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魂が焦がれるアンダルシアへ。太陽と影が織りなす、旅の最適解

乾いた風が頬を撫で、遠くから聞こえるフラメンコギターの咽び泣くような音色。白壁の家々を照らす太陽はあまりに強く、影はどこまでも深く、濃い。ここはスペイン南部、アンダルシア。イスラムとキリストの文化が溶け合い、栄華と滅びの記憶が路地の石畳にまで染み込んだ土地。私の心は、いつもこの地の退廃的な美しさに引き寄せられてしまいます。大学時代に初めて訪れて以来、幾度となくこの地を彷徨い、その朽ちゆくものの声に耳を澄ませてきました。

アンダルシアの旅は、訪れる季節によって、そして目的によって、全く違う表情を見せます。花々が咲き乱れる春の祝祭、すべてを焼き尽くすかのような夏の太陽、哀愁を帯びた黄金色の秋、そして静寂に包まれる冬。あなたはどのアンダルシアに出会いたいですか?

この記事では、アンダルシアの魅力を最大限に味わうためのベストシーズンと、あなたの魂の羅針盤が指し示すであろう目的別のモデルコースを、私の経験と少しばかりのマニアックな視点を交えてご紹介します。さあ、光と影が交錯する、情熱の旅路へご案内しましょう。

目次

太陽が織りなす光と影 – アンダルシアのベストシーズンを知る

アンダルシアの気候は地中海性に属し、年間を通じて比較的温暖ですが、各季節ごとに特徴がはっきりと表れます。季節ごとの明暗を理解することが、心に残る旅を実現する第一歩となるでしょう。

春(3月~5月)- 花々が咲き誇る情熱の季節

「アンダルシアを訪れるのに最適な時期は?」と尋ねられれば、私は迷わず春を推します。冬の静けさから覚めた大地は命に溢れ、街角や路地のあちこちで花々が咲き乱れます。特にセビージャの「春祭り(フェリア・デ・アブリル)」やコルドバの「パティオ祭り」が開催されるこの時期は、アンダルシアが華やかさと情熱を最大限に見せる時期です。

春の気候は穏やかで、日中は半袖で過ごせる日も多く、朝晩は薄手のジャケット一枚で十分。観光にはまさに理想的な季節と言えるでしょう。オレンジの花の香りが漂い、パティオ(中庭)はゼラニウムやブーゲンビリアで彩られ、その鮮やかな色彩が訪れる人の心を高揚させます。

ただし、この素晴らしさは周知の事実であるため、観光客が集中し、航空券や宿泊費が高騰しがちです。特に祭りの期間中は、数ヶ月前からの予約がなければ宿泊先の確保が難しくなることもあります。

【Do情報:春の旅のポイント】 春、特に祭りの時期に訪れるなら、早めの計画が不可欠です。半年前には航空券と主要都市の宿を押さえることを強く推奨します。コルドバのパティオ祭りでは、公開される民家の中庭を巡るため、街中が混雑します。祭りの熱気を避けて静かに花を楽しみたい場合は、少し前後の時期を狙うと比較的落ち着いた観光が可能です。

夏(6月~8月)- 強烈な太陽とシエスタの文化

アンダルシアの夏は、端的に言えば「酷暑」です。特に内陸のセビージャやコルドバでは、40℃を超える日が珍しくありません。この強烈な日差しは街の色をより鮮やかに映し出し、影のコントラストを際立たせます。白い壁はまばゆく輝き、青い空は鮮やかさを増して目に焼きつきます。これこそがアンダルシアらしい夏の風景の一つです。

この時期の旅行は、「シエスタ(昼休み)」の習慣を理解し、それに順応することがカギとなります。最も暑い14時から17時頃は多くの店や施設が閉まり、人々は休息を取ります。観光客もこの時間帯はホテルで休んだり、プールで涼んだりするのが賢明です。夕方になると街は活気を取り戻し、日没後の長い明るさを利用して夜遅くまで楽しめます。冷えたビールとタパスを味わいながら夜の広場を散策するのは、アンダルシアの夏の醍醐味のひとつです。

