けたたましいバイクのクラクション、天秤棒を担ぐ物売りの伸びやかな声、そして路地裏からふわりと漂う、魅惑的なコーヒーの香り。ベトナムの首都ハノイ、その心臓部である旧市街は、訪れる者の五感を激しく揺さぶる、混沌と活気に満ちた迷宮(ラビリンス)です。細く入り組んだ道には、フランス植民地時代の面影を残すコロニアル建築が立ち並び、その軒先では、人々が小さなプラスチックの椅子に腰掛け、日々の営みを謳歌しています。
この街の日常に、水のように、空気のように溶け込んでいるもの。それが「カフェ(Cà Phê)」文化です。それは単なる飲み物ではなく、人々のコミュニケーションを育み、時に休息を与え、そして街の歴史そのものを映し出す鏡のような存在。
ハノイのカフェ文化は、今、大きな二つの潮流が交差する、エキサイティングな時代を迎えています。一つは、戦争の時代に生まれた創意工夫の結晶であり、飲むティラミスとも称される甘く濃厚な「エッグコーヒー」に代表される、古き良き伝統の世界。もう一つは、世界的なサードウェーブの波に乗り、豆の産地や抽出方法に徹底的にこだわった、クリアで香り高い「スペシャルティコーヒー」が牽引する、新しい革新の世界。
この記事は、単なるカフェ紹介ではありません。ハノイ旧市街という舞台で繰り広げられる、新旧のカフェ文化を深く、そして余すことなく体験し尽くすための、あなたのための特別な招待状です。伝統の味に心を温め、革新の一杯に未来を感じる。そんな、時を巡るカフェの旅へ、さあ、一緒に出かけましょう。この記事を読み終える頃には、あなたの指はきっと、ハノイ行きの航空券を検索しているはずです。
ハノイのエッグコーヒーに心を奪われたなら、ポルトガルで繰り広げられる元祖と新星のエッグタルト対決も、きっとあなたの旅の好奇心を刺激するはずです。
時を超えた甘美な一杯 – 伝統の「エッグコーヒー」を巡る旅

ハノイのカフェ文化を語る際に、決して避けて通れない存在があります。それが「カフェ・チュン(Cà Phê Trứng)」、つまりエッグコーヒーです。名前を聞くと、少し奇妙な味をイメージするかもしれませんが、一口飲めばその先入観は心地よく裏切られ、甘くて驚くほど魅力的な味わいに包まれるでしょう。
エッグコーヒーとは?誕生の背景とその魅力的な味わい
エッグコーヒーの誕生は1940年代のハノイにさかのぼります。当時、フランスとの第一次インドシナ戦争が続き、牛乳は非常に貴重な贅沢品でした。ハノイの5つ星ホテル「ソフィテル・レジェンド・メトロポール・ハノイ」でバーテンダーを務めていたグエン・ヴァン・ザン氏は、カプチーノの代用品を模索する中で、入手しやすい卵黄を牛乳の代わりに使うことを思いつきました。
彼は卵黄に砂糖とコンデンスミルクを加え、それがリボン状に滑らかになるまで丹念に泡立てました。そして、その黄金色の甘いクリームを、ベトナム伝統の濃厚なロブスタ種のコーヒーの上にそっと注ぎます。こうして生まれた一杯は、戦時下の厳しい環境の中で人々に一時の安らぎと甘い幸福感をもたらしました。
その味はまさに「飲むデザート」と言えます。カップを口に近づけると、まずカスタードクリームのような甘い香りが鼻をくすぐります。スプーンでクリームをすくい一口含むと、ふわっと軽やかでありながら驚くほど濃厚な舌触りが広がり、卵の生臭さはまったく感じられません。そして、甘くクリーミーな層の下から、力強いコーヒーの苦味が追いかけてきます。甘さと苦味、温かさと滑らかさが織りなす絶妙なハーモニーこそ、エッグコーヒーの真髄です。多くの人が「飲むティラミス」や「液体クレームブリュレ」と称賛する、その忘れがたい味わいを体験できます。
元祖の味を味わう – 伝説的カフェ「ザン・カフェ(Giang Cafe)」
ハノイでエッグコーヒーを味わうなら、まずはその聖地を訪れましょう。創業者ザン氏がホテルを辞めた後、1946年に開業した「ザン・カフェ」です。旧市街の主要な通りの一つ、グエン・フー・フアン(Nguyen Huu Huan)通り沿いにありますが、入口が非常に狭く、気をつけていないと通り過ぎてしまいます。まるで秘密の隠れ家に続くかのような薄暗く細い路地を進むと、ようやく賑やかな空間が広がります。
