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魂ごと吸い込まれる青の世界へ。アルバニア「シィリ・イ・カルター(青い目の泉)」伝説とダイビングの旅

アドリア海の陽光が降り注ぐ、ヨーロッパ最後の秘境とも呼ばれる国、アルバニア。その南部の深い森の中に、訪れる者の魂を根こそぎ奪うほどの、あまりに幻想的な泉が存在することをご存知でしょうか。その名は「シィリ・イ・カルター(Syri i Kaltër)」、日本語で「青い目の泉」。

それは、まるで地球そのものが持つ巨大な「瞳」。底知れぬ深淵から絶え間なく水が湧き上がり、中心の濃紺は瞳孔のように、そして周囲に広がる鮮やかなセルリアンブルーは虹彩のように輝いています。その透明度は息を呑むほど高く、水中の植物や揺らめく光の筋まで、まるでガラス越しに見ているかのように鮮明です。

この記事は、単なる観光ガイドではありません。シィリ・イ・カルターに眠る古い伝説の物語を紐解き、心臓が跳ねるような泉へのダイビング体験の具体的なコツ、そしてあなたの旅を完璧なものにするための準備、料金、予約方法まで、考えうるすべてを網羅した完全版の招待状です。

読み終える頃には、きっとあなたもこの神秘の泉へ、魂ごと飛び込んでみたくなるはず。さあ、未知なる青の世界への扉を開きましょう。

そして、この素晴らしい経験を最大限に楽しむために、アルバニア旅行のベストシーズンや旅の準備もぜひご一読ください。

目次

シィリ・イ・カルター、地球が流す神秘の涙

シィリ・イ・カルターは、一言で表すなら「生きた泉」と言えます。ヴロラ州のムジナ村近くの深い森にひっそりとたたずむこの泉は、カルスト地形によって生まれた自然の奇跡です。地下の奥深くから湧き出る水が石灰岩を削り、巨大な水中洞窟を形成しました。その水量は毎秒7立方メートルにもおよび、力強く脈打つ生命の息吹を感じさせます。

魂を見透かす「青い瞳」の秘密

なぜこれほど鮮やかな青色を放っているのか。その理由は、驚くべき透明度と水の深さにあります。水中に差し込んだ光は、波長の長い赤や黄色の光が吸収されやすく、波長の短い青い光だけが散乱し反射されます。シィリ・イ・カルターの純度が高く不純物のほとんどない水は、この青い光を完璧な形で目に届けてくれるのです。

泉の中央に、まるで瞳孔のように見える濃紺の部分があります。これは水が湧き出す洞窟の入口であり、その深さは未だ正確に測定されていません。ダイバーの調査によると少なくとも50メートル以上はあるとわかっており、その底知れぬ深さこそが吸い込まれるようなダークブルーを生んでいます。そして周囲に広がる明るいブルーやエメラルドグリーンのグラデーションは、水深の変化に伴う光の反射、水底の白い石灰岩、豊かに育つ水草が織りなす共演の結果。この自然が描いた色彩のコントラストこそが、「青い瞳」という名を完璧に体現しています。

肌に突き刺さる聖なる冷たさ

この泉のもう一つの大きな特徴は、その水温にあります。年間を通じて水温は常に摂氏10度から13度の範囲に保たれており、真夏の外気温が30度を超える日であっても変わることはありません。地下の奥深くから湧き出る水は太陽の影響をほとんど受けずに地表へと現れるため、この驚異的な冷たさが保たれているのです。

この冷たさは、単に「冷たい」と言うだけでは伝えきれません。泉に足を踏み入れた瞬間、全身の神経が一斉に覚醒するような、鋭くも心地よい衝撃が走ります。それは日々の喧騒や悩みを一瞬で洗い流すかのような、まるで浄化の儀式を受けているかのような体験。この神聖な冷たさこそが、シィリ・イ・カルターが訪れる人々を惹きつけてやまない理由の一つなのです。

泉に眠る竜の伝説と共産主義時代の秘密

この泉の神秘的な魅力は、その美しい外見だけにとどまりません。古くからこの地に伝わる伝説と、近代史の闇に包まれた過去が、シィリ・イ・カルターをいっそう謎に満ちた存在へと昇華させています。

竜の心臓を射抜いた矢

この地に伝わる最も知られる伝説は、巨大な竜にまつわる物語です。

昔、この地域の山々には巨大な竜が棲んでいました。その竜は村の泉を独り占めし、家畜だけでなく、村の子どもたちまでも生贄として要求するようになりました。村人たちは恐怖に震え、希望を失っていました。