沿岸部のマラガやカディスは海風が心地よく、内陸の酷暑を和らげるためビーチリゾートとして人気があります。

【Do情報:夏の過ごし方】

  • 服装と持ち物: 通気性の良い服を着用し、帽子やサングラス、強力な日焼け止めは必須です。石畳からの照り返しも強いため注意してください。常に水分を携帯し、こまめな水分補給を心がけましょう。熱中症対策は入念に。
  • 行動計画: 涼しい午前中に主要な観光を済ませ、午後はシエスタで休憩。夕方から再び活動を始める現地のリズムに合わせたプランが効果的です。午後は美術館など屋内施設を訪れるのもおすすめ。
  • 営業時間: シエスタ中は店舗が閉まることが多いため、レストランの予約や買い物の計画は事前に確認しておきましょう。特に個人経営の小規模店は閉まっている可能性が高いです。

秋(9月~11月)- もの哀しさ漂う黄金の季節

猛暑が後退し、過ごしやすい気候が戻る秋は、観光客も少し落ち着き、ゆったりと街を歩くのに適した季節です。夏より柔らかな太陽の光が斜めから差し込み、建物の立体感や質感を美しく際立たせます。私がライカのファインダーを通して、石造りの壁に刻まれた歴史の痕跡を最も印象的に捉えられるのは、この秋の光の中です。

ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ周辺ではブドウの収穫祭が行われ、街はワインの芳醇な香りに包まれます。色づき始めた木々の葉と共に、街全体が哀愁を帯びた黄金色に染まり、アンダルシアのセンチメンタルな一面を垣間見ることができます。

ただし、10月下旬から11月にかけては雨季に入り雨の多い日が増え、朝晩は冷え込むこともあるため、体温調節しやすい服装が必要です。

冬(12月~2月)- 静寂と澄んだ空気の中で

観光のオフシーズンにあたる冬は、アンダルシアが最も静かな顔を見せる時期です。観光客が少なく、航空券や宿泊費も抑えられるため、有名スポットをゆったりと自分のペースで楽しめる魅力があります。

天候は不安定で雨の日も多いですが、雨上がりの石畳はしっとりと輝き、灯りを反射して幻想的な雰囲気を醸し出します。空気が澄みわたる冬の晴天は、空の青さも格別です。セビージャのカテドラルやグラナダのアルハンブラ宮殿は、凛とした冬の空気の中でまた違った荘厳さを見せてくれます。

服装は日本の冬と同様、しっかりとした防寒が必要です。特に内陸部の朝晩は冷え込みが厳しくなります。一方、グラナダ近郊のシエラネバダ山脈ではスキーも楽しめ、冬ならではのアクティビティが充実しています。

【Do情報:冬の旅の注意点】

  • 服装: コートやダウンジャケット、マフラー、手袋などしっかりとした防寒具を用意しましょう。屋内は暖房が効きすぎることも多いため、脱ぎ着しやすい服装が便利です。折りたたみ傘も忘れずに携帯してください。
  • 営業時間: オフシーズンのため、一部の観光施設や飲食店が営業時間を短縮したり休業したりする場合があります。訪問前に公式サイトなどで最新の営業情報を事前に確認することが大切です。

魂の羅針盤が指し示す旅路 – 目的別モデルコース

アンダルシアは広大で見どころが豊富です。あなたの関心や滞在期間に応じて、最適な旅行プランを組み立てましょう。ここでは、異なる3つのテーマに沿ったモデルコースをご紹介します。

初めてのアンダルシア – 王道3都市を巡る7日間

アンダルシアの魅力を凝縮した3つの宝石、セビージャ、グラナダ、コルドバ。初めて訪れる際は、この王道のルートを辿ることをおすすめします。それぞれの街が持つ独特な歴史と文化の深さに、きっと心を奪われることでしょう。

Day 1-2: セビージャ – 情熱のフラメンコと歴史の交差点

アンダルシア州都のセビージャは、太陽の光と熱烈な情熱、歴史が入り混じる街です。コロンブスの眠る世界最大級のゴシック建築「カテドラル」と、その隣にそびえるイスラム時代のミナレット「ヒラルダの塔」。イスラムとキリスト教建築が融合した壮麗な宮殿「アルカサル」。そして、半円形の広場を彩る美しいタイル装飾が印象的な「スペイン広場」など、見どころは数え切れません。

夜には、この地発祥の芸術であるフラメンコを鑑賞しましょう。観光客向けの大型のタブラオ(フラメンコ酒場)も良いですが、地元の人々が集う小さなバルで突然始まる即興の歌や踊りに出会えたら、それは忘れがたい体験となるはずです。

