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    リュブリャナ vs プラハ:中央ヨーロッパの宝石、選ぶならどっち?スロベニアの首都が秘める、心ときめく魅力のすべて

    中央ヨーロッパの旅、と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、きっとチェコの首都プラハではないでしょうか。「百塔の街」と称される息をのむような美しい街並み、カレル橋から眺める夕日、活気あふれる旧市街広場。その魅力は計り知れず、一度訪れれば誰もが虜になってしまう魔法のような場所です。私もその一人でした。まるで中世のおとぎ話の世界に迷い込んだかのような高揚感は、今でも鮮明に覚えています。

    でも、もしあなたが「みんなが行く場所とは、少し違う旅がしたい」「もっと心穏やかに、その土地の空気に溶け込むような時間を過ごしたい」と心のどこかで感じているなら。プラハ行きのチケットを探すその手を、ほんの少しだけ止めてみてください。そして、地図の上でチェコの少し南に目を移してみてください。そこに、スロベニアという国の小さな首都、「リュブリャナ」が静かにあなたを待っています。

    プラハが、誰もがその名を知るきらびやかなK-POPグループの絶対的センターだとしたら、リュブリャナは、知る人ぞ知る実力派のソロアーティスト。派手さはないけれど、一度その歌声(魅力)に触れたら、心の奥深くまで響いて離れられない。そんな、深く、静かで、確かな魅力に満ちた街なのです。私自身、韓国留学中にヨーロッパ中を旅しましたが、リュブリャナで過ごした時間は、他のどの都市とも違う、特別なものとして心に刻まれています。

    この記事では、多くの人が憧れるプラハと、まだベールに包まれたリュブリャナを、私の実体験をもとにあらゆる角度から徹底的に比較していきます。どちらが良い、悪いという話ではありません。ただ、この記事を読み終える頃には、あなたの心の中に「リュブリャナ」という新しい選択肢が生まれ、次の旅の目的地として、力強く輝き始めていることをお約束します。さあ、知られざる中央ヨーロッパの宝石を探す旅へ、一緒に出かけましょう。

    プラハの旅をさらに深めたい方は、クトナーホラのセドレツ納骨堂で芸術と死生観に向き合う体験もおすすめです。

    目次

    まずは知りたい!リュブリャナとプラハ、基本の「き」

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    旅の計画を立てる際、まず気になるのはその街が持つ「雰囲気」や「スケール感」ではないでしょうか。同じ中央ヨーロッパに位置するこの二つの都市は、その個性が驚くほど対照的です。まずは基本的なプロフィールを確認しながら、両都市の違いを感じ取ってみましょう。

    街の第一印象:スケール感と雰囲気の差異

    プラハに足を踏み入れた瞬間、まず感じるのは圧倒的な「歴史のスケール」です。ヴルタヴァ川に架かる壮麗なカレル橋、丘の上にそびえる巨大なプラハ城、そして旧市街広場を囲む荘厳な建築群。どの角度から切り取っても、重厚で絵画のような風景が広がっています。街全体が何世紀にもわたる帝国の歴史を雄弁に物語っており、その威厳に圧倒されるほどです。石畳の道を歩くと世界中から訪れた観光客の波に揉まれ、街は活気に溢れています。まるで壮大な歴史映画のセットに迷い込んだかのような、非日常的な興奮を味わえます。

    一方、リュブリャナの第一印象は「心地よいヒューマンスケール」がぴったりです。空港から市内へ向かうバスを降り、リュブリャニツァ川のほとりに立つと、驚くほどの静けさと穏やかな空気を感じました。川沿いにはおしゃれなカフェのテラス席が延々と続き、地元の人々が談笑しながらコーヒーを楽しんでいます。コンパクトな旧市街は、ゆっくり自分の足で散策するのに最適な大きさです。プラハのような圧倒的な威圧感はなく、その代わりに人と自然、歴史が優しく調和した「暮らし」の温かみが感じられます。肩の力を抜いて深呼吸したくなるような、リラックスした雰囲気に包まれています。