そのような状況のなか、一人の賢者が立ち上がりました。彼は村人たちにこう助言しました。「竜を倒すには火を用いるしかない」と。村人たちはロバの背に薪と火口を山ほど積み、竜の巣穴へ向かいました。竜が眠っている間に、ロバの薪に火を放ち、それで竜を巣穴から追い出したのです。

火のついたロバに驚いた竜は激怒し、そのロバを丸呑みにしました。しかし、体内で燃える炎の熱さに耐えかねて、竜は山を駆け下り、猛烈な勢いでこの泉に飛び込みました。その瞬間、竜の大きな目の一つが岩に突き刺さり、そこから絶えることのない涙、それが現在の泉の水となって湧き出したと伝えられています。この泉の深い青色は、苦しみもがいた竜の瞳の色が映し出されていると語り継がれています。

この伝説は、自然への畏敬の念と、困難に立ち向かう人々の知恵を表しています。泉の底の深淵を覗き込めば、今もなお、巨大な竜が静かに眠り続けているかのような荘厳な雰囲気を感じずにはいられません。

独裁者が秘匿した神秘の地

シィリ・イ・カルターが長きにわたり「秘境」のままであった背景には、近代史に起因する事情も存在します。第二次世界大戦後のアルバニアは、エンヴェル・ホッジャ率いる厳しい共産主義独裁政権のもと鎖国状態にありました。

この時期、シィリ・イ・カルターを含む周辺地域は、ホッジャをはじめとする共産党のエリート層だけが立ち入ることを許された特別な保養地でした。一般の市民はもちろん、外国人観光客ですらこの泉の存在を知ることは叶いませんでした。厳重な警備が敷かれ、その世のものとは思えないほどの美しさは、一部の特権階級が独占していたのです。

1991年の民主化以降、この神秘的な泉はようやく一般に公開されました。長きにわたって謎に包まれていたからこそ、その手つかずの自然は今なお圧倒的な輝きを放ち続けています。私たちが自由にこの泉を訪れることができるのは、アルバニアの人々が勝ち取った自由の証そのものです。この歴史を知ることで、泉の青はより一層尊く、深く感じられることでしょう。アルバニアの複雑な歴史については、ブリタニカ百科事典のアルバニアの歴史のページで詳しく知ることができます。

魂のダイブへ!青い目の泉を味わい尽くす旅程

さあ、いよいよこの神秘の泉を実際に体験する旅にご案内いたします。最もポピュラーなのは、アルバニア・リビエラの中心地サランダ発の日帰りツアーです。ここでは、そのモデルプランを時系列に沿って紹介しつつ、旅の見どころでもある「ダイビング体験」のポイントを詳しく解説していきます。

モデルプラン:サランダ発の日帰りツアーで巡る神秘の泉

このツアーの所要時間は、移動時間を含めておよそ5~6時間程度。午前中に出発し、午後早めの時間にはサランダへ戻れるため、ほかの観光スケジュールと組み合わせやすいのも魅力の一つです。

  • 午前9時 サランダのホテルまたは指定の集合場所を出発

多くのツアーでは、サランダ市内のホテルから送迎が付いています。ミニバスやタクシーに乗り込み出発。車窓にはオリーブ畑が広がる丘陵や静かな村落の風景が映ります。ガイドが同行する場合は、移動時間もアルバニアの文化や歴史の話を聞ける貴重な時間となるでしょう。サランダからシィリ・イ・カルターまでは、車で約40〜50分かかります。

  • 午前10時 シィリ・イ・カルター自然公園に到着

駐車場からは緑豊かな遊歩道を約15分歩いて泉へ向かいます。川の流れの音や野鳥のさえずり、木々の間を吹き抜ける涼風が都会の喧騒を忘れさせてくれます。この道中も、期待を高める大切なプロローグです。水音がだんだん強まる方向へ足を進めると、視界がぱっと開け、圧倒的な美しい青が目に飛び込んできます。

  • 午前10時15分 神秘の泉とご対面、その周辺を散策

初めて目にするその光景に、多くの人が言葉を失うことでしょう。写真や映像とは比べものにならない迫力と生命感にあふれています。まずは泉の周囲をゆっくり歩き、様々な角度から青のグラデーションを楽しんでください。太陽の光のあたり具合で色合いは刻々と変化します。水面を覗くと、水底からわき上がる気泡が銀の粒のように輝き、まるで泉が呼吸しているかのような不思議な感覚を味わえます。