【お役立ち情報:セビージャ観光のチケット取得術】

  • カテドラルとアルカサルの予約: 人気スポットのため、当日券窓口は長蛇の列ができることが多いです。無駄な待ち時間を避けるため、公式サイトからのオンライン事前予約を強く推奨します。特にアルカサルは入場人数制限があるため、早めの予約が不可欠です。予約では入場時間の指定も必要なので、具体的な旅程作成後に予約手続きを行うとスムーズです。
  • フラメンコ鑑賞: 人気のタブラオは予約で満席になることが多いので、事前にネット予約をしておくことをおすすめします。ショーのスタイル(本格派か食事付きかなど)、料金設定、店の雰囲気を比較検討し、自分に合った会場を選びましょう。

Day 3-4: グラナダ – イスラム建築の結晶、アルハンブラの夢

「アルハンブラの思い出」の切ないギターの旋律がこれほどぴったり合う場所もありません。グラナダはイベリア半島におけるイスラム支配最後の砦であり、その栄華と哀愁を象徴するのが丘の上に佇むアルハンブラ宮殿です。

繊細なアラベスク模様が施されたナスル朝宮殿、ライオンの中庭の水のせせらぎ、ヘネラリフェ離宮の庭園に咲き乱れる花々。単なる建築物にとどまらず、かつてこの地を治めた王たちの夢と歴史が息づいています。私は特に、わずかに剥がれ落ちたタイルに目を奪われます。完璧な美の中に潜む時の流れや滅びの予感が、胸を締め付けるように響くのです。

宮殿から見下ろす白壁のアルバイシン地区を散策し、サクロモンテの丘から夕日に染まるアルハンブラ宮殿を眺めるひとときは、至福の時間そのものです。

【お役立ち情報:最重要!アルハンブラ宮殿のチケット取得法】 アルハンブラ宮殿のチケット確保は、アンダルシア旅行で最も難しい課題の一つです。

  • 公式サイトでの事前購入が最も安心&お得:

アルハンブラ宮殿公式サイト から購入可能。数ヶ月前に販売開始され、ピークシーズンには即完売します。旅程が決まったら最優先でこのチケットを押さえましょう。予約時にはナスル朝宮殿の入場時間指定が必要です。

  • チケットの種類: 一般的には「Generalife y Alcazaba + Nasrid Palaces」を選びます。他に庭園のみの券もありますが、初訪問なら全てを見学できるこのチケットを強く推奨します。
  • もしチケットが手に入らなかった場合の対処法:
  • グラナダカード: 市内の観光施設や公共交通とセットのパスで、これにアルハンブラ宮殿の入場券が含まれている場合もあります。公式サイトで完売していてもこちらには残席があることがあるため、諦めずに確認してみてください。
  • 公式チケット販売機: グラナダ市内の特定スポットに設置された販売機で、稀に当日券や翌日券が出ることもありますが、期待しすぎないほうが良いでしょう。
  • キャンセル待ち: 公式サイトはキャンセルが発生すると再販します。頻繁にサイトをチェックすると、運よく購入できるケースもあります。
  • 入場時の注意: 購入時に登録した身分証(パスポートなど)の提示を求められることがあるため、必ず携帯してください。

Day 5: コルドバ – メスキータに迷い込む千年の祈り

コルドバ中心部には、世界に類を見ないユニークな聖地「メスキータ」があります。もとは西ゴート教会の教会堂跡に建てられたイスラム教モスクが、レコンキスタ(国土回復運動)後に中央部を破壊してカテドラルが組み込まれたという、歴史の積み重なりを体現した空間です。

一歩足を踏み入れると、赤と白の縞模様が特徴的なアーチ「円柱の森」が延々と続きます。この神秘的な空間は、方向感覚を狂わせるほどの没入感を与え、時間を忘れさせる迷宮のようです。奥に進むと、突如として荘厳なカテドラルが姿を現します。異なる二つの信仰が奇妙な緊張感と調和を保ちながら共存しているこの空間は、まさにコルドバの縮図と言えるでしょう。

