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    星降る夜のタイムトラベル、ミャンマー・バガン遺跡群でパゴダの影に抱かれる静寂の詩

    「本当の静寂」って、どんな音だと思いますか?無音のこと?いいえ、きっと違う。それは、都会の喧騒から遠く離れた場所で、自分の心臓の音や、風が草木を揺らす微かな音に耳を澄ませられる、そんな贅沢な時間のこと。ミャンマー中部、広大な平原に三千もの仏塔(パゴダ)が林立する聖地、バガン。ここで過ごす夜は、私にその答えを教えてくれました。太陽が西の地平線に溶け、空が深いインディゴブルーに染まる頃、主役は星々と、夜の闇にその輪郭を浮かび上がらせるパゴダたちへと変わります。満天の星の下、荘厳なパゴダのシルエットに包まれる夜。それはまるで、時空を超えて千年前の王朝時代に迷い込んだかのような、幻想的でスピリチュアルな体験でした。今回は、そんなバガンの夜が持つ、特別な魅力について、心ゆくまで語らせてください。

    この静寂とスピリチュアルな体験は、まるで青の都サマルカンドに眠る「生ける王の墓」の謎と美を巡る旅で感じる荘厳さにも通じるものがあります。

    目次

    バガン、時が止まった仏教の聖地

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    そもそもバガンとはどのような場所なのでしょうか?そう疑問に思う方も多いかもしれません。バガンは、カンボジアのアンコール・ワットやインドネシアのボロブドゥールとともに、世界三大仏教遺跡の一つに数えられる、ミャンマーが誇る聖地です。11世紀から13世紀にかけて、この地を治めたバガン王朝によって、多種多様な仏塔や寺院が築かれました。その数は最盛期に1万を超えたとも言われています。平原のあらゆる場所で、天に向かってそびえ立つ尖塔の姿を想像してみてください。残念ながら、その後の度重なる地震やイラワジ川の浸食により多くが失われましたが、現在でも約3000もの遺跡が当時の繁栄を静かに物語っています。

    なぜこれほど多くのパゴダが建てられたのか?「功徳」という時を超えた贈り物

    それにしても、なぜこれほどまでに多くのパゴダが建造されたのでしょうか。その理由は、ミャンマーの人々の暮らしに深く根付く「功徳」という考え方にあります。ミャンマーでは上座部仏教が厚く信仰されており、善行を重ねることで「功徳」を積み、来世でより良い人生を受けられると信じられています。そして、その功徳を積む最良の手段のひとつが、仏塔や寺院を建立することだったのです。

    王や貴族だけでなく、富裕な商人や一般の人々までもが、自身の財産を投じて大小さまざまなパゴダを建てました。それは来世への祈りと同時に、自分が生きた証でもあります。一つひとつのパゴダには、名もなき人々の祈りや願いが込められた壮大なタイムカプセルの役割を果たしているのです。そう考えると、赤茶色のレンガの一つひとつがいとおしく感じられるのではないでしょうか?これは誰かに話したくなるバガンのささやかなトリビアです。この平原は単なる遺跡の集まりではなく、千年にわたる人々の祈りの結晶なのです。だからこそ、この場所には特別な空気が漂っているのかもしれません。

    喧騒の昼と静寂の夜、バガンの二つの顔

    バガンを訪れる多くの旅人が特に印象的だと語るのが、日の出と日の入りの時間帯です。特に乾季の早朝、朝霧に包まれながら徐々に姿を現す無数のパゴダと、その上を色とりどりの熱気球がゆっくりと昇っていく光景は非常に有名で、その美しさに息をのむほどです。世界中から集まった人々は言葉を失い、ただただ幻想的な風景にカメラを向け続けます。太陽が完全に昇ると、平原に活気が戻り、観光客を乗せた馬車が土埃を巻き上げながら走り回り、Eバイク(電動バイク)が次々とパゴダの間を駆け巡ります。人々の笑い声やガイドの解説、鳥のさえずりが響き渡り、それがバガンの「昼の顔」となっています。

