【2025年開始】もうロストバゲージは怖くない？ターキッシュエアラインズがサムスンと革新的な手荷物追跡サービスを発表

2025年12月4日

海外旅行における長年の悩みの一つ、「ロストバゲージ（預け手荷物の紛失）」。旅の始まりや終わりに、スーツケースがどこにあるか分からなくなる不安は、誰もが避けたいものです。そんな旅行者の不安を解消する画期的なサービスが、ターキッシュエアラインズとサムスン電子の提携によって実現します。

トルコのフラッグキャリアであるターキッシュエアラインズは、サムスンの「SmartThings Find」技術を活用した新しい手荷物追跡サービス「スマートタグ手荷物サービス」を2025年12月1日から開始することを発表しました。これにより、乗客は自身のスマートフォンで、預けた手荷物の位置をより正確かつリアルタイムに把握できるようになります。

提携の概要：スマートタグ手荷物サービスとは？

この新しいサービスは、サムスンの紛失防止タグ「Galaxy SmartTag」を手荷物に取り付けることで機能します。乗客は、自身のスマートフォンにインストールされたアプリを通じて、手荷物が空港のどこにあるのか、乗り継ぎは無事に完了したのかなどを、これまで以上に詳細に追跡することが可能になります。

このサービスの心臓部となるのが、サムスンの「SmartThings Find」ネットワークです。これは、世界中に存在する数億台のGalaxyデバイスが協調して、Bluetooth信号を発信するSmartTagの位置を特定する仕組みです。たとえGPSが届かない空港の建物内であっても、近くにある他のGalaxyデバイスがタグの位置情報を中継するため、高い精度での追跡が期待できます。

これにより、万が一手荷物が遅延したり、異なる目的地に送られてしまったりした場合でも、乗客は手元でその位置情報を確認でき、航空会社への問い合わせや手続きをスムーズに進めることができるようになります。

なぜ今、この提携が実現したのか？ – 背景にある旅行業界の課題

この提携の背景には、深刻化する手荷物の誤処理問題があります。国際航空情報通信機構（SITA）が発表した「Baggage IT Insights 2023」によると、2022年の航空会社による手荷物の誤処理率は、乗客1,000人あたり7.6個に達しました。これは、旅行需要が急回復した前年比で74.7%もの大幅な増加であり、航空業界が直面する大きな課題となっています。

特に、乗り継ぎ時の手荷物の積み替えミスが誤処理全体の42%を占めており、複雑な旅程を組む旅行者ほどロストバゲージのリスクに晒されているのが現状です。

これまでも航空会社はバーコードによる追跡システムを導入してきましたが、スキャン漏れなどにより完璧な追跡は困難でした。一方で、旅行者の間ではAppleのAirTagなどを個人的にスーツケースに入れておく動きが広まっており、手荷物を自分で追跡したいというニーズが高まっていました。

こうした状況を受け、ターキッシュエアラインズは航空会社として公式に、より高度な追跡ソリューションを提供することで、顧客満足度を向上させ、競争力を高める狙いがあります。これは、同社が推進するデジタルトランスフォーメーション（DX）戦略の重要な一環と位置づけられています。

この提携がもたらす未来と旅行者への影響

この先進的な取り組みは、今後の空の旅にどのような変化をもたらすのでしょうか。

旅行者へのメリット

最大のメリットは、やはり「安心感」です。自分の大切な手荷物が今どこにあるのかをリアルタイムで確認できることで、紛失や遅延に対する精神的な負担が大幅に軽減されます。特に乗り継ぎの多いフライトや、初めて訪れる空港での不安解消に大きく貢献するでしょう。万が一トラブルが発生した際も、位置情報という具体的な証拠を元に航空会社と交渉できるため、問題解決の迅速化が期待されます。