    旅のスタイル:短期集中タイプ vs ゆったり滞在タイプ

    こうしたスケール感の違いは、そのまま旅のスタイルにも反映されます。プラハは観光スポットが非常に豊富です。プラハ城、聖ヴィート大聖堂、旧市街広場、ユダヤ人地区、美術館や博物館など、主要な見どころをすべて巡ろうとすると、計画的かつエネルギッシュに動き回る必要があります。まるで人気アトラクションが集まるテーマパークを攻略するような感覚で、刺激的で忘れがたい体験を求める短期集中型の旅に最適な目的地と言えるでしょう。

    対照的に、リュブリャナは予定を詰め込まず、ゆったり「何もしない贅沢」を楽しむ旅に向いています。もちろんリュブリャナ城や三本橋(トロモストウエ)などの名所はありますが、すべて徒歩圏内にコンパクトにまとまっています。午前中に軽く散策した後は、川沿いのカフェで気に入った席を見つけ、ゆっくり本を読んだり、行き交う人々を眺めたり。時間に追われず、街のリズムに身をゆだねる過ごし方が何より心地よいのです。心身をリラックスさせ、その土地の暮らしに溶け込みたい長期滞在型の旅人には、リュブリャナが特におすすめです。

    物価とコストパフォーマンス

    旅の満足度に大きく影響する要素のひとつが物価です。プラハもリュブリャナも、パリやロンドンのような西ヨーロッパの主要都市と比べれば、ずっとリーズナブルな価格で旅行が楽しめます。ただし二つを比較すると、わずかにリュブリャナのほうがコストパフォーマンスで優れている印象です。

    特に食事やカフェに関しては、リュブリャナの価格帯の良さに驚かされます。洗練された雰囲気のレストランで、美味しいパスタやリゾットをいただいても非常に手頃です。川沿いのカフェで楽しむカプチーノの価格も、気軽に楽しめる範囲に収まっています。プラハは世界的な観光地であるため、中心部の飲食店は観光地価格であることが多いのが実情です。その点リュブリャナは街全体が落ち着いた雰囲気のため、価格とクオリティのバランスがとても良いと感じました。お財布を気にせず、心置きなく美味しい料理を味わえるのも、リュブリャナの大きな魅力と言えるでしょう。

    歩いて感じる街並みの魔法:リュブリャナの旧市街 vs プラハの旧市街広場

    街の中心部は、その都市の象徴とも言える場所です。二つの都市の旧市街は、どちらも魅力的ですが、その雰囲気には大きな違いが見られます。

    プラハの華麗さと賑わい

    プラハの核となる旧市街広場は、まさに圧巻の光景です。ゴシック様式のティーン教会が空へとそびえ立ち、毎時ちょうどに動き出す天文時計の周りには、いつも多くの観光客が集まります。広場を囲む建物一つひとつが、精緻な装飾と歴史を宿しているのが感じられます。広場に足を踏み入れた瞬間、そこに満ちる活気に圧倒されそうになるでしょう。大道芸人のパフォーマンス、観光馬車の蹄の響き、屋台から漂う甘い焼き菓子の香り、そして世界各国の言葉が飛び交う喧騒——すべてが調和し、プラハ特有の祝祭的なムードを生み出しています。この華やかさが旅の高揚感を一層引き立てますが、人混みが苦手な人にとっては、少々疲れてしまうかもしれません。常に誰かと肩がぶつからないよう気をつけながら歩く必要があります。

