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アゾレス諸島へのアクセス方法:日本からの最適なルートと移動手段

遥か大西洋の真ん中に、まるで神様がこぼした緑の宝石のように点在する9つの島々、アゾレス諸島。ヨーロッパ最後の楽園とも、大西洋のハワイとも称されるこの場所は、手つかずの火山地形、紺碧のカルデラ湖、どこまでも続くアジサイの道、そしてクジラが悠々と泳ぐ豊かな海が広がる、まさに秘境です。

日本から直線距離で1万キロ以上。その響きだけで、旅好きの心は高鳴るのではないでしょうか。しかし、その距離ゆえに「どうやって行けばいいの?」という疑問が真っ先に浮かぶはずです。直行便はもちろんなく、その道のりは決して単純ではありません。ですが、ご安心ください。その複雑に見えるルートも、一つひとつ解きほぐしていけば、必ずあなたに最適な道筋が見えてきます。

この記事では、旅サイトのプロライターである私が、日本からアゾレス諸島へのアクセス方法を徹底的に、そして具体的に解説していきます。航空券の賢い探し方から、現地での島から島への移動手段、さらには旅の準備やトラブル対策まで、あなたの旅が最高の体験となるよう、あらゆる情報を網羅しました。この記事を読み終える頃には、あなたはもうアゾレス諸島行きのチケットを探し始めているかもしれません。さあ、未知なる楽園への扉を開く、冒険の計画を始めましょう。

目次

アゾレス諸島ってどこにある?まずは基本情報を押さえよう

壮大な旅のプランを立てる前に、まずは目的地の全体像をしっかりと把握しておきましょう。アゾレス諸島(Açores)は、ポルトガル本土の西約1,500kmに位置する大西洋上の火山群島で、ポルトガル領です。9つの主な島々が東部・中部・西部の3つのグループに分かれて広範囲に散らばっています。

  • 東部グループ (Grupo Oriental): サン・ミゲル島 (São Miguel)、サンタ・マリア島 (Santa Maria)
  • 中部グループ (Grupo Central): テルセイラ島 (Terceira)、ファイアル島 (Faial)、ピコ島 (Pico)、サン・ジョルジェ島 (São Jorge)、グラシオーザ島 (Graciosa)
  • 西部グループ (Grupo Ocidental): フローレス島 (Flores)、コルヴォ島 (Corvo)

この諸島で最大かつ最も人口が多いのは東部グループのサン・ミゲル島です。ポンタ・デルガダ空港(ヨハネ・パウロ2世空港)がこの島にあり、多くの旅行者が最初に足を踏み入れる地点となっています。

気候はメキシコ湾流の影響を受けた温帯海洋性で、年間を通じて非常に穏やかです。夏は暑くなりすぎることなく、冬でも氷点下になることはほとんどありません。とはいえ、「1日に四季が訪れる」と表現されるほど天候の変わりやすさが特徴です。晴れていたかと思うと急に霧が立ち込め、雨が降り始めることもよくあります。この移ろいやすい気候が、アゾレスの潤い豊かな緑の風景を育んでいるのです。

歴史的には、大航海時代にポルトガル人によって発見され、アメリカ大陸とヨーロッパをつなぐ航路の重要な中継点として発展しました。捕鯨基地としての歴史も長く、その文化は現在も島々の至る所で息づいています。ユネスコ世界遺産に登録されているテルセイラ島のアングラ・ド・エロイズモの歴史地区や、ピコ島のブドウ畑の景観など、見どころは自然景観だけにとどまりません。

日本からアゾレス諸島へのフライト:最適なルートはどれ?