    しかし私が最も心を奪われたのは、その喧騒が嘘のように消え去った後に見られる「夜の顔」でした。

    太陽が地平線の彼方に完全に沈み、最後の一筋の光が闇に吸い込まれると、世界は一変します。空は底知れぬほど深く、漆黒のベルベットのようになり、数えきれない星々がまるで宝石を散りばめたかのように瞬き始めます。街灯がほとんどないこの地では、星の光がこれほどまでに明るいとは改めて驚かされます。そして、その星空を背景に、大地に根を下ろすかのように立つパゴダのシルエットは、昼間とはまったく異なる荘厳で神秘的な姿を見せます。昼間の活気を「動」とするならば、夜の静寂はまさに「静」と呼ぶにふさわしい。この対比こそがバガンの魅力を何倍にも膨らませています。昼間の熱気や興奮で高ぶった心が、夜の静けさの中でゆっくりと落ち着いていく。この体験は他のどこでも味わうことができません。

    星屑の絨毯を独り占めする、最高の夜空観賞ガイド

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    バガンの夜を存分に楽しむためには、少しの準備と知識が欠かせません。ここでは、最高の星空体験を得るための私なりのガイドをご紹介します。

    星座観賞に適したロケーション

    以前は、シュエサンドー・パゴダのような高層の仏塔に登って360度のパノラマ星空を楽しむのが定番でした。しかし、遺跡保護のため、現在は多くのパゴダへの登頂が禁止されています。少し残念ですが、将来のために必要な措置です。その代わりに、整備された人工の小高い丘(ビューイングマウンド)がいくつか用意されており、安全に絶景を楽しめます。

    それでも私のおすすめは、有名スポットから少し離れて、名前のない小さなパゴダの近くで過ごすことです。日中にEバイクを借りて、静かな場所を見つけておくのがコツです。周りに観光客がおらず、聞こえるのは風や虫の鳴き声だけ。邪魔をするものもなく、地平線から地平線まで広がる星空と、目の前に佇むパゴダのシルエットを独り占めできます。まるでこの広大な遺跡群が自分だけのものになったような、贅沢な時間がそこにあります。

    スポットの種類特徴ワンポイントアドバイス
    ビューイングマウンド整備されていてアクセスが容易。広い視界から多くのパゴダを見渡せる。日の出・日の入り時は混雑するものの、深夜は比較的空いている。安全を重視するならここが良い。
    大きな寺院周辺一部はライトアップされ、闇夜に浮かぶ姿は幻想的で写真にも映える。完全な暗闇ではないため、星空観賞の没入感はやや薄れる。雰囲気を楽しみたい人におすすめ。
    名前のないパゴダのそば静寂と暗闇が保たれ、最高の星空を満喫できる。プライベート感たっぷり。事前に場所の下見が必須。安全のため一人での訪問は避け、懐中電灯を必ず持参すること。

    夜空の条件を味方につける

    素晴らしい星空に出会うためには、タイミングが重要です。まず気にしたいのは月の満ち欠けで、月明かりは予想以上に明るく、星の輝きをかき消してしまいます。新月の時期を狙うのが最良ですが、満月に近い時でも月の昇る前や沈んだ後なら、十分に美しい星空が見られます。旅行計画を立てる際は、月のカレンダーを確認しましょう。

    さらに、天の川を観たい場合は、その見頃の時期と時間帯を把握すると良いです。ミャンマーでは、乾季の終わりから雨季にかけて(3月〜10月頃)が最適。特に深夜から明け方にかけて、空の低い位置から壮大な天の川が昇る様子は圧巻です。パゴダのシルエットと天の川のコラボレーションは、想像するだけで胸が高鳴りますね。