  • 午前11時 ハイライト:泉へのダイビング体験

美しさをたっぷり味わい、心の準備が整ったら旅のクライマックス、泉へのダイブに挑戦しましょう。泉の縁には、ちょうど飛び込むために設けられた展望台(バルコニー状の台)が用意されています。ここからの景色は格別で、泉の「瞳」を真上から見下ろす贅沢な眺めです。後ほど詳しく説明しますが、この体験は旅の思い出として強く刻み込まれる瞬間になるでしょう。

  • 午後12時30分 昼食と自由時間

冷たい水でリフレッシュしたあとは、ほどよい疲れと共に昼食のひとときです。泉のすぐそばには、川のせせらぎを聞きながら食事ができるレストランがあります。新鮮な川魚のグリルや地元の伝統料理を味わうことが可能です。もちろん、自分で持参した軽食を木陰でのんびり楽しむのもおすすめです。食後は周辺を散策したり、木陰で読書をしたりして思い思いの時間を過ごしてください。

  • 午後2時 シィリ・イ・カルターを出発

名残惜しい気持ちを胸に秘めつつ、神秘の泉に別れを告げます。帰路の車内では、興奮冷めやらぬ泉での体験を語り合う場面もあるでしょう。

  • 午後3時 サランダに帰着

ホテルに戻ってシャワーを浴び、リフレッシュ。まだ午後の早い時間なので、サランダの美しいビーチで夕日を眺めたり、古代遺跡のブトリントを訪れたりと、その後の滞在も存分に楽しめます。

ハイライト:鼓動が高鳴る泉へのダイブ体験

シィリ・イ・カルターを訪れる多くの旅人にとって最大の目的は、この泉に飛び込むことです。これは単なる水遊びではなく、地球の深淵に飛び込むかのようなスリリングで精神的にも深い体験です。

飛び込む前に心得ておきたいこと

まず把握すべきはその水温で、摂氏約10度と非常に冷たいです。冬の日本の川に飛び込む感覚に近いと思ってください。飛び込み台の高さはおよそ5メートル。決して非常に高いわけではありませんが、濃紺の「瞳孔」が広がる水面を目の前にすると、足がすくむような迫力を感じるでしょう。

「本当に飛び込んでいいのか?」多くの人がここで迷います。しかし目の前を見れば、地元の若者や世界各国から訪れた観光客が歓声をあげながら次々に青い水面に飛び込んでいます。その光景があなたの背中を優しく押してくれるはずです。これは勇気の証であり、自分自身への挑戦でもあります。

ダイブ成功のためのポイント

  • 呼吸を整える: 飛び込む直前は緊張で呼吸が浅くなりやすいので、ゆっくり2~3回深呼吸をして心身を落ち着けましょう。大きく息を吸い込み、そのまま止めて飛び込むのが一般的です。
  • 躊躇は禁物: 「いける!」と感じたら、一気に踏み切ること。ためらいが増すほど恐怖は深まります。勢いが肝心です。
  • 着水のコツ: 着水時は思った以上の衝撃があるため、体をまっすぐに伸ばし、足から入水するのがもっとも安全です。
  • 水中の感覚: 水面に潜り、全身を貫く冷たさが体を包みますが、その後に現れる別世界は格別です。水中から見上げる太陽の光は青いフィルターを通して揺らぎ、体のまわりを無数の気泡が浮かび上がります。まるで宇宙空間に浮遊しているかのような無重力感と静寂。その数秒は生涯忘れられない体験となるでしょう。
  • 素早い浮上を: 水温が非常に低いため、長時間潜るのは危険です。すぐに浮上し体を動かして体温を保ちましょう。岸に上がった後の爽快感と達成感は何にも代え難いものです。

泳ぎに自信がない、飛び込みに勇気が出ない方へ

もちろん、飛び込みは強制ではありません。シィリ・イ・カルターには他にも楽しみ方が無限にあります。泉の岸には浅瀬もあり、足先だけを冷たい水に浸すことも可能です。その冷たさを感じるだけでも、十分に神秘の泉の魅力に触れられます。また、飛び込む人たちを眺めながら、その場の空気感を味わうのも素敵な過ごし方です。無理をせず、自分のペースでこの特別な場所と向き合うことが最も大切です。

旅の計画を具体的に!料金・予約・アクセス完全ガイド

「行ってみたい!」という気持ちが高まったところで、続いて旅の計画を具体化するための実用的な情報をご紹介します。予算や予約方法、アクセス手段をしっかり把握し、快適でスムーズな旅を叶えましょう。