さて、いよいよ本題に入ります。日本からアゾレス諸島へは残念ながら直行便がなく、最低でも1回、多くの場合は2回の乗り継ぎが必要となります。総移動時間は乗り継ぎ時間も含めて24時間を超えるのが一般的です。長い旅になりますが、経由地の選択によって旅のスタイルや費用が大きく変わるため、ここでは代表的な3つのルートを紹介します。

ルート1:ヨーロッパ主要都市経由(最も一般的で確実な王道ルート)

日本からアゾレス諸島に向かう際、最も現実的かつ便数の多いルートはヨーロッパの主要ハブ空港を経由する方法です。特にポルトガルの首都リスボンを経由するルートは、乗り継ぎの利便性から第一候補といえるでしょう。

リスボン経由のメリット

一番のメリットは、アゾレス諸島の各島へ就航しているポルトガルのフラッグキャリアであるTAPポルトガル航空や、アゾレスを拠点とするSATAアゾレス航空の便が豊富にある点です。日本からリスボンへは直行便がないため、まずフランクフルト、パリ、ロンドン、アムステルダム、ヘルシンキ、チューリッヒ、イスタンブールなどの都市を経由し、そこからリスボンに乗り継ぎます。

  • おすすめの航空連携:
  • スターアライアンス系: ANAでフランクフルトやミュンヘンに飛び、ルフトハンザ航空やTAPポルトガル航空に乗り継ぎリスボンへ。通しで発券すれば手荷物をスルーチェックインでき、乗り継ぎがスムーズです。
  • ワンワールド系: JALでロンドンやヘルシンキへ飛び、ブリティッシュ・エアウェイズやフィンエアー、イベリア航空などでリスボンに接続します。
  • スカイチーム系: エールフランスでパリ、KLMオランダ航空でアムステルダムを経由するルートもあります。

航空券の探し方: 航空券比較サイト(Googleフライトやスカイスキャナーなど)で出発地を「東京(NRT/HND)」、目的地をアゾレス諸島の主要空港「ポンタ・デルガダ(PDL)」に設定し検索してみましょう。さまざまな経由地の組み合わせが表示されます。重要なのは、総移動時間と乗り継ぎ時間、料金のバランスです。乗り継ぎ時間は、ヨーロッパのハブ空港では最低2時間、リスボンでは最低1.5時間を確保することをおすすめします。特にシェンゲン圏内で入国審査が発生する場合は、予想以上に時間がかかることがあります。

リスボンで乗り継ぎ時間に余裕があれば、24時間以上の滞在(ストップオーバー)を検討するのも良いでしょう。数日間リスボンで滞在し、美しい街並みやグルメを楽しんでからアゾレスへ向かうことで、一度の旅でポルトガルの異なる魅力を二度味わえます。

その他のヨーロッパ都市経由

ロンドン(ガトウィック空港)、フランクフルト、アムステルダムなどからは、季節によってアゾレスへの直行便が運航される場合があります。特に格安航空会社(LCC)が就航していることもあり、タイミングが合えば費用を抑えられます。ただし、LCC利用時は預け荷物が別料金だったり、乗り継ぎ保証がないケースが多いため、予約前に規約をよく確認してください。大手航空会社を利用するよりやや上級者向けと言えます。

ルート2:北米経由(意外な穴場ルート)

アゾレス諸島は地理的にヨーロッパと北米のほぼ中間に位置しているため、意外かもしれませんが北米経由のルートも存在します。特にアメリカ東海岸のボストンやカナダのトロントからは、SATAアゾレス航空によるポンタ・デルガダ直行便が運航されています。

北米経由のメリットと注意点 このルートのメリットは、航空券価格が時期やセールによってはヨーロッパ経由より安くなる可能性があることです。また、ニューヨーク、ボストン、トロントといった魅力的な都市でストップオーバーを楽しめる点も魅力です。

ただし、注意すべき点もあります。アメリカ経由の場合、乗り継ぎでも電子渡航認証システム「ESTA」の事前申請が必須です。同様にカナダ経由であれば「eTA」が必要です。これらの手続きを忘れると出発ができませんので、必ず旅行前に済ませておきましょう。

さらに、北米の空港での乗り継ぎは一度入国審査を受け、預けた荷物を受け取り、税関検査を経て再度預けるという手続きがほとんどです。ヨーロッパ内の乗り継ぎより手間と時間がかかる傾向があるため、乗り継ぎ時間は最低でも3~4時間程度の余裕を持つことを推奨します。

ルート3:中東経由(時間はかかるが快適な旅)