店内は時間が止まったかのようなノスタルジックな雰囲気が漂い、壁には色あせた写真や記事が飾られており、長い歴史を物語っています。客はベトナムの定番である低い椅子とテーブルに座り、思い思いに会話を楽しんでいます。観光客も多いですが、地元の人々が日常的に利用している生活の一部であることが垣間見えます。
メニューの主役はもちろんエッグコーヒー。温かい「チュン・ノン(Trứng Nóng)」と冷たい「チュン・ダー(Trứng Đá)」が用意されています。初めてなら、ぜひ温かい方を選んでみてください。小さなカップはお湯の入った受け皿の上に置かれて運ばれてきますが、これはクリームが冷えて固まらないようにする工夫です。まずはスプーンで上のクリームを味わい、その濃厚な甘みを楽しみます。次にスプーンでカップの底からコーヒーをゆっくりと混ぜて、クリームとコーヒーを少しずつ馴染ませながら飲むのがおすすめ。甘みと苦みのバランスが変化していく様子を堪能しましょう。元祖の味は予想以上に濃厚で、まるでハノイの歴史をそのまま味わっているかのように深みと力強さを感じる一杯です。
ホアンキエム湖を望む絶景カフェ「ディン・カフェ(Dinh Cafe)」
元祖の味を堪能した後は、ぜひこちらも訪れてみてください。「ディン・カフェ」は、ザン・カフェ創業者ザン氏の次女ビックさんが経営しており、父親の味を受け継ぎつつも少し異なる個性を持つエッグコーヒーを提供しています。
こちらのカフェも見つけにくいかもしれません。ホアンキエム湖北側のディン・ティエン・ホアン(Dinh Tien Hoang)通りに面し、バッグ屋の奥にある古い階段が目印です。その階段を軋ませながら上ると、まるで誰かの家に招かれたようなアットホームで雑然とした空間が広がります。
ディン・カフェの最大の魅力は何と言ってもロケーション。歴史を感じさせる小さなバルコニー席からは、ハノイの象徴であるホアンキエム湖と湖の中央に浮かぶ亀の塔(タップ・ルア)が一望できます。眼下に広がる行き交う人々やバイクの流れを眺めながら味わうエッグコーヒーは格別の味わいです。
こちらのエッグコーヒーはザン・カフェのものよりも軽やかで、カカオパウダーが振りかけられているのが特徴です。チョコレートのような風味が加わり、よりデザート感が際立っています。湖からの爽やかな風を感じつつ、この絶景とともに味わう一杯は、ハノイ旅行の忘れがたいハイライトとなるでしょう。
伝統カフェ巡りモデルプラン(半日コース)
ハノイの伝統的なカフェ文化に浸る午後の散策プランをご提案します。
- 所要時間: 約3〜4時間
- スケジュール例:
- 14:00 ホアンキエム湖畔で集合
湖畔を軽く散策し、ハノイ特有の喧騒と穏やかさが共存する空気を肌で感じましょう。
- 14:30 ディン・カフェで湖を望む最初の一杯
まずは絶景が楽しめる「ディン・カフェ」へ。バルコニー席が空いていればぜひ確保し、湖を眺めながら旅の疲れを癒す一杯のエッグコーヒーを味わいます。
- 15:45 旧市街の散策
ディン・カフェを後にし、迷路のような旧市街の路地を歩きましょう。シルク通り(ハン・ガイ通り)や銀細工通り(ハン・バック通り)など、専門店が並ぶユニークな通りを冷やかしながらのんびり散策するのも楽しい時間です。
- 16:30 ザン・カフェで元祖の味を楽しむ
少し小腹がすいた頃に、いよいよ元祖の「ザン・カフェ」へ。細い路地を抜けるワクワク感を味わいながら、聖地の一杯をじっくりと堪能しましょう。ディン・カフェの味との違いを感じるのも面白いでしょう。
- 17:30 解散または夜の街へ
甘美なひとときを経て、カフェ巡りは終了です。そのまま旧市街のレストランで夕食を楽しんだり、ナイトマーケットを散策したりするのもおすすめです。
このプランはあくまで一例です。好奇心の赴くままに気になる路地に足を踏み入れ、偶然見つけたカフェに立ち寄る。そんな自由な冒険こそが、ハノイ旧市街を満喫する真の楽しみ方かもしれません。
ハノイの新たな息吹 – 進化する「スペシャルティコーヒー」の世界
ハノイのカフェ文化は単に伝統を守るだけにとどまりません。今、この街では静かに、しかし確実にコーヒーの新しい可能性を模索する革命が進んでいます。それがまさに、スペシャルティコーヒーの台頭なのです。