    快適に過ごすための持ち物リスト

    静かな夜を快適に楽しむには、以下のアイテムがあると便利です。

    • 強力な懐中電灯またはヘッドライト: 必須アイテム。舗装されていない道が多く足元は真っ暗。安全のため必ず用意し、星空観賞時には消すのがマナーです。
    • 虫よけスプレー: 自然に囲まれた場所なので虫が多いです。特に肌の露出が多いときは念入りに使いましょう。
    • 羽織るもの: 日中は暖かくても夜は放射冷却で冷える場合があるため、薄手のジャケットやストールがあると安心です。
    • レジャーシート: 地面に座ったり寝転んだりする際に役立ちます。仰向けで星空を見上げる体験は格別です。
    • カメラと三脚: 星空撮影には必須。長時間露光が必要なので、三脚を使わないとブレてしまいます。
    • 飲み物や軽食: 静かな場所には売店もないので、温かいお茶などを魔法瓶に入れて持参すると心身ともに温まります。

    遺跡への敬意と安全を守るために心がけたいこと

    バガンは神聖な地です。訪れる私たちには敬意が求められます。遺跡に無断で登ったり傷つけたりする行為は絶対に控えましょう。ゴミは必ず持ち帰り、大声で騒ぐことも避け、この場所の静けさを乱さないように。遺跡と自然への感謝の気持ちを忘れずに過ごすことが大切です。また、夜間のEバイク移動は日中以上に慎重に行ってください。道に迷ったり砂地でハンドルが取られたりすることがあるため、無理な速度を出さず、できれば複数人で行動することをおすすめします。

    シルエットが囁く、パゴダに秘められた王たちの物語

    暗闇の中に浮かび上がるパゴダのシルエットは、一見するとどれも似通っているように感じられるかもしれません。しかし、よく観察するとその形状には実に多様な違いがあります。それぞれのシルエットには、建立した王の個性や時代の様式、さらにはドラマチックな物語が刻み込まれているのです。星空のもと、パゴダが語りかける物語に耳を傾けてみましょう。

    完璧を追求したレンガ積み、恐怖の王が築いた「ダマヤンヂー寺院」

    バガン遺跡群の中でもひときわ大きく、ピラミッドのような重厚なフォルムで際立つのが「ダマヤンヂー寺院」です。この寺院を造ったのは、父と兄を殺害して王位を奪ったとされるナラトゥー王。彼は自らの罪を償うため、この巨大な寺院の建設を命じたと伝えられています。

    特に知られるのは、彼の完璧主義と冷酷さを象徴する逸話。レンガとレンガの間にわずかな隙間でも見つけると、その作業を担当した職人の腕を切り落としたと語り継がれています。そのため、ダマヤンヂー寺院のレンガ積みは千年の時を経た今でも驚くほど緻密で、まさに完璧無比。夜、そのどっしりとしたシルエットを見上げると、罪悪感に苛まれつつも狂気に近い情熱で建設を推し進めた王の執念が暗闇の中からにじみ出てくるような迫力を感じさせます。美しいけれど、どこかおぞましい―そんな相反する魅力を持ち合わせているのです。

    スポット名ダマヤンヂー寺院 (Dhammayangyi Temple)
    建立者ナラトゥー王
    建立年代12世紀中頃
    特徴バガン最大級の寺院。ピラミッド形の重厚なシルエットが特徴。
    トリビアレンガの間に針一本が刺さる隙間があれば、職人の腕を切り落としたという完璧主義伝説がある。内部は未完成で謎に包まれている。

    黄金に輝くバガンの象徴「シュエズィーゴン・パゴダ」

    ニャウンウー地区にある「シュエズィーゴン・パゴダ」は、夜になるとライトアップされ、全体が金色に輝きます。そのシルエットは他のパゴダとは一線を画す華麗さを放ちます。釣鐘型の優美な曲線を持ち、ミャンマー仏塔建築の代表とされ、後世の多くのパゴダもこのスタイルを模倣して造られました。