エミレーツ航空(ドバイ経由)やカタール航空(ドーハ経由)などの中東系航空会社を利用する方法もあります。これらの航空会社は日本からの便も多く、サービスの質が非常に高いことで知られています。ドバイやドーハからリスボン、ロンドン、フランクフルトなどのヨーロッパ主要空港へ飛び、そこからアゾレス行きの便に乗り継ぐ形となります。

中東経由のメリットとデメリット 最大のメリットは、機内サービスの質の高さです。エンターテインメントや食事、シートの快適さは世界トップレベルで、長時間のフライトをできるだけ快適に過ごしたい方に適しています。

一方で、地理的に大きく遠回りとなるため、総移動時間が最も長くなる傾向があります。乗り継ぎ時間も含めると、アゾレス到着までに30時間以上かかることも珍しくありません。時間に余裕があり、移動そのものを楽しみたい方に向くルートと言えるでしょう。

航空券の賢い探し方と予約のステップ

膨大な選択肢の中から、自分にぴったり合う航空券を探し出すのは決して簡単なことではありません。ここでは、賢くそしてお得に航空券を予約するための具体的な方法やポイントをお伝えします。

航空券を予約する最適なタイミングとは?価格の傾向について

アゾレス諸島の最適な観光シーズンは、天候が安定しアジサイが見頃を迎える6月から9月の夏季です。この期間は世界中から旅行者が集まるため、航空券の価格が最も高騰する傾向にあります。特に7月と8月はピークにあたり、この時期を狙って旅行するなら、半年以上前から予約を始めるのが賢明です。出発の3ヶ月前を切ると、料金が急激に高くなることが多いです。

一方で、春(4月~5月)や秋(10月~11月)は気候が比較的穏やかで観光客も少なく、価格も抑えめなショルダーシーズンです。冬季(12月~3月)は最も安価に航空券が手に入りますが、天候が不安定で雨の日が多く、フライトの欠航や遅延のリスクが高まります。アクティビティが制限される可能性もあるため、目的に応じてSeason選択を慎重に行うことが重要です。

価格の変動をチェックする方法 Googleフライトやスカイスキャナーなどのサービスには、価格の変動を監視し、料金が下がった時にメールでお知らせしてくれる機能があります。旅行計画の段階で、希望する日程に対してアラートを設定しておくと、最もお得な購入タイミングを見逃さずに済みます。

航空券予約の具体的なステップ

  • ステップ1:ルートと日程を決める

まずは、ヨーロッパ経由、北米経由、中東経由という3つのルートから、時間や予算、経由地での滞在希望など自分の条件に合った選択肢を絞り込みます。日程も余裕を持って設定すると、より安価な航空券が見つかる可能性が高まります。例えば「7月10日からの10日間」と決め打ちするのではなく、「7月上旬から中旬の間で10日間」といった柔軟な日程設定がおすすめです。

  • ステップ2:比較サイトを活用して広く検索する

複数のルートと日程で比較サイトを使い横断検索を行います。表示される料金は仲介サイトのものであることが多いため、最終的に購入する前に必ず航空会社の公式サイトもチェックしましょう。公式サイトの方が安価であったり、座席指定無料などの特典が付く場合もあります。

  • ステップ3:予約と支払いの手続き

予約を行うサイト(航空会社の公式サイトまたは信頼できる旅行代理店)を決めたら、画面の指示に従って必要事項を入力します。特に注意したいのは、パスポートに記載されている氏名のスペルを正確に入力することです。わずかな誤りでも搭乗拒否の原因になります。また、パスポート番号や有効期限の入力を求められる場合があるので、手元にパスポートを用意しておくと安心です。

  • ステップ4:予約内容の確認とeチケットの管理

予約が完了すると、登録したメールアドレスに予約確認書とeチケットが届きます。氏名、日程、便名、予約番号などに誤りがないか細部まで確認し、プリントアウトするかスマートフォンにPDFで保存しておきましょう。eチケットはチェックイン時や入国審査の際に提示が必要な大切な書類です。