ツアー料金の目安と含まれる内容・含まれない内容

サランダ発の一日ツアーは手軽で人気の高い選択肢ですが、料金やサービス内容は催行会社によって異なります。事前に詳細をしっかり確認することが大切です。

料金の目安

  • 乗り合いツアー(グループツアー): 1人あたり25〜40ユーロ程度
  • プライベートツアー(タクシーチャーターなど): 1台あたり50〜80ユーロ程度(人数で割ると割安になる場合も)
  • 入場料: 多くの場合ツアー料金に含まれていますが、個人で訪れる際は別途必要です。料金は変動しますが、おおよそ50アルバニア・レク(ALL)程度です。車両乗り入れには別途料金が発生することもあります。

料金に含まれるもの(一般的なツアーの場合)

  • サランダ市内からの往復送迎
  • シィリ・イ・カルター自然公園の入場料
  • ガイド(ほとんどが英語対応)
  • 車両関連の費用(燃料代や駐車料金など)

料金に含まれないもの

  • 昼食や飲み物代
  • ガイドやドライバーへのチップ(義務ではありませんが、満足した時は渡すと喜ばれます)
  • お土産代などの個人的な支出
  • 防水カメラなどのレンタル(サービスがある場合)

予約場所はどこが良い?自分に合ったスタイルを選ぶポイント

シィリ・イ・カルターを訪れる方法は複数あります。各方法の特徴を理解し、自分の旅に合ったスタイルを見つけましょう。

  • 現地ツアー会社での直接予約

サランダの港周辺やメインストリートには多数のツアー会社や旅行代理店があります。現地で直接相談し、ツアー内容や料金を比較して、その場で予約することが可能です。

  • メリット: 複数の選択肢を直接比較でき、価格交渉の余地がある場合もあります。
  • デメリット: ハイシーズンは満席のリスクがあり、英語でのやり取りが必要です。
  • オンライン予約サイトの活用

GetYourGuideやViatorなどの国際的なアクティビティ予約サイトでは、シィリ・イ・カルターのツアーが豊富に掲載されています。事前にレビューを確認でき、日本語で予約・決済が済ませられる点が魅力です。

  • メリット: 予約を確実に事前に済ませられる安心感があり、多言語での対応やレビューが充実。クレジットカード決済も可能です。
  • デメリット: 現地予約に比べ若干料金が高くなるケースがあります。
  • 個人手配(レンタカー、タクシー、バス利用)

より自由な旅を楽しみたい場合は、自分で交通手段を手配する方法もあります。

  • メリット: 時間の制約がなく、自分のペースで行動でき、他の観光地と自由に組み合わせやすい。
  • デメリット: 国際免許証の取得や現地交通事情への対応が必要(レンタカー)、費用がかさむ場合がある(タクシー)、時間や手間がかかる(バス)。

信頼できるツアー選びには、GetYourGuideのシィリ・イ・カルターのツアー紹介ページが参考になります。多彩な選択肢や旅行者のレビューを確認できるため、予約時の判断材料として非常に有用です。

個人手配で訪れる場合のアクセス方法

  • レンタカー: サランダには多数のレンタカー会社があり、国際運転免許証を用意しておきましょう。シィリ・イ・カルターへの道は基本的に舗装されていますが、一部狭い区間もあり運転には注意が必要です。Googleマップなどのナビアプリを利用すれば問題なく到着できます。
  • タクシー: もっとも快適で簡単な方法です。サランダ市内でタクシーチャーターをし、往復料金をあらかじめ交渉します。ドライバーには現地で数時間待機してもらう形になるのが一般的で、料金は交渉次第ですがおおよそ50ユーロ前後です。
  • バス: コスト面では最も安価ですが利便性は低めです。サランダ発ジロカストラ行きのバスに乗り、途中の分岐点で降車後、数キロ歩かなければならないという方法です。運行本数も限られるため、事前に時刻表の確認を入念に行いましょう。体力があり冒険心の強い方に向いています。

準備は万全?最高の体験にするための持ち物リストと注意点

旅の成功は入念な準備にかかっていると言っても過言ではありません。特にシィリ・イ・カルターのような自然環境でのアクティビティでは、適切な準備が体験の満足度を大きく左右します。ここでは、あなたの旅を最高のものにするための持ち物チェックリストと注意点をまとめました。