サードウェーブの波がハノイにも訪れる
ベトナムは実はブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー生産・輸出国です。その大部分はインスタントやブレンドコーヒーの原料として使われるロブスタ種であり、ベトナムコーヒーのあの力強い苦みとコクの源泉となっています。しかし、2010年代以降に世界中で広がった「サードウェーブコーヒー」の動きはハノイにも波及しました。コーヒーを単なる商品としてではなく、ワインや日本酒のように産地や品種、生産者の個性を楽しむ嗜好品として捉える文化が、特に若い世代を中心に急速に根づいています。
彼らが注目したのは、これまでベトナムでは少数派であったアラビカ種です。特に中南部の高原地帯ダラットで栽培される高品質なアラビカは、フルーティーな酸味や花のような華やかな香りを持ち、ロブスタとは全く異なる特徴を備えています。
ハノイのモダンなカフェでは、こうした国内産スペシャルティ豆を、バリスタが一杯一杯丁寧にハンドドリップで抽出。豆の持つ潜在能力を最大限に引き出すための温度管理や抽出技術には緻密さが求められ、それはもはや作業を超えたパフォーマンスアートのようです。サステナビリティやフェアトレードへの配慮を大切にし、農園と直接連携を図る店も増えています。伝統的な喧騒の喫茶店とは一線を画す、静かで洗練された空間の中で、コーヒーの繊細な香りと向き合う――これが現代ハノイの新たなカフェ体験となっています。
五感を研ぎ澄ます一杯を。「La Viet Coffee」
ハノイのスペシャルティコーヒーシーンで欠かせない存在が、「La Viet Coffee」です。彼らの最大の特徴は、コーヒー豆の産地であるダラットに自社農園と焙煎所を所有していること。「From Seed to Cup(種からカップまで)」の理念を掲げ、栽培から収穫、精製、焙煎、抽出にいたるまで、一杯のコーヒーが仕上がる全工程を自ら管轄しています。
旧市街南部、セント・ジョセフ大聖堂(ハノイ大教会)近くにある店舗は、コンクリート打ちっぱなしの壁とインダストリアルな照明が特徴的な広々としたスタイリッシュな空間。店奥には大きな焙煎機が鎮座し、訪れる人に確かな本物感を静かに主張しています。ここではベトナム産の多彩なアラビカ豆をハンドドリップ、フレンチプレス、エスプレッソなどお好みの抽出法で味わえます。
メニューには産地や精製方法、フレーバーノート(「レモングラス、ジャスミン、ブラウンシュガー」など)が詳細に記載されており、まるでワインリストのよう。選び方に迷ったら、知識豊富なバリスタに相談してみてください。好みを伝えれば、ぴったりの一杯を提案してくれます。カウンター越しにバリスタが丁寧にハンドドリップで淹れる姿を見る時間もまた特別です。ここで味わうコーヒーは、ベトナムコーヒーの印象を根底から覆すほどクリーンで複雑、驚くほど香り高い体験になるでしょう。
路地裏にひっそり佇むアート空間「The Hidden Gem Coffee」
伝統と革新、そしてサステナビリティという現代的テーマを体現するのが、「The Hidden Gem Coffee」です。名前のとおり「隠れた宝石」のようなこのカフェは、ハン・ノン(Hang Non)通りの細い路地のさらに奥にひっそりと構えています。
扉を開けるとその独特な世界観に息を呑むことでしょう。壁面には廃タイヤや空き瓶、壊れたバイクの部品、ドラム缶などを用いたアート作品が見事に展示されています。テーブルや椅子も古いミシン台や木製パレットをリサイクルして作られ、環境問題への強いメッセージを発信。リサイクル素材のみで構成されたこの空間は、単なるカフェを超えたインスタレーション・アートそのものです。
もちろんコーヒーにも独自のこだわりがあり、スペシャルティコーヒーはもちろんのこと、伝統的なエッグコーヒーを現代風にアレンジした「エッグココア」や、フルーツたっぷりのスムージーなど創造性あふれるメニューが並びます。複数階にまたがる空間の最上階、ルーフトップ席からは、旧市街の古びた屋根瓦を一望できる特等席。アートあふれる空間でハノイの日常を眺めつつ、環境に配慮した美味しい一杯を味わう。ここは新時代のハノイを象徴する、訪れる価値の高い特別な場所です。