トラブル発生時の対処法:予約内容の誤りに気づいたら? 万一、名前のスペル等に誤りがある場合は、できるだけ早く航空会社または予約した旅行代理店のカスタマーサービスに連絡を取りましょう。多くの航空会社は予約後24時間以内であれば無料で修正やキャンセルが可能な「24時間ルール」を設けていますが、条件は各社で異なります。時間が経過すると修正が困難になったり、手数料が高額になるケースもあるため、迅速な対応が重要です。

アゾレス諸島の玄関口:ポンタ・デルガダ空港(PDL)を徹底解説

長時間のフライトを終えて、いよいよアゾレス諸島に到着します。ほとんどの国際便は、サン・ミゲル島に位置するポンタ・デルガダのヨハネ・パウロ2世空港(Aeroporto João Paulo II、コード:PDL)に降ります。こちらはアゾレス諸島で最大かつ利用者数が最も多い主要な空港です。

空港の規模はそれほど大きくなく、非常にコンパクトで分かりやすい作りとなっています。到着ロビーへ出ると、目の前にレンタカー会社のカウンターがずらりと並び、そのほかインフォメーションセンターやカフェ、ATMなども利用可能です。

空港から市内へのアクセス方法

ポンタ・デルガダ市街地までは、空港から約3kmと非常に近距離です。主な移動手段は以下の通りです。

  • タクシー: 最も手軽で便利な選択肢です。到着ロビーのすぐ外にタクシー乗り場があり、市街中心部までの所要時間は約10分、料金の目安は10〜15ユーロです。メーター制なので安心ですが、乗車前におよその料金をドライバーに確認しておくとより安心でしょう。
  • エアロバス (Aerobus): 空港と市内中心や主要ホテルを結ぶシャトルバスです。タクシーよりも料金は安いものの、便数はあまり多くありません。事前に運行時刻を確認しておくことをおすすめします。
  • レンタカー: 島内を自由に観光したい場合は、空港でレンタカーを借りるのが最も便利です。国際的な大手レンタカー会社から地元の業者まで、到着ロビーに多くのカウンターが並んでいます。ただし、夏のベストシーズンは非常に混雑するため、日本にいるうちにオンライン予約を済ませておくことが強く推奨されます。予約がない場合、希望の車種が借りられなかったり、長時間待たされたりすることもあります。

読者へのアドバイス:国際運転免許証の準備を忘れずに アゾレス諸島でレンタカーを運転するためには、日本の運転免許証に加えて国際運転免許証が必要です。これは出発前に、日本国内の運転免許センターなどで手続きが可能です。パスポート、免許証、証明写真、手数料があれば、ほとんどの場合その場で発行されます。必ず用意しておきましょう。

空港で済ませておくと便利なこと

  • SIMカードの購入: 空港内には、ポルトガル大手通信会社のVodafoneのカウンターがあります。ここでプリペイドSIMカードを購入すれば、滞在中にインターネット接続や地図アプリの利用に困ることはありません。旅行者向けに手頃なプランも用意されています。
  • 両替・ATMの利用: ポルトガルの通貨はユーロ(EUR)です。空港内には両替所とATMが設置されています。両替所のレートは市内よりやや割高になることが多いため、最低限の現金だけを両替するか、クレジットカードのキャッシング機能でATMから引き出すのがおすすめです。アゾレスではクレジットカードが広く使えますが、小さな村のカフェや商店では現金のみ対応の場所もあるため、ある程度は現金を持っておくと安心です。

アゾレス諸島内の移動手段:島から島への冒険

アゾレス諸島の真の魅力は、個性豊かな9つの島々を巡る楽しさにあります。例えば、サン・ミゲル島の壮大なカルデラ湖、ピコ島の雄々しい火山、ファイアル島にある国際的なマリーナ、そしてフローレス島の数えきれないほどの滝など、各島ごとに異なる絶景が広がっています。こうした景観を満喫するには、島から島への移動が欠かせません。主な移動手段は飛行機とフェリーの2種類です。

飛行機での移動(SATA Air Açores)