    リュブリャナの落ち着きと色彩の温もり

    それに対して、リュブリャナ中央に位置するプレシェーレン広場は、より穏やかで親しみやすい雰囲気を醸し出しています。広場の象徴は、やわらかなサーモンピンクの外観が印象的なフランシスコ会教会。その前には、スロベニアの国民的詩人フランツェ・プレシェーレンの像が静かに街を見守っています。広場と旧市街をつなぐのは、建築家ヨジェ・プレチュニックによる三本橋(トロモストウエ)で、この特徴的な橋を渡ると、リュブリャニツァ川沿いのオープンカフェの風景が広がります。

    私がリュブリャナで最も心惹かれたのは、この川沿いの風景でした。人々は思い思いのカフェの席に腰掛け、友人と談笑したり、一人静かに過ごしたりしています。そこには観光客向けの「見せるための賑わい」ではなく、地元の人々の日常が自然に流れていました。何より素晴らしいのは、旧市街の中心部が完全に歩行者専用となっていること。車の騒音や排気ガスに邪魔されない空間は、驚くほど静かで澄んだ空気に満ちています。だからこそ、目的もなくただ美しい石畳の道を気の向くままに歩くことが、格別な時間になるのです。角を曲がるたびに現れる柔らかなパステルカラーの建物や、小さなブティックの可愛いショーウィンドウに、何度も心を奪われました。

    天空からの眺め対決:リュブリャナ城 vs プラハ城

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    街を見渡せる高台は、いつの時代も旅人の心を惹きつけます。プラハ城とリュブリャナ城。それぞれの丘の上から眺める景色は、その街の物語を象徴しているかのように感じられます。

    皇帝の威厳が漂うプラハ城

    プラハ城は単なる「城」という枠には収まりきらない、巨大な複合施設です。ギネスブックにも認定された世界最大級の城郭群で、その敷地内には大聖堂や宮殿、教会、庭園が広がっています。特に、アルフォンス・ミュシャが手掛けたステンドグラスで知られる聖ヴィート大聖堂の内部は、光と色彩が織りなす荘厳な美しさに満ちており、言葉を失ってその場に見入ってしまいました。

    しかし、その広さゆえに見学にはかなりの時間と体力を要します。じっくり回るなら、半日以上の時間を確保するのが望ましいでしょう。チケットの種類も複数あるため、「どこを見たいか」を事前に調べて計画を立てないと効率よく巡るのは難しいかもしれません。間違いなく素晴らしい場所ですが、一方で「壮大な観光名所を制覇しなければ」という微かなプレッシャーを感じることもあります。しかし、その疲れさえも忘れさせてくれるのが、城の展望スポットから見下ろすプラハの街並みです。「百塔の街」と称される通り、無数の尖塔とオレンジ色の屋根が地平線まで波のように続く光景は、まさに絶景。この景色を見るだけでもプラハを訪れる価値があると、自信を持って言える感動がそこにはあります。

    市民に愛される緑の丘、リュブリャナ城

    リュブリャナの街を優しく見守るように、丘の上に佇むリュブリャナ城はプラハ城とは対照的に、とても親しみやすい存在です。旧市街から延びる坂道を緑豊かな公園の中、散策しながら登ることもできますし、もっと手軽に楽しみたいなら、麓から出ているガラス張りのケーブルカー(フニクラ)に乗るのがおすすめです。わずか1分ほどの空中散歩で一気に城の入り口へ到着。この気軽さがリュブリャナらしい心遣いと言えます。

    城の内部には歴史を伝える博物館だけでなく、モダンなレストランやカフェ、アートギャラリー、さらには結婚式場や野外映画の上映スペースも備えられています。歴史的な建造物でありながら、過去の遺物として眠っているのではなく、今もなお市民の文化活動や憩いの場として活発に利用されているのです。展望台に登れば、眼下に広がるリュブリャナのコンパクトで愛らしい街並みが見渡せます。オレンジ色の屋根瓦と街を囲む豊かな緑のコントラストが鮮やかで、遠くにはスロベニアが誇るユリアン・アルプスの雄大な稜線がうっすらと望めます。プラハの圧倒的なパノラマとは異なりますが、その分自分の住む街を愛おしむような、温かく穏やかな気持ちにさせてくれる風景がここにあります。

