Amex GBTは、Anthropic社のClaudeと連携した生成AIアシスタント「Egencia AI connector」を発表しました。
生成AIを用いた対話型予約ツール「Egencia AI connector」
American Express Global Business Travel(以下、Amex GBT)は、AIスタートアップであるAnthropic社の「Claude」と連携し、法人顧客向けに新たな生成AIアシスタント「Egencia AI connector」を発表しました。このツールは、ビジネス出張者がチャットインターフェース上で自然言語を用いて航空券やホテルの検索・予約・管理を完結できるという画期的なシステムです。
このコネクターを利用することで、出張者は複雑な予約サイトを操作する手間を省き、Claudeに対して「来月のカレンダーを確認し、予定に合わせた出張旅程を組んで」といった指示を出すだけで、社内の出張ポリシーに自動的に準拠した予約手配が可能になります。本機能は2026年第3四半期から法人顧客向けに提供が開始される予定です。
開発の背景:トラベルテクノロジーの統合という課題
法人向け出張手配において、社内システムと旅行予約システムのシームレスな連携は長年の課題でした。Amex GBTが調査会社Forresterと共同で実施した最新の調査データによれば、企業のIT意思決定者の90%が自社のトラベルテクノロジーエコシステムに満足していると答えた一方で、旅行手配システムが社内の日常的なワークフローに完全に統合されていると回答したのはわずか3%に過ぎませんでした。
多くのビジネスパーソンにとって、出張手配は業務を中断して専用のポータルサイトにログインしなければならない煩雑な作業です。Amex GBTはこうした課題を解決するため、従業員が日常的に利用しているAIツールやコミュニケーションプラットフォームから離れることなく、業務の延長線上で予約を完結できる環境の開発を進めました。
業界初となる「Agent-to-Agent(A2A)」アーキテクチャの導入
今回のAIコネクターにおける最大の技術的特長は、Amex GBTが独自開発した「Agent-to-Agent(A2A)」アーキテクチャが採用されている点です。従来のAI旅行連携の多くが単なる情報検索やスケジュールの提示にとどまっていたのに対し、このシステムではClaudeという汎用AIが、出張手配を専門とするAmex GBT側のAIエージェントと直接通信し、複雑なトランザクションを最後まで実行します。
システムはユーザーの要望を解釈し、航空券検索やホテル予約といった各タスクを専門のAIエージェントに振り分けます。その際、企業の規定や社員のプロフィール、契約サプライヤーの割引レートなどをすべて自動で加味するため、管理部門にとってもコンプライアンスが守られた透明性の高い手配が保証されます。
予測される未来と巨大なビジネス市場への影響
法人出張市場は極めて規模が大きく、2025年の世界の法人出張費用総額は1兆6000億ドルに達し、米国だけでも毎日約130万人がビジネス目的で移動していると言われています。この膨大な市場において、AIによる自動化システムの導入は、企業の経費管理と業務効率に劇的な変革をもたらす可能性を秘めています。
Amex GBTはClaudeとの連携にとどまらず、2026年8月からはアーリーアダプター向けにGoogle Chatでの会話型予約機能の展開を開始し、2026年末までにより広範な顧客へ提供を拡大する予定です。さらに、Microsoft Teamsを利用する顧客向けにもAIアシスタントのパイロットテストを進行させています。
今後は、専用の旅行予約サイトを開く時代から、日常使いのビジネスチャットやAIアシスタントに「出張を組んでおいて」と話しかけるだけで、裏側でAI同士が連携して全工程を完了させる「エージェントAIの時代」へと急速にシフトしていくことが予測されます。今回のAmex GBTの発表は、法人の出張手配が真の意味でシームレスな自動化へと向かう大きな転換点となるでしょう。