メスキータの周囲には、白壁の家並みが広がるユダヤ人街(フデリア)があり、「花の小径」など美しい路地が迷路のように連なっています。

Day 6-7: 移動と帰国

アンダルシアの主要都市間の移動は、スペイン国鉄(Renfe)が運行する高速鉄道AVEが便利かつ快適です。セビージャからコルドバ間は約45分で、コルドバからグラナダへの接続もあります(一部区間はバス代行あり)。チケットはRenfe公式やOmioなどの比較サイトで事前購入すると割引料金を利用できる場合が多いです。

白い村々と地中海の風 – ロンダとミハスを訪ねる癒やしの5日間

華やかな大都市の賑わいだけでなく、アンダルシアのもう一つの魅力である「白い村(プエブロ・ブランコ)」を巡る旅はいかがでしょうか。青空に映える白壁の家々が織り成すのどかな風景が心を和ませます。

Day 1-2: マラガ経由でミハスへ

地中海に面した太陽輝く海岸「コスタ・デル・ソル」の中心地マラガからバスで約45分。山腹に、まるで絵本のような可愛らしい白い村ミハスが広がります。

村のシンボルとも言える「ロバのタクシー」が、観光客を乗せて石畳の道をゆったりと歩く光景は、どこか童話の世界。展望台からは白い家々が広がる村と、その向こうにきらめく地中海が一望できます。特別な観光スポットは少ないものの、気ままに路地を散策したり、おしゃれなカフェで一息ついたり、陶器や革製品の店を覗いたりと、心が満たされるひとときを過ごせるでしょう。

Day 3-4: ロンダ – ヌエボ橋が繋ぐ天空の城

ミハスからバスを乗り継ぎ山道を登ると、断崖絶壁の街ロンダに辿り着きます。この街の象徴は、深さ100メートルを超える渓谷に架かる「ヌエボ橋」。旧市街と新市街を結ぶ石橋の上からの眺めは、まさに圧巻。足がすくむようなスリルと、雄大な自然が織りなす絶景に言葉を失うことでしょう。

私が最も心惹かれるのは、橋を下から見上げる光景です。渓谷の底へ続く小道を下るにつれ、空高くそびえる橋の巨大さと、長い年月を経て風雨に晒された石の質感が間近に迫ります。苔が生え、崩れかけたその姿には、人の営みの儚さと、それでもなお存在し続ける強さが感じられます。キャノンの望遠レンズでディテールを切り取ると、一枚ごとに歴史の証言を写し取っているように思えてきます。

また、ロンダにはスペイン最古級の闘牛場もあり、ヘミングウェイが愛したこの街の、荒々しさと美しさが同居する空気に触れてみてください。

【お役立ち情報:白い村へのアクセス方法】

  • 公共交通機関: マラガやセビージャなどの大都市から各村へバスが運行されています。ただし本数は限られているため、事前に時刻表を確認し計画的に行動しましょう。
  • レンタカー: 複数の村を自由に巡りたい場合や公共交通機関では訪れにくい場所へ行く際にはレンタカーが便利です。スペインの交通ルール(右側通行、ロータリーの利用ルールなど)を事前に把握し、国際運転免許証を用意しておきましょう。

退廃美を求めて – 廃墟と歴史の深淵を覗くマニアックな旅

ここからは、筆者の好みに偏った少しマニアックな旅の提案です。華やかな観光地の背後にある陰影や忘れ去られた歴史、朽ちゆくものの美に心惹かれる方におすすめします。

カディス – 大西洋に沈むヨーロッパ最古の記憶

アンダルシア南西端の大西洋に突き出た半島に位置するカディスは、ヨーロッパで最も古い歴史を持つ都市のひとつ。三方を海に囲まれたこの街は常に潮風にさらされており、その影響で建物の壁はペンキが剥がれ、漆喰が崩れ、むき出しのコンクリートが見え隠れします。

私にとって、この風景こそがカディスの真髄です。夕暮れ時に沈む大西洋の夕陽が、朽ちかけた建物をオレンジ色に染める光景は、まるで壮大な鎮魂歌のよう。新大陸との交易で栄華を極めた時代の面影を残すカテドラルの黄金のドームと、波に浸食され続ける城壁との対比が、栄枯盛衰の物語を静かに語りかけてくれます。