モダンカフェ巡りモデルプラン(半日コース)
ハノイの最先端カルチャーに触れる、午前からのカフェホッピングプランをご提案します。
- 所要時間: 約4時間
- スケジュール例:
- 10:00 La Viet Coffeeで知的なモーニングコーヒー
一日のスタートは、本格的スペシャルティコーヒーで始めましょう。セント・ジョセフ大聖堂の荘厳な姿を眺めた後、「La Viet Coffee」へ。バリスタに豆を選んでもらい、ハンドドリップで淹れた一杯は、眠気を一掃し体と頭をシャキッと目覚めさせてくれます。
- 11:30 大教会周辺のブティックやギャラリー散策
La Viet Coffeeがあるニャーチョン(Nha Chung)通り周辺には洒落たブティックやアートギャラリー、雑貨店が点在。コーヒーの余韻に浸りながら、気ままにウィンドウショッピングを楽しむのにぴったりのエリアです。
- 13:00 The Hidden Gem Coffeeでアートなランチタイム
細い路地を探検して「The Hidden Gem Coffee」にたどり着きましょう。リサイクルアートに囲まれたユニークな空間で軽めのランチとクリエイティブなドリンクを堪能。写真好きには絶好のフォトジェニックスポットも豊富です。
- 14:00 新たな発見を求めて散策を続ける
ハノイのモダンカフェ文化は日々進化し、新たな店も次々誕生しています。地図アプリを頼りに、自分だけの「隠れた宝石」を探しながら旧市街をさらに散策してみるのも楽しい過ごし方です。
伝統と革新、どちらか一方だけではハノイのカフェ文化は語りきれません。ぜひ両方の魅力に触れ、そのコントラストとコーヒーへの深い愛情を感じ取ってください。
新旧カフェ巡りを120%楽しむための実践ガイド

さあ、ハノイのカフェの魅力にすっかり心を奪われたあなたへ。ここからは、旅の計画を具体的に立て、現地で最高の体験を実現するための実践的な情報をお届けします。これを読めば準備は万全。安心してハノイのカフェ・ラビリンスに飛び込んでください。
カフェ巡りにかかる予算と支払い方法
ハノイのカフェは、驚くほどリーズナブルに楽しめることが大きな魅力です。ただし店舗によって価格帯に差があるため、あらかじめ大まかな予算を掴んでおくと安心です。
- 料金の目安
- 伝統的なカフェ(エッグコーヒーやベトナムコーヒーなど):
一杯あたり30,000〜50,000 VND(約180円〜300円)。この価格帯で、歴史ある空間と唯一無二の味わいを楽しめるのですから、そのコストパフォーマンスには驚かされます。
- モダンなスペシャルティコーヒー店:
一杯60,000〜100,000 VND(約360円〜600円)。日本のスペシャルティコーヒー専門店と比べてもかなり手頃で、こだわりの豆と淹れ方を考えればむしろお得に感じるでしょう。
- 半日カフェ巡りの予算:
2〜3軒のカフェをはしごし、途中でバインミーなどの軽食を楽しんでも、一人当たり150,000〜300,000 VND(約900円〜1,800円)あれば十分楽しめます。
- 料金に含まれるもの・含まれないもの
この記事が紹介するのは、自由に個人でカフェを巡るスタイルです。そのため、料金は主に注文した飲食代金が対象となります。
- 含まれるもの: 注文したコーヒーやフードの代金。
- 含まれないもの:
- チップ: ベトナムでは基本的にチップの習慣はありませんが、特に丁寧なサービスを受けた際にお釣りの小銭を渡すことは喜ばれます。必須ではないので気持ち次第です。
- お土産代: カフェで売られているコーヒー豆やフィルター購入時は別途費用がかかります。
- 交通費: カフェ間の移動にタクシーやシクロ(自転車タクシー)を利用した場合の費用。
- 支払い方法について
