もし地球に「記憶」というものがあるのなら、それはきっとこんな風景をしているに違いありません。アフリカ南西部に位置するナミビア。その広大な国土に広がるナミブ砂漠は、約8000万年前に生まれた世界最古の砂漠だと言われています。気の遠くなるような時間をかけて、風が砂を運び、太陽がそれを焼き、空が静かに見守り続けてきた場所。今回、私が旅したのは、そんなナミブ砂漠の心臓部ともいえる「ソススフレイ」です。そこは、生命の気配すら飲み込むほどの静寂と、燃えるような深紅の砂丘、そして時が止まったかのような奇妙な沼が織りなす、この世のものとは思えない絶景が広がる場所でした。言葉や写真だけでは伝えきれない、肌で感じる地球の鼓動。ページをめくるように景色が変わる感動。この旅は、私のちっぽけな時間感覚を、宇宙的なスケールへと解き放ってくれるような、特別な体験となりました。さあ、一緒に悠久の時が刻んだアートを巡る旅に出かけましょう。
ナミビアの旅に続き、アフリカの魅力をさらに探求するなら、火山の恵みが生んだ独特のワインに魅了されるカーボベルデ・フォゴ島の旅もおすすめです。
ソススフレイへの扉、セスリウムで星空に眠る

ソススフレイへの旅は、ナミブ=ナウクルフト国立公園の入口に位置する「セスリウム」からスタートします。ここはまるで砂漠の海へと漕ぎ出す船着き場のような場所です。ウィントフックのホセア・クタコ国際空港から車を約5時間走らせると、舗装道路が途切れ、赤茶けたグラベルロード(未舗装路)に変わります。そのあたりから砂漠の存在感が一層強まり、車の窓を開けると乾いた風が頬を撫でます。遠くの地平線は陽炎に揺れ、果てしなく続いていました。
このセスリウムでぜひこだわりたいのが宿泊場所です。公園のゲートの内側にあるNWR(ナミビア・ワイルドライフ・リゾーツ)が運営する「セスリウム・キャンプサイト」か、隣接する「ソスス・ドゥーン・ロッジ」に泊まることをおすすめします。なぜなら、そこに泊まることこそがソススフレイの絶景を最大限に堪能するための、いわばゴールデンチケットだからです。
公園のゲートは日の出から1時間後に開き、日の入りとともに閉まります。しかし、公園内に宿泊する人だけは、開園の1時間前から内部へ進むことが許されます。この1時間が勝負どころで、誰もいない静けさの中で、朝陽を浴びながら刻々と表情を変える砂丘のグラデーションを独り占めできる、まさに魔法のような時間です。
私はセスリウム・キャンプサイトを選びました。予約は数ヶ月前から埋まることが多いと聞いていたため、早めに公式サイトで手続きを済ませておきました。シーズンによっては本当に激しい争奪戦になるので、旅程が決まったらまず宿泊先の確保を最優先にすることを強く推奨します。
キャンプサイトとはいえ、設備は非常に清潔で、各サイトには水場や電源、バーベキュー施設が整っています。レンタカーの屋根に設置したルーフテントを広げ、夕食の準備をしていると、西の空が徐々に茜色に染まっていく様子が目に入りました。周囲にはほとんど灯りがなく、日が沈むと世界は深い闇と静寂に包まれます。見上げると、まるで宝石箱をひっくり返したかのような無数の星々が煌めいていました。天の川がこれほど鮮明に立体的に見えるのは初めての体験で、流れ星がほんの少し尾を引くたびに、息をのんでしまいました。都会の喧騒から遠く離れ、地球の自転を肌で感じられるような夜。ソススフレイの旅は、まだ始まったばかりなのに、早くも私の心をつかんで離しませんでした。
夜明けのデューン45、深紅のキャンバスに昇る太陽
翌朝、まだ深い藍色の空が広がる午前4時半。ヘッドライトの灯りを頼りに、私たちは車を走らせました。目的地は、セスリウムのゲートから45kmの地点に位置するその名も「デューン45」。世界で最も美しい砂丘の一つと称される、優雅な曲線を描く砂の丘です。
ゲート内宿泊者の特権を活かし、トップでの到着を目指して暗闇の道を突き進みます。車のライトが照らす一本道の先に、ぼんやりとした黒い影が見えたとき、それがデューン45だと直感しました。車を停めて外に出ると、ひんやりとした空気が肌に触れました。砂漠の朝は思いのほか冷え込みます。薄手のダウンジャケットを羽織っていても、少し肌寒いほど。この気温差に対応するため、脱ぎ着しやすい重ね着が欠かせません。