    伝承によれば、このパゴダには仏陀の歯と鎖骨の聖遺物が納められており、建立地はその遺物を乗せた白い象がひざまずいた場所に選ばれたといいます。なんともロマンあふれる物語です。星空の下で見る他のパゴダが静寂をたたえたシルエットを呈する一方、黄金に輝くシュエズィーゴンの姿は生き生きとしたエネルギーに満ちています。闇夜に煌々と光るその姿は、人々の信仰心が今なおこの地で燃え続けている証のように映ります。

    スポット名シュエズィーゴン・パゴダ (Shwezigon Pagoda)
    建立者アノーヤター王(起工)、チャンズィッター王(完成)
    建立年代11世紀末
    特徴全体が金箔で覆われた釣鐘型の仏塔。ミャンマーのパゴダ建築の原型とされる。
    トリビア仏陀の聖遺物を運んだ白い象が跡を止めた場所に建てられたという伝説がある。夜間のライトアップは必見。

    優雅な曲線美の女王「アーナンダ寺院」

    バガンで最も美しく、バランスのとれた寺院として知られるのが「アーナンダ寺院」です。そのシルエットは、しっかりした基壇の上に、しなやかに伸びる尖塔が乗り、見事な均整を保っています。まるでオートクチュールのドレスを纏った貴婦人のような優雅さです。私の好みで言えば、塩顔系のイケメンのように派手さは控えめながらも洗練された魅力が際立ちます。

    この寺院には、インドからやって来た8人の修行僧がヒマラヤの洞窟寺院の様子を王に神通力で見せ、それに感銘を受けた王がバガンにその寺院を再現させたという伝説が残っています。そのため、初期バガン様式にインド建築の影響が色濃く反映されているのが特徴です。夜間ライトアップされた白亜のシルエットはどこか異国情緒を醸し出し、神聖な気品に満ちあふれています。内部には東西南北に4体の巨大な黄金仏像が安置されており、角度によってその表情が変わることでも有名。夜の静けさの中で寺院の前に立つと、遠くヒマラヤの雪山から吹き下ろす清涼な風を感じるかのような不思議な感覚に包まれます。

    スポット名アーナンダ寺院 (Ananda Temple)
    建立者チャンズィッター王
    建立年代11世紀末~12世紀初頭
    特徴バガン建築の最高傑作と称される。均整の取れた美しいシルエットと白亜の壁が特徴。
    トリビアインド様式とモン様式が融合した建築。内部の4体の仏像は、近づくと厳しい表情、離れると柔らかな表情に見えるという。

    天と地を結ぶ祈り、星空に溶け込む仏教宇宙観

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    バガンの夜空のもとに立つと、単に「星が美しい」という感想にとどまらず、より深遠な思索へと誘われます。無数のパゴダが立ち並び、その頭上には無限に広がる星々が輝いています。この光景はミャンマーの人々が信じる仏教的宇宙観と強く結びついているように感じられてなりません。

    パゴダが象徴する宇宙の中心、須弥山

    仏教の世界観においては、宇宙の中心に「須弥山」という巨大な山がそびえ立つとされています。多くのパゴダ、特に中央に大きな尖塔を持つ寺院建築は、この須弥山の象徴と見なされているのです。つまり、バガンの広大な平原に建てられた三千ものパゴダは、地上に出現したミニチュアの宇宙の中心そのものであると言えるでしょう。

    夜になると、パゴダの尖塔はまるで夜空へと突き刺さる黒い針のように見え、それが天と地をつなぐアンテナのように感じられます。人々が来世の幸福を願って積み上げた祈りの塔は、遥か天空の仏の国へとその思いを届けているのです。そして空に輝く星々は、まるでその祈りを受け取った仏たちの眼差しであるかのように思えます。そんな壮大な物語を想像すると、目の前の光景にいっそう深い意味が加わっていきます。