忘れずに持っていきたい必須&推奨アイテム

必須アイテム

  • 水着: 泉に飛び込む際には必須アイテムです。出発前にホテルで着用しておくと、現地での着替えがスムーズに行えます。
  • タオル: 水から上がった後に体を拭き、冷えを防ぐために役立ちます。軽量でかさばらない速乾性のマイクロファイバータオルがおすすめです。
  • サンダル: 濡れたり汚れても問題なく、滑りにくいものが必要です。ビーチサンダルでも良いですが、岩場を歩くためにはかかとが固定できるスポーツサンダルやウォーターシューズがより安全で快適です。
  • 着替え: 濡れた水着のままで長時間いると不快ですし体温も下がります。Tシャツやショートパンツなど、簡単に着替えられる服を必ず用意しましょう。
  • 現金(ユーロまたはアルバニア・レク): 入場料やレストラン、土産店など多くの場所でカードが使えないことが多いため、少額の現金を持ち歩いてください。両替できるならアルバニア・レクが望ましいですが、難しければユーロでも問題ありません。
  • 身分証明書: パスポートのコピーなど、万が一の際に備えて携帯すると安心です。

あると便利な推奨アイテム

  • 日焼け止め: アルバニアの強い日差しに加え、水辺の照り返しもあります。ウォータープルーフタイプの日焼け止めをこまめに塗り直しましょう。
  • サングラスと帽子: 強烈な日差しから目や頭を守るのに有効です。
  • 防水カメラ(GoProなど)やスマートフォン用防水ケース: 信じられないほど鮮やかな青さを写真や動画に残したいなら欠かせません。特に水中の映像は最高の思い出になります。
  • 羽織るもの: 水から上がった後や森の木陰は肌寒く感じることがあるため、薄手のパーカーやラッシュガードがあると体温調節に便利です。
  • 酔い止め薬: 車移動中に山道のカーブで酔いやすい方は、念のため持参しておくと安心です。
  • 虫除けスプレー: 森の中には蚊などの虫がいることもあります。肌の露出が多い服装の場合は利用をおすすめします。
  • 軽食と飲み物: 現地にレストランはありますが、混雑や好みに合わないことも考慮し、水や簡単なスナックを用意しておくと安心です。

服装と現地のマナーについて

推奨される服装

動きやすく、多少汚れても気にならないカジュアルな服装がベストです。Tシャツやショートパンツ、ワンピースなど、水着の上から気軽に着脱できるものが理想的。足元は前述の通り、歩きやすく滑りにくいサンダルかスニーカーを選びましょう。

持ち込み禁止事項と現地ルール

シィリ・イ・カルターは国立公園内にあり、この美しい自然を未来に残すためには訪れる私たち一人ひとりの協力が欠かせません。

  • ゴミは必ず持ち帰る: 基本中の基本です。美観を守るため、自分が出したゴミは必ず責任をもって持ち帰りましょう。
  • 自然への破壊行為禁止: 植物を折ったり、石を持ち帰ったりすることは絶対に避けてください。
  • 指定場所以外での火気使用禁止: タバコのポイ捨ても厳禁です。
  • 安全を優先した行動: 飛び込み台として整備されていない場所からの飛び込みは危険です。水の流れや深さが不明な場所での無理な行動は控えましょう。
  • ドローン使用時の注意: ドローンの飛行には許可が必要な場合があります。出発前に現地の規制を確認してください。

これらのルールを守ることで、この素晴らしい自然への敬意を示すことができます。

よくある質問 – 青い目の泉への旅の不安を解消

初めて訪れる場所には、期待と同時に少しの不安を抱くものです。ここでは、多くの旅行者が抱きそうな疑問に対し、Q&A形式でお答えしていきます。

  • Q1: 泳げなくても楽しめますか?

A: もちろんです。シィリ・イ・カルターの魅力は飛び込みだけに留まりません。泉の周囲を散策し、その神秘的な青色を眺めるだけでも十分に価値があります。浅瀬に足を入れてその驚くほどの冷たさを体感するだけでも、忘れがたい思い出になるでしょう。泳ぎに自信がない方は、むやみに深い場所に行かず、安全な範囲で楽しむことをおすすめします。

  • Q2: 訪れるのに最適な季節はいつですか?

A: より快適に過ごせるのは、気温が温かく天候が安定している6月から9月の夏季です。外気温が高いため、水温10度の泉に入るのが特に心地よく感じられます。7月と8月は観光の最盛期で、多くの観光客で賑わいます。混雑を避けたい場合は、比較的人出が少なく気候も穏やかな6月や9月が狙い目です。

  • Q3: 現地で食事をするにはどこが良いですか?