ハノイのカフェでは現金の持参が必須です。特にザン・カフェやディン・カフェのようなローカルの老舗ではクレジットカードが使えないことが多いため、空港や市内の両替所でベトナムドンを十分に用意しておくのが安心です。 ポイントは、少額紙幣を多めに持つこと。 500,000VND札のような高額紙幣で少額の支払いをすると、お店側がお釣りを用意できず嫌がられる場合があります。カフェ巡りの際は、10,000VND、20,000VND、50,000VND札を中心に使うとスムーズに決済ができます。なお、La Viet Coffeeなどモダンなカフェではクレジットカードが利用可能な場合が多いです。
予約は必要?ハノイカフェ巡りのポイント
ハノイのカフェ巡りでは、堅苦しい予約はほぼ不要です。これもこの街の大きな魅力のひとつです。
- 予約に関して
ハノイのカフェは基本的に予約不要で、ウォークインが主流です。散策の途中に気になるお店にふらっと立ち寄り、席が空いていれば温かく迎えてもらえます。 ただし、一部のカフェではコーヒーの淹れ方教室やテイスティング体験など特別なサービスがあり、そういった場合は事前予約が必要です。 また、「一人で路地裏を歩くのが不安」「効率よく名店を回りたい」という方は、現地ツアー会社が催行するカフェ巡りツアーへの参加もおすすめです。専門のガイドが歴史や文化を解説してくれるため、より深い理解が得られます。旅行予約サイト「Klook」や「GetYourGuide」で「Hanoi Cafe Tour」と検索してみてください。 ハノイの文化や観光情報については、ベトナム観光総局の公式ウェブサイトもぜひご覧ください。
これで安心!ハノイ散策に欠かせない持ち物リスト
快適かつ安全にカフェ巡りを楽しむために、以下の持ち物を参考に準備しましょう。
- 必携アイテム
- 現金(ベトナムドン): 少額紙幣を多めに用意。
- スマートフォン: Google Mapsなどの地図アプリは旧市街の迷路を歩く上で不可欠。通信環境が悪い場所でも使えるように、事前に地図データをオフラインでダウンロードしておきましょう。翻訳アプリも便利です。
- モバイルバッテリー: 地図検索や写真撮影で想像以上に消耗するため、大容量のものがあると安心です。
- パスポートのコピーまたは写真データ: 万が一の紛失に備え、原本はホテルのセーフティボックスに保管し、コピーや写真データを持ち歩くのが賢明です。
- あると便利なもの
- 歩きやすい靴: 旧市街は石畳や段差が多く、バイクの通行も激しいので、履き慣れたスニーカーやフラットサンダルがおすすめです。
- ウェットティッシュやアルコール除菌ジェル: ローカル店ではおしぼりが出ないこともあるため、手やテーブルを拭くのに役立ちます。
- 日焼け対策アイテム: ハノイの日差しは強烈。日焼け止め、帽子、サングラスは忘れずに携帯を。
- 薄手の羽織り物: 暑くてもカフェ内の冷房が強いことがあるため、カーディガンやストールなど軽く羽織れるものがあると快適です。
- 折りたたみ傘やレインコート: 熱帯性気候のため、特に雨季(5月〜10月)は突然のスコール対策が必要です。
- エコバッグ: カフェでコーヒー豆や雑貨を購入した際に役立ちます。
- 服装のポイント
基本的にカフェ巡りにドレスコードはなく、動きやすいカジュアルな服装で問題ありません。ただし旧市街には寺院や廟なども多いため、訪れる可能性がある場合は肩や膝を覆う服を心がけましょう。露出の多い服装(タンクトップやショートパンツなど)の場合は、上から羽織れるシャツや腰に巻けるストールがあると安心です。
- 現地のマナーとルール
- 交通マナー: ハノイの交通は非常に混雑しています。特に横断歩道は形骸化しているため、道を渡る際は左右をよく確認し、一定の速度でゆっくり歩くのがコツです。急に止まったり走ったりすると、バイクが避けきれず危険なので地元の人の渡り方を真似しましょう。
- 写真撮影のマナー: カフェのインテリアや飲み物の撮影は問題ありませんが、他の客の顔が写らないよう配慮を。人物を撮影したい場合は一言声をかけるのが礼儀です。
- 静かな環境を楽しむ: カフェは地元の憩いの場です。大声で騒がず、落ち着いた会話を心がけましょう。
不安解消!ハノイカフェ巡りQ&A
初めてのハノイ旅行やカフェ巡りでよくある質問をまとめました。
- Q1: ベトナム語が話せなくても大丈夫ですか?