島間の移動で最も速く、確実な方法が地域航空会社のSATA Air Açoresの利用です。東部・中部・西部の各島グループを結ぶ路線網が整備されており、遠方の島でも約1時間ほどでアクセス可能です。

予約方法と注意点 航空券の予約は、SATA Air Açores公式サイトから直接行うのが簡便かつ確実です。英語対応サイトで、フライト検索から決済までスムーズに進められます。特に複数の島を巡る「アイランドホッピング」を計画している場合は、マルチシティの周遊チケットを利用すると効率的です。

  • オンライン予約の流れ
  1. SATA Air Açoresの公式サイトへアクセスします。
  2. 出発地、目的地、日付を入力します。複数区間を予約できる「Multi-city」オプションも利用可能です。
  3. 希望のフライトを選択し、乗客情報をパスポートと同じ内容で入力します。
  4. 手荷物のオプションを設定します。無料許容量を超える場合は追加料金が発生するため、事前に荷物の重さを確認しておきましょう。
  5. クレジットカードで支払いを済ませ、予約完了です。eチケットはメールで届くので、紛失しないように保管してください。

注意事項 アゾレスは気候が変わりやすく、特に冬季は霧や強風によるフライトの遅延や欠航が起こりやすい地域です。移動日は余裕を持ったスケジュールを心がけましょう。万が一欠航となった場合は、空港のSATAカウンターで代替便への振替手続きを行いますので、係員の案内に落ち着いて従いましょう。

フェリーでの移動(Atlânticoline)

時間に余裕があり、船旅の風情も楽しみたい方には、Atlânticolineが運航するフェリーが魅力的です。特にファイアル島、ピコ島、サン・ジョルジェ島の中部諸島は近距離に位置しており、フェリー移動が便利で経済的です。ピコ島とファイアル島間はおよそ30分の船旅で結ばれています。

予約方法と注意点 時刻表の確認やチケット予約は、Atlânticoline公式サイトで行えます。夏季は便数が増え、長距離路線の運航もありますが、冬季は便数が減少したり、運休する路線もあるため、必ず最新情報を事前にチェックしてください。

  • 船酔い対策

大西洋の海は時に荒れることもあるため、船に弱い方は酔い止め薬を日本から持参することをおすすめします。また、デッキに出て新鮮な海風を浴びたり、遠景を眺めることで乗り心地が良くなる場合もあります。

  • 欠航時の対応

悪天候によるフェリーの欠航も珍しくありません。欠航決定時は、港のチケットオフィスで払い戻しや別便への振替手続きを行います。場合によっては飛行機の利用も検討が必要ですが、同様に天候影響で運航状況に注意が必要です。こうしたハプニングも旅の一部としてリラックスして対応しましょう。

各島内の移動方法

島に着いてからの移動手段は、島の規模や地形、またご自身の旅のスタイルに応じて最適なものを選ぶと良いでしょう。

  • レンタカー:

サン・ミゲル島やテルセイラ島のように広い島では、レンタカーによる移動が最も自由度が高く、公共交通機関では行きづらい絶景スポットにも気軽にアクセスできます。道は概ね整備されていますが、山間部や村の中心部には狭い道も多いため、運転には注意が必要です。

  • タクシーやツアー:

運転に自信がない方や短時間で効率よく観光したい方は、タクシーのチャーターや現地ツアーの参加がおすすめです。経験豊かなドライバーやガイドが、地元の人しか知らない穴場も案内してくれることがあります。

  • 公共バス:

各島にバス路線はありますが、本数が限られており、主要な町間の移動が中心です。観光地直通の便は少ないため、時刻表をよく確認し、時間に余裕のあるゆったり旅に向いています。

  • スクーターや自転車:

小規模の島や町の周辺散策には、スクーターや自転車のレンタルも楽しい選択肢です。アゾレスの爽やかな風を感じながら、自分のペースで美しい風景を楽しむことができ、素晴らしい思い出になるでしょう。