    お城への入場券はオンラインで事前購入しておくとスムーズです。展望台への入場とケーブルカー往復がセットになったチケットは約16ユーロ。特に私が推したいのは夕暮れ時。オレンジ色に染まる空と街並みはながら忘れがたい思い出になることでしょう。

    食いしん坊バンザイ!グルメ体験で見る文化の違い

    旅の楽しみといえば、やはり「食」が欠かせません。その土地独特の味わいは、文化を最も直に感じ取ることができるポイントです。この観点から見ると、プラハとリュブリャナは対照的な魅力を放っています。

    プラハの伝統料理:肉とビールの力強い調和

    プラハの食文化をひとことで表すなら、「質実剛健」と言えるでしょう。チェコ料理の主役は間違いなく肉であり、代表的な一品には、パプリカで煮込んだ牛肉料理「グラーシュ」があります。さらに、茹でパンのような「クネドリーキ」をたっぷりのソースに浸して食べるのが定番スタイルです。また、豪快にローストされた骨付き豚のすね肉「ペチェナー・ヴェプショヴァー・コレナ」は、見た目からして食欲をそそります。どの料理もボリューム満点で、やや塩味の効いた力強い味わいが特徴です。そして、それらに欠かせないのが、世界的に有名なチェコビール。伝統的なビアホール「ホスポダ」に足を踏み入れ、地元のおじさんたちに混じって、細かい泡立ちのピルスナーを味わう瞬間は、まさに至福と呼べる体験です。プラハの食は、ビールと肉料理の力強いハーモニーなしには語れません。

    リュブリャナの洗練された食文化:スロベニア、イタリア、オーストリアの多彩な融合

    一方で、リュブリャナの食文化はより多様で洗練されています。スロベニアは地理的にイタリア、オーストリア、ハンガリー、さらにはバルカン半島と接しているため、古くから様々な食文化が混ざり合ってきました。そのため、リュブリャナのレストランでは、実に多彩な料理に出会うことができます。たとえばアドリア海の新鮮なシーフードを使った絶品イタリアン、ハプスブルク家からの影響を感じさせる上品な煮込み料理、そして高品質な生ハムやチーズなど、どれも素材の良さを活かした繊細で優しい味わいが印象的です。

    見逃せない!「オープン・キッチン」(Odprta kuhna)

    リュブリャナの多彩な食文化を最も体感できるイベントが、私がこの街で最も楽しみにしていた「オープン・キッチン」です。毎年3月から10月の毎週金曜日に中央市場の隣、ポガチャルイェフ広場(Pogačarjev trg)で開催される大規模なフードマーケットで、言わば食の祭典です。スロベニア全国から集まった有名レストランや新進気鋭のシェフ、人気カフェやワイナリーが数十もの屋台を並べ、それぞれ自慢の料理を小皿で提供します。

    私が訪れた日も、多くの人で広場は賑わい、あらゆる方向から美味しそうな香りが漂っていました。スロベニアの伝統料理はもちろん、トリュフたっぷりのパスタ、薪窯で焼き上げた本格的なピッツァ、アジア風ヌードル、創作バーガーと、その味はまさに世界の多様な風味が集結。どれを選ぶか迷いながら屋台を巡る時間自体が、まるで最高のエンターテインメントとなります。結局私は、濃厚なトリュフクリームパスタと地元産のクラフトビールを選び、広場のテーブルでライブミュージックを聴きながらゆっくり味わいました。その味わいは今も鮮明に記憶に残っています。支払いは現金がスムーズなので、少し多めにユーロを用意しておくのが賢明です。この「オープン・キッチン」があるからこそ、「リュブリャナには金曜日に滞在すべきだ」と自信を持っておすすめできます。

