スポット名大澳(Tai O)
    所在地Tai O, Lantau Island, Hong Kong
    アクセスMTR東涌駅からバス11番で約50分 / 昂坪からバス21番で約20分
    見どころ棚屋(水上家屋)、ピンクドルフィンウォッチング、ローカルグルメ
    注意事項住民の生活の場ですので、プライバシーに十分配慮して散策しましょう。

    都会の喧騒を忘れる、静寂のビーチと緑深きトレイル

    ランタオ島の魅力は、聖地や漁村だけに留まりません。島の広大な面積の多くを占めるのは、手つかずの豊かな自然です。香港にいることを忘れてしまうほど美しく静かなビーチが点在し、しっかりと整備された本格的なハイキングコースもあります。旅の後半には、積極的に自然と触れ合う体験をしてみてはいかがでしょうか。

    香港最長の砂浜、長沙海灘(チョンシャービーチ)

    島の南側に広がる長沙海灘は、全長3キロメートルにわたり、香港で最も長い砂浜として知られています。きめ細かく白い砂が弓のように続き、遠浅で波も穏やかなので、海水浴やマリンスポーツを楽しむ人々で賑わいます。ただし、日本の有名な海水浴場のような混雑感はなく、果てしなく広がる水平線を眺めながらゆったり砂浜を歩くだけでも心からリラックスできます。

    ビーチ沿いにはスタイリッシュなレストランやカフェが点在し、海を見ながら食事やカクテルをいただけます。特に夕暮れ時の風景は格別で、太陽が水平線に沈み、空と海がオレンジ色から深い紫色へと変化する様子はまさに絶景です。都会のネオンとは異なり、自然が織り成す光のショーを眺める時間は、何にも代えがたい贅沢なひととき。こんな場所で味わうジントニックは、格別の美味しさを感じることでしょう。

    スポット名長沙海灘(Cheung Sha Beach)
    所在地South Lantau Road, Lantau Island, Hong Kong
    アクセスMTR東涌駅からバス11番・23番 / 梅窩からバス1番・2番・4番
    設備レストラン、カフェ、更衣室、シャワーなど
    注意事項夏場は強い日差しに注意し、日焼け対策を忘れずに。

    水牛が歩く、貝澳(プイオー)の原風景

    長沙海灘からさらに東に進むと、より素朴でローカルな雰囲気が漂う貝澳(プイオー)に到着します。こちらのビーチも美しく、キャンプ場が併設されているため、週末にはテントを張って自然を楽しむ地元の人々の姿が多く見られます。黒砂と黄色い砂が混ざり合った特徴的な浜辺が目を引きます。

    貝澳のもう一つの魅力は、野生の水牛。ビーチや周囲の湿地帯で草を食み、水浴びをする彼らの様子は非常に牧歌的で、見るだけで心が和みます。人間を恐れず悠然と道を横断する姿からは、人と自然が共生するこの場所ならではの光景が感じられます。都会の暮らしでは決して目にすることのない貴重な体験ができるのも、ランタオ島の大きな魅力です。

    大自然に抱かれるランタオ・トレイル

    体力に自信のある方は、ランタオ・トレイルに挑戦してみてはいかがでしょう。島を一周する約70キロメートルのこのトレイルは12の区間に分かれており、体力や時間に合わせて好きなコースを選べます。

    特に人気が高いのは、香港で二番目に高い山、鳳凰山(ランタオピーク、標高934m)を越える区間です。昂坪をスタートに山頂を目指すルートは日の出の名所として知られ、暗い中ヘッドライトを頼りに登り、山頂で朝日を拝む登山者も多くいます。山頂から望む雲海や、ゆっくり昇る朝日に映えるランタオ島の山々はまさに神々しい美しさです。

    もちろん、山頂までの本格的な登山に挑戦しなくても、昂坪周辺の比較的平坦な道を散策するだけで、ランタオ島の豊かな自然をしっかり味わえます。亜熱帯の緑が生い茂る森の中を歩けば、鳥のさえずりと風の音だけが響き渡ります。森林浴を楽しみながら深呼吸すれば、全身の細胞が喜んでいるのを感じるでしょう。トレッキングをする際は、歩きやすい靴や十分な飲み物、急な天候変化に対応できる服装を準備することをお忘れなく。

    旅の終わりに、もうひとつの香港に乾杯

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    輝く摩天楼、活気あふれる街並み、そして世界屈指のグルメの都。これらが、多くの人々が思い描く香港のイメージです。しかし、今回の旅で訪れたランタオ島は、その一般的な印象を心地よく覆してくれました。

    空の彼方から人々を見守る静かな大仏、時が止まったかのような水上集落、果てしなく広がる穏やかなビーチ、そして深く豊かな緑の自然。ディズニーランドという現代の娯楽の象徴がすぐ隣にあるにもかかわらず、この地にはこれほどまでにスピリチュアルで自然豊かな世界が広がっているという事実に、私は改めて香港の奥深さを強く感じさせられました。

    ランタオ島は、訪れる人を選びません。昂坪360や大仏観光で刺激的な一日を過ごすこともできれば、ビーチでゆったり本を読んだり、トレイルを歩きながら自分と静かに向き合ったりすることも可能です。活動的に動きたい人も、心静かに休息を求める人も、そのどちらの望みも満たしてくれる懐の広さがあります。

    慌ただしい日常に疲れた時、派手なネオンの輝きよりも、静かな夕日の美しさに心を傾けたい時。そんな時には、ぜひランタオ島を訪れてみてください。潮風と森の香りが、きっとあなたの心身を優しく包み込み、新たなエネルギーを与えてくれることでしょう。

    東涌のアウトレットでのショッピングも楽しいですが、私ならば梅窩の港町にあるローカルな食堂で、海を眺めつつ瓶ビールを一本。そんな締めくくりが、この島にはよく似合う気がします。まだ知られざる香港の魅力と、ランタオ島の静かな美しさに、心からの乾杯を捧げたいと思います。

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    この記事を書いた人

    美味い酒と肴を求めて全国を飲み歩く旅ライターです。地元の人しか知らないようなB級グルメや、人情味あふれる酒場の物語を紡いでいます。旅先での一期一会を大切に、乾杯しましょう!

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