旅の準備を万全に!持ち物リストと注意点

アゾレス諸島への旅は、その独特な気候と環境を踏まえた入念な準備が成功の鍵となります。ここでは、具体的な持ち物リストと服装のポイントをご紹介します。

必要な持ち物一覧

  • パスポートと重要書類: パスポートはシェンゲン協定加盟国の場合、出国予定日から3ヶ月以上の有効期限が必要です。航空券のeチケット、ホテルの予約確認書、海外旅行保険証、レンタカー利用者は国際運転免許証も合わせて、一つのファイルにまとめておくと便利です。
  • クレジットカードと現金: VISAやMastercardは広範囲で使用可能ですが、JCBやAmerican Expressは利用できない場所もあるため注意しましょう。現金はユーロを少額紙幣中心に用意しておくと安心です。
  • スマートフォンと充電器: 地図や翻訳アプリ、写真撮影には欠かせません。モバイルバッテリーも忘れずにお持ちください。

服装のポイント:「1日で四季を感じる」天候対策

アゾレスの天気を象徴する言葉のように、服装は「レイヤリング(重ね着)」が基本です。

  • アウター: 防水・防風機能を備えたジャケット(ゴアテックス素材など)が必須です。急な雨や風の強い海岸、標高の高い場所で役立ちます。
  • ミドルレイヤー: フリースや薄手のダウンジャケットなど、保温性のある中間着を用意しましょう。日が陰った時や朝晩の冷え込み対策に適しています。
  • ベースレイヤー: 速乾性に優れたTシャツや長袖シャツがおすすめです。汗をかいてもすぐ乾く素材が快適さを保ちます。
  • ボトムス: ハイキングや散策に適し、動きやすく乾きやすいパンツが良いでしょう。ジーンズは濡れると乾きにくいため避けるのが賢明です。
  • 靴: 防水仕様のハイキングシューズか、履き慣れたウォーキングシューズが最適です。自然の中を多く歩くため、街歩き用にスニーカーもあると便利です。
  • その他:
  • 水着: アゾレスでは、海のほかに鉄分を含む茶褐色の天然温泉(ポサ・ダ・ドナ・ベイジャなど)や海辺の天然プールが多数あります。水着は必ず持参しましょう。ただし、温泉の鉄分で水着が変色することがあるため、高価なものやお気に入りは避け、濃色の古いものを選ぶと良いです。
  • サングラス、帽子、日焼け止め: 夏季の日差しは強烈ですので、紫外線対策は十分に行ってください。

持っていると便利なグッズ

  • 変換プラグ: ポルトガルのコンセント形状はCタイプまたはSEタイプです。マルチ変換プラグを一つ用意しておくと安心です。
  • 常備薬: 胃腸薬、頭痛薬、酔い止め、絆創膏など、普段使っている薬は日本から持参しましょう。
  • 防水バッグやジップロック: ホエールウォッチングやハイキングの際に、スマートフォンやカメラを雨や水しぶきから守るのに役立ちます。

持ち込み禁止・制限について

アゾレス諸島の貴重な生態系を守るため、植物の種子、土、生果物など外部からの動植物の持ち込みは厳しく制限されています。これは外来種の侵入を防ぎ、固有の自然環境を守るためです。また、ドローン使用時はポルトガルの航空規則に従う必要があり、飛行禁止区域やプライバシー保護のルールが設けられています。最新情報はポルトガル政府観光局の公式サイトなどで確認することをおすすめします。美しい自然を次世代へと引き継ぐため、一人ひとりの配慮が不可欠です。