    街から一歩、足を延ばすなら?日帰り旅行の魅力

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    都市の魅力だけでなく、気軽に訪れることができる近郊のスポットも、旅先を決める際の重要な要素です。この点においても、両都市はそれぞれ素晴らしい選択肢を提供しています。

    プラハ発:まるでおとぎ話の町、チェスキー・クルムロフ

    プラハからの日帰り旅行で特に人気が高いのが、「世界で最も美しい町」と称されるチェスキー・クルムロフです。ヴルタヴァ川がS字に蛇行する場所には、オレンジ色の屋根を持つ家々が密集し、丘の上には壮大な城がそびえ立っています。その景観はまるで物語の挿絵のようで、町全体がユネスコの世界遺産に登録されています。中世の趣を色濃く残す石畳の路地を歩けば、時間の感覚を忘れてしまうほどです。

    プラハからは長距離バスが主なアクセス手段で、移動時間は約3時間。日帰りでも十分満喫できますが、多くの観光客で賑わうため日中は混雑しがちです。時間に余裕があるなら、ぜひ一泊するのがおすすめ。観光客が少なくなる夕暮れや早朝の静かな町並みは格別で、ライトアップされた城を眺めながら過ごす夜は、一生の思い出になることでしょう。

    リュブリャナ発:アルプスの瞳、ブレッド湖

    リュブリャナを拠点に旅をする醍醐味の一つは、スロベニアの豊かな自然を手軽に満喫できる点です。その代表格といえるのが、スロベニアの象徴的存在、ブレッド湖です。エメラルドグリーンに輝く湖面の中央には小さな島がぽつんと浮かび、そこには愛らしい教会が建っています。さらに湖を見下ろす崖の上には中世の城がそびえ、この完璧な景観が多くの旅行者の心を掴んで離しません。

    リュブリャナの中央バスターミナルからは、ブレッド湖行きのバスが頻繁に運行されており、所要時間は約1時間半。プラハからチェスキー・クルムロフへ向かうよりもずっと気軽に訪れることができ、思い立ったらすぐに都会の喧騒を離れて豊かな自然に身を委ねられるのが魅力です。そんな身軽さが、リュブリャナでの滞在を一層充実させてくれます。

    湖に着いたら、ぜひ「プレトナ」と呼ばれる伝統的な手漕ぎボートに乗り込み、湖に浮かぶブレッド島へ渡ってみましょう。船頭さんが巧みにオールを操り、穏やかな湖面を進む時間はとても静かでロマンチックです。料金は往復でおよそ18ユーロ前後が相場となっています。島に上陸したら、99段の階段を上って聖マリア教会へ向かいましょう。教会の鐘を鳴らすと願いがかなうという伝説があります。戻ったら湖畔のカフェで名物のクリームケーキ「クレムナ・レジーナ」をぜひ味わってください。サクサクのパイ生地にカスタードクリームと生クリームがたっぷり挟まれており、見た目よりも甘さ控えめで、歩き疲れた体に優しく染み渡る美味しさです。

    Z世代の心に響く、リュブリャナのサステナブルな魅力

    私と同世代の多くの人々が、旅先を選ぶ際に「その地域の価値観」を重視する傾向が強まっているように感じます。その点で、リュブリャナは非常に先進的で、未来志向の魅力が豊かな街です。

    ヨーロッパ緑の首都としての実力

    リュブリャナは、2016年に環境保全への取り組みが高く評価され、「ヨーロッパ緑の首都」に選ばれました。この称号は単なる名誉にとどまらず、街を歩けばその理由がすぐに実感できます。先にも触れた通り、旧市街の中心部は完全に歩行者専用となっており、車を気にせず安心して散策が楽しめます。その代わりに、高齢者や荷物の多い方のために「カヴァリル」と呼ばれる無料の電動カートが静かに街中を巡回しており、手を挙げればどこでも自由に乗り降りできます。この仕組みは、環境への配慮と利用者への優しさを見事に両立させた素晴らしいアイデアだと感じました。