カルモナ – ローマ時代のネクロポリスに刻まれた死生観

セビージャからバスで約1時間弱の丘の上に広がる美しい白壁の町カルモナ郊外には、古代ローマ時代の広大なネクロポリス(共同墓地)が存在します。地下に掘られた家族墓には死者のためのベンチや壁龕が設けられ、象の彫刻が施された華麗なものも見られます。

ひんやりとした地下墳墓に足を踏み入れると、2000年以上前の人々の死生観を直接感じ取れます。彼らが死をどのように捉え、死者とどう向き合っていたのかについて、静寂に包まれたこの空間で思いを馳せる時間は貴重な体験です。観光客も少ないため、ファインダー越しに風化した石の質感を捉えつつ、時を忘れることでしょう。

リオ・ティント – 地球離れした異世界の廃鉱山

アンダルシア旅行で最も強烈な印象を残す場所を挙げるなら、リオ・ティントの廃鉱山かもしれません。悠久の昔から銅や鉄の採掘が行われてきたこの地は、長年にわたる採掘活動の結果、川が強酸性に汚染され、赤や黄色、緑など鮮やかで異様な色彩に染まっています。

大地は大規模に削られ、巨大なクレーターのような景観が広がり、まるで火星に降り立ったかのような錯覚を覚えます。錆びついた蒸気機関車や朽ちかけた採掘施設が点在し、産業がもたらした繁栄とその後に残された爪痕を雄弁に物語っています。このSF的な景観は、「退廃美」では表しきれない畏怖さえ感じさせる、類まれな場所です。アクセスはやや不便ですが、レンタカーで訪れる価値は十分にあります。

旅の準備と知恵 – アンダルシアを120%楽しむために

素晴らしい旅は、綿密な準備から始まります。ここでは、アンダルシアをより快適かつ安全に楽しむための実用的な情報をお届けします。

持ち物リスト – 必需品とあると便利なアイテム

  • 必需品:
  • パスポート: 有効期限を必ず確認しましょう。コピーやスマホでの写真も用意しておくと安心です。
  • 現金(ユーロ)とクレジットカード: 小規模なバルや店舗ではカードが使えない場合もあります。少量の現金を常時携帯するのがおすすめです。
  • 歩きやすい靴: 石畳の道が多いため、スニーカーやウォーキングシューズが必須です。おしゃれな靴はディナーなど限られたシーンで活用しましょう。
  • 日焼け対策用品: 季節を問わず日差しが強いので、日焼け止め、サングラス、帽子は必ず持参してください。
  • 変換プラグ(Cタイプ)とモバイルバッテリー: スペインのコンセントはCタイプ。スマホやカメラの充電は必須のため、モバイルバッテリーがあると心強いです。
  • あると便利なもの:
  • 羽織るもの: 夏でも朝晩や冷房の効いた室内は意外に冷えます。カーディガンやストールが一枚あると重宝します。
  • 保湿クリーム・リップクリーム: 日本より乾燥しているため、特に冬場は必需品です。
  • 胃腸薬: 美味しいタパスやワインの誘惑に負けて、つい食べ過ぎ・飲み過ぎることも。慣れない食事に備えて持参しましょう。
  • セキュリティポーチ: パスポートや多額の現金を安全に持ち歩くために。服の下に隠せるタイプが安心です。
  • ウェットティッシュ・除菌ジェル: バルでの手拭きやちょっとした汚れ落としに便利です。

チケット予約のポイント – 時間と労力を節約する秘訣

既述のとおり、アルハンブラ宮殿やセビージャのアルカサルなど人気観光地は、公式ウェブサイトからの事前オンライン予約が必須です。これを怠ると長時間待たされたり、入場自体ができない可能性があります。

【注意点:非公式サイトでの購入リスク】 「公式が満席でも購入可能」と謳う転売サイトや代理店サイトもありますが、これらは高額な手数料を上乗せしていたり、偽チケットのリスクも含みます。万が一トラブルが起きても返金は非常に難しいため、まずは公式サイトでの購入を優先してください。もしクレジットカードで支払ってしまった場合は、速やかにカード会社に連絡し、支払い停止(チャージバック)が可能か相談しましょう。信頼性の高い予約は、常に公式サイトから行うことが基本です。