いよいよ、砂丘への登頂が始まります。靴は砂の侵入を防ぎやすいハイカットのトレッキングシューズが理想ですが、驚くことに裸足で登っている人も意外と多く見かけました。私も少しだけ裸足で歩いてみましたが、夜の間に冷やされた砂はひんやりとして心地よく、そのきめ細かな感触が足裏を包み込み、大地と一体になったような不思議な感覚を味わえました。
砂丘の稜線はナイフの刃のように鋭く、一歩踏み出すたびに足が「ズブッ」と沈み込みます。三歩進み二歩下がるといったもどかしいペースで登ります。息があがり、額には汗がにじみますが、それでも振り返れば少しずつ視界が開け、遠くの砂丘群がシルエットとして浮かび上がるのを見ると自然と足が前に進みました。
そして頂上に到達した瞬間、東の地平線がほのかにオレンジ色に染まり始めました。その光はだんだんと強まり、やがて燃え立つ太陽が姿を現すと、まるで魔法をかけられたかのように世界の色彩が一変します。影に覆われていた西側の砂丘は深い藍色のままですが、光を浴びた東側は鮮やかなアプリコット色から、燃え盛る炎のような深紅へと刻々と表情を変えていきます。風が砂の表面を撫でるたびに生まれる「風紋」が、光と影の繊細なコントラストを織り成し、目の前の風景は巨大な一枚のアート作品のように見えました。この光景の前では誰も言葉を失い、ただ静かにシャッターを切り、あるいはじっと変化を見つめていました。この瞬間のために、私たちは早起きし、暗闇の中を駆け抜け、息せき切って砂丘を登ってきたのだと、心から実感できる時間でした。
ソススフレイの心臓部へ、四輪駆動車で駆ける最後の道

デューン45で感動的な日の出を迎えた後、旅はさらに奥地へと進み、ソススフレイの中心部に向かいます。デューン45から舗装道路の終点にあたる駐車場まではおよそ20kmで、ここまでは普通の乗用車でも問題なくアクセス可能です。しかし、そこから先のデッドフレイやソススフレイの本体(ビッグ・ダディなどがあるエリア)へ続く約5kmの道は、全く異なる様相を呈します。
この区間は、タイヤが深く沈み込む本格的なサンドロードとなっており、通行が許されるのは四輪駆動車(4WD)のみです。ここで旅人はふたつの選択肢に直面します。一つは自らハンドルを握り、この砂の道に挑むこと。もう一つは、公園が運営する有料のシャトルサービスを利用することです。
私たちはナミビア旅行のために4WDレンタカーを借り、冒険の醍醐味を味わうべく自力での突破に挑みました。経験豊富なドライバーは車を停めると手慣れた様子でタイヤの空気圧を下げ始めます。空気圧を少し下げることで接地面積を増やし、砂の路面でのグリップ力を高めるのだと言います。この準備を通じて、砂漠走行には知識と準備が不可欠であることを再認識しました。
いよいよサンドロードに乗り入れます。アクセルを踏み込むと、車はまるで船のように左右に揺れながら、深い砂を掻き分けて前進します。轍から外れるとすぐにスタック(立ち往生)してしまうリスクが常にあり、自然とハンドルを握る手にも力が入ります。窓の外では風に舞う砂が行く手を阻むかのように揺れ、スリル満点のドライブが続きました。途中では、スタックした車を他のドライバーたちがお互いに助け合う光景も目にし、そこには旅人同士の不思議な連帯感が生まれていました。
もちろん、運転に自信がなかったり、もっと気軽に絶景を楽しみたい場合は、シャトルサービスの利用が賢明です。駐車場に待機している専用のオープンエア車両に乗り換えれば、経験豊かなドライバーが安全に目的地まで案内してくれます。料金は往復で一人あたり約180ナミビアドル(変動の可能性があるため現地での確認をおすすめします)。砂漠の風を感じながらプロの運転で進むのもまた一興でしょう。どちらを選んでも、この最後の関門を越えた先には、想像を超える絶景が待ち受けています。
時が止まった美術館、デッドフレイ『死の沼』