    さらに、街のあちこちにはライオンの顔をモチーフにした公共の給水スポットが設けられていて、誰でも気軽に美味しい水を飲めます。私も滞在中はマイボトルを携えて、何度も利用しました。ペットボトルのゴミを増やさずにいつでも水分補給ができるという、このような小さな積み重ねが街全体の清潔で快適な空気を生み出しています。自然を大切にし、持続可能な社会の実現を目指すという明確なビジョンが、街の隅々まで浸透しているのです。その姿勢は、これからの時代の旅の在り方を考える上で大いに示唆に富んでいます。

    オルタナティブカルチャーの拠点、メテルコヴァ

    リュブリャナのもう一つの特徴的なエリアが、中心部から少し歩いた場所にある「メテルコヴァ・メスト」です。元々は旧ユーゴスラビア軍の兵舎があった広大な敷地が、1990年代にアーティストや活動家たちによってスクワット(無断占拠)され、オルタナティブカルチャーの発信地として誕生しました。建物全体が一つのキャンバスのようで、壁という壁が色鮮やかなグラフィティや個性的なオブジェで覆われています。

    昼間に訪れると、やや退廃的ながらも強烈な創造的エネルギーを感じるアート空間としての側面が際立ちます。夜になるとライブハウスやクラブ、バーがオープンし、アンダーグラウンドなナイトライフが繰り広げられます。この雰囲気は、私が留学中に親しんだソウルのインディーズ文化が盛んな弘大(ホンデ)や、古い工場をリノベーションしたカフェが並ぶ聖水洞(ソンスドン)とどこか通じるものがあります。洗練された旧市街とは全く異なる、荒々しく予測できない、そのぶん魅力的な空気が漂う場所です。ここでリュブリャナのディープな一面を垣間見ることができます。ただし、夜間に訪れる場合は独特の雰囲気があるため、一人での散策は避け、複数人での行動をおすすめします。

    結局、どっちを選ぶ?旅の目的別おすすめガイド

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    これまでプラハとリュブリャナの魅力を多角的に比較してきましたが、いかがでしたか。それぞれの街には、それぞれ独自のかけがえのない魅力があります。最後に、あなたの旅のスタイルや目的に応じて、どちらの街がより合うかのヒントをご紹介します。

    こんな方にはプラハがおすすめ

    • 中央ヨーロッパを初めて訪れる方で、誰もが憧れる「美しい街」を存分に味わいたい。
    • 歴史の重厚さを感じる壮大な建造物や、世界的に有名な美術館を巡るのが好き。
    • 常に活気と刺激がある街の雰囲気が好みで、ほどよい喧騒も旅の醍醐味だと感じる方。
    • 世界一美味しいと評されるビールを本場で心ゆくまで楽しみたい。

    プラハは、その圧倒的な美しさと歴史の物語であなたの期待をきっと裏切りません。まるで映画の主人公になったかのような、ドラマチックな旅が待っています。

    こんな方にはリュブリャナがおすすめ

    • 有名観光地を回るよりも、人混みを避けて自分のペースでゆったり過ごしたい方。
    • ガイドブックに載っている「観光」だけでなく、現地の人々の「日常的な生活感」に触れたい方。
    • おしゃれなカフェでのんびりしたり、美味しい食べ物を求めて路地裏を散策するのが好き。
    • 都会の魅力に加え、少し足を伸ばせば自然も堪能できる環境を楽しみたい方。
    • 環境問題やサステナブルなライフスタイルに関心があり、旅先でもそうした価値観を大切にしたい方。

    これらに一つでも当てはまるなら、きっとリュブリャナに惹かれることでしょう。穏やかで優しさに満ち、しかし芯のあるこの街は、あなたの心に静かな満足感をもたらしてくれます。