A: 泉のすぐそばには、川に面したテラス席が魅力的なレストランがあります。ここでは、焼きたての川魚や伝統的なアルバニア料理、シンプルなサラダやフライドポテトなどが味わえます。観光地としては比較的リーズナブルです。ただし、ピークシーズンのお昼時には混雑が予想されるため、時間に余裕を持ったり、少し時間をずらして利用するのがよいでしょう。また、サンドイッチなど軽食を持参して木陰でピクニックを楽しむのも素敵な選択肢です。

  • Q4: トイレや更衣室はありますか?

A: はい、レストランの近くに公衆トイレがあります。ただし、日本の基準で比べると、設備や清潔さは十分とは言い切れない場合もあります。ティッシュペーパーやウェットティッシュを持参すると安心です。専用の更衣室はありませんが、トイレ内で着替えることは可能です。多くの方はタオルで体を隠しながら手早く着替えています。

  • Q5: 小さな子ども連れでも安全ですか?

A: 自然豊かな公園のため、お子さまもきっと楽しく過ごせるでしょう。ただし、泉の周囲には柵がない場所も多く、水深が急に深くなる箇所もあります。お子さまから目を離さず、手をつなぐなど保護者が厳重に安全管理を行ってください。飛び込みは子どもにとって危険が伴いますので、保護者の監督のもと、浅瀬での水遊びにとどめるのが賢明です。

青い目の泉を越えて – 周辺のおすすめスポット

シィリ・イ・カルターへの訪問は、それ自体で十分に魅力的ですが、周辺にも見逃せないスポットが豊富にあります。ぜひ足を伸ばして、アルバニア南部が誇る多彩な魅力をたっぷり味わってみてください。

石の街、世界遺産ジロカストラ

シィリ・イ・カルターから車で約1時間の場所に位置するジロカストラは、「石の街」として名高い美しい世界遺産の町です。オスマン帝国時代の石葺きの屋根を持つ家々が斜面にぎっしりと並ぶ様子は、おとぎ話の世界に迷い込んだかのような幻想的な光景。街を見下ろす高台には巨大なジロカストラ城がそびえ、その内部は博物館として一般公開されています。また、独裁者ホッジャの出身地としても知られ、アルバニアの光と影の歴史を肌で感じられる非常に興味深い場所です。多くのツアーでは、シィリ・イ・カルターとジロカストラをセットで巡るプランが組まれています。

時が止まった古代都市、世界遺産ブトリント

サランダから南へ車で約40分、ギリシャの国境にほど近い場所に位置するのが世界遺産のブトリントです。ここは古代ギリシャ、ローマ、ビザンチン、ヴェネツィアといった多様な時代の文明が重層的に残る、広大な考古学遺跡の公園。その保存状態の良い円形劇場や美しいモザイクの残る洗礼堂、城壁などを巡るうちに、まるで2000年以上もの歴史の旅をしているかのような感覚に陥ります。歴史や考古学に興味がある人にとっては、絶対に見逃せないスポットです。アルバニアの観光に関する総合的な情報は、アルバニア公式観光ポータルサイトで確認するのが最も信頼できます。

アルバニアのモルディブ、クサミルビーチ

ブトリントのすぐそばにあるクサミルは、近年「ヨーロッパの隠れた楽園」として人気が急上昇しているビーチリゾートです。イオニア海に浮かぶいくつかの小島と、まるでカリブ海を思わせる白砂のビーチ、そしてターコイズブルーの海のコントラストが絶景を描き出します。のんびりとビーチクラブで過ごしたり、ペダルボートで無人島へ渡ったりと、それぞれのスタイルでリラックスした時間を楽しめます。シィリ・イ・カルターの神秘的に深い青とはまた違う、明るく開放的な海の青を思い切り満喫してください。

シィリ・イ・カルターの深い青は、ただ美しいだけではありません。そこには地球の息吹があり、人々の物語が息づいているのです。さらに、この青はあなたの勇気を試し、挑戦を促す意味も持っています。伝説の龍が見つめたというその青い瞳に、自分自身の姿を映し出す旅。それは、きっとあなたの価値観をほんの少しだけ変えるほど強烈な体験となるでしょう。さあ、準備は整いましたか?次の休暇は、ヨーロッパ最後の秘境で魂まで青に染まる旅へと出かけてみませんか。

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