    満天の星は、輪廻転生を見守る眼差し

    仏教には「輪廻転生」の概念があります。生きとし生けるものは死後、生前の行い(業)に基づいて別の生命へと生まれ変わると考えられているのです。バガンの人々はより良い来世を願い功徳を積み、パゴダを築きました。彼らの魂は、おそらく千年もの間、何度も生まれ変わりを繰り返しながら存在し続けてきたのでしょう。

    漆黒の夜空に煌めく星を見上げると、そのひとつひとつがバガン王朝の時代から現在までこの地で生きてきた人々の魂のように思えてきます。星の光が地球に届くまでには何万年、何億年もの時間がかかります。私たちが今見ているその光は、はるか昔に放たれたものであり、それはまるで過去から未来へと絶え間なく流れる生命の連なり、すなわち輪廻を象徴しているかのように感じられます。夜空のもとパゴダの前に佇むことは、悠久の時の流れの中に自分の存在を投じ、「自分はどこから来て、どこへ向かうのか」という問いを静かに心に刻む時間でもありました。

    静寂は音楽。夜のバガンで聴く、地球のサウンドトラック

    バガンの夜が醸し出す魅力は、目に映る風景だけにとどまりません。耳を澄ませば、都会では決して味わえない繊細で静かな「静寂のシンフォニー」が流れています。

    風が紡ぐパゴダの旋律

    周囲が完全な静けさに包まれると、それまで気づかなかった音がそっと耳に届きます。まずは広大な平原を吹き抜ける風の囁き。その風はパゴダのレンガの隙間を抜け、古びた尖塔に取り付けられた風鐸(ふうたく)を微かに揺らし、「コー…」という低くも心地よい響きを響かせます。まるでパゴダ自身が千年もの歴史を歌い上げているかのようです。遠くでヤモリの鳴き声や名も知らぬ虫たちの羽音が、微細なアクセントを奏で、この音楽に奥行きを加えています。これは誰かが奏でたものではなく、地球そのものが生み出すアンビエントミュージック。そうした音の洪水に身を委ねると、心がゆったりとほどけていくのを感じることでしょう。

    自分自身と向き合う瞑想のひととき

    視覚や聴覚だけでなく、他の五感も自然と研ぎ澄まされていきます。乾いた土の香り、夜露を含んだ草の匂い、そしてほんのり冷たい空気の肌触り。情報に溢れた日常から解き放たれ、自然が発するシンプルなメッセージだけを受け取っていると、不思議と自分の内面へと意識が向かっていきます。

    普段は気にも留めないことや心の奥深くに押し込めていた感情、未来に抱く漠然とした不安や期待。そうした思いが次々と浮かんでは消え、まるで瞑想(メディテーション)のような体験をもたらします。誰にも邪魔されない静寂のただ中で、星空とパゴダの見守るなか、本当の自分と静かに対話する。バガンの夜は、そんな贅沢な時間を与えてくれるのです。旅先で味わう非日常のひとときは、自身をリセットし、新たな一歩を踏み出す力となります。バガンの静寂は、私にとって至高の充電タイムとなりました。

    星空だけじゃない、バガンの夜を彩るエトセトラ

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    満天の星空のもとで過ごす時間も素晴らしいですが、バガンには夜を満喫する他の楽しみ方もあります。少しアクティブに夜を過ごしたい方には、以下のような選択肢がおすすめです。

    イラワジ川のそよ風を感じるリバーサイドディナー

    バガン遺跡群の西側には、ミャンマーの母なる川であるイラワジ川がゆったりと流れています。川沿いには景観に優れたレストランが点在しており、ロマンチックなディナーにぴったりの場所です。対岸に沈む夕陽を眺めながら食事を始め、日が暮れてからは川面を渡る爽やかな風を感じつつ、ライトアップされたパゴダの姿を遠くに楽しめます。伝統的なミャンマー料理はもちろん、西洋料理を提供するお店もあり、星空観賞の前に優雅なひとときを過ごすのも素敵な思い出となるでしょう。

