政府機関閉鎖は終了、しかし空港の混乱はなぜ続くのか
先日終了した43日間に及ぶ米政府機関の一部閉鎖。その影響が、今なお米国の空の旅に大きな影を落としています。閉鎖は解除されたにもかかわらず、シアトル・タコマ国際空港（Sea-Tac）をはじめとする米国の主要空港では、フライトの減便や遅延が常態化しており、今後の旅行シーズンに向けて懸念が広がっています。
背景にある深刻な「航空管制官不足」
今回の混乱の根本的な原因は、政府機関閉鎖によって引き起こされた連邦航空局（FAA）の機能不全、特に「航空管制官」の育成が停滞したことにあります。
閉鎖期間中、航空管制官の新規採用や訓練センターでの研修が完全にストップしました。空の安全を支える航空管制官は、極めて専門的な知識と技術が求められるため、一人前になるには長期間の訓練が必要です。この43日間という空白期間が、ただでさえ人員不足が指摘されていた現場に深刻な打撃を与え、全米の航空管制塔でスタッフ不足を引き起こしているのです。
シアトルでは6%のフライトが削減
この影響は具体的な数字となって表れています。ワシントン州のシアトル・タコマ国際空港では、航空管制官不足を理由に、すでにフライト数を6%削減する措置が取られています。
これは、航空会社がフライトスケジュールを組んでいても、それを地上で支える管制官が足りないため、やむを得ず便数を減らさなければならないという異例の事態です。この削減措置は、特定の航空会社に限らず、空港を発着する多くのフライトに影響を及ぼす可能性があります。
今後の予測：感謝祭旅行シーズンへの影響
最も懸念されるのは、年間で最も多くの人々が空路で移動する「感謝祭（サンクスギビング）」の旅行シーズンへの影響です。
予約の困難化と価格高騰
すでにフライト数が削減されているため、需要がピークに達する感謝祭シーズンには、座席の供給が追いつかず、航空券の予約が困難になることが予想されます。それに伴い、航空券の価格が例年以上に高騰する可能性も否定できません。
当日の遅延・欠航リスクの増大
限られた人数の航空管制官で多くのフライトを捌くことになるため、当日のオペレーションにも余裕がなくなります。わずかな天候の悪化や機材トラブルが、大規模な遅延や連鎖的なフライトキャンセルにつながるリスクが高まります。
米国への渡航や米国内での乗り継ぎを計画している方は、政府機関閉鎖の余波が続いていることを念頭に置く必要があります。フライトを予約する際は、航空会社の最新情報をこまめに確認し、乗り継ぎ時間には十分な余裕を持たせるなどの対策を心がけましょう。この問題は一朝一夕に解決するものではなく、しばらくの間、米国の空の旅に影響を与え続けると見られています。