A1: はい、問題ありません。旧市街のカフェは観光客に慣れており、英語メニューが用意されていたりスタッフが片言の英語を話せたりします。指差しや翻訳アプリを活用すれば注文もスムーズです。何より笑顔で接すれば大抵のことは通じます。「シンチャオ(こんにちは)」「カムオン(ありがとう)」などの簡単な挨拶を覚えて使うと、現地の人との交流がより温かいものになります。
- Q2: 衛生面が気になります。氷は安全ですか?
A2: 観光客が訪れるカフェやレストランで使われる氷は、ほぼ工場製の浄水済みのものが普通です。過度に心配する必要はありませんが、お腹が特に弱い方や不安な場合は氷抜き(「Không đá(コン・ダー)」)でオーダーしたり、ホットドリンクを選ぶと安心です。スプーンやカップの縁をウェットティッシュで軽く拭くのも良いでしょう。詳しい現地情報は、在ベトナム日本国大使館のウェブサイトを参考にしてください。
- Q3: エッグコーヒーに卵の生臭さはありませんか?
A3: よくある質問ですが、断言して「ありません」。しっかり泡立てた卵黄クリームは砂糖とコンデンスミルクの甘さ、バニラのような香りが際立ち、卵特有の臭みは完全に消えています。むしろ濃厚なカスタードやイタリアのデザート「ザバイオーネ」に近い風味。先入観は捨て、一度このユニークで美味しい体験を味わってみてください。きっと良い意味で驚かれるでしょう。
- Q4: 一人でカフェに入っても浮きませんか?
A4: もちろん大丈夫です。ハノイでは年齢や性別を問わず、一人でカフェで本を読んだり仕事をしたり、ただ通りを眺めて過ごす姿が日常的に見られます。一人客は珍しくなく、むしろ大歓迎されます。誰にも気兼ねなく、自分のペースでコーヒーを楽しみ、街の雰囲気に浸る時間は、一人旅ならではの贅沢です。
- Q5: おすすめのお土産は何ですか?
A5: 一番のおすすめは、訪れたカフェで気に入ったコーヒー豆を購入することです。深煎りのロブスタ豆や香り高いアラビカ種のスペシャルティ豆など多彩な選択肢があります。帰国後、旅の思い出と共にハノイの味を再現する楽しみは格別です。さらに、ベトナムコーヒー用のアルミ製フィルター(フィン)も手軽でベトナムらしいお土産として人気です。エッグコーヒー用の小さな泡立て器も面白い発見になるでしょう。スペシャルティコーヒーに興味がある方は、Specialty Coffee Association (SCA)の定義を調べてみるのもおすすめです。コーヒーの世界が一層広がります。
ハノイの鼓動を感じる、あなただけのカフェ物語を
ハノイ旧市街のカフェ巡りは、ただ美味しいコーヒーを味わう以上に、深い体験をもたらしてくれます。
ザン・カフェの薄暗い通路を抜けると、困難な時代を生き抜いた人々の知恵と温もりに触れることができるでしょう。ディン・カフェのバルコニーからホアンキエム湖を見渡せば、この街の悠久の歴史と、そこに生きる人々の変わらぬ日常の息吹を感じ取るはずです。そして、La Viet Coffeeでバリスタが淹れる一杯に口をつければ、ベトナムという国の未来への可能性と若い世代の情熱に心が動くことでしょう。
伝統と革新、過去と未来、喧騒と静寂。対照的に思える二つの世界は、ハノイの街の中で不思議なほど自然に共存し、互いに影響し合いながら、豊かで深みのあるカフェ文化を育んでいます。エッグコーヒーの甘く懐かしい味わいも、スペシャルティコーヒーの澄んだ複雑な香りも、いずれも紛れもなく「今のハノイの味」そのものなのです。
この街のカフェには、決まったルールや作法は存在しません。あるのは、一杯のコーヒーを前にして、それぞれの人が思い思いの時間を自由に過ごす空気だけです。
さあ、この長い文章を旅の案内図にしてください。地図を手に、好奇心を連れて、旧市街の迷路のような路地へと足を踏み入れましょう。計画通りにいかなくても、迷っても、そのすべてが旅の素敵なスパイスになるでしょう。偶然見つけた名もない裏通りのカフェで、人生最高の一杯に出会えるかもしれないのですから。
航空券を調べ、冒険心をスーツケースに詰め込んでください。ハノイの路地裏で、あなただけの物語が始まるのを最高の一杯が待っています。