万が一のトラブルに備える:旅先での対応策

どんなに入念に準備を重ねても、予期せぬトラブルが起こることは避けられません。しかし、あらかじめ対処法を把握しておけば、冷静に対応が可能です。

フライトの遅延や欠航

アゾレス諸島では、天候の影響によるフライトの遅延や欠航が頻繁に発生します。自分の便が影響を受けた場合は、まず航空会社のカウンターに向かい、状況を確認しましょう。

  • 対応の流れ:
  1. 航空会社のカウンターや公式ウェブサイトで、遅延・欠航の理由や代替便の案内を確認します。
  2. EU域内の航空会社を利用している場合は、「EU261規則」が適用されることがあります。この規則により、フライト距離や遅延時間に応じて食事・宿泊の提供や場合によっては金銭的な補償が受けられるため、詳細を確認してください。
  3. 代替便が翌日以降になる際は、多くの場合、航空会社がホテルを手配してくれます。手配がなされなかった場合でも、自分で支払った宿泊費や食事代の領収書を保管しておけば、後日請求できる可能性があります。
  4. 加入している海外旅行保険の補償内容も確認しましょう。「航空機遅延費用補償」が付帯されている場合は、追加で発生する宿泊や飲食の費用がカバーされることがあります。保険会社のサポートデスクに連絡し、必要な手続きを尋ねてください。

パスポートの紛失や盗難

旅行中に最も避けたいトラブルの一つがパスポートの紛失です。万が一紛失した場合は、以下の手順に従って冷静に対処してください。

  • 対応の流れ:
  1. まず最寄りの警察署へ出向き、紛失または盗難届を提出し、証明書(ポリスレポート)を発行してもらいます。
  2. 次に、リスボンにある在ポルトガル日本国大使館へ連絡します。パスポートの再発行には時間がかかるため、多くの場合は日本へ帰国するための一時渡航書「帰国のための渡航書」を発給してもらうことになります。
  3. 発給の際には、警察署の証明書、戸籍謄本または抄本(日本からFAX等で送付可能)、顔写真などが必要です。大使館の指示に従い、必要書類を準備しましょう。
  4. 航空会社へも連絡し、パスポート紛失の旨を伝え、帰国便の予約変更が必要か確認してください。

このような事態に備え、パスポートの顔写真ページや査証ページのコピー、および予備の証明写真をパスポート本体とは別の場所に保管することが非常に重要です。

体調不良やケガ

慣れない環境で体調を崩したり、ハイキング中にケガをすることも考えられます。

  • 対応の流れ:
  1. まず加入している海外旅行保険のサポートデスクに電話しましょう。多くの場合、24時間日本語対応があり、現在地に最も近い提携病院の紹介や医療通訳の手配などを行ってくれます。
  2. 緊急の場合は、迷わず救急車を呼びましょう(ポルトガルの緊急番号は112です)。
  3. 病院で治療を受ける際には、キャッシュレス・メディカルサービスが利用できるか確認してください。利用できれば保険会社が直接病院へ治療費を支払ってくれるため、高額な医療費を立て替える必要がなく安心です。

海外旅行保険はまさに心強いお守りです。万一の際に頼りになる重要な準備のひとつであることを認識し、必ず加入のうえ出発しましょう。

アゾレスへの旅を、忘れられない体験にするために

日本からアゾレス諸島への旅路は、決して短く簡単なものではありません。長時間のフライト、複数の乗り継ぎ、そして変わりやすい天候が待ち受けています。しかし、その長い旅の先には、私たちの予想をはるかに超える壮大な自然のドラマが広がっています。

霧の中から突然姿を現すエメラルドグリーンのカルデラ湖、足元から立ち昇る蒸気が特徴の地熱地帯、空や海の青に映える真っ白な街並み、そして目の前で迫力満点のブリーチングを繰り返すクジラの群れ。これらの光景は、時間をかけて訪れた人だけに味わえる、最高のご褒美と言えるでしょう。

旅のルートを考える時間も、また旅の楽しみの一つです。どの道を選ぶか、どの島に滞在するか、どんな景観に出会いたいか。この記事を参考にしながら、自分だけのオリジナルなアゾレス諸島の旅を計画してみてください。

現地に到着したら、ぜひアゾレスのゆったりとした時間の流れに身をゆだねてみてください。計画通りにいかないことがあっても、それもまた旅の味わいです。天気が悪ければ、地元のカフェで人々と交流したり、博物館を訪れたりするのにぴったりの機会となります。この島々のありのままの姿を受け入れることで、旅は一層深く、豊かなものになるはずです。

さあ、準備は整いました。大西洋の楽園があなたを待っています。最高の冒険に、どうぞ行ってらっしゃい。

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