アンダルシアの食文化 – タパス巡りのコツと楽しみ方

アンダルシアの夜の醍醐味といえば、バルをはしごして楽しむ「タペオ」です。

  • 注文の流れ: 多くのバルでは、まずカウンターで飲み物を注文します。グラナダなど一部地域では、飲み物を一杯頼むと無料のタパスが一皿サービスされる嬉しい習慣があります。追加でタパスが欲しい場合は、ショーケースの料理を指差すか、メニューを見て注文しましょう。
  • おすすめタパス:
  • ハモン・イベリコ: 言わずと知れた生ハムの王様。口の中でとろける脂の甘みが絶品です。
  • ガンバス・アル・アヒージョ: ニンニクとオリーブオイルで煮たエビ。残ったオイルをパンにつけて食べるのが最高です。
  • トルティージャ・エスパニョーラ: ジャガイモ入りスペイン風オムレツ。素朴ながら味わい深い一品です。
  • サルモレホ: トマトをベースにした冷製スープ。特に暑い季節にぴったりです。
  • 支払い: 会計は通常、最後にまとめて行います。店を出る際、カウンターで「ラ・クエンタ、ポル・ファボール(お勘定をお願いします)」と伝えましょう。

安全な旅のために – スリや置き引きの予防策

残念ながら、アンダルシアの都市部では観光客を狙ったスリや置き引きが発生しています。しかし、基本的な注意を払えば被害を大きく減らせます。

  • 主な手口と対処法:
  • ミサンガやローズマリー売り: 親しげに近づき、腕にミサンガを巻いたり手にローズマリーを握らせて、あとから高額請求する詐欺。腕を組んだら「ノー!」とはっきり断ってその場を離れましょう。
  • 偽警官: 私服の警官を名乗り、麻薬捜査などを口実に財布やパスポートの提示を求める手口。実際には路上で財布の中身までチェックする警官はほとんどいません。ID提示を求め、不審なら「警察署で話しましょう」と提案してください。
  • アンケート詐欺: 観光客にアンケートへの協力を求め、注意がそれている間に仲間が荷物を盗む手口。軽率に立ち止まらないことが大切です。
  • 日頃の注意点:
  • バッグは必ず体の前に持ち、特にリュックは狙われやすいので注意しましょう。
  • レストランやカフェではスマホをテーブルの上に置きっぱなしにしない。
  • 貴重品は一箇所にまとめず、複数箇所に分散して持つことを心がけてください。

【トラブル対応:パスポート紛失・盗難時の対処】 もしパスポートが盗まれたり紛失した場合は、冷静に以下の手順を踏みましょう。

  1. 警察に届け出る: 最寄りの警察署で盗難・紛失証明書(Denuncia)を発行してもらいます。渡航書やパスポート再発行時に必須です。
  2. 日本大使館・領事館に連絡: 証明写真2枚と警察発行の証明書を持参し、在スペイン日本国大使館や最寄りの領事館へ行きます。そこで「帰国のための渡航書」発行や新しいパスポートの手続きを行います。詳しくは在スペイン日本国大使館公式サイトをご覧ください。

朽ちゆくものの声を聞く旅

アンダルシアの旅は、単に美しい風景を眺めたり美味しい食事を楽しんだりするだけのものではありません。この地の石畳を踏みしめ、細い路地の壁に手を触れるとき、私たちは何千年もの歴史の重みと、その土地で息づいてきた人々の息遣いを感じ取ることができます。

イスラム王朝が描いた理想郷の遺跡、激動のレコンキスタの記憶、新大陸発見時の熱狂、そしてフラメンコに込められたジプシーの魂の叫び。これらすべてが、乾いた風に乗り、強烈な太陽の光と深い影の中に、今もなお生き続けているのです。

私がアンダルシアに惹かれてやまないのは、その華やかな明かりだけでなく、栄華のあとに残った静かな影の部分、そこにこそ真実の物語が息づいていると感じるからです。朽ちゆく建物や忘れ去られた遺跡、そして人々の記憶から薄れてゆく物語は、決して声高に語ることはありません。しかし耳を澄ませば、必ず何か静かに語りかけてくるはずです。

この記事が、あなたのアンダルシアへの旅、そしてあなた自身の物語を見つけるための手助けとなれば幸いです。どうかあなた自身の羅針盤を手に、この情熱の大地を歩んでみてください。そこには、あなたの魂を揺さぶる忘れがたい光景が待っていることでしょう。さらに詳しい観光情報は、スペイン政府観光局のウェブサイトもぜひご覧ください。

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