    糸が紡ぐ芸術、ミャンマー伝統人形劇「ヨウッテー・プエ」

    ミャンマーの伝統文化に触れたいなら、「ヨウッテー・プエ」と呼ばれる人形劇がおすすめです。いくつかのレストランでは、ディナーショーとしてこの人形劇を上演しています。巧みな糸の操作で、まるで生きているかのように滑らかに動く人形たちが、神話や王家にまつわる物語をコミカルに、あるいは優雅に演じます。言葉がわからなくても、その動きだけで十分に楽しめるはずです。特に、ダンサーの人形が繰り出す繊細な動きはまさに匠の技。バガンの夜に文化的な彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

    悠久のバガンへ、旅の準備と心得

    最後に、この素晴らしい体験を味わうための具体的な旅の情報をお伝えします。

    バガンへのアクセス方法:空路と陸路

    バガンへの玄関口はニャウンウー空港です。ミャンマー最大の都市ヤンゴンや、第2の都市マンダレーから国内線が運航しており、所要時間はおよそ1時間から1時間半程度。効率良く時間を使いたいなら空路が最も便利です。一方、時間に余裕がある場合は長距離バスも選択肢となります。ヤンゴンからは夜行バスで約10時間かかります。バスのクオリティは様々ですが、豪華なVIPバスであればリクライニングシートに座って快適に移動可能。車窓の風景を楽しみながらゆったりとバガンへ向かうのも旅の醍醐味の一つです。

    あなたのスタイルに合わせて選ぶ、3つの滞在エリア

    バガンの宿泊エリアは主に以下の3つに分けられます。

    • オールドバガン:遺跡群の中心地に位置し、有名な寺院へのアクセスが抜群。高級ホテルが多く、静かで落ち着いた滞在を求める人に適しています。ただし、飲食店やショップはやや少なめです。
    • ニューバガン:オールドバガンの南数キロにある政府計画による新しい町。中級ホテルが充実し、レストランも多彩で利便性が高いエリア。遺跡群へも比較的近く、バランスの良い滞在が可能です。
    • ニャウンウー:空港やバスターミナルに最も近い町で、ゲストハウスから中級ホテルまで幅広い宿泊施設が揃っています。バックパッカーに人気のエリアで、レストランや土産物店、市場なども多く、最も活気あふれる地域です。

    広大な遺跡を自由自在に巡る、最適な移動手段

    広大なバガン遺跡群を効率よく、そして自由に廻るには、Eバイク(電動バイク)のレンタルが断然おすすめです。自転車のように自分のペースで移動でき、バイクのように体に負担をかけません。免許も不要で操作も簡単。地図を手に気になるパゴダを見つけたら立ち寄り、自分だけの絶景ポイントを探し出す冒険心を満たしてくれます。夜間の走行は安全面で注意が必要ですが、日中の観光には最適なパートナーになるでしょう。ほかにも、情緒ある馬車のチャーターや、自転車レンタルなど、様々な移動手段が用意されています。

    遺跡群入域のパスポート、チケットについて

    バガン遺跡群に入るには入域料が必要です。空港や主要道路にあるチケットカウンターで購入し、滞在中は常に携帯することが求められます。時折、寺院入り口などでチェックされることがあります。この費用は貴重な遺跡の保存や修復に充てられており、未来の世代もこの素晴らしい景観を楽しめるよう、訪問者としての協力が大切です。

    バガンの夜は単なる美しさだけでなく、千年にわたる人々の祈り、宇宙の壮大さ、そして自分の内なる声と向き合う、深く静謐で精神的な時間でもあります。もし日常の喧騒に疲れたなら、この星降る広原を訪れてみてください。パゴダのシルエットに見守られた静寂の中で、きっと忘れていた大切な何かを見つけることができるでしょう。

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    この記事を書いた人

    韓国留学経験のある莉佳です!K-POPや最新コスメ、ソウルのトレンド情報を発信しています。ファッションと音楽をテーマにした、Z世代ならではのリアルな韓国の旅をお届けします。一緒に韓国カルチャーを楽しみましょう!

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