四輪駆動車での冒険を経てたどり着いた駐車場から、さらに約1km歩くと、目の前に信じがたい光景が広がりました。それがソススフレイを象徴する風景、「デッドフレイ」です。日本語に訳すと「死の沼」。その名にふさわしく、生命の営みが完全に途絶えたかのような静寂と乾きが支配する場所でした。
目の前には、ヒビの入った真っ白な粘土質の地面が広がっています。かつてこの地が川の氾濫によって形成された湖であったことの唯一の名残です。そしてその白いキャンバスの上には、黒く炭化したアカシアの木々が彫刻のように点在しています。背後には、燃えるような深紅の砂丘が空に向かってそびえ立ち、その上空には澄み渡るコバルトブルーの空が果てしなく広がっていました。白、黒、赤、青。まるで自然が生み出したとは思えないほどの完璧な色の対比で、シュルレアリスムの画家サルバドール・ダリの絵に迷い込んだかのような非現実的な感覚にとらわれました。
これらの枯れ木は、約900年前に枯死したと言われています。普通なら朽ちて土に還るはずの木々が、なぜ今なお立ったままなのか。その理由は、この土地の極端な乾燥状態にあります。水はもちろん、木を分解するバクテリアさえ存在しない過酷な環境が腐敗を防ぎ、木々を永遠の時の中に閉じ込めたのです。太陽の熱で炭化し黒くなったその姿は、まるで時が止まった標本のようでした。一本一本の枝ぶりが、かつて生きていた頃の面影を留めているかのように見えます。
私はゆっくりとデッドフレイの中を歩きました。自分の足音以外は何も聞こえず、風の音すら存在感を消しているかのようでした。強烈な日差しが肌を焼き、白い地面からの照り返しが目をくらませます。この場所へ訪れる際は、十分すぎるほどの水(最低でも一人2リットルは持参したい)、つばの広い帽子、サングラス、そして強力な日焼け止めが不可欠です。忘れると、文字通り干からびてしまいそうなほどの乾燥と暑さが待っています。
枯れ木の一本にそっと触れてみると、その表面は予想以上に硬く滑らかでした。長い時を経て、まるで化石のようになってしまったのでしょうか。私はカメラのファインダーを覗き、この奇跡的な光景を夢中で切り取りました。広角レンズで風景全体の異世界感を捉えたり、望遠レンズで枯れ木のシルエットと砂丘の曲線を重ね合わせたり。どの角度から撮っても絵になりますが、この場所が持つ静寂や時間の重みといったものは、写真だけでは決して伝えきれないと感じました。ここはすべての五感を使い、その場に佇んで初めて、その真価がわかる場所なのです。
ビッグ・ダディとビッグ・ママ、巨人たちの挑戦

デッドフレイの白と黒の景色を見下ろすように、圧倒的な存在感でそびえ立つのが、世界でも屈指の巨大砂丘「ビッグ・ダディ」です。その高さは約325メートルに達し、東京タワーの頂上付近に匹敵するほどの規模を誇ります。目の前に広がるその姿はまさに砂丘の王者。デッドフレイの静寂を味わった後、多くの体力に自信のある旅人たちが、この巨大な砂の山へと挑戦を始めます。
ビッグ・ダディへの登山は、デューン45とは比べものにならないほど厳しいものです。急な斜面の稜線を、砂に足を取られながら一歩ずつ慎重に登っていきます。容赦なく降り注ぐ強烈な日差しに体は汗ばんでいきますが、頂上はなかなか近づきません。何度も心が折れかけるものの、それでも一歩一歩進み続けるのは、そこに待つ壮大な景観への期待が大きいからでしょう。登頂には片道でおよそ1時間から1時間半を見込んでおくのが良いでしょう。無理は禁物。自分のペースを保ち、こまめに水分補給をすることが重要です。厳しい道のりながらも、周囲を見渡せば汗をかきながら登る世界各国からの旅人たちがおり、不思議な連帯感が生まれます。
そして、ついに頂上に到達した瞬間の感動は、言葉に尽くせないものがあります。360度どこまでも広がる赤い砂の大海原。大小さまざまに形作られた砂丘が波のように連なり、その遥か下には先ほどまでいたデッドフレイが、まるで白いお皿のように見えました。あの幻想的な風景を今度はまるで神の視点から見下ろす感覚です。風が砂を運び、常に形を変え続ける砂丘群を眺めながら、地球の息吹を肌で感じます。苦労して登った者だけが味わえる、まさに天空に浮かぶ絶景と言えるでしょう。
