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    欧米航空大手20社、CO2排出量の”見える化”へ ― 旅行の選び方が変わる未来

    私たちの旅行のあり方が、今、大きな転換点を迎えようとしています。欧米の主要航空会社20社が、二酸化炭素(CO2)排出量に関する情報の透明性を高める動きを加速させています。これは単に航空業界だけの話にとどまらず、ホテルやオンライン旅行代理店(OTA)にも波及し、旅行者である私たちの選択基準そのものを変える可能性を秘めています。

    目次

    なぜ今、排出量の透明化が求められるのか?

    これまでも環境問題への関心は高まっていましたが、ここに来て旅行業界、特に航空業界への風当たりが強まっています。その背景には、いくつかの複合的な要因があります。

    地球温暖化対策という世界的潮流

    パリ協定をはじめとする国際的な枠組みのもと、世界各国が温室効果ガスの削減目標を掲げています。航空業界は、世界のCO2排出量全体の約2〜3%を占めるとされ、その影響の大きさから具体的な対策が急務とされてきました。特に、ビジネスでの出張が多い企業にとっては、自社のサプライチェーン全体の排出量を把握・削減する上で、利用する航空会社の環境負荷データは不可欠なものとなっています。

    変化する旅行者の価値観

    「サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)」という言葉が広まるにつれ、旅行者の意識も大きく変化しています。環境に配慮した旅行スタイルを求める声は年々高まっており、特に若い世代を中心に、企業の環境への取り組みを重視する傾向が強まっています。どのフライトが、どのホテルがより環境に優しいのか。その情報が、旅行先やサービスを選ぶ上での新しい判断基準になりつつあるのです。

    航空業界から始まる「透明性」の波

    航空データ分析のリーディングカンパニーであるCiriumの報告によると、欧州と北米の主要航空会社20社が、排出量データの報告において透明性を義務付けられる方向で動いています。

    具体的には、フライトごとの燃料消費量やCO2排出量といった、これまで専門的で分かりにくかったデータが、より標準化され、誰もがアクセスしやすい形で開示されるようになります。これにより、旅行者は航空券を予約する際に、価格やフライト時間と並べて、環境負荷の大きさを比較検討できるようになるかもしれません。

    この動きは、EU(欧州連合)が推進する気候変動対策パッケージ「Fit for 55」や、米国での気候関連情報の開示規則強化といった、各国の規制強化が後押ししています。企業はもはや自主的な取り組みというレベルではなく、法的な義務として環境情報の開示を求められる時代に突入したのです。

    ホテル・OTA業界にも広がる影響

    この透明化の波は、航空業界だけにとどまりません。旅行を構成するもう一つの大きな要素である宿泊業界、そしてそれらを取りまとめるOTAにも、同様の圧力がかかっています。

    ホテル業界では、エネルギー消費量、水の使用量、廃棄物削減率といった、事業活動に伴う環境負荷データの開示が求められ始めています。

    また、Booking.comやExpediaといった世界的なOTAは、すでに独自の基準で「サステナブルな宿泊施設」に認証ラベルを付与する取り組みを開始しています。今後は、航空会社の排出量データと連携し、フライトとホテルを組み合わせた旅行全体の環境負荷を”見える化”するサービスが登場することも考えられます。

    予測される未来:私たちの旅行はどう変わる?

    この大きな変化は、私たちの旅行体験にどのような影響を与えるのでしょうか。

    「環境負荷」が新たな選択基準に

    将来的には、航空券やホテルの予約サイトで、料金の横に「CO2排出量」や「環境評価スコア」が表示されるのが当たり前になるでしょう。私たちは、より排出量の少ない直行便を選んだり、環境対策に積極的なホテルを選んだり、といった新しい選択を行うようになります。

    企業の競争軸の変化

    航空会社やホテルは、価格やサービスの質だけでなく、「環境性能」でも競争することになります。持続可能な航空燃料(SAF)の導入率や、再生可能エネルギーの利用率の高さが、企業価値を左右する重要な要素となるでしょう。

    コストへの影響

    一方で、環境対策にはコストがかかります。最新鋭の省エネ機材の導入やサステナブルな設備の導入費用が、航空券価格や宿泊料金に一部反映される可能性も否定できません。しかしそれは、持続可能な未来への投資として、社会全体で受け入れていくべき課題とも言えます。

    旅行業界におけるサステナビリティは、もはや一過性のトレンドではなく、ビジネスの根幹をなすスタンダードとなりつつあります。私たち旅行者一人ひとりが、自らの選択に意識的になること。それが、地球に優しく、未来の世代も楽しめる旅行の実現につながっていくはずです。

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