    リュブリャナ旅行のQ&A:旅立つ前の最後のひと押し

    新しい旅先に挑戦するときには、期待と同時に少しの不安もつきものですよね。最後に、リュブリャナへの旅行を検討しているあなたが気になるであろう幾つかの質問に、私の体験をもとにお答えします。

    Q. 治安はどうですか?一人旅でも問題ないでしょうか?

    A. はい、自信を持って安全だと言えます。リュブリャナはヨーロッパでも屈指の治安の良さで知られています。夜の旧市街も明るく、歩いている人も多いため、女性の一人歩きでもほとんど不安を感じませんでした。もちろん、海外旅行の基本である貴重品管理などの注意は必要ですが、過度に心配することはないでしょう。むしろ、地元の人たちは非常に親切で、穏やかな雰囲気を感じました。

    Q. 滞在は何日くらいが適当ですか?

    A. リュブリャナ市内の観光だけなら、丸2日あれば主要なスポットは十分に巡れます。しかし、この街の魅力はゆったりとした時間の中でこそ味わいやすいです。また、ブレッド湖やポストイナ鍾乳洞などの素晴らしい近郊エリアに足を伸ばすことを考えると、最低でも3泊4日の滞在をおすすめします。そうすれば、慌てることなくリュブリャナとその周辺の魅力を存分に堪能できるでしょう。

    Q. 言葉は通じますか?

    A. 公用語はスロベニア語ですが、心配はいりません。ホテルやレストラン、観光案内所など、旅行者が訪れる場所ではほとんど英語が通じます。特に若い世代の方々は非常に流暢な英語を話すケースが多いです。とはいえ、現地の言葉で挨拶を覚えておくとコミュニケーションがよりスムーズになり、地元の人との距離もぐっと縮まります。「Dober dan(ドベル・ダン/こんにちは)」や「Hvala(フヴァラ/ありがとう)」の2つだけでも覚えておけば、きっと素敵な笑顔が返ってくるでしょう。

    Q. 現金は必要ですか?

    A. 多くの場所でクレジットカードが使えるため、大量の現金は不要です。ただし、金曜日に行われるオープン・キッチン(フードマーケット)の屋台や中央市場の小規模な露店、一部のお土産屋さんでは現金のみという場合があります。いざという時に備えて、少額のユーロ紙幣を持っていると安心です。

    心が求めるのは、華やかさ?それとも、心地よさ?

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    旅を終えて感じたのは、もしプラハの旅が満席のホールで聴く壮大なオーケストラの演奏だとすれば、リュブリャナの旅は緑に囲まれた公園で開かれる、お気に入りのアーティストによる心地よいアコースティックライブのようだということです。

    どちらの音楽が優れているということではありません。今の自分がどんな音色に耳を傾け、どのリズムに心を委ねたいかは、その時の気分によって変わるものです。

    もしあなたが今、華やかなスポットライトの光よりも木漏れ日のような穏やかな光を求め、非日常の刺激よりも日常の延長線上にあるけれども忘れがたい輝きに満ちた時間を望んでいるのなら、リュブリャナはきっとあなたのための最高の舞台を用意してくれるでしょう。

    リュブリャニツァ川のせせらぎを聴きながら、美味しいコーヒーを手にして、ただ過ぎゆく時間を慈しむ。そんな、特別ではないけれども格別に贅沢な時間が、この街にはありました。

    次に中央ヨーロッパを旅する際には、ぜひ地図の上で光るスロベニアの小さな首都を思い出してください。プラハのそばで静かにあなたを待つその街は、きっと優しく心を満たし、明日への新たな活力を与えてくれるはずです。

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    この記事を書いた人

    韓国留学経験のある莉佳です!K-POPや最新コスメ、ソウルのトレンド情報を発信しています。ファッションと音楽をテーマにした、Z世代ならではのリアルな韓国の旅をお届けします。一緒に韓国カルチャーを楽しみましょう!

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