ビッグ・ダディの頂上で素晴らしい景観を堪能した後の最高のご褒美、それは急斜面を一気に駆け下りることです!登りの辛さが嘘のように、ふかふかの砂の上を大きなストライドで駆け下りると、まるで無重力空間を漂っているかのような感覚に包まれます。もし転んでも全く痛くない柔らかな砂が優しく体を受け止めてくれる安心感。子どもの頃に戻ったかのように歓声をあげ、砂煙を巻き上げながら駆け降りる爽快感は、この旅の忘れがたいハイライトのひとつとなりました。
ちなみに、ビッグ・ダディの向かい側には、やや小ぶりながらも美しい曲線を描く「ビッグ・ママ」と呼ばれる砂丘もあります。こちらも登ることができ、ビッグ・ダディとは異なる視点からソススフレイのパノラマを楽しめます。体力や時間に応じて、どちらの砂丘に挑むか選んでみるのも良いでしょう。
セスリウム・キャニオン、大地の裂け目を歩く
燃えるような砂丘と灼熱の太陽の下で一日を過ごした後、少し涼しさを求めて訪れたいのが「セスリウム・キャニオン」です。セスリウムの入り口からほど近く、ソススフレイ観光の締めとして寄るのに最適な場所です。
キャニオンの入口は、平坦な大地にぽっかりと開いたごく普通の裂け目のように見えます。しかし一歩足を踏み入れ、狭い階段を下ると、そこにはまるで別世界が広がっていました。地上とは打って変わってひんやりとした空気が漂い、太陽の光も遮られて涼しさを感じられます。この渓谷は何百万年もの歳月をかけてツァウハブ川の浸食によって形成され、深さ約30メートル、長さは約1キロメートルに及んでいます。
谷底を歩くと、両側に切り立った岩壁が迫り、その壁はまるでバームクーヘンのように美しい地層の重なりを見せています。長い年月の中で砂や小石が堆積し、固まって誕生した自然の芸術作品です。所々では、水の流れが渦を巻いて岩を削った痕跡が滑らかな曲線を描き、その水の力のすさまじさを物語っています。乾季には水はほぼ流れていませんが、雨季には水が流れることもあるそうです。
渓谷の道は狭くなったり広くなったりと変化に富んでおり、簡単な探検気分を味わえます。ハイキングとしては高低差がほとんどなく、往復しても1時間程度で回れます。砂漠の暑さに少し疲れた体を癒すには、心地よいクールダウンとなるでしょう。ソススフレイの壮大なスケール感とは異なり、大地の奥深くを覗き見るようなミクロな自然美に触れられる貴重なスポットです。砂丘の絶景に心奪われた後、この静かな渓谷で地球の歴史に思いを馳せる時間は、旅の深みをさらに増してくれます。
ソススフレイへの旅、計画と準備

ここまでソススフレイの魅力についてお話してきましたが、実際に旅を計画する際にはどのような準備が必要なのでしょうか。OTAでの勤務経験を活かしながら、旅の計画に役立つ具体的な情報をお届けします。
アクセス方法
ナミビアの玄関口は首都ウィントフックに位置するホセア・クタコ国際空港です。日本からの直行便はなく、一般的にはドーハやヨハネスブルグなどを経由してのアクセスとなります。ウィントフックからソススフレイの入口であるセスリウムまでは約350kmで、車で5~6時間かかる道のりです。
最も自由に動ける手段はレンタカーの利用でしょう。ナミビアの道路は未舗装のグラベルロードが多いため、悪路にも強くパンクのリスクが低い四輪駆動車(4WD)を強くおすすめします。特にソススフレイの奥地まで自力で行く場合は必須です。ウィントフック空港で車を借り、食料や水を購入してから出発するのが一般的なルートです。
運転に自信がない方や手軽に旅を楽しみたい方は、現地のツアーに参加するのも良い選択肢です。ウィントフック発着で、宿泊・食事・ガイド・移動がすべて含まれたツアーが多く催行されています。知識豊富なガイドが案内してくれるため、効率的かつ安全にソススフレイの魅力を満喫できます。
ベストシーズンと服装
訪れるのに最適なのは、乾季にあたる5月から10月頃です。この時期はほとんど雨が降らず、空気が澄み渡るため、砂漠の絶景を楽しむには絶好のコンディションとなります。日中の気温は過ごしやすいものの、朝晩は非常に冷え込む点に注意が必要です。気温差が20度以上になることもしばしばです。そのため服装は「重ね着」が基本です。日の出の早朝にはフリースや薄手のダウンジャケットが欠かせません。日中はTシャツで快適ですが、強い日差しを避けるために長袖シャツなどの羽織るものがあると便利です。履き物は砂が入りにくく、歩きやすいトレッキングシューズやスニーカーがおすすめです。
持ち物について
持参すべき必需品はいくつかあります。まず、水を十分に用意してください。乾燥した気候と強烈な日差しの中では、思った以上に水分が失われます。こまめな水分補給のために、多めに携帯することが大切です。また、日差し対策としてつばの広い帽子、サングラス、SPF値の高い日焼け止めは必ず準備しましょう。さらに、早朝や夜間の活動に備えたヘッドライト、乾燥対策用のリップクリームや保湿クリーム、カメラの予備バッテリーやメモリーカードも忘れずに。セスリウムのキャンプサイトに売店はありますが品揃えが限られているため、常備薬や軽食などはウィントフックなど大きな街で購入しておくと安心です。
予算の目安
予算は旅のスタイルによって大きく異なりますが、参考までにお伝えします。ナミブ=ナウクルフト国立公園の入場料は、外国人の場合、1人1日あたり150ナミビアドル、車両1台につき50ナミビアドルです(2023年時点。料金は変更される可能性があります)。セスリウム・キャンプサイトの宿泊料金は1サイトあたりおおよそ500~600ナミビアドル。ロッジはそれよりも価格が高くなります。レンタカー代、ガソリン代、食費なども考慮に入れ、余裕を持った予算計画を立てることをおすすめします。ナミビアの通貨はナミビア・ドルですが、南アフリカ・ランドも等価で広く使われています。
心がけたいこと
ソススフレイはほとんど手つかずの自然が残る場所です。この美しい景観を次世代に残すためにも、「Leave No Trace(痕跡を残さない)」の精神を大切にしましょう。ゴミは必ず持ち帰り、砂丘やキャニオンの自然環境を傷つけないよう配慮が必要です。また、この地域はネット環境がほとんど整っていません。デジタルデトックスに最適な場所と捉え、事前にオフラインマップをダウンロードしておくなど準備をしておくと安心です。不便さを楽しむことも砂漠の旅の醍醐味の一つと言えます。
悠久の時を超えて、心に刻まれる風景
ソススフレイの旅から戻っても、あの深紅の砂の色は鮮明に私の心に焼きついています。それは単なる「美しい風景だった」という言葉だけで片付けられない、もっと深い感動の体験でした。
8000万年という、人間の一生が瞬きほどにも満たない圧倒的な時間の流れ。その長い時の中で、風と太陽だけが黙々とこの景色を作り上げてきたという事実。デッドフレイに立ち、900年前から姿を変えずに佇む枯木を見つめていると、自分の存在がいかに小さく、儚いものであるかを痛感します。しかし、それは決して無力感ではありませんでした。むしろ、そんな悠久の時の流れの中に、今まさに自分が確かに存在しているという奇跡に気づかせてくれる、穏やかで満たされた感覚でした。
朝日を浴びて燃え上がる砂丘の稜線。静寂に包まれた死の沼。満天の星空の下で実感した地球の息吹。ソススフレイで出会ったすべての光景は、私の価値観にささやかな変化をもたらしたように感じます。日常の悩みがとても小さなものに思えてくる。より大きな視野で物事を見つめる力が少しずつ育まれていく。そんな不思議な力が、この赤い大地には宿っているのかもしれません。
もし、毎日の喧騒に疲れ、どこか遠くへ旅立ちたいと願っているのなら。もし、誰もまだ見たことのない地球の真の姿に触れてみたいと思っているのなら。ぜひ、次の旅先にナミビアのソススフレイを選んでみてください。そこには、あなたの想像をはるかに超えた、時が紡いだアートが静かに待っています。そしてその風景は、きっとあなたの人生の忘れがたい一章として、心に深く刻まれることでしょう。

